こうした疑問を抱えている経営者の方もいるのではないでしょうか。この記事では、法人保険の解約返戻金はいつピークになるのか、そして、ピーク時にどんな対応が必要になるのかを解説します。
法人保険は、大切な法人を守るために非常に重要なものです。しっかりと知識を付けて適切に使えるようになりましょう。
法人保険における解約返戻金の重要性とは?
法人保険は、支払う保険料も解約返戻金の額も、個人保険と比べ高額になります。
そのため、解約返戻金がいくらくらいになるのか、受けとったあとどう使うのかを決めておかないと、法人の財政面でマイナスの影響を与えてしまうこともあるので注意が必要。
とくに大きな契約をしている時には、解約返戻金も多額になるため、受け取った時の金額によっては税負担が増加して会社のキャッシュフローを悪化させてしまうケースもあります。
では、法人保険の解約返戻金をうまく活用するためにはどうすればよいのでしょうか。そのためには、以下の2つを知っておくことが大変重要になります。
法人保険の解約返戻金のピークがいつになるのか
法人保険をどのように解約し、解約返戻金をどう使うのがベストなのか
それぞれ順に解説します。
法人保険の解約返戻金のピークはいつ?
加入している法人保険によりますが、法人保険の解約返戻金のピークは、加入から5〜10年後になります。
そのため、法人保険を短期間で解約すると、解約返戻金が全くないか、あってもごくわずかとなるケースがあります。
この期間中に解約をすると、支払った保険料の20-30%程度しか戻ってこない場合もあるので、法人にとって解約返戻率がどのように推移するかは非常に重要です。
もし、法人保険への加入から5〜10年経っている場合には、なるべく早く解約返戻金の取り扱いや、契約している保険の解約方法を考える必要があります。
みんかぶ保険では、法人保険の見積もり・相談も無料で行っているため「このままではまずいかも」と思ったのであれば、お気軽にご相談ください。
従来の法人保険の節税スキームは実質不可能になっているので注意
2019年2月より前であれば、保険料を全額損金として計上できる保険もありました。
2021年3月以前であれば、法人保険の契約名義を個人に変更することで法人税の負担を軽減する「節税スキーム」が使えました。
しかし、2019年2月の税制改正の公表(通称バレンタインショック)により、損金算入のルール改定が行われ「全額を損金算入すること」が難しくなりました。
【2024年12月時点での損金算入ルール】
最高解約返戻率 | 損金算入割合 |
---|---|
50%以下 |
全額損金 |
50%超70%以下 |
6割損金 |
70%超85%以下 |
4割損金 |
85%超 |
契約当初から10年目まで最高解約返戻率1割損金 11年目以降 最高解約返戻率3割損金 |
また、2021年3月の改正で「個人名義への変更による節税」も実質不可能となりました。
https://ins.minkabu.jp/columns/life-corporate-insurance-241129
2019年以前に法人保険に加入している場合は要注意
前述の税制改正があったため、2019年以前に「傷害保障重点期間設定型長期定期保険」という保険に加入していた法人は、加入中の保険の解約返戻率がどのように推移をしていくのか把握しておかないと、法人の財政状況を悪化させてしまう可能性があります。
しかし、解約返戻率の推移を把握することは全く難しくありません。解約返戻率は保険によって契約時に定められているため、下記のようなイメージを覚えておいていただければ問題ありません。
そのため、加入している法人保険のピークはいつなのか、契約内容を再確認しておくことをおすすめします。
法人保険の解約返戻金には法人税が課せられるため注意が必要
解約返戻金を受け取る時には、今まで支払った保険料のうち、「資産計上をしている金額」を「受け取る解約返戻金」から差し引いて、余剰した金額が課税対象となります。
ピーク期間を検討せずに加入をしてしまうと、法人にとって思わぬタイミングで課税額が増える可能性があります。
例:法人保険の解約返戻金のピークが5年後なのに、5年後に損金イベントの予定がほとんどない場合→益金が増加し法人税の負担が大きくなってしまう。
特に、今まで全損になるからという主旨で保険に加入していた法人は注意が必要です。
全損保険は解約返戻率のピーク期間を早めるよう設計がされている保険もあり、その代償としてピーク期間が非常に短く対応期間が迫っている保険もあります。
まずは、加入中の法人保険の解約返戻率を確認しましょう。
今保険に加入している法人は、解約返戻金を使って、解約返戻金が伸びていく可能性がある保険に切り替えることも可能です。
まだ保険に加入していない法人は死亡保険金額、解約返戻率のピークに気を付けて検討することが大事です。
解約返戻金の税負担を減らすためにはどうすればよい?
