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生命保険の解約返戻金とは?いくらもらえるか計算する方法もあわせて解説

著者:みんかぶ編集室

2023年12月26日 掲載

月々の保険料を支払うことで、万が一のときに備えられる生命保険。保険にはたくさんの種類がありますが、中には解約すると「解約返戻金」がもらえる生命保険が存在します。

「途中で解約したほうがお得になるの?」

「自分もお金がもらえるのかな」

と気になる方もいらっしゃるでしょう。どんな生命保険で、どれくらいの金額がもらえるのかを知っておけば、より効率的にお金や生命保険を活用できそうですよね。

この記事では、

  • 解約返戻金とは何なのか
  • いくらもらえるのか
  • 解約返戻金の注意点はあるか

について解説していきます。もらえるお金の具体的な金額を計算する方法についても、具体例とともにご紹介していきます。

生命保険の解約返戻金とは

生命保険の解約返戻金とは

解約返戻金の金額について知る前に、まずは解約返戻金がどのようなものか確認しておきましょう。

生命保険の解約返戻金とは、生命保険を契約期間の途中で解約した時に、契約者に対して支払われるお金のことです。具体的には、次のような特徴があります。

生命保険の解約返戻金

  • 終身保険や貯蓄型保険を解約した時に受け取れる
  • 解約返戻金のタイプは複数ある
  • 満期保険金とは異なる

終身保険や貯蓄型保険を解約した時に受け取れる

生命保険の解約返戻金は、「終身保険」や「貯蓄型保険」を解約したときに受け取れます

終身保険とは

被保険者が亡くなったり高度障害状態になった場合に給付金が支払われる保険

終身保険(生命保険)の選び方・人気おすすめランキング

貯蓄型保険とは

通常の保障だけでなく、毎月の保険料が積み立てられる機能も備えた保険

支払った保険料の一部が貯蓄されていき、保険の満期時や解約時に受け取れます。

一方で、生命保険には貯蓄型保険だけでなく、掛け捨て保険もあります。

掛け捨て保険とは

保険料は積み立てられないため、掛け捨て保険を解約しても解約返戻金がもらえないのが一般的

そのため、解約返戻金を受け取りたい方は、終身保険や貯蓄型保険に加入する必要があります。

関連記事掛け捨て型の生命保険とは?貯蓄型保険との違いやおすすめな人についてわかりやすく解説

解約返戻金のタイプ

解約返戻金にも、いくつかのタイプが存在しています。

  • 従来型
  • 低解約返戻金型
  • 無解約返戻金型

それぞれのタイプごとに解約返戻金の金額が異なります。より詳しく確認してみましょう。

従来型

「従来型」は、保険料の支払いとともに、解約返戻金の金額も増えていくタイプのことです。保険料の払込期間が終了してからも、解約返戻金の金額はゆるやかに増加します。

払込期間が終了する頃には、支払った保険料の累計額と解約返戻金が同程度になります。

従来型終身保険の概要図

低解約返戻金型

一方で「低解約返戻金型」は、保険料の払込期間が終了するまでは、解約返戻金の金額が低めに設定されているタイプです

保険料の払込みが終わるまでは、従来型よりも解約返戻金が低めに抑えられています。しかし、払込期間が終了するタイミングで金額が大きく増え、保険料の総額よりも高くなることが多いです。

払込期間が終わるまでは解約すると従来型より損してしまいます。しかし、払込期間が終わるともらえるお金が高くなるため、資産形成として活用する方も多いです。

関連記事生命保険で資産運用?変額保険(貯蓄型)を活用した資産運用のメリットとデメリットを解説!

低解約返戻型終身保険の概要図

無解約返戻金型

無解約返戻金型は、解約返戻金がもらえない、もしくはごくわずかな金額しかもらえないタイプです。先述したように、掛け捨て保険がこのタイプに該当します。

解約返戻金におけるメリットはありませんが、解約返戻金がもらえるタイプよりも低めの保険料で同様の保障が受けられるケースが多いです。そのため「十分な貯蓄ができるまでは、無解約返戻金型の保険に入っておく」といった活用方法が考えられますね。

満期保険金との違い

生命保険に加入するともらえるお金として「満期保険金」というものもあります。

満期保険金と解約返戻金の違いは、以下のとおりです。


解約返戻金 満期保険金
もらえる条件
タイミング
生命保険を解約したとき 保障の対象となる期間(保険期間)が終了した時点で生存している場合
金額 支払う保険料に応じて変動 契約時に決定
対象となる保険 終身保険、養老保険など 養老保険、学資保険など

