保険選びをする中で、「掛け捨て型」という言葉を目にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。そして「なんとなくこんな感じの保険」というイメージにとどまっていて、詳しくはよく分からないという人も多いのではないでしょうか。
保険選びの機会は人生の中でもそう多くありませんから、よくわからないのも当然です。ただ、機会が少ないからこそ、しっかりと特徴を理解しておくことで「後悔のない保険選び」が実現できます。
掛け捨て型の生命保険とはどのような保険なのか
掛け捨て型生命保険のメリット・デメリット
掛け捨て型の保険がおすすめな人・シチュエーション
についてわかりやすく解説していきます。
掛け捨て型の生命保険とは
掛け捨て型生命保険とは、解約返戻金や満期保険金がないタイプの生命保険を意味します。
- 解約返戻金:保険を解約する際に受取れるお金
- 満期保険金:契約している生命保険が満期を迎えた際に保険会社から支払われる給付金
掛け捨て型の生命保険では、上記のような制度はありません。解約返戻金や満期保険金は契約者から支払われた保険料を積み立てたものですが、掛け捨て型では積み立てではなく保障にのみ保険料を支払うのが一般的です。
掛け捨て型生命保険と貯蓄型生命保険の違い
掛け捨て型保険とは逆のタイプとして「貯蓄型保険」があります。どちらに入るべきか判断するためには、それぞれの違いを理解するのが重要です。
掛け捨て型生命保険と貯蓄型生命保険の違い
- 満期保険金や解約返戻金の有無
- 保険料の高さ
- 契約者貸付制度の有無
上記のポイントについて、さらに詳しく解説していきます。
満期保険金や解約返戻金の有無
貯蓄型保険では、満期保険金や解約返戻金を受け取ることができます。保険料を多めに支払って満期保険金や解約返戻金を後で受け取るため、保険料の一部を積み立てている状態となります。
一方で、掛け捨て型保険では満期保険金や解約返戻金が無く、もらえるとしても少額です。
加入後に受け取るお金があるかどうかが、掛け捨て型と貯蓄型における最大の違いです。
保険料の高さ
掛け捨て型保険は解約時にもらえるお金はありません。しかし、その分保険料は貯蓄型よりも安く設定されています。
貯蓄型保険の保険料には、通常の保障部分に加え、解約返戻金や満期保険金のための保険料が含まれています。
特に掛け捨て方と貯蓄型どちらもある死亡保険においては、同程度の保障内容の場合、掛け捨て型のほうが貯蓄型保険よりも保険料が安いケースが多いです。
ただし、生命保険の種類によって保障内容や対象範囲が異なります。そのため、すべての掛け捨て型保険において保険料が貯蓄型保険より安いとは限りません。
契約者貸付制度の有無
契約者貸付制度の有無も異なります。貯蓄型保険では契約者貸付制度を利用できますが、掛け捨て型保険では制度が用意されていません。
契約者貸付制度とは、解約返戻金を担保にし、保険会社からお金を融資してもらえる制度です。受け取れる金額は、解約返戻金の約7〜8割が一般的です。すぐにお金を借りられるメリットがある反面、保険金から借りた分の金額が差し引かれるデメリットもあります。
貯蓄型の保険に加入している人は、契約者貸付制度を利用してお金を借りられます。一方掛け捨て型の保険では、そのような制度はありません。
掛け捨て型保険と貯蓄型保険の種類
掛け捨て型保険や貯蓄型保険に該当する生命保険には、具体的にどのような種類があるのでしょうか。
それぞれの保険の種類について、具体例を確認してみましょう。
保険の種類 | 内容 | |
---|---|---|
掛け捨て型保険 |
定期型死亡保険 | 定められた期間で死亡した際に保険金が支払われる |
医療保険 | 入院費や手術費等を保障 | |
がん保険 | がんの治療費を保障 | |
