黒ナンバーは、軽貨物運送事業で使用するナンバープレート。企業から業務委託という形で荷物の配達を請け負う、個人事業主という働き方も増えてきていますね。
実は軽貨物ドライバーとして働くためには、入らなければならない保険があります。
今回はこれから事業を始めるにあたってどんな保険に加入するべきなのか、いくらくらいかかるのか、気になる点を解説します。
黒ナンバーの任意保険はどこで入れる?黒ナンバー向け自動車保険ランキング
加入者が多い事業用の自動車保険ランキングをご紹介します!
保険料の例や特約の有無も一緒にチェックしたい方は、右下の「人気ランキングをもっと見る」から、より詳細なランキングを見ることができますよ。
黒ナンバー(軽貨物)に任意保険(自動車保険)は必要?
軽貨物ドライバーとして働くために自賠責保険への加入はもちろん必要ですが、任意保険が必要かどうか気になるところですよね。
結論から言うと、「任意」といえど、任意保険への加入はした方が良いと考えられています。なぜなら自家用車に比べ走行距離が長くなる傾向にあり、事故のリスクが上がるからです。
また、使用頻度もかなり高くなることでしょう。自分が気をつけていても、もらい事故などのリスクは避けられませんからね。
軽貨物ドライバーの給料の多くは歩合制が一般的です。より収入を得ようと思えば走行距離は長くなり、事故のリスクも上がってしまいます。
自賠責保険でも補償は得られますが、補償範囲が限定されているため、対物の場合や賠償額が大きくなった場合には自分で負担しなければならないというリスクを含んでいます。
収入を増やすために多くの配達をこなしたのに、賠償請求で大損失!といったことのないよう事前に任意保険へ加入し、補償を拡大しておくのが良いでしょう。
配送業で人気の自動車保険がわかる【黒ナンバー任意保険ランキング】
また、アマゾンフレックス(Amazon Flex)やPickGO、ハコベルなどの企業では任意保険への加入が登録の条件(※2024年8月時点)になっています。仕事がもらえなければ事業が成り立たないため、これも加入が必要な理由の一つです。
その他の企業でも、任意保険に加入していなければ契約できないクライアントは多く存在しています。契約を結びたい企業の条件も確認しておきましょう。
黒ナンバー(軽貨物)が加入すべき3つの保険
次の3つの保険は、軽貨物ドライバーなら加入するべき保険です。
貨物保険
運送中に貨物が万が一破損してしまった場合に、荷物の所有者に対しての損害賠償を補償する保険です。
自賠責保険
法律で加入が義務付けられており、自動車事故の被害者救済を目的とした保険です。そのため補償される範囲は対人事故の賠償損害のみで補償額が限定されています。
任意保険
補償範囲が幅広く、加入者のニーズに合わせて補償内容を選べる保険です。主な補償内容は、賠償責任保険・車両保険・傷害保険の3つに分けられ、運転する際のリスクに幅広く対応できます。
自賠責が必要不可欠なことは言わずもがなですが、配送業を営むならお客様の大切な荷物を預かるわけですから「貨物に対する補償」も必要不可欠です。
とはいえ、それぞれどんな補償が受けられるのかを知らなければ補償が重複してしまったり、付いていると思っていたのに補償が受けられなかったということになりかねません。
貨物保険|配送物に関する補償
自賠責や任意保険は車の事故に備える保険ですが、貨物保険は配達中に何かしらのトラブルによって輸送する貨物が破損した場合に備えるための保険です。
自賠責保険のように義務づけられているものではありませんが、黒ナンバーのドライバーなら加入しておきましょう。
補償される事故内容
- 破損・盗難
- 輸送用具の衝突
- 水漏れ
- 火災、爆発
- 輸送用具の転覆、横転
トラブルが発生するのは走行中とは限りません。
貨物保険では、走行中・車上仮置中・積み込み・荷降ろしなど業務中に荷物に損害を与えてしまった場合に補償されるので様々な場面のトラブルに対応できます。
例えば車の仮置き中に盗難にあったり、走行中、電柱に衝突し、荷台に掲載していた積荷が散乱し潰れてしまったなど想定されるトラブルは交通事故だけではありません。
年間保険料は安いものだと20万円台から、高いものだと50万円を超えるものもあります。安いものでもよいので貨物保険は必ず加入しましょう。
https://ins.minkabu.jp/columns/car-cargo-insurance-240926
自賠責保険|強制加入の自動車保険
