車両保険金額とは?いくらにすべき?目安や決め方について解説

著者:みんかぶ編集室

監修:

生野 佳澄

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / トータル・ライフ・コンサルタント / フィナンシャル・エージェンシー所属

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車両保険金額ってなんのお金のこと?
車両保険金額の決め方がわからない…

とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。車両保険金額は車が事故したときの保険金額だけでなく毎月の保険料も左右するため、丁寧に考えるべきポイントです。

この記事では、車両保険金額の意味や決め方について、分かりやすく解説していきます。

  • 車両保険金額とは車両保険で受け取れる保険金の上限額のこと
  • 車両保険金額は車の時価をもとに決められる
  • 車両保険を小さくすれば保険料を抑えられるが事故・トラブル時の自己負担額は大きくなる

車両保険金額とは?支払われるケースと上限について

車両保険金額とは?

車両保険金額とは、車両保険で設定した保険金額のことです。車両保険の保険金額という言葉が便宜上略されて「車両保険金額」と言われています。

では、車両保険における保険金額はどのように決められ、どのように、いくらまで支払われるのでしょうか。

車両保険とは?

まずは「車両保険とはなにか」再確認しておきましょう。

車両保険とは「自分の車」の損害を補償する保険です。任意保険の基本的な補償であり、車の修理費による経済的な負担を手厚くカバーできます。

車両保険には大きく分けて「一般型(フルカバー型)」と「限定型(エコノミー型)」の2種類があり、それぞれ補償範囲が異なります。


一般型エコノミー型

他車との衝突・接触(※相手が判明している)

落書き・いたずら

盗難

飛来中または落下中の他物との衝突(飛び石など)

台風・竜巻・洪水・高潮

雹(ひょう)・霰(あられ)

火災

あて逃げ(※相手がわからない)

-

転覆・墜落

-

単独事故(電柱に衝突など)

-

自転車との接触

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地震

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-

噴火

-

-

一般型は補償範囲が幅広く、相手の車が特定できない当て逃げや、自分で電柱や塀に衝突してしまうような単独事故、自転車との接触なども幅広くカバーします。

様々な事故パターンで補償が受けられるため、一般型のほうが心強いですね。しかしその分、保険料はエコノミー型よりも高めに設定されます。

https://ins.minkabu.jp/columns/vehicle-insurance-221210

車両保険金額とは車両保険で受け取れる保険金の上限額のこと

車両保険金額とは、「自分の車」の損害に対して支払われる車両保険の保険金の上限額のことです。

例えば、車両保険金額を200万円に設定していた場合、実際の修理費用が300万円かかっても、保険から支払われるのは最大で200万円までとなります。

車両保険金額と修理費用と支払われる金額の図

多くの保険会社では、契約時に「○万円~○万円」といった車両保険金額の幅が決められています。その範囲内で車両保険金額を設定するのが一般的です。

設定可能な金額の範囲は、車種や型式、年式によって大きく異なります。詳しくは後述しますが、古い車ほど、設定できる車両保険金額も低くなります

保険金額の上限の決め方とは?

車両保険金額を考える上で重要なのが「時価相当額」です。

時価相当額とは、ご自身の車を同じ年式・状態で市場で買い直す場合の相場価格を意味します。

大前提として、車の「時価相当額」よりも高い車両保険金額は設定できません

時価相当額と車両保険金額の関係性

車は一般的に年数の経過とともに価値が下がっていくため、新車購入から時間が経つにつれて時価相当額も下がっていきます。

車両保険の保険金額はどう決まる?

車両保険の保険金額はどう決まる?

車両保険金額がどのように決まるかは、車の時価によって異なります。そのためここからは、新車と中古車に分けて、それぞれ車両保険金額が何を目安に決められるかご紹介していきます。

車両保険金額をどう決めるかは、万が一の事故や災害時に適切な補償を受けるためにも重要な項目です。保険料と補償内容のベストなバランスを見つけるためにも、それぞれの要素がどのように影響するのか、より詳しく見ていきましょう。

新車の車両保険金額は購入価格を基準に決められる

新車の車両保険金額は購入価格を基準に決められる

新車の場合、車両保険金額は基本的に「購入時にかかった総額」が基準となります。

例えば、本体価格が220万円、純正ナビやETCなどのオプション合計が30万円、消費税10%を加えると合計約275万円で新車を購入したとしましょう。その場合、車両保険金額も275万円に近い金額となります。

