車を購入する時には、さまざまな手続きが必要です。その中のひとつが「自賠責保険」への加入。
自賠責保険は自動車保険のひとつです。しかし、全員が加入しなければならないのか、加入することで何が変わるのか、まだよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
自賠責保険についてよくわからないまま多くの手続きを進めるのは、少々骨の折れる作業です。
そう感じてしまう方も多いはず。
そこで今回は、車の購入時に必ず耳にする自賠責保険について、簡単にわかりやすく解説していきます。
保険についてあまり詳しくない方でも、ポイントごとに分けて説明しているため、自賠責保険についてきちんと理解を深めることができるでしょう!
自賠責保険とは?簡単に4つのポイントで解説
自賠責保険について理解を深めるために、押さえておきたい4つのポイントがこちら!
加入義務がある強制保険
補償内容は限定的
保険料は一律で決まっている
車の購入時に加入するのが一般的
この記事では、上の4つのポイントごとにわかりやすく解説していきます。
「自賠責保険がどういうものなのか」だけでなく、「どこで、どのようにして加入すればいいのか」まで知ることができ、手続きをスムーズに進めることが可能になりますよ。
自賠責保険は加入義務がある強制保険
自賠責保険は、車やバイクを運転する人は必ず加入しなければならない保険です。
加入せずに運転していた場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
普通自動車やバイクだけでなく、軽自動車や原動機付自転車(原付バイク)、電動キックボードを運転する場合も、加入が義務付けられています。
加入義務があるトラック | トラック、軽トラック、普通自動車、軽自動車、バイク、原動機付自転車、電動キックボード |
対象外 | 自転車 |
自賠責保険の補償内容は限定的
自動車を運転していて事故を起こしてしまった場合、当事者の間で「誰がどれだけ責任を負うか」について交渉が行われます。
その結果に応じて、相手方のケガの治療や車の修理のための費用が請求されることが多いです。
そのような「賠償金」は高額になることも多く、すぐ簡単に支払うことができないかもしれません。
自賠責保険に加入することで、賠償金の支払いを補助するためのお金である「保険金」を受け取ることができます。
では、どのような事故において、どれぐらいの金額を受け取ることができるのでしょうか。
事故相手のケガや死亡による損害を補償する
自賠責保険では、事故における相手方のケガや死亡に伴う賠償金が補償されます。
※自賠責保険では同乗者が車の名義人以外の場合は同乗車への補償の対象となるケースがあります。
より具体的には、事故相手の治療にかかる費用や減少した収入分の支払い、慰謝料などが含まれます。
一方で、自分自身や同乗者の治療費、車の修理費、壊してしまったモノの弁償費用など、補償範囲外の費用はすべて自分で負担しなければなりません。
受け取り可能な補償金は上限が決まっている
自賠責保険に加入することで受け取ることができる保険金には上限額が設定されています。
事故相手が死亡した場合:3,000万円
事故相手に後遺障害が残った場合:75万~4,000万円
事故相手がケガした場合:120万円
数千万円と聞くとかなり高い金額のように感じますね。しかし、交通事故においては過去にも数億円の賠償金支払いが命じられたこともあるため、安心であるとは言い切れない金額でしょう。
任意保険と比べて補償が手薄
上記のように、自賠責保険は補償範囲や保険金が制限されています。自賠責保険のみの加入では不安が残ってしまう人も多く、75%以上の人が「任意保険」にも加入しています。
任意保険とは、加入義務のない自動車保険です。テレビのコマーシャルでよく目にする自動車保険のほとんどが任意保険にあたりますね。
任意保険に入ることで、補償の対象範囲は大きく広がり、また保険金の上限額も無制限に設定することができます。
詳しくは記事の後半で解説しています。
自賠責保険の保険料は金額が決まっている
自賠責保険に加入すると、一定期間ごとに料金(保険料)を支払う必要がありますが、その金額は車両の種類や期間ごとにあらかじめ決まっています。
車両の種類によっても料金が異なるため、ご自身が購入する車両はいくらになるのか、下記の表で確認してみましょう。
※沖縄等の一部地域では保険料が異なる場合もあります。
損保ジャパン:自賠責保険 保険料例(令和3年4月1日以降始期のご契約に適用)
自賠責保険は車の購入時に加入するのが一般的
自賠責保険は、車を購入する際にそのまま加入手続きをするのが一般的です。次の車検時期に合わせて保険の期間を設定することで、更新を忘れてしまうのを防ぐことができます。
必要なもの:車検証、(すでに自賠責保険を契約している場合は)自賠責保険証券
自賠責保険はどこで加入できる?
自賠責保険に加入する際は、自賠責保険の代理店や各保険会社の本店・支店で手続きをすることができます。
自動車販売店や整備工場、カー用品店などが自賠責保険の代理店を兼ねていることも多いため、購入や車検の際にそのまま自賠責保険の手続きをするのが一般的でしょう。
自賠責保険への加入手続きが可能な場所
自賠責保険への加入手続きが可能な場所
保険代理店
保険会社の本店・支店
共済組合
車・バイクの販売店
自動車整備工場
車検センター
陸運局(運輸支局)
一部のガソリンスタンド
また、原動機付自転車や250cc以下のバイク(軽二輪)はインターネットやコンビニでも手続きをすることができます。
加入する保険会社によって補償内容の違いはある?
自賠責保険には、さまざまな保険会社を通じて加入手続きをすることができます。
しかし、自賠責保険は国が定めた強制保険であり、金額や補償内容は国のルールによって定められています。
そのため、たとえ加入する保険会社が異なっていたとしても、補償内容や保険料に違いはありません。
自賠責保険と任意保険の違い
自賠責保険の他にも、任意保険というものがあります。一般的に認知されている自動車保険は任意保険であることが多く、さまざまな保険会社が多様なプランを用意しています。
自賠責保険と任意保険の異なる点は、以下の通り。
加入義務:なし
補償内容:自賠責保険より幅広い
保険金:上限がさらに高い??
