住宅購入は人生の中でも大きな買い物のひとつです。
実は、住宅購入のタイミングは保険を見直す良い機会でもあります。
特に子育て世帯の場合は、団体信用生命保険に加入することで生命保険の見直しができ、毎月の保険料を抑えられる可能性があります。
本記事では、住宅購入時に検討したい3つの保険について、優先度別に解説します。
住宅購入で見直すべき3つの保険

住宅ローンを組む際、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」に加入します。
団信は、死亡または高度障害状態になった場合などに住宅ローンの残債が完済される保険です。
つまり、死亡時の保障という点で、すでに加入している生命保険と役割が重なる場合があるのです。
また、住宅購入時には「火災保険」への加入も検討することになります。補償内容や保険料は商品によって異なるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
このように、住宅購入時に検討したい保険は大きく分けて3つあります。
| 優先度 | 保険の種類 | ポイント |
|---|---|---|
★★★ | 火災保険 | 住宅ローン契約時に加入を求められることがある |
★★☆ | 生命保険 | 団信との重複がないか確認 見直しで保険料を抑えられる場合も |
★☆☆ | 医療保険 | 団信ではカバーされない入院・通院費用への備え |
住宅購入時の火災保険

ここでは、火災保険の補償内容や加入のタイミング、戸建て・マンションでの違いについて解説します。
火災保険とは?補償内容を解説
火災保険は、火災だけでなく、さまざまな災害や事故による建物・家財の損害を補償する保険です。
火災保険の主な補償内容
| 補償の種類 | 内容 |
|---|---|
火災・落雷・爆発 | 火災や落雷、ガス爆発などによる損害 |
風災・雹災・雪災 | 台風や大雪などによる損害 |
水災 | 洪水や土砂崩れなどによる損害 |
水濡れ | 給排水設備の事故による水濡れ損害 |
盗難 | 空き巣などによる盗難や建物の損傷 |
破損・汚損 | 偶発的な事故による損害 |
火災保険はいつまでに加入すればいい?
火災保険は、物件の引き渡し日までに加入しておくのが基本です。
引き渡し日から補償が開始されるよう、目安として、引き渡しの1〜2ヶ月前には検討を始めておくと安心です。
https://ins.minkabu.jp/columns/fire-insurance-loan-220907
戸建てとマンションで違いはある?
火災保険の補償対象は、戸建てとマンションで異なります。
戸建ての場合
「建物全体」が補償の対象になります。
屋根や外壁、門、塀なども含まれるため、補償範囲が広くなります。
https://ins.minkabu.jp/columns/fire-insurance-for-detached-houses-250121
マンションの場合
補償の対象は「専有部分」が中心です。
共用部分(エントランス、廊下など)は、通常マンションの管理組合が一括で保険に加入しています。
専有部分の範囲は「上塗基準」と「壁芯基準」のどちらかで定められており、管理規約で確認しておくことが大切です。
https://ins.minkabu.jp/columns/fire-insurance-quotes-for-condominiums-250411
地震保険は必要?火災保険との違い
火災保険だけでは、地震による損害は補償されません。
例えば、地震でストーブが倒れて火災になった、コンロの火が燃え移ったなど「地震による火災」も火災保険だけでは補償対象外となるため、注意が必要です。
地震・噴火・津波による被害に備えたい場合は、地震保険への加入が必要です。
地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットで契約する仕組みになっています。
日本は地震が多い国のため、加入を検討しておくと安心です。
https://ins.minkabu.jp/columns/fire-earthquake-set-220728
火災保険を選ぶときのポイント
火災保険は補償内容や保険会社によって保険料が異なります。以下のポイントを押さえて、自分に合った保険を選びましょう。
火災保険料の目安
火災保険料は建物の構造や所在地、補償内容によって異なります。
一般的な目安として、以下を参考にしてください。
| 建物タイプ | 保険料の目安(5年契約) |
|---|---|
木造戸建て(30坪程度) | 11.1万円程度 |
鉄筋マンション(70㎡程度) | 3万円程度 |
※地震保険を付帯する場合は、さらに保険料が上乗せとなります。
必要な補償を選ぶ
火災保険の補償は、火災だけでなく風災・水災・盗難など多岐にわたります。すべての補償をつけると保険料が高くなるため、住んでいる地域や建物のリスクに応じて取捨選択することが大切です。
たとえば、以下のような判断基準があります。
川の近く・低地に住んでいる:
水災補償を手厚くする
高台・マンション高層階に住んでいる:
水災補償を外すことで保険料を抑えられる場合も
台風の影響を受けやすい地域:
風災補償を確認する
ハザードマップを確認し、自宅周辺のリスクを把握したうえで補償内容を決めると良いでしょう。
https://ins.minkabu.jp/columns/flood-damage-220930
保険金額を適切に設定する
保険金額は、建物を再建するために必要な金額(再調達価額)を目安に設定します。保険金額が低すぎると、万が一のときに十分な補償を受けられない可能性があります。
複数の保険会社を比較する
同じ補償内容でも、保険会社によって保険料は異なります。1社だけで決めず、複数の保険会社から見積もりを取って比較することをおすすめします。
住宅購入時の生命保険の見直し

