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新入社員として就職したら、希望でいっぱいのことでしょう。また、学校を卒業して社会に出ると当然のように保険への加入をすすめられますが、保険のことは学校で教えてもらえないため、どんな保険に入ればいいか分からずに困惑している人が少なくありません。
そこで今回は、必要最低限加入しておきたい保険と福利厚生の一環として用意されている団体保険の特徴を解説します。団体保険のない会社もありますが、保険への考え方は共通なので知っておくとこれから役に立つでしょう。
1. 新入社員として就職したらやりたいこと
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筆者がもしもう一度就職をして新入社員になったとしたらどうするか、考えてみました。初任給でやりたかったことと、不必要な保険に加入して失敗した経験をお伝えします。
1-1. 初任給で親へのプレゼント
筆者が就職した当初は、自分のことで精一杯で何もできませんでしたが、親への感謝としてプレゼントを送ってあげたかったです。もちろん今でもプレゼントをあげることはできますが、“初任給でプレゼントを買う”ことに意味があると考えています。
もしまた初任給をもらう機会があるなら、「今までありがとう。ようやく一人前になれたよ」といった内容のメッセージカードを添えて、親へプレゼントをしたいですね。筆者がプレゼントを贈るなら、財布か温泉旅行を選ぶと思いますが、他の人はどうしているのでしょうか。
エン・ジャパン株式会社が運営する「エン転職」が実施したアンケートによると、親へのプレゼントとして最も人気があるのはケーキやお菓子で、2番目はファッション雑貨、3番目はお酒でした。初任給では高価なものでなくても、気持ちとしてプレゼントを送ることが大切だということですね。
1-2. お金の勉強として投資を始める
筆者は現在、ファイナンシャル・プランナー(お金の専門家)として活動していますが、お金の勉強が楽しくなったきっかけは株式投資を始めたことです。
初めは何も分かりませんでしたが、株の値動きの仕組みがわかるようになってくると、どんどんおもしろくなってきて、他のことも勉強したいと思えるようになりました。もしまた新入社員として働くことになっても、やっぱりお金の勉強として投資を始めたいです。
1-3. 自分に適した保険へ加入する
筆者が初めて保険に加入したのは、「若いうちに入っておくと保険料が安くてお得だよ」と保険屋さんから聞いたことがきっかけでした。初めて入った保険が本当に必要だったかというと、自信を持ってイエスと答えることができません。
いま思い返すと、子供がいる家庭の人が入るような保険なのに「若いうちは保険料が安い」という売り文句を信じて契約をしてしまっていたので、筆者にとって過剰な保険だったように記憶しています。
お金の勉強を始めてすぐに、当時加入していた保険が不要だと気づき解約しましたが、自分に最適な保険について見直しをしていなかったら、今でも加入し続けていたでしょう。
また、筆者が初めて勤めた会社には団体保険はありませんでしたが、もし会社に団体保険があったらきっと入っていただろうなと思います。団体保険は、自身に必要な保障をかなり安い保険料で準備できるからです。いまお勤めの会社に団体保険があるなら、民間の保険に加入するのではなく、団体保険へ加入することをおすすめします。
2. 団体保険とは?
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団体保険の特徴は、企業を契約者、従業員を被保険者とすることで、民間の保険会社の商品よりも安く保険に加入できることです。もちろん、民間の保険会社のように、必要な保障を選んで加入できます。
ほとんどの保険が1年ごとの自動更新型(定期保険)であるため、貯蓄のような機能は持ち合わせていませんが、民間の保険会社と同じ内容の保障を受けられることから、新入社員が入る初めての保険としておすすめです。
2-1. 団体保険のメリットとは?
団体保険の主な魅力は以下の通りです。
- ・死亡保障や所得保障、医療保障など、必要な保障を選べる
- ・加入手続きが簡単
- ・保険料が安い
- ・剰余金があれば配当金として受け取ることができる
- ・個人契約の保険よりも告知条件がゆるい
- ・配偶者・子どもも加入することができる
- ・給与天引きが可能である
団体保険の大きな魅力は、保険料が同等の一般の保険商品よりも安い点です。また、加入手続きが簡単なところや、保険料が給与天引きできるところも団体保険ならではの魅力といえます。
お勤めの企業に団体保険があり、必要な保障を安く準備しておきたい人には団体保険を強くおすすめします。
2-2. 団体保険のデメリットとは?
