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実家暮らしだと自立できない?子どもの一人暮らしが心配です

公開日:2020-03-05 (更新日:2020-09-30)

子供,立つ,進む
<写真=photo-ac.com>
 

子供はいずれ、自分の力で生活するようになります。しかし、いざ自分の子供の独り立ちが現実になりそうだと、嬉しい反面、寂しさや心配な気持ちがあふれてしまい、悩んでいる親御さんも多いのではないでしょうか?
 

そこで今回は、子をもつ親なら迎えるであろう「子供の自立」について考えてみましょう。独り立ちして間もない26歳の筆者が、自身の経験を踏まえて、子供の自立心を尊重しながら支援できる方法などもご紹介します。
 

まだ小さい子供をおもちの親御さんも、どのような「覚悟」や「準備」が必要なのかを認識するきっかけとなれば幸いです。

1. もう子供じゃないけど、一人で生活できるか心配です


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ファイナンシャル・プランナー(お金の専門家)として活動している26歳の筆者は、ある親御さんから子供の独り立ちにまつわる相談を受けました。子供の自立を応援したいと思う一方で、ずっと近くにいてほしい気持ちがあるそうです。そこで筆者は、詳しい経緯と親御さんの気持ちをヒアリングしました。
 

1-1. これまでの経緯

親御さん談

今まで一緒に生活をしてきた息子から、実家を出て一人暮らしをしたいと告げられました。無事に就職が決まり仕事にも慣れてきたので、部屋を借りて自分の力で生きていこうと思ったようです。
 

正直今までの暮らしぶりから、息子が一人で生活できるとは思えません。料理や洗濯をしている姿を見たことがありませんし、部屋はいつも散らかっています。そんな息子が自分で部屋を借りて生活するなんて、とても心配です。
 

でも、息子がもう子供じゃないことも分かっています。お金はどうするんだ?と尋ねると、「一人暮らしのための資金はある」と言うんです。詳しく話を聞くと、就職活動を始めた頃から一人暮らしのことを考えていて、そのために必要な資金を毎月コツコツ貯めて、1年で30万円を用意したようです。
 

自慢げに話しているわりに一人暮らしを始めるには心許ない費用ですが、それでも遊びたい盛りの大学生が30万円貯蓄したと聞くと、息子の本気度が伺える気がしました。喜んで送り出してあげたい気持ちもあるのですが、心配な気持ちのほうが強いので、ずっと近くにいてほしいと思います。
 

1-2. 親としての心配ごと

親御さん談

息子が本当に一人で生活できるのかということだけでなく、お金についても心配しています。
 

わたしが一人暮らしを始めたときは、実家暮らしとは比べものにならないほどお金がかかりました。若いうちこそ将来に向けて貯蓄をしておくべきだと思うわたしとしては、わざわざ一人暮らしをして余計にお金を払うぐらいなら、実家で暮らしてお金を貯めればいいと思います。
 

また、仕事に慣れてきたから一人暮らしをしたいと息子は言っていますが、いくら仕事に慣れてきたとはいえ、まだ充分な収入のない新入社員が背伸びをして一人暮らしをしなくてもいいとも思います。家賃や生活費が負担になって苦労しないか心配です。。。
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とは言うものの、わたしが若い頃を思い返すと息子と同じように、就職したら親の手から離れて自由な暮らしがしたいと考えていましたから、お金の問題はあまり気にならなかったように思います。気にしていたのはお金のことじゃなくて、親から離れて自立したいということでした。
 

2. なにをもって自立というか

家,家賃,生活
<写真=photo-ac.com>
 

息子さんが一人暮らしをしたいと言っているけど、子供のことが心配で仕方ない親御さん。ご自身の経験もあってか、実家を出ると支出が多くなることも気がかりなようです。ここからは筆者の経験も交えて、相談にお応えしました。
 

筆者談

三省堂国語辞典によると、「自立」という言葉を以下のように定義づけています。
 

  • ①自分だけの力で行動し生活すること
  • ②ほかからの助けを受けないでやっていくこと。


では、子供が「親の力を借りないで一人で生活していきたい」と言うなら、親から離れて自立をしたいという意思表示ですよね。
 

心配だから近くにいてほしいとか、実家にいてお金を貯めればいいと思っているのは親側ですから、子供の気持ちを尊重してみませんか?
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2-1. 子供の自立は一人前になったことの証明

