コラム乗り換えずにできる保険の見直しの方法いろいろ

公開日:2019-09-19

保険を選ぶときに「知っ得」話~第24

 

 

私事ですが、先日、加入していた生命保険を一部、解約しました。

 

生計維持者が死亡すると、残された家族は経済的に困ってしまいます。子どもが小さい時にこうした事態が起きると、その先に掛かる養育費や教育費はトータルで見て大きな金額になり、遺族年金などの公的保障があっても資金リスクは大きくなります。その資金手当てができる生命保険の必要性は、子どもが小さい時ほど高いといえます。

 

しかし、わが家のひとりっ子は既に大学生。出ていく教育費は今がピークですが、自立はもう目の前です。この先の負担は見えており、万が一の時に多額のお金を残す必要性は減っています。生命保険を“卒業”する時期になったのです。

 

このように、時間の流れとともにライフステージは変遷するので、生命保険の必要性は変化します。その時こそ、生命保険の見直しの好機です。

 

しかし、こんなふうに生命保険を“卒業”する人は、案外少ないようです。生命保険を解約したり、失効させたりした理由についての問いに対する答えを以下のグラフで示しています。

 

保険の「解約・失効」理由、最多は乗り換え、次に保険料の負担関連

 

グラフを見ると、今回のわが家のケースである「高額な保障が不要になった」は7.6%と少数派です(一番下のグラフ)。その一方で、保険をやめる人が、「掛金(保険料)の支払う余裕がなくなった」「掛金(保険料)が更新で高くなった」「まとまったお金が必要になった」と家計にまつわるものが6割近くに上ります(緑色の棒グラフ参照)。

 

■保険の解約および失効の理由の抜粋(複数回答) 

出所:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2018年)。 注:かんぽ生命を除く

 

「必要というより、ゆとり消費的」に加入した保険であれば、やめてしまっても問題はないでしょう。しかし、保険は本来、不測の事態で家計が非常事態に陥るのを回避するリスクマネジメント対策。必要な保険までやめるといった事態は回避したいところです。

 

保険の見直しとは、「乗り換える/やめる」の二元論ではなく、今の家計にフィットする形で既存契約を見直すこともそのひとつです。家計が厳しい時は、一定の手続きを経れば、掛金を払わず、もしくは抑えつつ、一定の保障を確保できます。また、現在の保険を生かしながら、合理的に保障を確保することもできます。これが今回の知っ得ポイントです。

 

3つの見直し方法の詳細は

 

前回示した保険の見直し方法について、今回は具体的に見ていきましょう。

 

■保険の見直し方法

保険料を
支払わず
に保障
を続ける

「払済保険」

保険期間を変えずに現在より少額の保険にする。特約は全てなくなる

「延長保険」

保険期間を短くして保障額を
維持する。特約は全てなくなる

保険料を
減らす

「解約」

契約をやめる

「減額」

保障額を減らす

「保険種類の変更」

終身保険等から
割安な定期保険に変更する

保障を
増やす

「中途増額・付加」

現在の契約に
保障額や保障を追加する

「新規加入」

新たに契約する

注:作成筆者

 

Ⅰ 保険料を支払わず保障を続けたい

 

保障を残したいものの、保険料を支払うのが難しいときは、「払済保険」と「延長保険」という方法で、保険をやめずに保険料の支払いをストップできます。両者とも解約返戻金を元手に行う変更になります。解約返戻金が少ない場合や保険種類によっては変更できないので、確認が必要です。

 

■払済保険 → 保険料の支払いをやめて、保障額(保険金額)を減らす

 

最初の払済保険は、これまでより保障額の少ない同じ保険に変更する方法です。保険期間は変わりませんが、これまで付加していた特約は全てなくなります。ただし、リビングニーズ特約(余命6カ月以内と診断された場合に、生前に保険金の一部等を受け取れる)は、維持できることが多いようです。

 