ただし、注意すべき点として、以下の費用は車両保険金額の計算に含まれません。

  • 納車費用

  • 登録費用

  • 自動車税

  • 自賠責保険料など

車両保険で補償されるのは「車体や固定されている付属品」のみです。付属品やオプションについては、車体から簡単に取り外せないもの(サイドバイザーやカーオーディオ、純正カーナビなど)は基本的に保険金額に含められます。

社外品でも「車本体の機能を補うもの」として常時固定されているものは含められます。ただし取り付け工賃や車検代行料、税金は含まれないので注意が必要です。

車体購入時の見積書にはさまざまな費用の内訳が記載されているので、どの項目が保険金額に含まれるかを区別して計算するのが大切です。

中古車の車両保険金額は市場価格や年式・走行距離により変動する

中古車の車両保険金額は市場価格や年式・走行距離により変動する

中古車の場合、新車と異なり「市場販売価格」が変動しやすいです。保険会社は「この車を中古市場で購入するとしたらいくらか」という基準で車両保険金額の上限を設定します。そのため、実際の購入価格と保険金額が一致しない可能性もあります

走行距離が多いと車の部品も消耗しているとみなされるため、車両保険金額の相場が下がる場合も

加えて、修復歴があると査定額も下がりやすいです。しかし人気モデルで需要が高い場合は、修復歴があっても相場はあまり変わらない可能性もあります。

もし中古車を購入し、保険会社が設定してきた上限が予想より低い場合は、購入時の売買契約書や別の中古車販売店の査定結果を用意して保険会社に相談してみましょう。ただし車の時価を超える補償は受けられないため、その点は理解しておく必要があります。

市場価値の適正な評価について理解しておけば、より適切な補償内容を決めるうえでも大きなヒントになるはずです。

車両保険金額を高く・低く設定するメリットとデメリット

車両保険金額を高く・低く設定するメリットとデメリット

車両保険金額は、保険会社が提示する範囲内で契約者が決められます。ですが、どうやって車両保険金額を決めるべきなのか、気になる方もいるはずです。

車両保険金額を高めに設定するべきなのか、それとも低めにしておくべきかは人によって異なります。日々の保険料負担だけでなく、いざという時の経済的な負担も左右するため、慎重に決めたいところです。

車両保険金額を高く、もしくは低く設定するメリットとデメリットについて、わかりやすく解説していきます。


メリットデメリット

保険料を高く設定する

修理費用による経済的負担が小さくなる

保険料が高い

保険料を低く設定する

保険料が安い

自己負担額が増え事故時の経済的負担が大きくなる

メリットだけでなくデメリットもきちんと理解しておけば、自分なりに判断しやすいでしょう。まずは、車両保険金額を高く設定するメリット・デメリットについて解説します。

車両保険金額を高く設定するメリット|修理費用による経済的負担が小さくなる

車両保険金額を高く設定する最大のメリットは、万が一の事故発生時に十分な補償を受けられるという安心感です。

特に新車購入直後の大きな衝突事故では、修理費も大きな額になりがち。しかし車両保険金額を高めに設定しておけば、自己負担額は最小限に抑えられます。

また、全損事故(修理費が車の時価を上回るダメージ)や盗難被害の場合、車を完全に買い替えなければなりません。車両保険金額を高めに設定しておけば、時価相当額に近い金額を受け取れるため、そのまま買い替え資金として活用できそうですね

補償が手厚い分、いざというときの金銭的な負担やストレスを軽減できるでしょう。

車両保険金額を高く設定するデメリット|保険料が高い

車両保険金額を高く設定するデメリットは、保険料の負担が増えることです。

車両保険金額が高いほど、保険会社が支払う可能性のある保険金も高くなります。そのような支払いに備えるため、保険会社は保険料を高めに設定する、という仕組みです。

実際に車両保険金額ごとに保険料がどの程度高くなるかは、車種や等級にもよります。ただし場合によっては想定以上に保険料が高額になってしまう可能性も

また車両保険の保険料が高くなることで、対人賠償や人身傷害、特約といった重要なオプションに予算を回しづらくなるかもしれません。自動車保険の最適な保障バランスが崩れてしまいかねないため、無理に高い車両保険金額を設定するのは避けましょう。

また、いくら高い保険金額を設定しても、実際の支払いは「車の時価相当額」を超えることはありません。車両保険の保険金で得をしようとしても、実際には難しいでしょう。

車両保険金額を低く設定するメリット|保険料が割安

車両保険金額を低く設定する最大のメリットは、月々・年々の保険料負担を軽減できることです。毎月の保険料の差は小さいと感じていても、5年・10年と長期間で考えれば、負担額の差は想定よりも大きいかもしれません。

