収入保障保険とは、被保険者が亡くなった、もしくは高度障害状態になった場合に、家族が毎月お金を受け取れる保険です。
上記のような疑問を解決するために、収入保障保険の保障内容やメリット・デメリット、さらにおすすめな人について解説していきます。
この記事でわかること
収入保障保険は毎月一定の金額を受け取れるタイプの生命保険
ライフステージに合わせた保障を用意でき、計画的に給付金を使いやすい
小さい子どもがいる人、自営業やフリーランスの人におすすめ
収入保障保険とは?
収入保障保険は、被保険者が死亡もしくは高度障害状態になった場合に、残された家族が毎月一定の年金や給付金を受け取れる死亡保険です。
もし、収入の柱となっている人が働けなくなってしまった場合、収入が大きく減り生活が困窮してしまいます。
例として、これから幼稚園に入園する3歳時点から、大学を卒業する22歳になるまでにかかる費用の概算をシミュレーションしてみましょう。
小学校〜高校(全日制)にかかる教育費 |
公立 |
156万9,462円 |
私立 |
446万6,655円 |
|
大学の授業料 |
公立(文系・理系平均) |
215万4,544円 |
私立(文系・理系平均) |
368万514円 |
|
生活費(学校教育費を除く) |
幼稚園 |
364万9,641円 |
小学生 |
628万9,794円 |
|
中学生・高校生(中学生の生活費が6年間続くと仮定) |
768万8,748円 |
|
医療費 |
0 ~ 14 歳 |
179万8,500円 |
15〜22歳 |
106万6,400円 |
|
総額 |
2,708万1,989円〜3,150万5,152円 |
近年の円安や物価高により、生活費はさらに高騰していると考えられます。
上記のような生活費・教育費など、必要なお金をカバーするための保険が「収入保障保険」です。
保障内容
収入保障保険に加入すべきかどうかを考えるために、まずは保障内容について詳しく理解しましょう。
収入保障保険の特徴としては、以下の2点が挙げられます。
収入保障保険は一定のお金が毎月もらえる「年金タイプ」が主流
収入補償保険は解約返戻金や満期保険金がもらえない「掛け捨て型」の死亡保険
それぞれのポイントをわかりやすく解説していきます。
一定のお金を毎月もらえる「年金タイプ」が主流
収入保障保険は、保険期間中において毎月一定の金額を受け取れる「年金タイプ」の死亡保険です。
そのため、年金や給付金の受取開始タイミングが遅くなるほど、もらえる総額は小さくなってしまう「逓減型」に該当します。
保険商品によっては、一括で受け取るよう変更することもできます。しかしその場合でも、受取総額は年金タイプよりも小さくなるのが一般的です。
また年金支払保証期間が設定されている商品であれば、保険期間の終了間近であっても一定期間分の年金・給付金が受け取れます。2年間や5年間といった期間が設定されているケースが多いです。
解約返戻金や満期保険金がもらえない「掛け捨て型」の定期保険
収入保障保険は、解約返戻金や満期保険金がもらえない「掛け捨て型」です。貯蓄性はありませんが、その分貯蓄型の保険よりも、保険料が割安に設定されています。
また収入保障保険は、保障が受けられる期間があらかじめ決まっている「定期」タイプです。そのため一生涯にわたって保障が受けられるわけではありません。
定期タイプなら
教育費をカバーしたいから、子どもが独立するまでは手厚い保障を用意したい
年金を受け取れるようになるまでは働けなくなるリスクに備えたい
といったように、年齢やニーズに合わせて保障を追加できます。
他の生命保険(死亡保険)との違いは?
収入保障保険は、生命保険(死亡保険)の一種です。では通常の死亡保険と比べて、何がどのように違うのでしょうか?
という疑問を抱く方も多いはず。
そこで、両者の違いを表にまとめました。
特に大きな違いは「保障額」。収入保障保険は毎月一定のお金を受け取るため、受取開始が遅くなるほどもらえる総額が少なくなります。一方、通常の死亡保険では、いつ保険金を受け取っても総額は同じです。
加入時期を問わずある程度まとまったお金を受け取りたい人は、一般的な死亡保険を選びましょう。一方、毎月計画的にお金を受け取りたい人、必要以上にお金を受け取らなくても良いと考える人は、収入保障保険がおすすめです。
収入保障保険のメリット・デメリットとは?
