コラム割安・短期・シンプルの「共済」で、家計を健全にする方法

公開日:2020-01-23 (更新日:2020-09-25)

保険を選ぶときに「知っ得」話~第33回

 

 

昨年の消費税率アップを機会に、家計をしっかり見直そうと考えている人も多いのではないでしょうか。ここで欠かせないのが「保険の見直し」。家計負担を大きく減らせる可能性があり、有効な対策になるからです。

 

見直し策の1つに、保険と同じ保障商品である「共済」の活用があります。詳しくは後述しますが、「保険」と「共済」の違いは、不特定多数の人が加入できるのが「保険」で、特定の地域や団体の組合員が加入できるのが「共済」になります。

 

共済で一般的なのが、「都道府県民共済」「こくみん共済」「コープ(CO・OP)共済」「JA共済」などが提供する商品です。保険同様、さまざまな不測の事態に備えられる共済ですが、みなさんは上手に活用できていますか?

 

今回の知っ得ポイントは、家計の健全性を高めるための、「共済の上手な利用法」について――です。

 

共済の「割戻金」は実質掛金が軽減される仕組み

 

まず保険と共済の違いについて、確認していきましょう。

 

保険は、営利を目的として募集が行われる保険会社の商品で、冒頭に触れたように誰でも加入できます。一方で共済は、非営利の協同組合によって提供される組合員に向けた保障制度で、出資して組合員になった人が加入できます。

 

こうした違いはありますが、保険と共済で保障内容にそれほど差はなく、共済でも3000万円程度の死亡保障、1日1万円以上の入院給付金といった高額保障も受けられます。

 

共済の原点は、①割安な掛金(保険料に相当)②短めの保障期間③シンプルな保障――の3つ。②と③で必要な保障を絞り込んで、①の掛金を抑えて商品を提供することこそが、共済の存在意義なのです

 

割安なコストを実現する上で、契約者にとって大きな魅力になるのが「割戻金」です。これは、提供する保障サービスに要したお金よりも集めた掛金が上回ったとき、その余り(剰余)を組合員に還元する仕組みです。割戻金が出るかどうかは決算次第ですが、支払われれば実質的な掛金はより安くなります。

 

シンプルな保障内容から共済を「メーンの保険にちょっとプラス」といった利用をする人が多いのですが、実はそれでは、「割安・短期・シンプル」という共済の強みを存分に生かせません。

 

「ちょっと」の逆で、共済を「メーン」に据えてこそ、家計に大きなメリットを生み出すことができます。

 

「割安・短期・シンプル」が特徴、そのメリットとは?

 

共済を主役にして考える上で、まず知っておきたいのは、保険や共済という私的保障商品に加入するには、受けられる公的給付を前提に検討するのが基本であることです。入院時の医療費も、保険証を用いれば高額療養費給付が受けられるので、それほど心配はいりません。

 

月始から月末までまるまる入院しても、ひと月の医療費+食事代の負担は12万円強(年収370万~770万円の場合)とわかっていれば、「医療保険は不要かも」と思う人もいるはずです。

 

ですが残念なことに全労済協会の調査では、公的給付を意識せず保険や共済といった私的保障商品に加入した人は「6割を超えている」というのが現状です(「共済・保険に関する意識調査結果報告書<2017年度版>」)。

 

公的給付を踏まえずに、保険や共済の加入を考えると、必要以上に保障を手厚くしてしまい、それによって保険料や掛金も過大になってしまいます。

 

一方、公的保障を踏まえて手元に医療や介護などに使えるお金があれば、保険や共済は不要と考えることもできます。保険や共済は、自分で必要なお金を貯めるまでの「つなぎ」にとどめ、必要なお金が積み上がったら、“卒業”するのです!

 

このつなぎ役として活躍が期待されるのが、「割安・短期・シンプル」が特徴の共済です。私的な保障を確保するために支払うコストが少なければ、その分を必要資金の積み立てに回すことができ、家計の健全性を高められます。

 

本当にそうなのかを、見てみましょう。下の表は1日あたりの入院給付金が1万円の保険および共済の比較です。

 

入院給付金以外の保障内容や保障期間は異なります。しかし、それを反映した保険料の差は大きく、どの商品を選択するかで、10年間に負担額はかなり変わってくることになります。

 