自賠責保険は別名「強制保険」といわれており、原付を含めすべての自動車に加入が義務付けられている保険です。加入していない車は公道を走ることも、車検を受けることもできません。
貨物保険や任意保険は保険会社によって保険料が異なりますが、「自賠責保険」の保険料は、金融庁が年に一度開催する審議会で決定するため、どの保険会社から加入しても同一料金です。
営業用の小型貨物車両の場合、12か月15,830円(※2024年8月時点)で加入できます。
補償される損害内容
- 対人事故の賠償損害(被害者1名あたり)
- 死亡による損害(慰謝料や過失利益)最高3,000万円
- 後遺障害による損害(治療費や慰謝料)最高4,000万円
- 傷害による損害(治療費や慰謝料)最高120万円
自動車事故の被害者救済が目的なので、自動車事故の中でも「人身事故」しか補償されません。そのため、物損事故の場合には全額自己負担となりますし、賠償額も限定されているため限度額を超えた場合には自己負担となります。
事故を起こしてしまった場合、過失割合や事故の内容によっては億単位の損害賠償が発生するケースも考えられるので、自賠責保険だけでは心もとないといっていいでしょう。
任意保険|任意で加入する自動車保険
名前の通り任意で加入する保険ですが、委託契約の条件になることも多いため、委託で仕事を受けるには加入必須と考えてください。
黒ナンバー(軽貨物)に任意保険(自動車保険)は必要?の章をもう一度読む
補償内容は大きく3つに分かれており、この中から必要な補償を選択できるのが特徴です。
補償される内容(必要に応じて選択可能)
- 賠償責任保険(対人・対物)
- 車両保険
- 傷害保険(人身傷害、搭乗者傷害保険、自損事故保険、無保険車傷害保険)
賠償責任保険(対人・対物)
他人に対してケガをさせた場合(対人)、あるいは物品を破損して賠償が必要になった場合(対物)に、補償される保険です。
-
対人賠償保険
他人を死傷させた場合に、自賠責保険の限度額を上回った部分を補償します。
-
対物賠償保険
他人に物的損害を与えた損害を補償します。
(他人の車両や家屋、信号やガードレールなどの公共物に損害を与えた場合など)
また、もしもの場合に備えて保険金額は無制限に設定することが推奨されています。
最低でも「対人無制限」、「対物は1億円以上」の保険に入っておけば、アマゾンフレックスの条件(※2024年8月時点)も満たせます。
車両保険
自分の車両が損害を受けた場合に、「修理費用」を補償する保険です。
車両保険は自分の車の損害分を補償してくれる保険ですから、交通事故、車の盗難はもちろん、自然災害(地震・噴火・津波に由来するものは除く)で車が傷ついた場合でも補償されます。
自家用車の場合には、10年落ちなどの古い車の方は車両保険を必要ないと考える方が多いようですが、黒ナンバーの場合は古い車でも補償をつけておくと安心です。
なぜなら、車の修理が必要になると仕事ができないからです。
収入がない中で、生活費や修理費を工面するのは大変です。古い車は修理費が大きくなることも想定されますので、全額自己負担になった場合に自費でまかなえるか、休業期間中の対策を考慮して加入の可否を検討すると良いでしょう。
傷害保険
自動車事故によって負った「自分や同乗者のケガ」を補償する保険です。補償の内容は細かく細分化されていて、代表的なものは以下の補償です。
-
人身傷害保険
自分及び同乗者のケガを補償します。相手の有無や自身の過失割合に関係なく、保険金を上限として、実際の損害額を受け取ることが可能です。
搭乗者傷害保険
人身傷害補償と同じく、自分及び同乗者のケガを補償します。人身傷害補償との違いは、受け取れる保険金が実際の損害額に合わせて変動するのではなく、あらかじめ決められた金額になるということです。人身侵害補償と組み合わせて加入することもできます。
自損事故保険
相手がいないドライバーの単独事故によって、自分や同乗者が死傷した場合に補償します。ただし、人身傷害補償と併せて加入している場合は、人身傷害補償が優先的に適用され、自損事故保険の保険金は支払われません。
無保険車傷害保険
対人賠償保険に加入していない無保険車との事故によって死傷し、十分な補償が得られない場合の保険です。また、当て逃げなど、相手が特定できない場合にも適用され、保険金が支払われます。
配送業で人気の自動車保険がわかる【黒ナンバー任意保険ランキング】
黒ナンバー(軽貨物)の任意保険の料金相場は高い?安い?
