自動車保険では多くの仕組みや制度が用意されているため、見落とされがちな制度や特典も存在しています。そのひとつと言われているのが、自動車保険の年齢条件。
各保険会社において大々的にアピールされることのない年齢条件ですが、保険料にダイレクトで影響するため、重要な制度と言えるでしょう。
と後悔しないよう、使えるものはしっかり活用していきたいですよね。
年齢条件とはどのような制度なのか、どこまで適用されるのか解説します。特に、ダイレクト型保険の加入を検討している方は、見落としがちな部分でもあるので、要チェックです!
自動車保険の年齢条件とは?
自動車保険の年齢条件とは、契約者の車を運転する人の年齢をあらかじめ制限することです。年齢の基準を引き上げるほど、保険料はよりお得になります。
指定した年齢以上の人しか補償を受けられなくすることで、補償内容を一切変えずに保険料を安くすることができます。
若年層は事故リスクが高い
年齢条件という仕組みが作られた背景には、若年層の事故リスクの高さがあります。
近年では高齢者による事故がメディアやSNSで話題になることが多いでしょう。しかし、実際の発生件数を見てみると、もっとも事故件数が多いのは「16~19歳」、次いで「20~24歳」と、実は若者の方が事故件数が多いことがわかります。
年齢区分 | 事故件数 |
---|---|
16~19歳 | 1,044 |
20~24歳 | 606 |
25~29歳 | 425 |
30~34歳 | 329 |
35~39歳 | 299 |
40~44歳 | 293 |
45~49歳 | 300 |
50~54歳 | 299 |
55~59歳 | 304 |
60~64歳 | 303 |
65~69歳 | 303 |
70~74歳 | 336 |
75~79歳 | 391 |
80~84歳 | 430 |
85歳以上 | 524 |
若年層の方が事故リスクが高く、保険金を請求する可能性が高いにもかかわらず、他の年齢層の人も同額の保険料を設定すると不平等が生じてしまいます。
そのため、「事故リスクが低く保険金を請求するケースが少ない年代は、その分保険料も安くしましょう」という目的で作られたのが年齢条件です。
一方で、似たような仕組みとして「ノンフリート等級制度」というものがあります。こちらも事故リスクの高さに応じて、保険料の金額が変動する制度です。年齢条件との違いは記事の後半部分で解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
自動車保険の年齢条件における区分は?
では、自動車保険の年齢条件の内容について、さらに詳しく解説していきます。
年齢条件にはいくつかの区分が設けられており、一般的には
- 全年齢
- 21歳以上
- 26歳以上
- 30歳以上
のように分けられることが多く、年齢を制限するほど保険料は安くなります。
一方で、実際の区分け方法は保険会社ごとに異なり、さらに細かく条件を設定している保険も存在します。気になる方は各保険会社の制度内容を確認してみてください。
年齢条件を引き上げることで保険料は安くなる
年齢条件を引き上げることは、事故リスクの高い若年層の運転を制限することを意味します。
したがって、年齢条件を引き上げることで、保険料がお得になります。
車を運転する人の年齢に応じてきちんと変更の手続きをすることで、保険料を効果的に抑えることができそうですね。
運転する人が年齢条件を下回るとどうなる?
ではその一方で、もし年齢条件を下回る人が契約車を運転してしまうと、どうなるのでしょうか。
もし年齢条件を満たしていない人が運転してしまったとしても、それ自体は特に問題ではありません。しかし、年齢条件が適用される配偶者や同居の親族等が交通事故を起こしてしまった場合、せっかく契約した任意保険の補償を受けることができなくなってしまいます。
設定した年齢よりも若い人は保険の適用外である、すなわち任意保険には加入していない状態であるとみなされます。
また、交通事故の被害者となってしまった場合においても、保険会社は示談交渉をしてくれず、弁護士費用特約も使用できません。そのため、全ての交渉や対応を自分自身で行うことになります。
自動車保険の年齢条件が適用される範囲は?
