心疾患に備えるための三大疾病保険とは?おすすめな人や発症後でも入れる保険についても解説

著者:みんかぶ編集室

監修:

杉本 大輔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 / シニア・ライフ・コンサルタント / フィナンシャル・エージェンシー所属

日本人の死因の第三位である「心疾患」。多くの人が発症するリスクがあるからこそ、保険で備えておきたい病気ですね。

でもどんな保険で備えればいい?
心疾患に備えるための保険って本当に必要?
心疾患になってからでも保険に入れる?

などなど、疑問に感じる方も多くいらっしゃるでしょう。

この記事では、心疾患に備えられる「三大疾病保険」について具体的にご紹介。さらに発症後でも入れる保険についても具体的に解説していきます

三大疾病保険に入るのがおすすめな人についても紹介していくので、加入すべきか迷っている方は必見です!

心疾患に備えられる三大疾病保険とは?

心疾患に対しては医療保険や生命保険で備えられます。中でも手厚く備えられるのが「三大疾病保険」です。

三大疾病保険は「がん」「心疾患」「脳卒中」の三大疾病で所定の状態になった場合に、一時金を受け取れる生命保険です。

※脳卒中は、脳血管疾患の代表的な病気の一つ

日本人の死因のうち上位3つを占める病気である「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の総称を「三大疾病」といいます。

主な死因の構成割合(2020年)

引用: 国立循環器研究センター「心不全と虚血性疾患の疫学」

三大疾病に対しては医療保険でも備えられます。しかし三大疾病は入院日数が長く、治療費も高くなりやすいです。そのため、通常の医療保険だけでは保障内容が心もとないと感じる可能性があります。

そのような方でも、医療保険と三大疾病保険を併用することで、より手厚く備えられるでしょう。

心疾患は治療費が高くなりやすい病気

心疾患とは、心臓に何らかの異常が起こり、血液循環がうまく行えなくなる病気の総称です。代表例としては、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、不整脈、心臓弁膜症、心不全などが挙げられます。

心疾患の平均在院日数は24.6日であり、長期間の入院が必要なケースも多いです(患者調査 令和2年患者調査 確定数 全国編 報告書 )。

2022(令和4)年度 生活保障に関する調査《速報版》」によると、働けないことによる収入の減少分を含めた1日あたりの入院費用は平均25,800円。そのため24日入院する場合、61万9,200円かかることになります。

また心疾患の入院患者数は5万8,400人で、全入院患者の4.8%を占めています(患者調査 令和2年患者調査 確定数 全国編 報告書)。入院だけでなく、症状によっては手術やリハビリも必要です。

そのため、心疾患は治療費が高くなりやすいと考えられます。

三大疾病保険に入れば心疾患に手厚く備えられる

心疾患に限らず、三大疾病は治療費が高くなりやすい病気です。しかし三大疾病保険に加入しておけば、治療費に対する不安も大きく軽減できるでしょう

三大疾病保険では一般的に、三大疾病と診断され所定の治療を受けると一時金が支払われます。入院日数に関係なく、まとまった金額を受け取れるのが特徴です。

医療保険でも、三大疾病保険により入院や手術が必要になれば給付金はもらえます。ですが三大疾病保険に加入しておけば、リスクの高い病気に対しピンポイントで保障を充実させられます

三大疾病保険に入るメリット・デメリット

三大疾病保険に入るメリット・デメリット

三大疾病保険についてより具体的に理解するべく、メリットとデメリットについて確認しておきましょう。

メリット

デメリット

  • 一時金がもらえるため、治療内容に左右されず手厚くカバーできる

  • 病気に備えるだけでなく、貯蓄や生命保険としても活用できる

  • 保険料の支払いが必要

  • 支払い要件が決められているタイプもある

三大疾病保険に加入すればメリットだけが得られる、というわけではありません。一定の出費は必要になりますし、保険金が受け取れないケースもあります。

メリット・デメリットどちらも理解しておくことで、三大疾病保険に加入すべきかより判断しやすくなりますよ

三大疾病保険に入るメリット

まずは三大疾病保険に入るメリットについて確認しましょう。

  • 発症するリスクが高い病気に重点的に備えられる

  • 病気に備えるだけでなく、貯蓄や生命保険としても活用できる

やはり最大のメリットは「発症リスクが高い&治療費が高くなりやすい病気に重点的に備えられる」ことです。またそれ以外にも三大疾病保険ならではのメリットがあるため、具体的にわかりやすく解説していきます。

発症するリスクが高い病気に重点的に備えられる

三大疾病保険の1つ目のメリットは、発症リスクが高い病気に特化して保障を手厚くできる点です。

三大疾病は発症リスクだけでなく、長期間にわたる入院や大きな手術が必要なケースも多いです。そのような病気に対してもしっかりと備えられるため、加入しておけば大きな安心感が得られるでしょう。