収入保障保険 | 働けなくなった際の収入をカバー | |
貯蓄型保険 |
終身型死亡保険 | 死亡した際に保険金が支払われる 保障は一生涯 |
養老保険 | 満期まで生存していたら保険金が支払われる | |
学資保険 | 子どもの入学や進学に合わせて保険金が支払われる | |
個人年金保険 | 一定の年齢に達したら年金がもらえる |
掛け捨て型の保険と貯蓄型の保険、それぞれにおいてさまざまな種類の保険がありますね。「掛け捨て型か貯蓄型か」といった比較はもちろん、ご自身のライフプランやリスク観にマッチした保険選びが必要です。
掛け捨て型生命保険に加入するメリット
掛け捨て型生命保険に加入すべきかを考えるために、まずはメリットについて理解しましょう。
掛け捨て型生命保険に加入するメリット
- 保険料が安い
- より手厚い保障を用意しやすい
- 保障内容やプランがシンプル
保険料が安く抑えられる
掛け捨て型生命保険は、貯蓄型と比較して保険料が低めに設定されています。
貯蓄型の場合、給付金に充てる保険料と、貯蓄する分の保険料も支払わなければなりません。しかし掛け捨て型の場合は、給付金に対する保険料のみ。
生命保険による経済的な負担は、貯蓄型よりも軽く済みます。
定期保険(生命保険)保険料比較シミュレーション (30歳・男性)
定期保険(生命保険)保険料比較シミュレーション (30歳・女性)
手厚い保障を必要なタイミングで用意しやすい
保険料が安い分、貯蓄型よりも保障を手厚くしやすいのも、掛け捨て型生命保険のメリットです。
保障を手厚くしても貯蓄型ほど保険料が高くならないため、保障内容の充実度を優先しやすくなる。
「保険料も大事だけど保障の充実度も捨てがたい」と感じる方にとっては特に嬉しいメリットですね。
保障内容やプランがシンプル
掛け捨て型の生命保険は、貯蓄型保険と比較してプラン内容がシンプルです。
貯蓄型保険を契約する場合、保険料の払込期間や解約返戻金・満期保険金の金額、それに伴って変化する保険料など、さまざまな要素を考慮して決めなければなりません。
一方、掛け捨て型保険の場合は、保険料と保障内容の2点でプラン内容がほぼ決定します。考えなければならない項目が少ないため、加入する保険をより簡単に選べます。
掛け捨て型生命保険に加入するデメリット
もちろん、掛け捨て型の生命保険にはデメリットも存在します。
- 解約返戻金や満期保険金が貰えない
- 契約者貸付制度が利用できない
デメリットについてもきちんと把握した上で、後悔のない選択をしましょう。
解約返戻金や満期保険金が貰えない
貯蓄型の生命保険とは違い、掛け捨て型の生命保険では加入後に解約返戻金や満期保険金がもらえない場合が多いです。
貯蓄型保険でもらえるお金は、保険料を前払いして貯蓄したお金なので、自分が支払ったお金が返ってくる仕組みです。しかしそれでも、掛け捨て型保険では「保険料を支払っただけ」だと感じる方もいらっしゃるでしょう。
生命保険は本来お守りとしての役割が強い商品です。そのため「保険は安心を買うものである」と考えられる人にとっては、このデメリットは小さくなるでしょう。
契約者貸付制度が利用できない
掛け捨て型の保険では、契約者貸付制度が利用できないことが多い。
貯蓄型であれば、保障だけでなく突発的な出費も幅広くカバーできます。保険金の受け取りを待つ前にお金が受け取れるため、より安心できるでしょう。
掛け捨て型保険では、保障以外の経済的サポートは少ないです。そのため、保障対象外の理由で急にお金が必要になっても、掛け捨て型保険だけではカバーしきれないでしょう。
掛け捨て型生命保険がおすすめな人
掛け捨て型生命保険のメリットやデメリットについてご紹介してきたところで、いよいよ「掛け捨て型生命保険がおすすめな人」について具体的に解説していきます。