自動車保険の年齢条件を設定すれば、年齢さえ満たしていれば誰にでも補償が適用される、というわけではありません。実際には、適用される範囲もあらかじめ決められています。
同居している親族まで適用されるのが一般的
任意保険の契約時に、年齢条件以外で特に運転者を限定していない場合は、一般的に「同居している親族」まで適用されます。別居している子供や親族、友人までは適用されないことが多いです。
適用範囲についても保険会社ごとに異なりますので、契約を検討している方はきちんと確認しておきましょう。
どこまで適用されるかは「運転者限定割引」の範囲が優先される
ですが、保険を契約する際に運転する人の範囲をあらかじめ限定しておく「運転者限定割引」を使用する場合は、年齢条件の適用範囲も変わるので注意が必要です。
運転者限定割引とは、年齢条件と同様に、保険を適用する人の範囲を制限する制度です。
具体的には
- 運転者限定なし
- 家族限定(配偶者、同居している家族、別居している未婚の子まで)
- 本人・配偶者限定
- 本人限定
のように、補償を受けられる人を限定することで、保険料が割安になります。
年齢条件だけでなく運転者限定割引も設定する際は、運転者限定割引による適用範囲が優先されます。
例えば、年齢条件は同居している親族まで適用されるのが一般的ですが、運転者限定割引で「本人・配偶者限定」にしていた場合、配偶者以外の同居している家族には保険が適用されません。
自動車保険の年齢条件による割引率
任意保険の保険料はさまざまな要因によって決まります。また、具体的な金額を提示していない保険会社がほとんどであるため、明確にいくら保険料がお得になるかをお伝えすることは難しいです。
ですが、ケースによっては、年齢条件を変更することで保険料が半額になることも。
みんかぶ保険が集計した保険料のデータについて確認してみても、20代と30代において保険料の相場は大きく異なるのがわかります。
年代ごとの保険料の相場については、こちらの記事でご紹介しています。
「一括見積もり」を使えば、車種や車の利用状況、欲しい補償内容にマッチした最もお得な保険をすぐに見つけることができます。
自動車保険の年齢条件を変更する方法
ここまで、年齢条件の内容や適用範囲まで詳しく解説してきました。
より保険料をお得にするためにも、ここからは年齢条件を変更するための手続きの流れについて、ご紹介していきます。
保険会社に連絡
まずは年齢条件を変更したい旨を保険会社に連絡しましょう。
何歳ごとにいくつの区分けがあるか、適用範囲はどのぐらいの広さか、あらかじめ調べておくことでスムーズに手続きが進められます。
必要な情報を提出
保険会社から、必要な情報の提示を求められます。指定の書類やWEB上のサイトで必要事項を記入し、提出しましょう。
保険期間内でも変更は可能
など、一時的に条件を変更したいタイミングもあるでしょう。
保険期間の途中であっても、そのようなケースに合わせて年齢条件の変更が可能です。
希望するタイミングにきちんと変更を反映させるためにも、手続きの際にどの時点から保険料が変わるか確認しておきましょう。
自動車保険の保険料がお得になる制度一覧
年齢条件の他にも、保険料がお得になる制度や仕組みについて簡単にご紹介します。
特にダイレクト型保険で契約する方は、代理店型保険と違い、保険に詳しい人と一緒に手続きを進めることができず、使える制度を見落としがち。
より保険料を抑えるためにも、忘れずにチェックしておきましょう。
- 運転者限定:車に乗る人をあらかじめ限定する
- 免許証の色:ゴールド免許を所持している人は保険料を割引
- 車の使用目的:車の使用目的(通勤通学、日常・レジャー、業務)によって保険料が変動
- 支払い方法:月額払いよりも年払いの方が保険料が安い場合も
- 任意保険のタイプ:代理店型よりもダイレクト型の方が保険料が割安
- 保険会社ごとの割引制度
保険会社は多く存在するため、それぞれの制度について詳しく調べるのは骨の折れる作業となるでしょう。
一括見積もりをすれば、自分の条件に応じた保険料を各社一気に調べることができます。
自動車保険の年齢条件についてよくある質問
バイク保険でも年齢条件は設けられていますか?
バイク保険においても、同様に年齢条件を設定可能なことが多いです。加入している、もしくは加入を検討している保険会社の制度内容を確認してみましょう。
年齢ごとの保険料の相場はわかりますか?
年代ごとの保険料の相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ノンフリート等級制度とはどこが違いますか?
ノンフリート等級制度は、事故の回数によって保険料が変動する制度です。
1年間無事故だった場合は等級が上がり、保険料がお得になります。一方事故を起こしてしまうと等級が下がってしまい、保険料は割高になってしまいます。
そのため、契約者の年齢とは関係のない制度ではありますが、無事故のまま長く運転するほど保険料が安くなるため、自然と年代が上がるにつれて保険料の相場は安くなっていきます。
年齢条件の範囲内かどうかは満年齢で判断すれば良いですか?
契約する時点で満年齢の端数が6ヵ月未満は切り捨て、6ヵ月以上は切り上げて計算することが多いです。
例えば20歳5ヶ月では「20歳」ですが、20歳6ヶ月になったタイミングで「21歳」と見なされるのが一般的です。
自賠責保険にも年齢条件はありますか?
自賠責保険にはそのような仕組みはありません。期間や車種ごとに一定の保険料があらかじめ決められています。