筆者談

子供が自立をしたいと言うなら、一度好きなようにさせてあげればいいと思います。一人暮らしを思いついてから1年間コツコツと計画的に資金を準備していることを考えれば、息子さんはもう充分立派な大人です。
 

実家を出て自立したいと考えている息子さんを笑顔で送り出すことが、親として最善の行動ではないでしょうか。子供が一人で苦労して生活することで、精神的・経済的に成長して、本当の意味で自立できるとも考えられるからです。
 

まず精神的な自立とは、自分で選択したことに責任をもつ覚悟をしたということです。一人で暮らすということは親元から離れて自由になる一方で、選択を強いられる場面で自分が決めたことに責任を求められます。自分で決めたことは誰にも責任を転嫁できませんので、一人の自立した人間として精神的な成長につながるでしょう。
 

そして経済的な自立とは、実家を離れることにより発生するすべてのコストを自分で払っていく覚悟をするということです。一人暮らしを始めると家賃や食費などの生活費だけでなく、今後必要になる資金も自分で準備しなければなりません。収入と支出を適切に管理して、計画を実行していくことができれば経済的な自立をしたと言えるでしょう。
 

3. 親としてこれからできること

心遣い,仕送り,食べ物
<写真=photo-ac.com>
 

親御さん談

「わたしは親として、息子を静かに送り出そうと思います。ただ、送り出すということは決して子供を放置するということではなく、適切な距離で見守るということだと思っています。息子にとって煩わしくない距離で、これからわたしにできることはなんでしょうか?」
 

筆者談

「息子さんが生活する領域に立ち入ってしまうと、自分のスペースを侵害されたと感じてしまう恐れがあります。親御さんがしてあげたいことだけを考えるのではなく、息子さんの自立心も尊重するのが、効果的な支援方法ではないでしょうか。」
 

3-1. 資金を援助する

筆者談

筆者がまず考えたことは資金面での援助です。一人暮らしで必要な引越し費用や家具の購入資金などをできる範囲で援助されることが妥当と考えます。アットホーム株式会社が2018年にリリースした「1~3 年目社会人に聞く『新社会人住み替え資金事情』調査」によると、48.4%の親が資金を援助しており、資金を援助した場合の平均額は16万円でした。
 

息子さんと相談をしたうえで、家具・家電の購入資金は援助する、初期費用は援助するといったように、提案するとよいかもしれません。
 

他にできることは、結婚などのイベントで資金を援助することでしょうか。「リクルート ブライダル総研」が実施した「ゼクシィ結婚トレンド調査2019調べ」によると、72%の人が親・親族から挙式、披露宴・披露パーティ費用の援助を受けており、平均総額は167.8万円でした。
 

最近では結納の代わりに結婚資金を援助する場合や、挙式当日にご祝儀として資金を援助するケースもあります。
 

3-2. 本当に嬉しい気遣いは仕送りかもしれない

筆者談

たまに電話をしてあげることも適切な距離で見守ることに繋がります。ちゃんとご飯を食べているか、健康な暮らしができているかなど、小さな気遣いが子供には嬉しいものです。
 

筆者が一人暮らしをしているときに本当に嬉しかったのは、月に一度親から送られてくる食べ物の仕送りでした。お金をもらってしまうと親に負担をかけている気がして、なんだか申し訳ないと思っていたでしょうけど、食べ物だったらと素直に受け取ることができました。
 

4. 子供が一人で生きる覚悟をしたのなら、親として応援しよう

親御さん

「今までずっと、息子の一人暮らしには反対でした。どうしてわざわざ苦労する道を選ぶのか理解できなかったし、お金や家事のことを考えると実家暮らしのほうが楽ですよね。」
 

「でも筆者さんのはなしを聞いて、わたしが息子と同じ年代だったころを思い返してみると、たしかに家を出る苦労なんて気になりませんでした。それは、本当の意味で大人になりたかったからです。息子が独り立ちを決めたということは、一人で生きる覚悟をしたということでしょう。だったら親として、その覚悟を後押ししたいと思います。苦労が多くても、身になることが多いでしょうから。」

 

記事内容は執筆時点(2020年03月)のものです。最新の内容をご確認ください。

 

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執筆者情報

中西 雅也

中西 雅也
酒井FP綜合事務所 ファイナンシャル・プランナー 1994年生まれ。「明日から使える知識をお届けすること」をモットーに、手帳を使った人生設計の方法や、初心者向けのお金勉強会を開催している。
<保有資格>
2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)


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