どんな人、どんなシチュエーションにおいて掛け捨て型保険がおすすめなのか、わかりやすくご紹介していきます。
以下に当てはまる人は、掛け捨て型生命保険への加入を検討してみましょう。
- 貯蓄がまだ十分にできていない人
- 結婚や出産、住宅購入など出費が多い人
- 退職してから保険に加入しようとしている人
貯蓄がまだ十分にできていない人
貯蓄がまだあまりできていないと感じる人は、掛け捨て型生命保険がおすすめです。
掛け捨て型は貯蓄型よりも保険料が安いため、貯蓄が少なくてもリスクに備えられます。
貯蓄ができてない間は、保険料を支払わず貯蓄に回したほうがいいと考えるかもしれません。しかし病気やケガなど「もしものこと」が起こったら、貯蓄がない間はとても大変です。
高額な治療費や、働けない中での生活費が必要になり、支払いきれないほど大きな経済的負担がかかってしまう可能性も。預貯金ができていないときこそ、掛け捨て型保険の必要性が高いとも考えられます。
定期保険(生命保険)保険料比較シミュレーション (20歳・男性)
定期保険(生命保険)保険料比較シミュレーション (20歳・女性)
結婚や出産、住宅購入など出費が多い人
結婚や出産、住宅の購入といったように、多額の出費が予定されている人も掛け捨て型の生命保険がおすすめ。
出費が多い時こそ、保険料による支出はセーブしておきたいですよね。とくに家族が増えたりローンを組んだりすると、毎月の支出額はぐっと大きくなります。
出費を抑えるために保険に加入しないままでいるのもひとつの手です。しかし、もしものことが起こったときの経済的負担を考えると、不安に感じる人もいるでしょう。
保障の必要性が高いけど、なるべく保険料も抑えておきたい時期だからこそ、掛け捨て型がおすすめです。
退職してから保険に加入しようとしている人
定年などにより退職してから新たに保険に加入しようと考えているなら、貯蓄型よりも掛け捨て型の生命保険がおすすめです。
退職したら基本的に収入は減ってしまいます。やはり保険料は抑えておくのが無難でしょう。
また退職してから貯蓄型保険に加入しても、貯められるお金の額は限られてしまいます。そのため、解約返戻金や満期保険金の金額はそこまで高くならない可能性が高いです。
退職後に生命保険に加入するなら、掛け捨て型保険によるメリットのほうが大きいでしょう。
定期保険(生命保険)保険料比較シミュレーション (60歳・男性)
定期保険(生命保険)保険料比較シミュレーション (60歳・女性)
貯蓄型生命保険がおすすめな人
一方で、貯蓄型生命保険がおすすめなのはどんな人・状況でしょうか?掛け捨て型だけでなく、貯蓄型についても確認してみましょう。
貯蓄型の保険がおすすめな人の特徴
- 将来のライフイベントに早めに備えておきたい
- 貯蓄が苦手な人
将来のライフイベントに早めに備えておきたい
将来のライフイベントに対しあらかじめお金の用意をしておきたいなら、貯蓄型の生命保険が活躍するでしょう。
貯蓄型の保険であれば、早い段階からお金を準備できるようになります。「あらかじめ出費が多くなりそうな時期が決まっている」「不安が大きいから余裕があるうちに備えておきたい」と感じる人は、貯蓄型の生命保険を検討してみましょう。
貯蓄が苦手な人
貯蓄がうまくできない人も、貯蓄型の生命保険がおすすめです。
貯蓄型の保険であれば、口座から引き落として貯蓄するような感覚で生命保険を活用できます。もしものときのための備えと貯蓄を両方実現できるのは嬉しいですね。
うまく貯蓄できない、ついお金を使ってしまうという方は、貯蓄型生命保険の必要性が高いでしょう。
生命保険の掛け捨て型と貯蓄型を組み合わせることも可能
掛け捨て型と貯蓄型、どちらのメリットも捨てがたい……と感じる人もいるでしょう。
そのような方には、両方のタイプの保険を組み合わせて活用するのがおすすめです。生命保険の掛け捨て型と貯蓄型は、どちらか一つしか選べないということはありません。