特に年式が古く、時価が低い車の場合、高額な保険金額を設定する意義はあまりないでしょう。実際に受け取れる保険金も限られてしまいますし、自己負担となっても自力でカバーできるかもしれません。

また車両保険金額を低く設定しておけば、浮いた予算で他の基本補償を充実させたり、弁護士費用特約などのオプションに回したりすることもできます。

「車体の損傷についてはある程度自己負担となっても問題ない」と考えるのであれば、車両保険金額は低めに設定しておくのもひとつの手ですね。

車両保険金額を低く設定するデメリット|自己負担額が増え事故時の経済的負担が大きくなる

車両保険金額を低く設定した場合の最大のリスクは、大きな事故が起きた際に自己負担となる修理費用が増えてしまうことです。例えば、事故による修理見積もりが80万円、車両保険金額を40万円に設定していた場合、差額の40万円は全て自己負担となります。

いつ事故が起こるかは、誰にもわかりません。想定外のタイミングで多額の費用が必要になり、家計にとって大きな打撃となる可能性もあります。

特に深刻なのが、全損事故や盗難被害に遭った場合の問題です。車が使用不能になった際、低めに設定していた保険金額では、新たな車を購入するための資金が不足する可能性があります

その場合はローンを組まざるを得なくなる可能性があり、予期せぬ経済的負担を強いられるかもしれません。特に日常生活や仕事で車が必須である人にとっては、無視できないリスクでしょう。

車両保険金額は車両評価額と自己負担額をもとに決めよう

車両保険金額を決める際に鍵となるのが「車両評価額」と「自己負担額」です。

もし車両評価額がまだ高い場合、車両保険によって受け取れる保険金額も高くなりやすいです。そのため車両保険金額を高めに設定しておけば、修理や買い替え時に費用を手厚くカバーしてもらえるでしょう。

一方、車両評価額が低くなってしまっている場合、せっかく車両保険をつけていても受け取れる金額は少なくなってしまいます。その場合は車両保険金額を低めに設定したり、車両保険を外したりして、保険料を節約するのもひとつの手です。

車両評価額を知りたい場合は、査定業者に依頼したり、中古車業者やメーカーのサイトに用意されているシミュレーションを活用したりするのがおすすめ。また中古車販売サイトをチェックすれば、同じような条件の車の価格を確認できます。

また買い替えや修理が急に必要になった場合に、ご自身がどれだけ費用を負担できるかも大切です。突然車を買い替える余裕がまだない場合は、車両保険金額をある程度高めにしておくのが安心ですね。

ただし、毎月の保険料を支払うのが難しいと感じるのであれば、車両保険金額を低めに設定したり、保険料を下げるための工夫をしたりする必要があります

保険料を左右するのは車両保険金額だけではありません。保険料を効果的に抑える方法について、車両保険金額の設定以外の方法についても知っておくのがベストです。

車両保険金額によって保険料がどの程度変わるか一括見積もりでチェックしよう

車両保険金額によって保険料がどの程度変わるかは、保険会社ごとに異なります。また車種や型式、年式、さらには使用年数など様々な要素が絡んでくるため、単純に保険料の目安をお伝えすることは困難です。

そこでおすすめしたいのが、自動車保険の「一括見積もり機能」の活用です。

複数の保険会社の見積もりを一度に取得することで、車両保険金額の違いによる保険料の差を明確に把握できます。ご自身のお車情報や経済状況に合わせて、最適な保険プランを効率的に見つけられるはずです。

各社の保障内容や保険料をじっくり比較し、あなたにとってベストな保険を選びましょう。

車両保険金額以外で保険料を下げるには?保険料を安くする3つの方法

車両保険金額以外で保険料を下げるには?保険料を安くする3つの方法

自動車保険の中でも特に保険料が高くなりがちな車両保険。

「もっと保険料を下げたい、でも車両保険金額はあまり削りたくない……。」

と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

車両保険の保険料を左右するのは、車両保険金額だけではありません。ここからは、保険料を効果的に下げるための3つの方法を詳しく解説していきます。

  • 免責金額を設定する

  • 補償範囲を限定する

  • 割引制度を活用する

注意点として、これからご紹介していく上記の方法は、いずれも「補償内容をある程度割り切る」ことを前提としています。それぞれの方法のメリットとリスクを十分に理解した上で、自分のライフスタイルやリスク観に合った選択をするのが大切です。

