病気や不調になる前に入っておきたい医療保険。とはいえ、いざ病気になってから「入っておいたほうが良かったかも」と実感する方も多いはず。
この記事では、
脂質異常症でも保険に加入できるのか
脂質異常症の人でも加入しやすい保険とは
脂質異常症と診断されてから給付金を受け取るまでの流れ
について、わかりやすく解説していきます。
脂質異常症(高コレステロール)と診断されると保険に入れない?
脂質異常症があっても保険に入れるかどうかは、脂質異常症の症状にもよります。軽い症状であれば一般的な医療保険に加入できるケースもあります。しかし症状が重い場合は入れない可能性が高くなるでしょう。
ではどのような人が保険に入りづらいと考えられるでしょうか?「脂質異常症」の症状とともに解説します。
脂質異常症(高コレステロール)とは?
脂質異常症は、血液の中の脂質のバランスが崩れた状態のことです。「高コレステロール血症」や「高脂血症」の総称として用いられています。
診断基準は次のとおりです。
悪玉コレステロール値が140mg/dL以上
善玉コレステロール値が40mg/dL未満
血中の中性脂肪値が150mg/dL以上
脂質異常症の主な原因は、偏った食生活や運動不足、遺伝などです。放っておくと、動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中になるリスクが高くなります。そのため、定期的に健康診断を受けて、なるべく早く発見し治療することが大切です。
脂質異常症の治療費例|保険適用される療養費はどこまで?
では脂質異常症と診断された場合、治療費はどれぐらい必要なのでしょうか?
実際の治療費は治療内容や病院により異なります。そのため明確に「〇〇円」と結論づけるのは難しいですが、次のような金額が一般的でしょう。
通院:1回あたり1,000〜3,000円程度
入院:1日あたり1万円〜3万円
もし症状が軽く投薬治療を受ける場合、診察料や検査料、薬剤費などがかかります。そのため一般的には、初診は3,000円程度、2回目以降は1,000円〜2,000円程度と考えられるでしょう。
一方で症状が重く入院が必要な場合、治療費も高くなります。入院費用やオプション費用(差額ベッド代・食事代など)は病院によって異なるものの、1日あたりの入院費用は平均で平均25,800円です。
したがって、入院する場合は1万円〜3万円程度が一般的だと考えられます。
脂質異常症で保険に入れるかどうかは保険会社の引受基準によって異なる
保険に入れるかどうかは、各保険会社が決めた基準によって決まります。脂質異常症の場合、コレステロールや中性脂肪の数値、治療状況などが重要なポイントになるでしょう。
保険会社はさまざまな観点から総合的に判断して、加入可否を決めます。脂質異常症でも加入できるケース/加入しづらいケースについて、さらに詳しく確認してみましょう。
脂質異常症でも医療保険に加入できるケース
脂質異常症でも加入できるケースとしては、次のようなものが考えられます。
特定の病気による入院歴が過去にない、もしくは入院から一定期間が経過している
血圧やコレステロール、中性脂肪値が保険会社の基準をクリアしている
保険会社は審査基準を公開していないため、明確なラインをお伝えするのは不可能です。ただし症状が軽く、過去にも大きな病気にかかったことが無い方であれば、一般的な保険に加入できる可能性があります。
脂質異常症で医療保険の加入を断られてしまうケース
逆に、過去に大きな病気にかかった経験がある人や、コレステロール値や中性脂肪値などが基準をクリアできない人は、加入を断られてしまいます。特に入院するほど症状が重い場合は、一般的な保険に加入するのは難しいでしょう。
一般的な保険に入れない場合は、審査基準が緩やかなタイプの保険を選ぶのがおすすめです。どのような保険を選ぶべきかは、このあと詳しく解説します。
脂質異常症と診断されている場合、告知義務はある?
