引越しやリフォームなど、火災保険を途中で解約するシーンは多いです。しかし
と、不安や疑問が湧いてくる人も多いのではないでしょうか。
せっかくの引越しや新生活のスタートをトラブルで台無しにしないためにも「解約のタイミング」「必要書類」「返戻金の計算方法」を正しく理解しておくことが大切です。
この記事では、火災保険の解約についてわかりやすく解説していきます。読み進めるうちに「どう進めればトラブルを回避してスムーズに解約できるか」がきっとクリアになるはずです。
- 火災保険は満期になる前に途中解約できる
- 火災保険のタイプによっては解約返戻金を受け取れる
- 解約日は退去する日や引き渡し日に合わせる
火災保険は途中解約できる?まず押さえておきたい基本知識
と考える人もいらっしゃるでしょう。結論、火災保険は満期になる前でも解約が可能です。
ただし、解約には決められた手続きや気をつけたいポイントがあります。まずは火災保険の解約について、以下2つの基本的なポイントを抑えておきましょう。
火災保険は満期前でも解約可能
火災保険を解約すると解約返戻金をもらえる可能性がある
それぞれのポイントについて、わかりやすく解説していきます。
火災保険は満期前でも解約可能
火災保険は、保険契約者が「解約したい」と申し出れば契約途中でも解約できます。例えば火災保険の満期前に賃貸物件を退去する場合は、退去時に火災保険も解約可能です。
ただし「物件を退去したから火災保険は自動で解約される」というわけではありません。ご自身で解約手続きをしなければ、火災保険の契約が続行されてしまう可能性があります。
また解約できる理由が限定されている保険商品や、解約手続きが複雑な保険商品も存在します。そのため解約前に、ご自身が加入している火災保険の約款や証券内容を再度チェックしておきましょう。
火災保険を解約すると解約返戻金をもらえる可能性がある
火災保険を解約すると「解約返戻金」を受け取れる場合があります。
例えば1年契約の火災保険を半年で解約した場合、残りの6ヶ月分の保険料をもとに解約返戻金が算出されます。
解約返戻金を受け取れるケースは、主に以下のとおりです。
長期一括払いで保険料を支払っており、まだ残り期間が一定以上ある
月払いで保険料を支払っており、保険会社の規定によって先に払った分の一部が戻ってくる
しかし満期までの残り期間が短い場合や、返戻金を設定していないタイプの保険に加入している場合、解約返戻金を受け取れない可能性が高いです。
解約返戻金の計算方法や受け取り方は?
と気になる人も多いのではないでしょうか?
解約返戻金は、残りの保険期間や契約形態によって金額が大きく変わります。そのため解約返戻金の計算方法について把握しておけば、ベストな解約タイミングを見つけやすくなるでしょう。
ここからは解約返戻金の計算方法について、シミュレーションとともに解説していきます。
解約返戻金の計算式|未経過料率・短期率とは?
多くの保険会社では、以下のような計算式で解約返戻金を算出しています。
ただし、契約形態によっては未経過料率ではなく短期率が採用される場合もあります。短期率は日割りよりも返戻率が低めに設定されることが多いので、
と感じてしまう可能性もあります。どのように解約返戻金が算出されるのか、事前に保険会社のサイトや約款でチェックしておくのがおすすめです。
長期一括払いの火災保険を途中解約するケースのシミュレーション
ここでは「長期一括払いの火災保険を途中で解約するケース」を具体例に、解約返戻金をシミュレーションしてみましょう。
火災保険の契約年数:3年
一括払いした保険料:20万円
経過年数・月数:1年7か月
未経過料率:45%
上記のように仮定すると、解約返戻金は以下のようになります。
残りの契約期間が長ければ長いほど、もらえる解約返戻金は多くなります。一方、残り期間が1ヵ月を切っているような段階で解約すると、解約返戻金が発生しない可能性もあるため注意が必要です。
解約手続きを済ませれば解約返戻金が振り込まれる
解約手続きが完了すると、指定した銀行口座に解約返戻金が振り込まれます。返戻金の振込は手続きから1〜2週間前後が目安ですが、繁忙期の場合は多少遅れてしまうこともあります。
振込先の口座に関しては、契約者以外の名義の口座を指定できないケースが多いです。もし「保険契約時に指定した口座」とは異なる口座に振り込んでもらいたい場合は、保険会社に事前に問い合わせてみましょう。
【賃貸】火災保険の解約時期はいつがベスト? 解約忘れやトラブルを防止するコツ
賃貸住まいの方が火災保険を途中解約するタイミングとして最も多いのは「退去時」でしょう。しかし退去が決まると引越し準備で忙しくなってしまうため、解約の手続きは後回しにしがち。