最も大きな違いは、もらえる条件・タイミングです。

解約返戻金は生命保険を解約するともらえますが、満期保険金は保障の対象となる期間(保険期間)が終了する前に解約してしまうと受け取れません

生命保険の解約返戻金に関する注意点

解約時にお金がもらえる解約返戻金ですが、把握しておくべき注意点もあります。

注意点

  • すべての生命保険でもらえるわけではない
  • 支払った保険料がすべて戻ってくるとは限らない

上記について理解しておかないと、いざ解約返戻金を受け取ろうとしてももらえない…もしくは想定よりも少額となってしまう可能性があります。

すべての生命保険でもらえるわけではない

ここまで何度か触れてきましたが、解約返戻金はすべての生命保険でもらえるわけではありません。そのため、解約返戻金を受け取ろうと考えている方は、以下のような保険を選ぶ必要があります。

  • 「終身保険」被保険者が亡くなるまで保障の対象となる保険
  • 「貯蓄型保険」保険料の一部を積み立てられる保険

また上記に該当していても、解約返戻金のタイプや金額は保険商品によって異なります。契約時には契約概要をしっかりと確認しましょう。

支払った保険料がすべて戻ってくるとは限らない

解約返戻金を受け取れたとしても、それまで支払った保険料と同額のお金がもらえるとは限りません

支払った金額と同じ、もしくはそれ以上のお金を受け取りたい方は、払込期間を終えてから解約する必要があります。また解約返戻金のタイプによって、どのような時期にいくらもらえるかは異なります。

そのため、解約返戻金の金額をチェックしてから保険を解約するのがおすすめです。では、解約返戻金の金額はどのように確認できるのでしょうか?

具体的な解約返戻金の金額を計算する方法について解説していきます。

生命保険の解約返戻金はいくらもらえる?

生命保険の解約返戻金はいくらもらえる

生命保険の解約返戻金の内容を解説してきたところで、今回のメインテーマである「解約返戻金の金額」についてご紹介します。

解約返戻金の具体的な金額については、保険商品や保険料を払い込んだ機関によって異なります。

契約期間に応じて「返戻率」が決まっている

解約返戻金が受け取れる保険では、契約期間に応じて「返戻率(受取率)」というものが決まっていることが多いです。

返戻率とは、もらえる解約返戻金が「支払ってきた保険料の総額」のうち、何%であるかを示す数値です。返戻率は保険証券に記載されていることが多いですが、見当たらない場合は保険会社に問い合わせてみましょう。

具体例をもとに計算方法を解説

返戻率は保険会社や保険会社ごとに異なるため、一概に「◯年保険料を支払ったら〇〇円もらえる」とお伝えすることはできません。

そのため、返戻率をもとに実際の解約返戻金を算出する方法についてご紹介いたします。

計算式は次の通りです。

契約者価格 - 解約控除 × 払戻率 = 解約返戻金の額

※契約者価格とは、将来支払われる保険金の準備金のうち、支払われた給付金などを差し引いた部分のことをいいます。解約控除というのは、保険契約を結ぶにあたってかかった費用のなかで回収できていない部分のこと

上記の計算式を使用しながら、2つの具体例をもとに解約返戻金の金額を計算してみましょう。

  • 契約者価格=200万円、解約控除=50万円、返戻率=70%の場合
    200万円-50万円×70%=165万円

 

  • 契約者価格=300万円、解約控除=50万円、返戻率=110%の場合
    300万円-50万円×110%=245万円

解約控除等は保険会社に確認しないと把握出来ない可能性があるので注意が必要です。

契約時に返戻率を確認してみましょう

返戻率は、保険を選ぶ際の一つのポイントになります。ただし、返戻率が高い保険は、その分月々の保険料も高くなる傾向にあるので注意が必要です

また、返戻率は各保険会社の公式サイトや保険証券、設計書、パンフレット等に記載されておりますが、もし探してみても見つからない場合は、保険会社に問い合わせてみましょう。

生命保険の解約返戻金には税金がかかる?

生命保険の解約返戻金には税金がかかる?

解約するタイミングによっては、多額の解約返戻金がもらえます。そのため

「こんなたくさんのお金を受け取ってしまう場合、税金がかかってしまうのでは?」

と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。

実は、解約返戻金に税金がかかるかどうかは解約返戻金の金額や、契約内容(契約者や受取人に誰を設定するか)によって異なります。

金額によっては税金がかかる

支払った保険料の総額より解約払戻金が多かった場合、その差額に対して税金がかかります

上記に該当するのは、保険料の払込期間が終了してから受け取るケースが多いでしょう。税金についてもきちんと理解しておかないと、思わぬ損失だと感じてしまいそうですね。

支払う税金の計算方法

支払う税金に関しては、以下の式で計算することができます。

{(解約返戻金-保険料の累計額)-50万円}÷2

たとえば、解約返戻金が360万円、保険料の累計額が300万円だった場合、支払う税金は

{(360万円-300万円)-50万円}÷2 = 5万円

となります。

生命保険の解約返戻金は確定申告が必要?