生命保険を併用して活用する方法
では、具体的にどのように併用するのがベストでしょうか。生活の状況や不安度によっても異なりますが、例として次のような活用方法が考えられます。
- 死亡保険や学資保険のように「高齢化によって高まるリスク」「予想されているライフステージ」には貯蓄型保険
- 病気やケガといった「全ての年齢において身近なリスク」や、何かしらが原因で働けなくなるといった「可能性は低いが突発的に発生するリスク」には掛け捨て型保険
上記のように併用することで、より幅広いリスクに対応できるようになります。
生命保険を併用する際は保険料に注意点
ただし生命保険を併用する際は、保険料が高くなりすぎないよう注意しましょう。
保障内容を手厚くすると、その分安心感も強まります。しかし、毎月の経済的負担が大きくなりすぎてしまうと本末転倒ですよね。
どこまで保障内容を充実させるかは、丁寧に検討する必要があります。まずは「どんなリスクに備えたいか」「将来どんなライフステージの変化が起こりうるか」を考えてみましょう。
掛け捨て型と貯蓄型の両方を併せ持つ保険商品も
近年、両方のタイプの保障を兼ね備えた保険商品も登場しています。わざわざ複数の保険に加入しなくても、掛け捨て型と貯蓄型それぞれのメリットを一気に得られます。
どちらのタイプにすべきか、ひとつに選べない人にとっては魅力的な商品でしょう。複数の保険を選ぶ必要がないため、保険選びや支出管理も楽になりそうですね。
ほかの金融商品との併用もおすすめ
貯蓄型の保険に関しては、利回りや効率性から、他の金融商品のほうが貯蓄性に優れていることもあります。その場合、貯蓄型の保険に加入するよりも、投資信託や株式をはじめとした金融商品のほうが効率的にお金を用意できるかもしれません。
ただし、保険と投資とでは、目的も仕組みも根本的に異なるため、一概に比較できるものではありません。保険はもしものときに大きな保障が得られますが、投資では十分な資金を確保するのに時間がかかってしまうでしょう。
資産形成をする上では、他の金融商品との違いや目的を理解した上で、バランスよく活用するのがおすすめです。
生命保険の掛け捨て型と貯蓄型の違いを比較表で確認
ここまでの内容をおさらいしてみましょう。違いがよりわかりやすく理解できるよう、ひとつの表にまとめました。
それぞれの特徴について理解した上で、ご自身に最適な保険を考えてみましょう。
掛け捨て型保険 | 貯蓄型保険 | |
---|---|---|
該当する保険の具体例 | 定期型死亡保険/医療保険/がん保険/収入保障保険 | 終身型死亡保険/養老保険/学資保険/個人年金保険 |
満期保険金や解約返戻金 | なし(まったくないか、あってもごくわずか) | あり |
保険料 | 安い | 高い |
契約者貸付制度 | なし | あり |
おすすめな人 |
|
|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
まとめ
今回は、掛け捨て型の生命保険とは何なのか、貯蓄型の保険と比較しながらお伝えしました。
掛け捨て型にも貯蓄型にも、それぞれ異なるメリットがあります。そのためどちらに加入すべきか、一概に結論を出すのは難しいです。ご自身にとって必要な保障がなにか、どんなライフプランがあるかなどを考えた上で決めましょう。
とはいえ、どんな生命保険に加入すべきかをひとりで考えるのは難しいですよね。どんな保険商品があるのか、他の人たちはどんな保険に加入しているのか、将来どんなリスクがあるかなど、1人で考えるのは骨が折れる作業です。
そんな時に必要なのは、知識を豊富に持つプロからの客観的な意見。
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