しかし解約の手続きを正しく進めないと、二重払いや無保険状態などのリスクを招くおそれがあります。
そんなトラブルを避けるため、賃貸物件の火災保険を解約する際は以下のポイントを押さえておきましょう。
火災保険の解約日は退去日に合わせるのがベスト
解約し忘れや重複契約を避けるためにも早めの連絡が大切
引越し先で別の火災保険に入る場合は入居日に合わせて契約する
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。また「持ち家の火災保険」に関しては、このあと「【持ち家】火災保険を途中解約する際のポイント」にてご紹介します。
火災保険の解約日は退去日に合わせるのがベスト
火災保険の解約日は、退去日に合わせるのが鉄板。理由は簡単で「退去直前まで補償が続き、しかも二重払いを防げる」からです。
もし退去よりも早い段階で火災保険を解約してしまうと、退去直前に水漏れや火災などの事故が起きた際に、保険金を受け取れなくなってしまいます。
しかし逆に、退去日よりも解約日を大幅に遅らせると、もう住んでいない住居の保険料を無駄に払い続けてしまうことになりますね。
退去日に合わせて解約日を設定しておけば、不要な空白期間や重複期間を回避できます。
解約し忘れや重複期間を避けるためにも早めの連絡が大切
とはいえ、退去前後は引越し準備や新生活の手配で大忙しですよね。だからこそ、退去日が決まったら保険会社に早めに連絡しておきましょう。
もし二重で保険料を支払ってしまったとしても、一度支払った保険料は後から返してもらえないケースがほとんどです。また無保険期間中に家事や災害などによって住居に大きな被害が発生してしまった場合、自己負担額は想定以上に膨らんでしまいます。
そのため、退去日が決まったらそのまま保険会社にも日程を伝えておくのがおすすめです。解約の手続きには日数がかかる場合もあるため、できるだけ早めに保険会社へ連絡しておきましょう。
別の火災保険に入る場合は入居日に合わせて契約する
賃貸物件を退去したあとも、新たな住居で火災保険に加入する人が多いでしょう。その場合、新居の火災保険は入居日に開始するようにスケジュールを組むのがベストです。
退去日に火災保険を解約し、入居日に新たな火災保険に加入できれば、空白期間を作らずに済みます。
また、乗り換えのタイミングで家財補償の金額や個人賠償責任の特約を改めて見直す方も増えています。これまでと同じ条件が本当に必要かどうか、改めて考えてみましょう。保険料を節約するチャンスです。
【持ち家】火災保険を途中解約する際のポイント
持ち家で火災保険を解約する主なタイミングとしては「住宅の売却」や「大規模リフォーム(増改築)」などが挙げられます。
持ち家の火災保険は賃貸に比べて、契約期間は長く、保険料も高額であるケースが多いです。そのため、解約時期を間違えると想定以上に大きな経済的ダメージを負ってしまうかもしれません。
持ち家の火災保険を途中解約する際に気をつけるべきポイントは次の2つです。
持ち家を売却する場合は火災保険の解約日を家の引き渡し日に合わせる
住宅ローンが残っている場合は金融機関に確認を
それぞれわかりやすく説明していきます。
持ち家を売却する場合は火災保険の解約日を家の引き渡し日に合わせる
持ち家を売却する場合、火災保険の解約日は「物件の引き渡し日」に合わせるのが基本。なぜなら、引き渡し前に火災などの被害に遭うと、売却の条件が大きく変わる可能性があるからです。
もし先に火災保険を解約してしまい、いざ事故や自然災害で家に被害が出るとどうなるでしょうか?多額の修繕費を自腹で負担しなければならず、売却も白紙になる可能性があります。経済的なダメージが非常に大きくなってしまいそうですね。
そのため賃貸物件と同様に、引き渡し日が確定した時点で保険会社へ連絡し、解約日を早めに決めておくのがおすすめです。
住宅ローンが残っている場合は金融機関に確認を
住宅ローンが残っている段階で火災保険を解約したいと考えている場合は、特に注意が必要です。
住宅ローンを契約する際に「火災保険に加入すること」を義務づけている金融機関も少なくありません。つまり、ローンが残っている状態で勝手に火災保険を解約すると、契約違反になるリスクがあります。
家を売却してローンを完済する予定なら、特に問題ありません。ただし「保険の切り替えだけを行いたい」という場合、金融機関によっては所定の手続きが必要なケースもあります。
どのような手続きが実際に必要なのかは、金融機関によって異なります。そのため住宅ローンを契約した金融機関に必ず確認をしてから、火災保険の解約に進みましょう。
火災保険を解約する際の手続きや必要書類は?