解約返戻金の金額やその他の収入額によっては、確定申告も必要になります。確定申告期間になって慌てないよう、確定申告が必要なケースについても把握しておきましょう。

金額や収入によって異なる

給与所得や退職所得以外で年間20万円以上の収入があった場合、確定申告が必要になります。

そのため、解約返戻金だけでなく、副業や不動産収入などさまざまな収入の金額によって確定申告をするかどうかが決まります

解約返戻金だけで20万円を超えていなくても、本業以外の収入と合計した金額で判断しなければなりません。

確定申告をしないとどうなる?

確定申告の対象であるにも関わらず申告をしなかった場合、さまざまなペナルティが課せられてしまいます。

  • 延滞税
  • 無申告加算税
  • 脱税による刑事罰(懲役刑、罰金刑)

税務署からの指摘で申告忘れが発覚した場合、すでに重いペナルティが課せられていることが多いです。もし確定申告を忘れていたのに気づいたら、なるべく早く申告するようにしましょう。

生命保険の解約返戻金をもらうために必要な手続き

生命保険の解約返戻金もらうための必要な手続き

生命保険の解約返戻金をもらう際、特別な手続きは必要ありません。通常の解約手続きを進めることで、解約返戻金を受け取れます。

解約返戻金を受け取るまでの手続きは以下のとおりです。

  • 保険会社に連絡する
  • 必要書類を提出する
  • 1週間程度で振り込まれる

保険会社に連絡する

まずは、解約したいことを保険会社に連絡します。その際、契約者本人が連絡しなければ手続きが進められないケースが多いです。

電話や代理店窓口、保険会社のサイトから連絡しましょう。

必要書類を提出する

解約することを伝えたら、手続きに必要な書類を受け取れます。

必要事項を記入し、保険会社に提出しましょう。

1週間程度で振り込まれる

書類に不備が無ければ査定が進み、およそ一週間前後で、指定した口座に解約返戻金が振り込まれます。

時期や状況によってはもらえるタイミングが変動します。

生命保険を解約する前に確認すべきポイント

解約返戻金をもらえるのは大きなメリットにもなりますが、重要なのは「本当に生命保険を解約していいのか」をきちんと確認しておくこと

解約する前に、以下の2点について確認しましょう。

  • 再加入が難しくなる
  • 一度解約すると取り消せない

同じ条件の生命保険への加入は難しくなる

一度生命保険を解約してしまうと、再加入が難しくなるケースが多いです

「同程度」の保障内容であっても、再加入するときの年齢で保険料が決まるため、保険料は高くなります。傷病歴によっては、加入することすら厳しいケースも。

解約後は新たな生命保険が必要かどうか、どんな保険であれば加入できそうか、必ずチェックしておきましょう。

一度解約すると取り消せない

一度解約手続きをしてしまうと、ほとんどの場合取り消すことはできません。

「解約返戻金を受け取るために解約手続きをしたのに、思っていたよりも解約返戻金が少なかった」

「やっぱりまだ加入しておいたほうが安心できそう」

そう感じても、解約してしまったら取り消せません。解約する前に、返戻率や生命保険の必要性についてきちんと考えましょう。

まとめ

ここまで、解約返戻金の種類や金額について解説してきました。

  • 解約返戻金は3種類
  • 貯蓄型保(終身保険や養老保険)を解約する際に受け取れる
  • 返戻率等の各数値をもとに算出可能
  • 金額によっては課税される&確定申告が必要

解約返戻金は老後資金のための積立や教育資金の準備として活用できます。ライフプランやリスク観に合わせて、加入する生命保険を決めましょう。

とはいえ、生命保険を選ぶのは簡単な作業ではありません。保険料や保障内容、キャンペーン情報などさまざまな項目を比較する必要があります。

保険会社も複数ありますし、各社さまざまな保険商品を用意しています。その中から選ぶのは、なかなか骨の折れる作業ですよね。

みんかぶ保険では、保険の知識を豊富に持つプロに無料で相談できます。回数に制限はなく、納得のいくまで質問することが可能です。

生命保険についてまだわからないことが多い方でも、保険のプロと一緒にぴったりなプランを選べるようになります。保険の契約や見直しを検討している方は、ぜひお気軽にご利用ください。

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