団体保険で用意されている多くの保険商品は1年毎の自動更新が前提なので、掛け捨てとなり資産性がありません。保障と貯蓄の機能を兼ね備えている保険商品が団体保険には用意されていないため、対策として自分で別途貯蓄を準備しましょう。
また、団体保険はあくまで企業の福利厚生の一環ですので、企業を退職してしまうと保険契約が終了するため注意しましょう。なお、所定の手続きを取れば保険契約期間が満了するまで継続することや、同じ保険商品の一般契約へと切り替えることが可能です。必要があれば、お勤めの企業やご加入の保険会社へ相談することをおすすめします。
3. 保険は個人で入ったほうがいい?
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団体保険に魅力的な保障が無い場合は、個人で保険に入ることを検討してもよいでしょう。一般の保険商品では、保障を組み合わせることができるなど、幅広い選択肢のなかから保険商品を選べるからです。
3-1. 個人の保険のほうが自由度が高い
個人の保険は団体保険と比べれば保険料が割高になりますが、豊富な商品のなかから本当に必要な保険を選ぶことができます。そのため、個人で加入する保険のほうが自由度が高いといえます。
民間の保険会社で販売している終身保険や養老保険は、貯蓄と保障の機能を兼ね備えているため特に人気があります。これらの保険に加入したい場合は、個別で保険に加入するのがおすすめです。
3-2. 新入社員にとって本当に必要な保険とは
新入社員にとって本当に必要な保険とは、病気やケガに備える保険(先進医療特約付)や病気やケガで働けなくなったときなどに備える保険です。”もしものとき”を想定したときに、不安だと感じる保障を備えた保険を選ぶとよいでしょう。
3-2-1. まず検討すべきは医療保険から
初めにおすすめする保険は医療保険です。病気やがんになったときに必要な治療費や入院費用が保障として備えられています。医療保険の特約として用意されている先進医療特約は、健康保険の適用外とされている高額な治療に対しても保険が適用されるため、ぜひ追加しておきたい特約です。
3-2-2. 次に所得補償保険(就業不能保険)を考えよう
病気やケガで一定期間以上働けなくなったときに備えておく保険として、所得保障保険(就業不能保険)もおすすめです。もしあなたが病気やケガで働けなくなったときに社会保険へ加入していれば、直近1年間の標準報酬月額(賞与を除く毎月の給与・手当のこと)を平均した2/3の金額が「傷病手当金」として支給されます。この場合、病気やケガになったことにより給与は1/3減少することになります。この減少する部分に備える保険が「所得補償保険」です。
家賃や奨学金などは毎月支払いが必要なのに、働けなくなって支払いができなくなると大変です。充分な貯蓄ができない新入社員のうちは、資金不足をカバーする目的で保険へ加入するとよいでしょう。
保険に加入する際には、どのぐらいの保険金があれば不安を解消できるかを考えておくと必要以上に高額な保険料を支払うことがなくなります。ただし、保険料の目安として自分の収入のうち5%以内に納まることは意識しておきたいところです。
3-3. 貯蓄のないうちこそ保険は必要
保険への考え方は人それぞれですが、健康保険や高額療養費制度の存在から保険には入らなくてもいいという意見があります。しかし、健康保険の適用のみで治療費を支払える人は充分な貯蓄がある人です。新入社員のうちは充分な貯蓄がない場合がほとんどですので、毎月の保険料を貯蓄の代わりと考えて保険に加入しておくことをおすすめします。
必要最低限の保障でもいいので、加入しておくことで安心を買うことができます。必要最低限の保障は個人の価値観にもよりますが、生命保険の場合は、独身なら自分の葬式代が払える程度、家族がいるなら子どもが成人するまでの生活費を設定して契約しておくといいでしょう。
医療保険の場合は入院日額5000円(相部屋に宿泊できる金額)と、手術給付金は10万円程度(高額療養費制度を補える程度の金額)がおすすめです。
4. 投資と保険のことは、新入社員じゃなくても考えてほしい
就職したら考えたいお金のことはたくさんありますが、まずは将来のためにお金を準備する投資のことと、もしものときに備える保険のことを意識しましょう。投資はお金を運用して増やすことを教えてくれますし、保険はお金を使うことで安心を買うことができるからです。
保険は人生で大きな支出になりますが、いざというときに、お金がなくても自分のことを守ってくれる存在です。新入社員としてこれからのことを考えている人や、新入社員ではないけどライフイベントが変化する時期にある人は保険を見直してみてはいかがでしょうか。
記事内容は執筆時点(2020年03月)のものです。最新の内容をご確認ください。