免責金額を設定する

免責金額とは、事故が発生して修理費が発生した際に、あなた自身が負担する金額のことです。この金額を超える分は保険会社が支払う、という仕組みになっています。

基本的に、免責金額を高く設定するほど保険料は安くなりますが、その分、事故時の自己負担額が増えることになります

例えば、免責金額を「0円」に設定すれば、どんな小さな事故でも車両保険金額までは自己負担なしで修理可能です。しかしその分、保険料は最も高くなります。

反対に「10万円」に設定した場合、10万円以下の修理費はすべて自己負担となりますが、毎月の保険料は安くなります。

免責金額が0円の時、10万円の時の説明図

免責金額をどのように設定すべきかは、運転する頻度や経済状況によって変わります。

たとえば、運転歴が長く滅多に事故を起こさない方や、小さな傷であれば自費で修理できるという方は、免責金額を高めに設定して保険料を節約するのが効率的でしょう

一方、事故リスクが高い地域を頻繁に走行する場合、免責金額を高く設定すると想定以上に自己負担が膨らんでしまう可能性があります。

一部の保険会社では「2段階免責」という選択肢も用意されています。「1回目の事故は免責0円、2回目以降は免責10万円」というように免責金額を設定可能です。免責金額を設定しない場合よりも保険料は安く済む上に、1回目の事故なら自己負担額が0円に。

年に複数回事故を起こすリスクが低いと考える人にとっては、保険料を抑えながらも安心感を得られる手段となるでしょう。

補償範囲を限定する

前述しましたが、車両保険には大きく分けて「一般型(フルカバー型)」と「エコノミー型」の2種類があります。

一般型は、あて逃げ、単独事故、自転車との接触など幅広い状況をカバーしますが、その分保険料は高めです。対してエコノミー型(「車対車+限定A」などと呼ばれることもあります)はカバー範囲が限定的な分、保険料は安く済みます。

エコノミー型にすれば保険料を抑えられますが、補償の範囲外となる事故が発生した場合は全額自己負担となる点に注意が必要です。

「車両保険に入っているのに補償されない!」と後悔する前に、契約前の時点で補償範囲を十分に理解しておきましょう。

運転に慣れている人や事故リスクが低いと考える人、自損事故や当て逃げ事故に対する不安度が低い人は、エコノミー型が向いているでしょう。また、車の年式が古く時価が下がっており「そこまで手厚い補償はいらない」と考える方にも適しています。

ご自身の運転環境や車の状態を客観的に評価した上で、補償範囲を適切に限定すれば、保険料を効果的に抑えられます。

割引制度を活用する

保険料を下げる3つ目の方法は、各保険会社が提供している割引制度を賢く活用することです。

用意されている割引制度は保険会社ごとに異なります。中でも複数の保険会社で共通して利用しやすい割引制度について、以下の表にまとめました。

以下に、自動車保険の割引制度に関する情報を表にまとめました。

割引制度適用条件・対象者

安全装置割引(ASV割引)

衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報システムなどの先進安全技術搭載車

インターネット割引

Web経由で申し込む契約者

ゴールド免許割引

ゴールド免許を所持(5年間無事故無違反)している運転者

無事故割引

1年間無事故の契約者

セカンドカー割引

同一契約者が2台目以降の車両を契約する場合

新車割引

新車購入後、契約から一定期間内の車両

家族割引

家族で複数台の車両をまとめて契約する場合

保険会社によって割引率や条件は異なります。各保険会社の割引制度を比較検討し、最大限活用するのが理想ですね。

まとめ

この記事では、車両保険金額について詳しく解説してきました。

むやみに保険料の安さだけを重視して車両保険金額を安く設定してしまうと、事故やトラブルの際に自己負担額が大きくなってしまいます。いざというときのことも考えたうえで、保険料と不安度を天秤にかけて決めるのがおすすめです。

もし保険料を少しでも抑えたい場合は、車両保険金額だけでなく補償範囲や免責金額の設定を見直してみましょう。

また車両保険金額は定期的に変更されます。十分な保険金を受け取れそうかどうか、定期的にチェックしておきましょう。

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みんかぶ編集室

資産形成メディア「みんかぶ」を中心に、金融商品の記事の執筆を行っています。資産運用のトレンド情報や、初心者が楽しく学べるお金の基本コラムなど、資産形成をするすべての人に向けた記事を提供します。

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