保険料の支払いは厳しいけれど、少しは保障を残しておきたい場合に利用するとよいでしょう。

 

■延長保険 保険料の支払いをやめ、保険期間を短縮する

 

もう1つの「延長保険」は、元の契約を定期保険に変更するものです。保障額は元の保険と変わりませんが、保険期間は元の保険と「同じ」、あるいは「短く」なります。保険料の支払いは厳しいが、当面は現在の保障が必要な場合に利用するとよいでしょう。

 

なお、延長保険に変更すると、それまで付加していた特約は、リビングニーズ特約を含め、全てなくなります。

 

Ⅱ 保険料を安くしたい

 

現在の保障や保障額が過大であれば、「解約」あるいは「減額」で対応します。解約するとその時点で契約は打ち切られるので、保障も保険料の支払いもなくなります。減額は、保険期間の途中で保険金額を下げること。解約と異なり保障の一部が残り、保険料はその分安くなります。

 

ただし、かつて主流商品だった定期付終身保険などのセット商品は、思うように減額ができないこともあります。主契約を減額すると、定期保険特約や医療特約など他の特約まで減額することになったり、規定の金額以上に減額ができなかったりといった制限が設けられる場合あるのです。

 

保障額を変えたくないときは、保険の種類を変えると保険料を安くできることがあります。たとえば、終身保険から定期保険に変更すると、同じ保障額でも保険料はかなり下がります。保険料が安ければ、まとまった保障が必要な時でも家計負担を軽減できます。

 

注意点は、保険料は見直し時の年齢により異なることです。この先10年間の負担を比較するなどして検討するとよいでしょう。 また、健康状態によっては新たに加入できないことがあります。

 

■終身保険と定期保険 保険料の違い

終身保険
保険種類
定期保険
保険料払込期間:
終身
保険期間:10年
1万595円
月額保険料
1995円
127万1400円
10年間の保険料
23万9400円

注:A保険会社の40歳男性の例。保険金額500万円(2019年9月現在)

 

勤務先に「グループ保険」があれば、それを利用しても。これは1年更新の定期保険などシンプルな保障で、勤務先を窓口に、年1回などの募集が行われるものです。

 

個々の会社にカスタマイズされた保険ですから、CMによる告知を行う必要がなく、勤務先が事務手続きを一部行うことから、多くは保険料が割安となります。さらに、保険料算定の基になる死亡率よりも実績の方が低ければ、配当金として契約者に還元されるため、実質の保険料はさらに減ることになります。

 

勤務先にこのような保険があるなら、有力な選択肢になり得ます。ただ、個々の商品により詳細は異なるので、条件や保険料を確認した上で検討するとよいでしょう。

 

Ⅲ 保障を手厚くしたい

 

保障を手厚くしたい場合、新商品などの提案を受けて乗り換えるケースも多いようです。ただ、乗り換えなくても見直すことは可能です。現在の保険はそのままに、不足する保障額の分を中途増額する、あるいは追加で新たな契約を結ぶなどの方法です。その際、中途増額そして追加分については、告知あるいは診査が必要になります。

 

既存の契約をやめて乗り換えると、全てが乗り換えた時点での保険料になりますが、増額や追加加入なら、既存契約の保険料はそのまま、新規契約分だけがその時点の年齢の保険料となるだけで済みます。

 

デメリットとメリットをしっかり確認

 

このように、新たな保険に乗り換えなくても、現在の契約を生かしつつ負担を軽減したり、保障を見直したりするのは可能です。契約によっては見直しに制限があったり、デメリットが生じたりすることもあるので、保険会社に確認しながら進めましょう。

執筆者情報
清水香(Kaori Shimizu)

清水香(Kaori Shimizu)
生活設計塾クルー  生活設計塾クルー・取締役
ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士)/社会福祉士/自由が丘産能短期大学講師

1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任、現在に至る。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。財務省“地震保険制度に関するプロジェクトチーム”委員


ページTOPへ