ここまで紹介してきた内容を踏まえ、収入保障保険に加入することでどのようなメリットやデメリットが生じるかについてお伝えします。
加入すべきかどうかを考えるためには、ただ「収入保障保険の良いところ」を知るだけでは不十分。どのようなデメリットがあるのかについても、きちんと把握しておきましょう。
メリット |
デメリット |
保険料が割安 |
貯蓄性がない |
ライフステージごとに変わる必要な給付金額に合わせやすい |
保険期間終了間近は受取額が少ない |
保険金を計画的に使える |
税金の種類が複雑 |
収入保障保険のメリット
まずは収入保障保険のメリットから紹介します。
保険料が割安
必要保障額の減少にも対応できる
保険金を計画的に使える
「過度な保障は必要ない」「保険料はなるべく抑えたい」と考える人にとっては特に大きなメリットです。より具体的に解説します。
保険料が割安
収入保障保険は、同じような保障内容の死亡保険と比べて保険料が割安に設定されています。
収入保障保険は掛け捨て型であり、かつ逓減型です。そのため保険会社は解約返戻金や満期保険金、一般的な死亡保険ほどの多額な保険金を用意する必要がありません。
したがって、その分保険料は割安に設定されています。
必要保障額の減少にも対応できる
ライフステージによって必要な保障額は変わりやすいもの。収入保障保険なら、そのような変化に対応し、ちょうど良い保障を用意できます。
と感じる方も少なくないはず。よりわかりやすく理解していただくために、子どもがいる家庭を例に考えてみましょう。
未就学児 |
来年独立する子ども |
|
必要な教育費 |
十数年にわたる学費・生活費 |
1年分の学費・生活費 |
具体的な費用例 |
2,000万円〜程度 |
150万円〜200万円程度 |
子どもがまだ小さい時は、高校や大学に進学し、その後独立するまで必要な養育費の総額は大きいですよね。そのため、保険によってもらえるお金は大きい方が良いでしょう。
しかし子どもが成長するに連れ、必要な養育費の総額は次第に小さくなっていきます。大学生になり就職活動を終える頃には、もう支払うべき養育費はかなり少なくなっているはず。
そのため、子どもが小さい頃よりも必要な保障額は少なく済むでしょう。
一般的な死亡保険は時期に関係なく多額の保険金が支払われます。これはメリットでもありますが、保険金を削れば保険料を抑えられますよね。
保険金を計画的に使える
収入保障保険は毎月一定のお金がもらえるため、計画的に使いやすいというメリットもあります。
死亡保険のように数百万〜数千万円の保険金を一括で受け取っても、そこから「毎月どれだけのお金を何に使えるか」「どの程度の期間が経ったら保険金を使い切ってしまうか」を考えるのは難しいものです。
収入保障保険のデメリット
収入保障保険のデメリットは、主に以下の3つです。
貯蓄性がない
保険期間終了間近は受取額が少ない
税金の種類が複雑
デメリットについてきちんと把握しておかないと
それぞれのデメリットについても、わかりやすく解説していきます。
貯蓄性がない
収入保障保険は貯蓄性がありません。そのため、もし被保険者が死亡もしくは高度障害状態にならなかった場合、支払った保険料は戻ってきません。
解約返戻金のある保険の場合、加入期間が長いほど解約返戻金の金額が増加し、給付金を受け取らなくても、支払った保険料を上回る返戻金を受け取れる可能性があります。また満期保険金がある保険の場合は、生存していた場合でも加入時に予め設定した金額を受け取ることができますし、変額保険であれば運用成果次第で上乗せで保険金を受け取れます。(※変額保険は運用リスクを伴います)
万が一のための備えだけでなく、将来のための資金準備も可能です。そのような貯蓄性を重視したい方は注意が必要です。
保険期間終了間近は受取額が少ない
収入保障保険は毎月一定額のみ受け取れる「年金型」で、保険期間が経過するほどもらえるお金は少なくなります(逓減型)。年金支払保証期間が設定されていたとしても、一般的な死亡保険より保険金は少ない可能性が高いです。
一般的な死亡保険であれば、残りの保険期間にかかわらず一定の金額を受け取れます。請求時期に左右されず、なるべく多めに保険金を受け取りたい方は、一般的な死亡保険も検討してみましょう。
税金の種類が複雑
収入保障保険は、受け取り方や受取人によってかかる税金の種類が変わるため、税金の計算がやや複雑になります。
【一括で受け取る場合】
ケース |
税金の種類 |
「保険料の負担者」と「保険金の受取人」が同じ、「被保険者」が異なる |
所得税 |
「被保険者」と「保険料の負担者」が同じ、「保険金の受取人」が異なる |
相続税 |
「被保険者」と「保険料の負担者」と「保険金の受取人」すべて異なる |
贈与税 |
【年金形式で受け取る場合】
ケース |
税金の種類 |
対象となる金額 |
「保険料の負担者」と「保険金の受取人」が同じ、「被保険者」が異なる |
所得税(雑所得) |
1年間で受け取る年金額 |
「被保険者」と「保険料の負担者」が同じ、「保険金の受取人」が異なる |
