出産において「吸引分娩」が必要になった場合、追加で費用が発生します。通常の出産費用が50万円程度かかる中、なるべく経済的な負担は小さくしておきたいですよね。
そのような疑問を抱えている方向けに、この記事では「吸引分娩に保険は適用されるのか」についてわかりやすく解説していきます。
この記事でわかること
吸引分娩は公的医療保険と民間医療保険どちらも適用対象である
公的医療保険によって自己負担額が小さくなり、民間保険に入っていればさらに給付金がもらえる
ただし公的医療保険や民間保険が適用されないケースも存在する
ほかにも「出産育児一時金」「児童手当」など出産時にもらえるお金がある
吸引分娩は公的医療保険と民間保険の両方で適用対象になる
吸引分娩は公的医療保険と民間保険、両方の対象となります。
吸引分娩は、何らかの理由で出産がスムーズに進まない際に行われる処置のひとつ。通常の出産とは異なり「異常分娩」に該当するのが一般的です。
吸引分娩や帝王切開のような「異常分娩」は、公的医療保険や民間医療保険の対象となります。
保険の対象となることで、経済的な負担はどう変わるのでしょうか。それぞれ具体的に解説していきます。
https://ins.minkabu.jp/columns/childbirth-expense-insurance-230922
【公的医療保険】手術費・入院費の自己負担額が減る
公的医療保険の対象となることで、吸引分娩の自己負担額は3割となります。
診療報酬点数表によると、吸引分娩にかかる費用の総額は25,500円。それが3割負担となるため、実際の負担額は7,650円です。
※1.令和4年時点の金額です。診療報酬(医療の価格)は通常2年に1度改定されるため、金額が変わる可能性があります。
またその後の入院にかかる費用も、保険が適用されるケースが多いです。入院費用は高額になりやすいので、公的医療保険の対象になるのは嬉しいですね。
自己負担額が減るだけではありません。吸引分娩にかかった費用は高額療養費制度の対象です。1ヶ月あたりの医療費がかさんでしまっても、上限額をオーバーした金額は支払わずに済みます。
https://ins.minkabu.jp/columns/expensive-treatment-guide-230718
【民間保険】各種給付金がもらえる
民間の医療保険においても、吸引分娩は保障の対象となる可能性が高いです。
民間の医療保険にはさまざまな保障が用意されていますが、基本的な保障としてもらえる給付金は次の2つです。
入院給付金
手術給付金
それぞれの給付金について、簡単にご紹介します。
入院給付金
入院費用をカバーするための給付金です。あらかじめ決められた「1日あたりの入院給付金の金額(=日額)」を入院日数分もらえます。
給付金の使い道は自由。そのため減少する収入を補填したり、差額ベッド代のような自己負担額の支払いに充てたりできます。
https://ins.minkabu.jp/columns/hospital-claim-amount-230726
手術給付金
手術費用をカバーするための給付金です。手術を受けることになった際に、一定の金額がもらえます。
一定の条件をクリアする必要があるものの、ある程度まとまった金額を一括で受け取れるのが特徴です。
https://ins.minkabu.jp/columns/what-surgery-benefit-230829
吸引分娩でも「正常分娩」と判断されると適用対象外になってしまう
ただし、公的医療保険や民間保険が必ずしも適用されるとは限りません。
医師が「異常分娩ではなく正常分娩の処置として吸引分娩を行う」と判断するケースもあります。その場合、公的医療保険と民間保険のどちらにおいても対象外です。
保険が適用されるかどうかは、処置内容よりも「どのような目的で行ったか」によって決まります。異常分娩に該当するかどうかは医師の判断によるため、事前に確認するのは難しいです。
支払事由に該当しない場合も対象外に
また民間の医療保険においては「支払事由」をクリアしなければ給付金をもらえません。もし支払事由に該当しない場合は、異常分娩であっても給付金が受け取れないため注意が必要です。
支払事由に該当しない例を、以下の表にまとめました。
種類 |
支払事由に該当しない例 |
入院給付金 |
|
手術給付金 |
|
特に注意が必要なのは「手術給付金」です。すべての手術に対して給付金が支払われるわけではないため、吸引分娩が保障の対象外となる可能性があります。
また以下のケースに該当する場合、給付金をもらえない可能性が高いです。
妊娠後に医療保険に加入した
子宮など出産に関連する特定部位不担保特約が付いている