と疑問を抱く人もいらっしゃるはず。スムーズに火災保険を解約できるように、解約手続きの流れや必要書類についてもご紹介していきます。
火災保険を解約する際は、次のような流れで手続きが進められます。
保険会社や代理店に連絡する
必要書類を準備して保険会社に送付する
保険会社のチェックが完了したら終了(解約返戻金がある場合は振り込まれる)
それぞれのステップごとに、手続きの内容をわかりやすく解説していきます。
まずは保険会社・代理店に連絡を入れる
解約する際は基本的に、契約者本人が保険会社や代理店に連絡する必要があります。電話やウェブフォーム、保険会社独自のマイページなどから「〇月〇日に解約したい」という旨を伝えましょう。
多くの保険会社において、電話だけでなく専用サイトからも手続きを始められます。日中忙しく、なかなか電話できない人にとっては嬉しいですね。
もし代理人に手続きを依頼したい場合は、本人確認書類や委任状が必要となるケースが多いです。どのような書類が追加で必要になるか、保険会社に事前に確認しておきましょう。
必要書類と準備する情報
保険会社に連絡を入れると、解約申込書などの書類が自宅に郵送されるのが一般的です。そのような保険会社から送られてくる書類に加え、指定された書類を揃えて提出する必要があります。
実際の必要書類は保険会社によって異なりますが、代表的なものは以下の通りです。
保険証券番号:解約申込書に記入が必要
本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなど
返戻金の振込口座:口座の名義人が契約者本人かどうかも重要
書類に記載する項目を見落としたり、住所の変更をうっかり書き忘れたりすると、手続きに時間がかかってしまいます。ミスしないよう、落ち着いて書類の準備を進めましょう。
書類の送付〜返金
保険会社から届いた解約申込書に必要事項を記入し返送すると、保険会社が書類をチェックします。書類の記載内容にミスがなければ、そのまま手続きが完了するのが一般的です。
もし解約返戻金を受け取れる場合は、書類の確認が完了した後、1〜2週間ほどで振り込まれることが多いでしょう。
もし1ヵ月以上経っても振込の確認ができないときは、書類に不備があったか、あるいは郵送中にトラブルなどが起きた可能性があります。保険会社に問い合わせて、状況を確認してみてください。
火災保険の解約時によくあるトラブル
解約手続きはさほど難しくはありませんが、
など、想定外のトラブルも起こりがちです。ここからは、火災保険の解約時にやりがちな失敗事例とトラブル回避方法をご紹介します。
火災保険の解約を忘れて二重払いになっていた
忙しい引越しシーズンでよくあるのがこのケース。もともと住んでいた物件からすでに退去したのに火災保険の解約を忘れ、新居でも新規契約したため二重払いとなってしまう事例です。
物件から退去しても、火災保険は自動的に解約されるわけではありません。また過去にさかのぼって解約を申し出ても、すでに支払ってしまった保険料はほぼ戻ってこないと理解しておきましょう。
そのような事態を防ぐためには、退去日と同時に解約日を設定し、手続きを早めに進めておくのが大切です。
契約者本人以外が解約手続きを進める場合に追加書類の提出を求められた
本人が高齢で電話が難しい、仕事が忙しくて手続きをする時間がないなど、さまざまな理由で家族や友人に解約手続きを依頼したい場合もあるでしょう。しかし多くの保険会社では、個人情報保護やトラブル防止の観点から、委任状や追加書類の提出を義務付けています。
実際のところ、本人確認ができない限り解約を受け付けない保険会社も多いです。そのためやむを得ず代理人が手続きをする場合は、必ず事前に保険会社へ問い合わせておきましょう。
火災保険を契約していない空白期間が発生してしまった
火災保険を解約する際に気をつけたいのが「無保険期間が発生しないかどうか」です。退去日より前に解約したり、新居の火災保険を入居日から遅れて設定したりすると、その間の事故は一切補償されません。
たとえば、大型の台風シーズンに解約してしまい、空白期間中に被害を受けた場合、修繕費は全額自己負担となってしまいます。新たに火災保険へ切り替える予定がある方は、解約日や契約日に気をつけましょう。
まとめ・結論
この記事では、火災保険を途中解約する際の「返戻金の仕組み」や「解約のタイミング」「手続き」などについて、わかりやすく解説しました。
うっかり解約を忘れて二重払いになったり、無保険状態の空白期間が発生したり…。そのようなトラブルを避けるためにも、退去日や引き渡し日を決めて、早めに手続きを進めることが大切です。
また引越しや火災保険の更新を機に、補償内容や保険料を見直してみるのもおすすめです。保険のプロに無料で相談し、よりご自身に合った、より安い保険料の火災保険を探してみましょう。
火災保険の解約についてよくある質問
火災保険の解約手続きは希望日から何日前にしておくべき?
火災保険の解約手続きにはある程度時間がかかるケースも多いため、少なくとも1〜2週間前までに手続きを始めておきましょう。
引越し予定日や保険を切り替える日が決まった段階で、早めに保険会社に連絡を入れてしまうのがおすすめです。後回しにしてしまうとつい忘れてしまう可能性が高くなってしまうため、早めに動き出すのが大切です。
火災保険の解約を忘れていたことに後から気づいたらどうすればいい?
もし火災保険の解約を忘れてしまっていたら、なるべく早く解約したい火災保険の保険会社に連絡しましょう。連絡が遅れてしまうほど不要な保険料を支払うことになってしまうため、とにかくスピーディーに連絡するのが大切です。
ただし「◯月◯日に解約したかったので支払った保険料を返してほしい」と要求しても、保険料は一般的に戻ってきません。そのため解約を忘れないのがベストですが、忘れてしまった場合は直ちに保険会社に問い合わせるようにしましょう。