解約返戻金は益金計上ですが、税負担を減らすすべがないわけではありません。
法人として本業においての損失、退職金や設備投資などの損失があった場合は相殺して年度の利益を計算できます。
そのため、解約返戻金の課税対象額(益金)を損金イベントで相殺することも可能です。
他にも設備投資を行い損金を計上したタイミングで損金と同額の解約返戻金を受け取ると益金は発生しません。
もし、ここまで読んでいるうちに「法人保険の知識について不安がある、解約したあとどうしたらいいかわからない」と思った方は、見積もり機能を活用して保険のプロと一緒に「法人にとってのベスト」を考えてみましょう。
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加入時点で出口戦略を考えておく
法人保険に加入する時、死亡保険金額、保険料、損金算入額などを確認するだけでは不十分。
解約返戻金のピーク期間がいつ到来するのか、ピーク期間はどれだけ長いのかを確認することで、法人の将来における出費へ備えることも可能になります。
保険の入口として「全損だから、とりあえず入っておく」という時代はもう過ぎました。
解約返戻金を受け取る時のことを「今まで以上にイメージすること」で、経営者に万が一があった際の事業保障、一定の損金算入、将来のための積み立て金など、中小企業が抱える財政面でのリスクを軽減できます。
事業で損金が発生するイベントがあるかどうか考えておく
役員の退職時期などある程度、予測がつく将来の損金については保険を見直すタイミングでもう一度確認をしましょう。
以前の保険に加入した時と今では、役員の数や仕事に対しての考え方、役員の在任規定など、様々な状況が変化している場合があります。
「前の保険と同じように」と切り替えを行ってしまうと、働く人の変化に保険が対応しきれずに、結果的には解約返戻金を受け取るタイミングがずれてしまう可能性もあります。
その結果、法人に大きな益金が発生し法人税が多くかかってしまう事態になりかねません。
保険を見直す時には、法人として先々どのような損金が発生する可能性があるのかも合わせて確認するようにしましょう。
そうすることで「法人の将来のファイナンスを考えるきっかけ」にもなります。
既に法人保険に加入している場合は見直しを定期的に行う
税制改正が行われた後、保険会社は新たな形で法人の財政面でのリスクをカバーする保険を開発し新商品を投入しています。
保険会社や商品が変われば法人への効果も変わります。
また保険にはドル建ての保険などもあるため、その時の為替レートの状況によって、有利な保険が変わる場合があります。
既に法人保険に加入していても、最新の情報を入手しておくことは、法人にとってメリットしかありません。
定期的な既契約の確認、必要であれば見直しの検討、新商品などの最新情報の入手を行って、大切な法人資産をどう守っていくのかの確認をしましょう。
【豆知識】法人保険も日々変わってきている
例えば解約返戻金額が以下のように推移をする保険があるとすればどうでしょうか。
上記のような解約返戻率の変化であれば、損金算入額も確保しながら解約返戻金額が増えていくことで、法人としての資産増が期待できます。
また、積み立てた解約返戻金は簿外資産です。
解約返戻金は一定の割合で貸付けが可能な保険もあるため、法人が資金繰りに困った時の資産を簿外で蓄えることも可能になります。
また、例えば、解約返戻金を退職金として経営者に支給する場合、積立金増=退職準備金増ですから、経営者の方のセカンドライフをより充実させることにも活用できます。
ご加入中の保険の解約返戻率がピーク期間の間で、次の保険をどうするのかを検討するのが法人にとっては非常に重要です。
単なる税の繰り延べではなく、法人にとっても経営者にとってもメリットのある出口戦略を行うことをお勧めします。
https://ins.minkabu.jp/columns/life-purchase-corporate-insurance-241206
法人保険の見直し・相談はみんかぶ保険で
バレンタインショック以後、法人保険は、解約と新契約の循環を繰り返すだけでは不十分です。
しかし、ルール改定があったから仕方ない。と諦めてしまうのはチャンスを失うことになりかねません。
税制改正に対応した新商品で有効的に保険を活用することで、コスト削減、保障充実、退職金増、損金確保といった経営者の希望を叶えることはまだまだ可能です。
しかし、そのためには多くの保険の中から自分に必要な保険を比較検討して吟味を重ねる必要があります。比較を行わず、全損保険を扱っていた保険会社から商品選択をするのは今は十分とは言えません。
多くの保険会社を扱っていている保険のプロから、第三者的な立場で意見をもらうことが、経営者が下すべき判断をより正確に鮮明にするための手助けになります。自分の会社や家族を守るためにも、一度無料相談を受けることをお勧めします。