■医療保障商品の比較~入院日額1万円・50歳男性の場合

売会社
都民共済
アフラック
商品名
入院保障2型
ちゃんと応えるEVER
ちゃんと応えるEVER
(引受条件緩和型)
保障期間*
60歳まで**
終身
保障の
給付開始
日帰り入院から
日帰り入院から ***
入院1回の
限度日数
病気124日
事故184日
60日
その他
・手術給付
 10万/5万/2.5万円
・先進医療
 1万~150万円
・事故通院
 1500円
・死亡・重度障害
 10万円
・手術給付
 40万/10万/5万円
・放射線治療
 10万円
・通院
 1万円
・先進医療
 2000万円
月額掛金
2000円
    7569円
   1万1694円
10年間の
掛金総額
24万円
****
90万8280円
140万3280円
注:作成筆者。*保険料および掛金支払い期間。**表の保障内容の場合で、他の保障内容で
最長65歳まで可能。***5日未満の入院は一律5日分5万円を給付。****割増金を考慮せず

 

例として挙げた「都民共済 入院保障2型」は、60歳まで月2000円で、表にある保障を確保できます。2018年度の割戻金は、掛金の約37%であっため、掛金から割戻金を引いた実質掛金は、月1260円にまで下がっています。

 

終身保障でないことが共済のデメリットと言われることもありますが、貯蓄を積み上げていくためのつなぎ役として利用するのなら、終身保障である必要はありません。

 

もっとも「割安・短期・シンプル」という特性を持ち合わせているのは、共済だけではありません。

 

例えば「グループ保険」が勤め先にあれば、これも選択肢。保険期間1年間の割安な保険で、剰余が生じれば加入者に割戻金も出る、共済に似た仕組みです。勤務先が保険会社から事務委託を受け、手続きなどを取りまとめています。割戻金はありませんが、ネット生保などを中心に提供されている期間の短い割安な定期保険も選択肢になるでしょう(下の表参照)。

 

共済が必ずしも総合点で優位ではありません。死亡保障の場合は、保険料のほか、余命6カ月で保険金の先払いを受けられる「リビングニーズ」の有無など、多面的に考慮して加入を判断するとよいと思います。

 

■主な死亡保障の定期保険・共済の比較
(保険期間10年・男性・保険金1000万円の場合)
会社
ライフネット生命
コープ共済
SOMPO
ひまわり生命
かんぽ生命
商品名
かぞくへの保険
あいぷらす
定期保険
新普通定期保険
保障内容
死亡・高度障害
死亡・高度障害
死亡・高度障害
死亡・重度障害
30歳保険料
1068円
1200円
1370円
1900円
40歳保険料
1925
2700
2340円
3800
50歳保険料
4217円
5500
4690
6200
リビングニーズ
なし
なし
あり
なし
販売チャネル
インターネット・代理店
コープ窓口
代理店
郵便局
注:作成筆者

 

わが家に「必要なとき、必要な分」をカスタマイズ

 

「割安・短期・シンプル」な商品を自ら選び、わが家の保障をカスタマイズ、その後の変化に応じて見直していけばより合理的です。子どもが生まれたとき、全体でかかる養育費や教育費を踏まえ高く設定した死亡保障額も、5年、10年と無事過ぎていけば、必要額は徐々に下がります。

 

10年後の更新時を機に保障を減額すれば、更新時の年齢に応じた掛金アップも抑えられます。子どもが独立となれば、それを機に保険は卒業、といった具合です。このような考え方で保障内容を選択をすると、将来にわたり保険料もしくは掛金の負担は大きく軽減できます。下は2つの共済商品を組み合わせた例です。

 

■複数の共済を組み合わせて必要な保障を組み立てる例

 

上の例では、30歳の男性が死亡保障3000万円、入院保障1万円をチョイス。その後10年ごとに死亡保障を減額、60歳で2つの保険を卒業した場合、30年間で支払う掛金の総額は234万円(60万+84万+90万円)になります。これは先に説明した割戻金を考慮しない金額ですので、加入期間に割戻金があれば、実質の掛金総額は減ります。

 

1世帯あたりの年間生命保険料は現在、平均38万円、30年間支払えば総額は1140万円になります(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査 2018年」)。保険料と掛金の1年間の差は、それほど大きく感じなくても、長い期間で見れば拡大するのです。

 

生涯にわたり保険に頼り続けるのか、あるいは貯蓄が積み上がるまでのまでのつなぎ役として共済を利用するのか。保険や共済の入り方が家計に及ぼす影響は少なくなく、考え方ひとつで負担を大きく変えることもできるのです。可能な限り自由にできるお金を積み上げられるよう、保険そして共済を活用するメリットとデメリットについて、考えてみてはいかがでしょうか。

 

記事内容は執筆時点(2020年01月)のものです。最新の内容をご確認ください。

執筆者情報
清水香(Kaori Shimizu)

清水香(Kaori Shimizu)
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表 生活設計塾クルー取締役ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士)/社会福祉士/自由が丘産能短期大学講師  1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらFP業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年より FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。執筆や企業・自治体・生活協同組合等での講演活動など幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する政府委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。(略歴は執筆時時点です)


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