1年目は相続税、2年目以降は所得税(雑所得) |
相続税: 年金受給権評価額、所得税: 1年間で受け取る年金額 |
「被保険者」と「保険料の負担者」と「保険金の受取人」すべて異なる |
1年目は贈与税、2年目以降は所得税(雑所得) |
贈与税: 年金受給権評価額、所得税: 1年間で受け取る年金額 |
誰が保険料を支払うのか、また誰が保険金や給付金を受け取るかによってかかる税金が変わります。そのため、必要な税金額を計算する際は、正しく計算できるよう細かくチェックする必要があります。
収入保障保険がおすすめな人
ここまでご紹介した内容をお読みいただければ、なんとなく自分に必要かどうかが見えてくるでしょう。しかし加入すべきかどうか判断するためには、より具体的に「収入保障保険がおすすめな人/そうでない人」の特徴についても知りたいですよね。
保障内容やメリット・デメリットを踏まえて、加入したほうがメリットが大きい人だと考えられるのは以下のとおりです。
子どもがまだ小さい家庭
自営業やフリーランスとして働く人
なぜ上記のような人に収入保障保険がおすすめなのか、理由を詳しくご紹介します。
子どもがまだ小さい家庭
子どもがまだ小さい家庭では、多額の生活費や養育費が必要になります。主な収入源となる人が働けなくなったときのために、収入保障保険で備えておくのがおすすめです。
十数年にわたる養育費や生活費を自力でカバーできるか、不安を感じる人は収入保障保険への加入を検討してみましょう。
収入保障保険なら、子どもが大きくなるにつれ保障額が小さくなるため、過不足の少ない保障を用意できます。養育費は収入保障保険でカバーしつつ、葬儀費用や老後のためのお金は定期死亡保険で用意する、といった使い分けもできるでしょう。
自営業やフリーランスとして働く人
自営業やフリーランスとして働く人は、会社員や公務員よりも遺族年金が少ないです。そのため、収入保障保険に加入する必要性が高いと言えるでしょう。
名称 |
給付金額 |
遺族基礎年金 |
子のある配偶者が受け取る場合 昭和31年4月2日以後生まれの方:816,000円+子の加算額 昭和31年4月1日以前生まれの方:813,700円+子の加算額 子が受け取る場合 816,000円に子の加算(子ども2人目までは1人あたり 234,800円、3人目からは78,300円)を加えた金額 |
遺族厚生年金 |
亡くなった人の老齢厚生年金における報酬比例部分の「4分の3」 |
つまり自営業やフリーランスの人が亡くなってしまった場合、会社員や公務員と比べて、残された家族がもらえる年金は少なくなってしまいます。
収入保障保険に加入すれば、遺族厚生年金がもらえない分もある程度カバーできるでしょう。
収入保障保険に入る必要性が低い人
逆に収入保障保険に入る必要性が低いのは、以下のような人です。
独身の人
被保険者が亡くなっても自力で生活費や養育費をカバーできる人
貯蓄性のある保険や生涯にわたる保障を受けられる保険に加入したい人
独身の人や、残された家族が自力で生活費や養育費をカバーできる人は、そもそも死亡時にお金を残す必要性は低いです。わざわざ収入保障保険に加入しなくても良いでしょう。
また、貯蓄性のある保険や一生涯の保障が得られる保険を選びたい人は、他の死亡保険を選ぶのがおすすめです。
収入保障保険の選び方
ここまで読んでくださったのであれば、ご自身に収入保障保険が必要かどうか、明確になった人も多いはず。
もし「加入しよう」と考えているのであれば、収入保障保険の選び方についても知っておくのがベストですね。
収入保障保険に加入するのであれば、以下の4つのステップで選びましょう。
必要な保障・特約を選ぶ
保障期間を選ぶ
保険金や給付金の金額を決める
保険料とのバランスを考えながら上記のステップで選べば、自分にぴったりな収入保障保険を見つけられるはずです。
また、保険商品によっては、健康状態や生活習慣に応じて保険料率が変わるものもあります。同じような保障内容でも、保険会社が異なる場合は保険料が安く抑えられるかもしれません。
保険選びの際には、複数社を比較してみましょう。
まとめ|自分に合った保障の保険を選ぼう
収入保障保険は、被保険者が死亡もしくは高度障害状態になった場合に、残された家族の生活を支えるための保険です。ご自身が求める保障内容や不安の強さに合わせて、加入を検討しましょう。
また収入保障保険は、状況に合わせて他の保険と併用することも可能です。自分に合った保障内容の保険を選び、安心して生活できるように備えましょう。
しかしひとくちに「保険」といっても、その種類はさまざま。自分に必要な保障を見極め、ベストな保険商品を選ぶのは難しいと感じる人も多いでしょう。
そのような方は、専門知識を持つスタッフに無料で相談するのがおすすめです。みんかぶ保険の専門スタッフが、ご自身の状況に合わせた最適な保険選びをサポートいたします。
何度利用しても無料で、営業の連絡が送られてくることもありません。また複数社の見積もりを一括で依頼できるため、保険選びの時間をぐっと短縮できます。
収入保障保険についてよくある質問
収入保障保険と県民共済/都民共済の違いは?