吸引分娩が保障の対象であっても、民間保険に加入するタイミングや条件によっては給付金が受け取れません。
https://ins.minkabu.jp/columns/pregnancy-medical-insurance
吸引分娩に限らず「出産に関する保障内容」は一度見直しておくのがおすすめ
出産が近づいてきたら、出産に関連する保障内容を事前にチェックしておきましょう。いざという時になって初めて「給付金がもらえない」と発覚し、後悔してしまうのは嫌ですよね。
保障内容を見直すなら「妊娠前」がベスト。妊娠してからでは「保障内容の変更」や「別の保険への加入」が難しくなります。
https://ins.minkabu.jp/columns/medical-before-childbirth-240510
吸引分娩で出産した場合の給付金申請方法
もし民間の医療保険にて給付金をもらう場合、所定の手続きが必要です。あらかじめ申請方法を把握しておけば、スムーズに給付金を受け取れます。
給付金を請求する際のステップは次の4つです。
加入している保険会社へ連絡する
給付金支払いに必要な書類を揃える
保険会社で給付金を支払うかどうかの審査が行われる
審査に通れば給付金が支払われる
それぞれのステップについて具体的に解説していきます。
加入している保険会社へ連絡する
まずは給付金を受け取りたい旨を保険会社に伝えます。電話やメール、公式サイトから保険会社に連絡可能です。
保険会社に給付金を請求したい旨を伝えると、手続きについて案内されます。その際に保険証券の番号を聞かれることもあります。そのため、保険証券をあらかじめ手元に用意しておくのがおすすめです。
給付金支払いに必要な書類を揃える
次に、保険会社が指定する必要書類を揃えていきます。保険会社から送られてくるものに加え、自分で準備するものもあります。
具体的な書類は保険会社によって異なりますが、一般的には以下のようなものが必要です。
保険金請求書
診断書
領収書
本人確認書類
保険金請求書と診断書は保険会社から送られてきます。保険金請求書は、所定の欄にミスしないよう記入していきます。
注意が必要なのは診断書。診断書は保険会社によってフォーマットが決まっています。医療機関が作成したフォーマットではNGとなることが多いです。
保険会社から送られてきた診断書を医療機関に持ち込み、記入を依頼しましょう。
また医療機関から受け取った領収書は5年間保存しておく必要があります。すぐに捨てずに大切に保管しましょう。
保険会社で給付金を支払うかどうかの審査が行われる
書類を保険会社に提出したら、その内容をもとに審査が行われます。
審査には1〜2週間かかるのが一般的です。ただし混雑状況によっては、さらに日数がかかることもあります。
審査に通れば給付金が支払われる
無事に審査を通過すれば、給付金が指定口座に入金されます。入金されたら金額が正しいかチェックしておきましょう。
もし審査に落ちてしまっても、保険会社から連絡が入ります。長期間待ってもなかなか連絡が来ない場合は、保険会社に確認してみるのもおすすめです。
【一覧表】出産時にもらえる給付金を覚えておこう!
出産時には、申請することでさまざまな給付金を受け取れます。「知らなかった」と損してしまわないよう、保険以外の給付金についてきちんと理解しておきましょう。
出産時にもらえる給付金について、簡単に表でまとめました。
※2024年10月からは、18歳(高校生)までの児童を対象とし、所得制限も撤廃されます。また第3子以降は支給額が月額30,000円に増額されます。
またみんかぶ保険では、出産に関連するさまざまな費用について解説しています。気になるトピックがあれば、ぜひ以下の記事をチェックしてみてください。
赤ちゃんの出産前に医療保険は必要?メリット・デメリットや出産前に加入すべき人の特徴を解説
妊娠中は医療保険に入れる?妊婦が医療保険に加入するメリット・デメリットや注意点を解説
出産費用には保険が適用される?適用されるケースや必要な費用について解説
帝王切開の費用には保険が適用される?必要な費用や医療保険の必要性について解説
まとめ
吸引分娩は公的医療保険が適用され、自己負担費用が少なく済みます。民間の医療保険においても保障の対象となるため、吸引分娩の費用に対する不安をさらに軽減できそうですね。
保険や公的制度を賢く活用すれば、経済的な負担を最小限に抑えられます。もし民間の医療保険が気になる方は、女性向けの医療保険ランキングをチェックしてみましょう。
また「自分にぴったりな保険を見つけたい」という人は、保険のプロに無料で相談するのもおすすめ。専門知識を豊富に持つプロと一緒に、ベストな保険を選べます。