コラム長生きすればするほど得に、「トンチン年金」の特徴徹底解説

公開日:2018-08-28

 

長生きするほど得になる仕組みの年金保険「トンチン年金」の人気が高まっています。世界屈指の長寿国である日本に暮らすわたしたちにとって、長い老後を安心して暮らしていける資金の確保は重要な課題。そんななか登場したトンチン年金は、果たしてこの問題を解決する救世主なのでしょうか? トンチン年金の特徴やメリット、デメリットについて徹底解説しました。

 

 

「トンチン」の名前の由来

 

「トンチン年金」というユーモラスな名前の由来は、17世紀イタリアはナポリの銀行家、ロレンツォ・デ・トンティ(Lorenzo de Tonti)に由来します。トンティは当時ナポリを支配していたスペインの総督に対する反乱に関与し、フランスへ亡命。その後、フランス王ルイ14世に提案したのが「トンチン年金」という仕組みでした。

 

トンチン年金は複数の出資者の資金を集めて年金基金を組成。出資者が死亡すると、その出資者が受け取れるはずだった年金分がまだ生きている出資者に割り振られることで、長生きすればするほど多くの年金を受け取れる仕組みでした。

 

ちなみにロレンツォの2人の息子は北米大陸の探検家となり、次男のアルフォンソはデトロイトを創設したメンバーの1人になっています。ロレンツォもアルフォンソも今ではほとんど知られていない歴史上の人物ですが、彼らが創設に関わったものは、今もよく知られているわけです。
 

 

 

トンチン年金が求められる理由

 

400年近い昔に考案された「長生きすればするほど得になる」仕組みが、この時代に再び脚光を浴びたのは、もちろん私たちの寿命が年々伸びているため。厚生労働省の調べによると、2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳と過去最高を更新。2016年の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳でした。

 

2016年に出版され日本でも大ベストセラーとなったリンダ・グラットンさんの「LIFE SHIFT」では、100歳を超えて生きることになる人の数はこれから先ますます増えると指摘。2007年に日本で出生した子どもに至っては、その半数が「107歳まで生きる」としています。

 

グラットンさんはこれだけ寿命が長くなったのであれば、これまで一般的だった人生設計は現実にそぐわないとし、人生100年時代に相応しい生き方への対応、つまり「ライフシフト」が必要だと説いています。

 

日本政府も2017年に「人生100年時代構想会議」を設置。幼児教育の無償化などとともに、「より長いスパンで個々人の人生の再設計が可能となる社会」の実現や、「人生100年時代を見据え、意欲ある高齢者に働く場を準備する」といった社会をつくることの検討を始めています。

 

 

「長生きリスク」という概念

 

つまり、私たちはいま、自分たちが思っている以上に長生きしてしまうのではないか、というのが、トンチン保険が求められている理由、人気が高まっている理由です。

 

「長生き」はこれまで、とても良いイメージの言葉でした。ところが、今では「長生きリスク」などという言葉すら語られるようになってしまいました。老後の生活に向けて、十分に資金を用意したと思いきや、予想していた以上に長生きしてしまった場合に、その資金が足りなくなってしまう、というのが「長生きリスク」が意味するものです。それはそのとおりで、仮に60歳で退職し100歳まで生きたとすると、引退後の人生は40年に及びます。働き始めたのが20歳だとすれば、60歳までの40年間に蓄えた資金が、60歳からの40年間で底をつくのはむしろ当然と言えるでしょう。

 

政府の「人生100年時代構想会議」で検討しているのは、「意欲ある高齢者に働く場を準備する」でした。確かにより長いあいだ働き続けることも、長生きが当たり前の時代の対策ではあります。しかし、必死に働き続けるだけでなく、保険によっても対策しようというのが自然な発想です。そうして登場した年金保険商品が「トンチン年金」です。

 

トンチン年金は、規定額の支払いが完了すれば、年金支払開始後は生きている間は年金が支払われ続けるというものです。これならば、100歳どころか110歳、120歳と生き続けても安心というわけです。

 

 

トンチン性が“高い”“低い”という分類

 

注意しておきたいのは、トンチン年金と位置付けられている年金保険の中にも、トンチン性が高いものと低いものがあるということです。「トンチン性」という言葉は、長生きすればするほど得になるという、トンチン年金の特徴の度合いを指します。つまり、「トンチン性が高い」といった場合、長生きすることによるお得度がより高く、「トンチン性が低い」といった場合、長生きすることによるお得度があまり高くないことを指します。

 

実際、トンチン年金に分類される年金保険にもかかわらず、年金給付期間に制限がある保険も存在します。このような商品では、長生きしても年金支給は途中で終わってしまいますから、「トンチン性は低い」ということになります。親類に90歳や100歳まで生きた方が何人も居るような長寿家系の方は、給付期間に制限のあるトンチン性の低いタイプのトンチン年金は避けたほうが良いでしょう。

 

 

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みんかぶ保険編集部

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