住宅購入時は、生命保険を見直す良いタイミングでもあります。
住宅ローンを組む際に加入する「団体信用生命保険(団信)」と、すでに加入している生命保険の保障内容が重複している場合があるためです。
団体信用生命保険(団信)とは?
団信とは、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合などに、ローンの残債が保険金で完済される仕組みの保険です。
住宅ローンの契約時に団信への加入が条件となっている金融機関もあります。
団信の基本的な仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
保険の対象 | 住宅ローン契約者 |
保険金の受取人 | 金融機関(ローン残債の返済に充当) |
補償内容 | 死亡・高度障害時にローン残債がゼロになる |
保険料 | 住宅ローン金利に含まれる場合もある |
団信に加入していれば、万が一のときに住宅ローンという大きな負債が残らないということになります。
がん団信・三大疾病団信は必要?
最近では、死亡・高度障害だけでなく、がんや三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)も保障対象とする団信もあります。
特約付き団信の例
| 種類 | 保障内容 |
|---|---|
がん団信 | がんと診断されたらローン残債ゼロ |
三大疾病団信 | がん・心筋梗塞・脳卒中で所定の状態になったら残債ゼロ |
ただし、金利上乗せによる総支払額の増加と、保障内容のバランスを考えることが大切です。民間のがん保険・医療保険と比較して、どちらが自分に合っているか検討しましょう。
団信に入ると生命保険は解約していい?
結論から言うと、団信だけでは不十分な可能性があります。
団信と生命保険では、補償の範囲や保険金の使い道が異なります。以下の表で違いを確認しましょう。

団信があれば「住居費の心配がなくなる」という点では大きな安心材料です。
ただし、生活費や子どもの教育費などを考えると、生命保険を完全になくすのではなく、必要な保障額を再計算して調整するという考え方が大切です。
団信に入れない場合はどうする?
健康状態によっては、通常の団信に加入できない場合があります。
その場合の選択肢として、以下があります。
ワイド団信
引受条件が緩和された団信。金利が0.2〜0.3%程度上乗せされる
フラット35
団信加入が任意のため、加入せずにローンを組むことも可能
民間の生命保険で代替
収入保障保険などで住宅ローン相当額をカバーする
持病や既往歴がある方は、早めに金融機関に相談しておくと安心です。
生命保険を見直すときのポイント
団信に加入することで、生命保険の「必要保障額」が変わる可能性があります。
必要保障額の考え方
生命保険の必要保障額は、一般的に以下のように計算されます。
この算出方法は「必要保障額積み上げ方式」と呼ばれ、遺族の生活費や教育費などの支出から、遺族年金や預貯金などの収入を差し引いて不足分を算出します。
公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険の加入金額の目安は?」
<具体例>
たとえば、5歳と2歳の子どもがいる4人家族の場合で、
毎月の遺族生活費を20万円、教育費を約1,000万円と仮定する場合…
・遺族の生活費:月20万円 × 20年※ = 4,800万円
・教育費:子ども2人で約2,000万円
・遺族年金・預貯金などを差し引き、不足分を生命保険でカバー
※末子が独立するまで
団信加入後は、ここから住居費(住宅ローン分)を差し引けるため、必要保障額を減らせる可能性があります。
団信加入で住居費分の保障が不要に
住宅購入前は、遺族の支出に「住居費(住宅ローン返済分)」が含まれていました。
しかし団信に加入すれば、万が一の際に住宅ローンが完済されるため、住居費を必要保障額から除ける場合があります。
その結果、生命保険の保険金額を減額し、毎月の保険料を抑えられる可能性があります。
ペアローン・共働き夫婦が注意したいポイント
共働き世帯やペアローンを組む場合は、さらに注意が必要です。
ペアローンの場合
ペアローンでは、夫婦それぞれが住宅ローンを組み、それぞれが団信に加入します。
ただし、団信が適用されるのは亡くなった方のローン残債のみです。もう一方のローンは残るため、遺されたパートナーの返済負担がなくなるわけではありません。
このリスクに備える方法として、以下の選択肢があります。
・連生団信(夫婦連生団信)を利用する
夫婦どちらかに万が一のことがあった場合、双方のローン残債が完済される団信です。
取り扱いのある金融機関は限られますが、ペアローンのリスクをカバーできます。
ただし、金利が上乗せされます。
・民間の生命保険で備える
連生団信が利用できない場合は、民間の収入保障保険や定期保険で、
パートナーのローン残債分をカバーする方法もあります。
金利上乗せと保険料を比較し、トータルで有利な方を選ぶと良いでしょう。
収入合算の場合
夫婦の収入を合算してローンを組む場合、団信に加入できるのは主債務者のみというケースがあります。
この場合、収入合算者に万が一のことがあっても、団信は適用されません。
共働き夫婦の場合は、それぞれの収入バランスやローンの組み方に応じて、生命保険の保障内容を検討することが大切です。
住宅購入時に医療保険は見直すべき?