黒ナンバーは事故のリスクが高まるため、一般的な自家用車の保険料より高くなります。
その他の要因として、自家用車の自動車保険のような特約による割引がなく、年齢や運転実績による料金の割引もないことが挙げられます。
実際に、当サイトで自動車の見積もりを利用した例を見てみましょう。
軽貨物車の場合
【見積条件】車名:スズキ エブリイ、型式:DA17V、等級:6等級
<プランA>
対人・対物は無制限、人身傷害3,000万円、車両保険なし
特約:弁護士費用(自動車) のみ
保険料 156,648円
<プランB>
対人・対物は無制限、人身傷害3,000万円、 車両保険なし
特約:弁護士費用(自動車)、受託貨物賠償
保険料 184,740円
軽貨物車の保険料は一般的な自家用車より、2~3倍ほど高くなります。保険会社や補償の内容によって保険料は異なりますが、6等級の場合、月額1〜1.5万円が相場となっております。
なお、等級は引き継げるケースと、できないケースがあります。具体的な条件は保険会社によって異なるため、見積もりをしてから保険料をご確認ください。
軽乗用車の場合
【見積条件】車名:ホンダ N-BOX、型式:JF6、等級:6等級
<プランA>
対人・対物は無制限、人身傷害3,000万円、車両保険なし
特約:弁護士費用(自動車) のみ
保険料 50,292円
<プランB>
対人・対物は無制限、人身傷害3,000万円、 車両保険なし
特約:弁護士費用(自動車)、車両積載動産特約(30万円)
保険料 53,448円
※上記内容はあくまで一例となり、商品によっては付与できる特約や保険料が異なります。
黒ナンバー(軽貨物)の任意保険はどう選べばよい?
せっかく加入するなら、補償内容がよくて料金の安いものから選びたいと思うものですが、一部の大手損害保険会社でしか取り扱いがありません。
契約する保険会社や等級に合わせて金額が変動するので、任意保険を契約する際には、まず各社の見積もりをとって具体的な相場を確認することから始めましょう。
黒ナンバー(軽貨物)の任意保険を安くする方法はある?
残念ですが、個人契約では安くなる方法はありません。
しかし、複数台の自動車を保有している場合には「割引」が適応される場合があります。
事業の程度にもよりますが、対象になる場合にはぜひ活用しましょう。
フリート契約
保有自動車の台数が「10台以上」となる場合に契約ができます。保険会社によって「最大70〜80%程度の割引」になりますが、一度でも事故を起こしてしまうと、翌年の保険料は大きく値上げされるため注意が必要です。
ミニフリート契約
保有自動車の台数が「2台以上」の場合に契約することができ、台数に合わせて割引の適用度合いが変わってくる契約です。契約している自動車の保険開始日を同一にしなければならなく、中途公開・満期が近ければ手続きを一本化する必要があるため注意が必要です。
黒ナンバー(軽貨物)におすすめの任意保険
軽貨物業を行う際に加入する事業用の自動車保険は、自家用車向けの保険とは別の商品なります。
ネット加入ではなく保険代理店を介して加入するのが一般的で、自家用車向けと比較すると取り扱っている保険会社が少ないです。
人気ランキングでは、おすすめの自動車保険を具体的に紹介しています。
また、選び方がわからないという方は、ご自身のつけたい特約を扱っているかを第一条件で選ぶと簡単です。
おすすめのサービスと特約を紹介するので、これらの取扱があるか、自分に必要かどうかを考えてみましょう。
ロードサービスの有無
軽貨物運送業は、運転時間が長いため車両トラブルに見舞われる可能性も高くなります。
特に多いトラブルが、バッテリー上がりと脱輪です。
宅配の場合エンジンを切る回数も多くなるため、バッテリーが上がりやすくなります。また、ぬかるんだ農道の走行中にスタックしたり、道路の側溝に落ちてしまったりと脱輪して動けなくなった場合にロードサービスを受けられればすぐに配送作業に戻れます。
受託貨物責任賠償特約
自動車保険に、特約として貨物保険を付帯できる保険もあります。貨物保険に別で入らずに済むため手続きが簡単です。事業を始めるにあたって手続きは1つでも少ないほうが助かりますよね。
ただし、貨物保険とは異なり「荷崩れ」や「作業時の不注意」など交通事故以外の理由によって破損された荷物の損害賠償は補償されないため注意が必要です。
弁護士特約
弁護士に委任したり相談したりする場合の費用について補償してもらえる特約です。万が一のもらい事故の時、こちらに過失がない状況だった場合、保険会社が間に入ることが出来ず、相手側の保険会社と自分でやり取りをしなければいけなくなります。その他にも、事故の際のやり取りにかかる諸々の時間を考えれば、つけておきたい特約です。
まとめ
任意保険の保険料は決して安くはありませんが、軽貨物ドライバーを仕事にするのであれば「もしもの時」に備えることが何よりも大切です。
自分に合った保険を見つけるために、まずは見積もりを取ることから始めましょう。複数社の見積もりが取れ、専門家と相談しながら保険を検討することができます。
安心して事業を始めるには、安心できる保険への加入が第一歩です。
保険のプロに相談して安心できる保険選びをしてみてはいかがでしょう。