共済とは、組合員がお金を出し合って「もしものとき」のために備える非営利事業のことです。保険よりも毎月支払う「掛け金」が割安ですが、保障内容のカスタマイズ性は保険よりも低いという特徴があります。
共済と収入保障保険の違いは「他の生命保険(死亡保険)との違いは?」でご紹介した内容と同様です。
種類 |
保険期間・共済期間 |
給付金や共済金の受け取り方 |
保障額 |
収入保障保険 |
定期 |
毎月一定額の年金形式 (商品によっては一括受取も可能) |
逓減型 (時間経過とともに減少) |
民間の生命保険 |
定期・終身 |
一括 |
一定 |
共済の生命保険 |
定期・終身 |
一括 |
一定(民間の生命保険よりも保障金額の上限は低め) |
保険と共済は運営方法や目的が異なるため、単純に比較するのはやや難しいです。そのため保険と共済どちらを選ぶべきか、一概にお伝えすることはできません。
収入保障保険と共済の最も大きな違いは、給付金や共済金の受け取り方です。共済は、一般的な死亡保険と同じく共済金を一括で受け取るタイプが主流です。
具体的な保障内容や毎月かかるお金(保険料・掛け金)については、プラン内容によって異なるため一概にはお伝えできません。
どちらに加入すべきか迷う方は、お住いの地域で加入可能な共済において、どのような保障が用意されているかチェックしてみましょう。
もし毎月の出費(保険料や掛け金)が同等である場合は
一括で多額の共済金を受け取りたい→県民共済・都民共済
年金形式で受け取りたい→収入保障保険
と選ぶのがおすすめです。
https://ins.minkabu.jp/columns/prefectual-mutual-sufficient-240219
収入保障保険と就業不能保険・所得補償保険の違いは?
就業不能保険・所得補償保険は、病気やケガで働けなくなったときに収入の減少分をカバーする保険です。
保険 |
給付条件 |
保障期間 |
収入保障保険 |
死亡・高度障害 |
長期(65歳までなど) |
就業不能保険 |
病気やケガで働けなくなったとき |
長期(65歳までなど) |
所得補償保険 |
病気やケガで働けなくなったとき |
短期(1~2年、5年など) |
給付条件がそもそも異なるため、どんなリスクに備えたいかによって加入すべきかどうかが変わってきます。
https://ins.minkabu.jp/columns/risk-age-minimum-240529
収入保障保険のやめどきはいつ?受け取り期間はいつまでにすべき?
保険に加入する目的によって異なりますが、以下の3つが目安として挙げられます。
子どもが大学を卒業する年齢になるまで
被保険者の定年退職まで
配偶者が公的年金を受け取る年齢になるまで
保険期間について迷ったら、どのような費用をカバーしたいかによって選びましょう。養育費をカバーしたいなら、子どもの大学卒業までがおすすめです。一方で生活費をカバーしたいなら、定年退職や配偶者の年金受取開始時までが良いでしょう。
収入保障保険への加入はやめたほうがいい?
結論、人によって異なります。「収入保障保険に入る必要性が低い人」で説明したように、被保険者が亡くなっても悪影響が少ないのであればわざわざ加入する必要はありません。
しかし被保険者が亡くなったら、残された家族の生活が苦しくなるかもしれないのであれば、加入しておくのが安心でしょう。
掛け捨てであるため、年金や給付金がもらえなかったら支払い損となります。しかし、収入保障保険は「もしもの時のための備え」です。加入した/しないことで必ず得や損をするものではありません。お守りとして考えておきましょう。