火災保険や生命保険に比べると優先度は下がりますが、余裕があれば医療保険についても確認しておくと良いでしょう。
団信では入院・通院費用はカバーされない点に注意
前述のとおり、団信の保障は死亡・高度障害時に限られるため、病気やケガで入院・手術をしても住宅ローンの返済は続きます。
住宅購入後は毎月のローン返済が固定費として加わるため、収入が減った際の家計への影響は大きくなる可能性があります。こうしたリスクが気になる方は、医療保険や就業不能保険を検討してみても良いかもしれません。
住宅購入時の保険見直しスケジュール
保険の見直しは、住宅購入の流れに合わせて進めるとスムーズです。
保険見直しの目安タイムライン

| 時期 | やること |
|---|---|
物件契約前 | 現在加入中の保険を確認する |
ローン審査中 | 団信の保障内容を確認する |
引き渡し1〜2ヶ月前 | 火災保険を比較・検討する |
引き渡し日まで | 火災保険の契約を完了する |
引き渡し後 | 生命保険・医療保険の見直しを検討する |
火災保険は引き渡し日から補償が開始されるよう、余裕を持って準備しましょう。
生命保険や医療保険の見直しは、引き渡し後でも問題ありません。落ち着いてから、じっくり検討することをおすすめします。
住宅購入時の保険選びの注意点

失敗1:不動産会社に勧められるまま加入してしまう
不動産会社や銀行が提携している保険が、必ずしも自分に合っているとは限りません。
複数社を比較せずに加入すると、保険料が割高になったり、必要な補償が不足していることがあります。
失敗2:地震保険に入らず後悔する
「火災保険に入っているから大丈夫」と思っていたら、地震による被害は補償対象外だったというケースは少なくありません。
日本は地震大国のため、加入の検討をおすすめします。
失敗3:団信を過信して生命保険を全解約してしまう
団信はあくまで住宅ローンの残債をカバーするもの。遺族の生活費や教育費は別途必要です。
「団信があるから」と生命保険をすべて解約してしまい、後から慌てるケースもあります。
失敗4:保険の手続きが間に合わない
火災保険は引き渡し日から補償開始が必要です。物件契約で忙しく、保険の検討が後回しに
なった結果、十分な比較ができないまま加入してしまうことも。早めの準備が大切です。
住宅購入時の保険に関するよくある質問

Q. 住宅購入時、火災保険は必ず加入しないといけない?
住宅ローンを利用する場合、金融機関から火災保険への加入を求められるケースがあります。
法律上の義務ではありませんが、加入を前提としている金融機関があるのが実情です。
Q. 団信に加入したら生命保険は解約してもいい?
団信がカバーするのは住宅ローンの残債のみです。
遺族の生活費や教育費は補償されないため、生命保険を完全に解約するのではなく、必要保障額を見直して調整することがおすすめです。
Q. 保険の見直しはいつ行えばいい?
火災保険は引き渡し日までに契約を済ませておく必要があります。
生命保険や医療保険の見直しは、引き渡し後に落ち着いてから検討しても問題ありません。
詳しくは住宅購入時の保険見直しスケジュールをご確認ください。
Q. 住宅購入後、生命保険の保険料は安くなる?
団信加入により生命保険の必要保障額が減る場合、保険金額を下げることで保険料を抑えられる可能性があります。
ただし、火災保険や地震保険の保険料が新たに発生するため、トータルでは増減どちらもあり得ます。
Q. 火災保険料を安くする方法はある?
火災保険料を抑えるには、以下の方法があります。
・不要な補償を外す
たとえば、マンション高層階や高台に住んでいる場合、水災補償を外すことで保険料を抑えられる場合があります。
・長期契約にする
1年契約より5年契約のほうが、1年あたりの保険料は割安になる傾向があります。
・複数社から見積もりを取る
同じ補償内容でも保険会社によって保険料は異なります。比較検討が大切です。
【チェックリスト】住宅購入時に確認すべき保険の項目
住宅購入時に確認しておきたい項目をチェックリストにまとめました。
□ 火災保険の補償内容は、住んでいる地域のリスクに合っているか
□ 地震保険の加入を検討したか
□ 火災保険は複数社から見積もりを取ったか
□ 団信の保障内容(死亡・高度障害のみか、特約付きか)を確認したか
□ 団信加入後の生命保険の必要保障額を再計算したか
□ ペアローン・収入合算の場合、それぞれの保障を確認したか
□ 医療保険・就業不能保険の必要性を検討したか
まとめ|住宅購入時の保険は優先順位を決めて選ぼう
住宅購入時に見直したい保険は、主に以下の3つです。
火災保険:住宅ローン契約時にほぼ必須。引き渡し日までに加入を
生命保険:団信との重複を確認し、必要保障額を再計算
医療保険:入院・通院など、団信ではカバーされないリスクへの備え
住宅購入は大きなライフイベントです。このタイミングで保険を見直すことで、不要な保障を減らし、必要な備えを整えることができます。
保険選びに迷ったら、専門家に相談してみるのも一つの方法です。