病気に備えるだけでなく貯蓄や生命保険としても活用できる

また三大疾病保険は、医療保険ではなく生命保険に該当します。そのため、以下3つの役割を持っているタイプの保険商品が多いです

  • 三大疾病に対する備え

  • 被保険者が死亡した際に保険金が支払われる死亡保険

  • 解約返戻金があるため貯蓄性がある(経過年数や契約時の年齢による)

ひとつの保険で3種類の保障が得られるのは心強いですね。

ただし一般的に、三大疾病で保険金を受け取ってしまうと、死亡保障は消滅してしまいます。三大疾病保険に入る際は、保障内容を詳しく確認しておきましょう。

三大疾病保険に入るデメリット

次に、三大疾病保険のデメリットについても解説します。

  • 保険料の支払いが必要

  • 支払い要件が決められているタイプもある

治療費が高額になりやすい病気に備えられる三大疾病保険ですが、加入すれば追加でお金が必要になります。さらには保険金が受け取れないケースもあるため、注意が必要です。

保険料の支払いが必要

三大疾病保険に加入すれば、その分保険料の支払いが必要になります。すでに支出が嵩んでいる場合、家計をさらに圧迫する可能性もあるでしょう

ただし、三大疾病に対する特約を医療保険に追加できる場合もあります。特約タイプは三大疾病保険と保障内容が異なるケースもあるため、確認したうえで付帯するようにしましょう。保険料を抑えつつ、三大疾病への備えを手厚くできるかもしれません。

ご自身のニーズや予算に合わせて、無理のない範囲で保険を利用するのがベストです

支払い要件が決められているタイプもある

三大疾病保険では、がん(悪性新生物)については診断確定された時点で受け取ることができますが、心疾患や脳卒中に関しては、診断確定の他に一定の条件を満たす必要があります。

具体例としては、以下のような条件が考えられるでしょう。

  • その疾病の治療を直接の目的として入院または手術を受けた時

  • 心疾患の場合、初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したと、医師が判断したとき

  • 脳卒中の場合、初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと、医師によって診断されたとき

そのため、三大疾病保険に入っている状態で心疾患と診断されたとしても、必ず保険金がもらえるとは限りません。加入前に、保障内容や支払われる条件を細かく確認しておきましょう。

三大疾病保険に入るのがおすすめな人は?

三大疾病保険に入るのがおすすめな人は?

ここまでご紹介してきた内容を踏まえ、以下の2つに当てはまる人は三大疾病保険に入るのがおすすめです。

  • 心疾患になるリスクが高いと感じる人

  • 医療保険だけでは不安だと感じる人

通常の医療保険や生命保険でも、心疾患には備えられます。それでも三大疾病保険への加入をおすすめしたいのは「病気やお金に対する不安が強い人」です

保険はあくまで「お守り」としての役割が強い商品です。加入すれば必ず得する/損するものではなく、不安の強さに応じて備えるためのものです。

そのため、心疾患に対する不安がどれだけ強いかが決め手となるでしょう。

心疾患になるリスクが高いと感じる人

心疾患を発症するリスクが高いと感じる人は、三大疾病保険への加入がおすすめです。

心疾患の発症リスクを左右する特に大きな要因としては、次の4つが挙げられます。

  • 高血圧

  • 高脂血症

  • 糖尿病

  • 喫煙

国立循環器病研究センター

上記4つが当てはまる方は、心疾患のリスクが高いです。生活習慣を改善したり早めの治療を始めたりすることで、健康状態を改善する必要があるでしょう。

それと同時に、心疾患を発症してしまったときの治療費を用意しておくのも大切です。すぐに多額のお金が用意できない方でも、三大疾病保険に加入すればしっかり備えられます。

医療保険だけでは不安だと感じる人

すでに加入している医療保険の保障内容に不安を感じる方も、三大疾病保険への加入を検討してみましょう。

この記事をお読みの方の中には、すでに医療保険に入っている方もいらっしゃるでしょう。ただし、心疾患をはじめとした三大疾病は、治療費が高額になりやすい病気です。医療保険の給付金だけでは、心もとないと感じてしまうかもしれません

三大疾病保険に加入しておけば、医療保険の給付金に上乗せして一時金がもらえます。そのため、医療保険のみで備えるよりも心強いですね。

三大疾病保険に入る際の注意点は?

三大疾病保険に入る際の注意点は?

三大疾病保険に加入する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 保障の対象となる病気をきちんと確認する

  • 保険料は無理なく支払える範囲で

すでにご紹介した通り、三大疾病保険にはいくつかのデメリットが存在します。いくつかの注意点を把握しておけば、デメリットによる影響を最小限に抑えられるでしょう

保障の対象となる病気をきちんと確認する

三大疾病保険に加入しても、心疾患に該当する全ての症状をカバーしているとは限りません。

対象となる病気の範囲は、保険商品によって異なります。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患のみが対象であるケースもあれば、不整脈や弁膜症なども保障する商品もあるでしょう。

そのため加入前に、保障の対象となる病気を細かくチェックしておきましょう。もし確認を怠った場合、いざというときに保険金や給付金が受け取れない事態に直面してしまう可能性があります