毎月の保険料:年代によっては自賠責保険より高額
保険会社やプランが豊富→自分にぴったりな保険をカスタマイズ可能
自賠責保険と任意保険の最大の違いは、「補償内容の手厚さ」です。
※自賠責保険では同乗者が車の名義人以外の場合は同乗車への補償の対象となるケースがあります。
自賠責保険では事故相手のケガや死亡に対する上限付きの補償のみですが、任意保険では自身や同乗者、車に対しても補償が適用されます。
また、任意保険に加入する際に自動でセットされる「基本補償」に加え、自由に選んで追加できる補償としての「特約」も用意されています。
示談における弁護士費用を補償する「弁護士費用特約」
他人の車を運転中に起こった事故においても、自身の車で契約した保険内容が適用される「他車運転特約」
保険会社ごとにさまざまな特約があるため、
任意保険の制度についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
どんな保険会社がどのような任意保険を展開しているかについては、こちらの記事で解説しています。
もし事故を起こしたら自賠責保険・任意保険どっちを使えばよい?
もし自賠責保険と任意保険の両方に加入している場合、事故を起こしてしまった際にどちらをどのように使えばいいのでしょうか。
結論、まずは可能な限り自賠責保険を使い、足りない部分を任意保険でカバーするのが一般的です。
自賠責保険では、事故における相手方のケガや死亡が補償されます。しかし、金額には上限が設けられており、事故の内容や相手の収入、家族状況によっては上限額を大きく上回ってしまうこともあります。
自賠責保険だけでは金額が足りない場合は、その分を任意保険でカバーすることができます。
また、自賠責保険では補償範囲外となってしまう費用(車の修理費、自身の治療費など)についても、任意保険を使うことが可能です。
自賠責保険と任意保険でもらえる保険金額はいくら違う?
自賠責保険と任意保険においては、もらうことができる保険金の額も異なります。
自賠責保険では、支払われる保険金に上限金額を設けています。一方で、任意保険では金額を自由に決めることができ、上限額を無制限に設定することも可能です。
1億円を超える支払いが命じられた判例もある中、保険金を上限なく請求することができるのは、大きな安心感につながりそうですね。
まとめ
この記事では、自賠責保険についてわかりやすく解説してきました。要点をまとめると…
車を運転する人は必ず自賠責保険に加入しなければならない
補償内容は任意保険と比較して限定的
保険料は期間ごとにあらかじめ決まっている
車の購入時にそのまま販売店で契約するのが一般的
自賠責保険について理解して、スムーズに手続きを進めつつ、もしもの時のためにきちんと準備しましょう。
任意保険について気になってしまった方も、専門知識を持つスタッフによる「一括見積もり」を使うことで、数分で自分にぴったりな保険がわかりますよ。
自賠責保険についてよくある質問
保険料を請求してしまうと保険料は変わる?
自賠責保険では毎月支払う保険料は期間と車両の種類ごとに決められており、保険金を請求しても毎月の支払額は変わりません。
補償範囲内なのに自賠責保険が使えないことはある?
保険金がどれだけ支払われるかについては「自賠責損害調査事務所」の調査の結果をもとに決められます。
調査によって自賠責保険の補償範囲内だと認められたケースにおいては、自賠責保険が支払われないことは基本的にありません。
しかし、加害者に賠償責任がないと判断された場合、被害者に対して自賠責保険の保険金は支払われません。
また、被害者の過失割合が大きい場合は、保険金が減額となります。
支払い方法はどんな種類がある?
基本的には現金払いが基本になります。2年間契約が多いので、ある程度の現金は用意しておくことにしましょう。
即日で入ることはできる?
保険会社の営業窓口や保険会社の代理店で手続きをすることで、即日で加入することができます。ディーラーや中古車販売店、車検業者は保険の代理店も兼ねていることが多いです。
また、排気量250cc以下のバイクや原付バイクの場合は、コンビニで手続きをして即日加入することも可能です。
住所や名義の変更手続きは必要?
保険期間内に住所が変わった際、住所変更の手続きをしなくても自賠責保険による保険金を受け取ることは可能です。
しかし、住所を変更しないと自賠責保険の更新に関する通知が届かなくなるかもしれません。もし通知が届かず更新を忘れた場合、事故を起こしてしまっても保険金は受け取ることができず、その上罰則の対象となってしまいます。
もし保険期間内に住所が変わったら、忘れずに住所変更のための手続きをしましょう。
一方で、車を誰かに譲り、車の所有者が変わった場合、自賠責保険の名義も変更する必要があります。
専用の封筒を印刷し、必要書類を同封して保険会社の営業所に提出してください。
必要書類
自動車損害賠償責任保険承認請求書
車を譲られた側の名義に変更済みの車検証、もしくは譲る側の本人確認書類と印鑑証明
ナンバープレートや車の種別、使用の本拠地も変更する場合は、車検証が必須
契約している保険会社が指定している専用封筒
契約している保険会社は、自賠責保険の保険証券に記載してあります。
8ナンバーの車は保険料が安くなりますか?
パトカーや消防車といった「8ナンバー車(特種用途自動車)」。キャンピングカーも8ナンバーに分類されます。
8ナンバー車は税金が安くなりますが、自賠責保険の保険料においては、車種によってはむしろ高くなってしまいます。
8ナンバー車 | 8ナンバー車以外 |
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キャンピングカーなど三輪以上の自動車 | 22,450円 | 20,010円(自家用車の場合) |
軽自動車 | 12,200円 | 19,730円 |