契約内容をよく理解したうえで、三大疾病保険に加入するようにしましょう。

保険料は無理なく支払える範囲で

三大疾病保険は生命保険や貯蓄としての役割も持っています。その分、保険料がやや高めに設定されている保険商品が一般的です。

そのため、無理なく保険料が支払えるか事前にシミュレーションしておきましょう。保険料の負担が家計を圧迫してしまっては、本末転倒です。保障内容と保険料のバランスを意識して、保険を選びましょう

心疾患になっても保険金・給付金がおりないケースも

特に注意しなければならないのは、三大疾病保険に加入していても保険金が支払われないケースについてです

心疾患になっても保険金が支払われない場合、主な理由は以下の2つです。

  • 発症した心疾患がそもそも保障の対象外である

  • 入院日数や治療内容が保険金の支払い条件を満たしていない

三大疾病保険の中には、心疾患に該当する病気のうち一部の症状のみを対象とする商品もあります。また入院日数や手術内容によっては保険金・給付金が支払われないケースもあります。

加入する際は、保障の対象となる病気や支払事由について細かくチェックしておきましょう。

心疾患になった人は保険に入れない?

では、心疾患になってからでも三大疾病保険や医療保険に入れるのでしょうか?

結論から言うと、心疾患を発症してから保険には入りづらいのが現実です。なぜ発症後は加入するのが難しいのか、具体的に説明していきます。

心疾患になった人は一般的な保険に入れない可能性が高い

残念ながら、心疾患が発覚してから新たに医療保険や三大疾病保険に入るのは難しいでしょう。

健康状態が悪い人は、加入を断られたり保険料が高めに設定されたりするのが一般的です。その理由は、健康な人と比べて、すでに病気の人や持病がある人は保険会社に保険金や給付金を請求する可能性が高いからです。

加入者から多くの保険金や給付金が請求されすぎてしまうと、保険会社の経済状況は悪化してしまいます。その結果、健康的な人の保険料まで引き上げなければなりません。

健康な人からしたら、他の人のために自分の保険料を上げなければならないのは不公平だと感じてしまうでしょう。

そのため、心疾患にかかってから保険に入ろうとしても、審査段階で断られてしまうケースが多いです。

心疾患になっても入れる保険はある

心疾患になっても入れる保険はある

とはいえ、心疾患を抱えている人でも加入できるタイプの保険も存在します。

  • 引受基準緩和型保険

  • 無選択型保険

上記2つの保険であれば、心疾患になってからでも入りやすいでしょう。一般的な保険や三大疾病保険に入れない場合は、加入しやすいタイプの保険を選んでみるのもおすすめです。

引受基準緩和型保険

引受基準緩和型保険は、一般の保険よりも加入時の審査が緩やかな商品です。健康状態に関する告知項目が少ないため、持病がある人や治療中の人でも加入しやすいでしょう。

審査自体はあるので誰でも入れるわけではありませんが、心疾患の症状や治療状況によっては加入できる可能性があります。

ただし、引受基準緩和型保険は、一般の保険と比べて保険料が高くなる傾向にあります。また、請求しても保険金や給付金が削減される期間(削減期間)が設定されていることが多いです。

さらに一般的な保険よりも保障内容は限定的です。

無選択型保険

無選択型保険は、加入時の健康状態について質問や審査がない保険商品です。つまり誰でも加入できるため、心疾患の治療中や発症後でも入れます

ただし一般的に、無選択型保険の保険料は引受基準緩和型保険よりもさらに高額です。また引受基準緩和型保険と同様に免責期間が設けられており、保障内容も制限されています。

通常の医療保険・引受基準緩和型保険・無選択型保険の加入ハードルと保険料

保険料を無理なく支払えるか、いつからどのような保障が受けられるかを必ずチェックしたうえで、加入を検討してみましょう。

まとめ

心疾患は入院が長引きやすく、多額の治療費もかかってしまう病気。医療保険でも備えられますが、三大疾病保険に入っておけばさらに安心できるでしょう

また発症後に保険に入りたい場合は、引受基準緩和型保険や無選択型保険を検討してみましょう。

三大疾病保険や医療保険に入るベストなタイミングは、心疾患を発症する前です。発症してからでは加入が難しいです。三大疾病保険を活用したい方は、なるべく早めに入っておきましょう。

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とはいえ、保険選びは大変な作業ですよね。そもそも「保険の選び方」や「保険の種類」について、まだ完全には理解できていない方も多いでしょう。

どんなリスクに備えられるか、どんな保障が必要か……。必要な知識をインプットするだけでなく、保険会社ごとの特徴やメリット・デメリットまで理解しなければなりません。

しかし「保険のプロ」と協力すれば、大変な保険選びも簡単に進められるでしょう。

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みんかぶ編集室

資産形成メディア「みんかぶ」を中心に、金融商品の記事の執筆を行っています。資産運用のトレンド情報や、初心者が楽しく学べるお金の基本コラムなど、資産形成をするすべての人に向けた記事を提供します。

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