保険に入るときには、脂質異常症と診断されていることを必ず伝えなければいけません。
保険に加入する際、加入希望者は申込時点での健康状態や職業、過去の病歴などを伝えなければなりません。そのような義務を「告知義務」といいます。
脂質異常症の症状も、告知義務の対象です。そのため、コレステロール値や中性脂肪値などを正直に伝えなければなりません。隠したまま加入すると「告知義務違反」となります。
告知義務違反になってしまうケース
告知義務違反に該当するケースの具体例は次のとおりです。
脂質異常症の診断を受けているのに、「健康である」と申告する
服薬していることを隠す
コレステロール値や中性脂肪値を実際より低く申告する
過去の入院歴や手術歴を隠す
症状や過去の病歴については、正直に伝えなければなりません。病気であることを隠したり、実際の診断とは異なる症状を伝えたりするのは絶対にやめましょう。
告知義務違反にならないケース
一方で、診断や治療の状況を正確に伝えているのであれば問題ありません。また告知項目に該当しない場合は、申告する必要はありません。
基本的に保険会社から求められる項目に関して正直に回答すれば、告知義務違反となることはありません。そのため過度に身構えることなく、保険会社からの質問に回答すれば大丈夫です。
また質問に対する自己回答のみならず、健康診断の結果を提出しなければならない場合もあります。その際も、健康診断の結果を指示されたとおりに開示すれば、告知義務に違反することはありません。
つい脂質異常症であることを隠してしまいたくなるかもしれません。それでも、隠さず正直に回答しましょう。
脂質異常症であることを隠して保険加入すると給付金請求等ができないリスクも
告知義務違反がばれると、次のようなペナルティが課せられます。
契約が強制的に解除させられる
請求しても給付金がもらえなくなる
悪質な場合は訴訟に発展することも
告知義務違反が特にバレやすいのは、給付金を請求したタイミング。そのため、もし脂質異常症であることを隠して加入したとしても、いざという時に給付金がもらえない可能性が高いです。
そのようなリスクを避けるためにも、保険に入る際は正直に告知しましょう。
脂質異常症(高コレステロール)でも入りやすい保険は2種類
脂質異常症と診断された方は、脳卒中や心臓病などさまざまな病気を発症しやすい状態です。そのため、大きな病気になる前に保険に加入しておきたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
実は、脂質異常症でも加入しやすい保険は存在します。具体的には次の2つです。
引受基準緩和型保険:告知項目が少なく審査基準が緩やかな保険
無選択型保険:審査が存在せず、誰でも入れる保険
上記2つの保険であれば、脂質異常症でも入りやすいでしょう。それぞれの保険について、より具体的に解説していきます。
引受基準緩和型保険
メリット |
デメリット |
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引受基準緩和型保険とは、一般的な保険よりも告知項目が少ない保険です。そのため、脂質異常症の方でも入りやすいでしょう。
ただし一般的な保険よりも保険料はやや高めであり、保障内容も限定的。無理なく保険料が支払えるか、自身が求める保障内容が揃っているか確認するのがおすすめです。
また給付金額が減少する(もしくは「削減される」)「削減期間」が設けられている保険商品が多いです。いつごろに給付金が請求できるようになるか、加入前に欠かさずチェックしておきましょう。
無選択型保険
メリット |
デメリット |
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無選択型保険は、健康状態に関係なく誰でも入れる保険です。そのため、重度の脂質異常症の方でも加入できます。治療が完了する前に加入しておきたいと考えている方にとっては嬉しいメリットですね。
ただし、保険料が引受基準緩和型保険よりも高く、保障の内容が限られているというデメリットもあります。免責期間も長めに設定されていることが多いです。
【免責期間と削減期間の違い】
免責期間 |
削減期間 |
保障開始日から疾病や持病などの保障が一定期間ないなど保険会社が支払いを免除される期間のこと。免責期間中は保険金・給付金の支払いが無い。 |
保障開始日から一定期間、保険金や給付金が一定の割合で削減(減額)される期間のこと。(1年間は50%に削減など一定割合減額される。) |
したがって、保険料は無理なく支払えるか、保障内容は許容できる範囲であるか必ず確認しましょう。とはいえ、重い脂質異常症や他の病気の治療中である人にとっては心強い保険ですね。
脂質異常症の方におすすめの保険と選び方
自分のニーズに合った保険を選べば、安心して治療に集中できます。とはいえ、どのような保険を選べばいいか迷ってしまう方も多いでしょう。
重要なのは、保険料と保障内容のバランス。具体的には、以下の2つが保険選びにおいて大切なポイントです。
脂質異常症やその合併症がしっかりカバーされているか
保険料は無理なく支払える金額か
適切な保険を選ぶコツと注意点について、さらに詳しく解説します。
まずは一般的な医療保険で加入手続きをしてみる
脂質異常症の方でも、一般的な医療保険に入れる場合があります。そのため、もし治療が完了していなくても、まずは通常の保険で審査を受けてみましょう。治療状況やコレステロール値などの健康状態によっては、加入できる可能性もあります。
一般的な医療保険は引受基準緩和型保険や無選択型保険と比べても、保険料が安く、保障も充実しています。
たとえ審査段階で断られても、他社の審査には影響しません。もし審査を通過できなかったのであれば、引受基準緩和型保険や無選択型保険をあらためて検討しましょう。
保険料は無理なく支払える金額に抑える
保険料は長期的に支払う必要があるため、無理なく支払える金額に抑えるのが重要です。
脂質異常症にかかったのであれば、治療費や通院費など、さまざまな出費を考慮しなければなりません。しかし引受基準緩和型保険や無選択型保険は、保険料が高くなりがちです。
高い保険料を無理して払おうとしても、家計が苦しくなり結局解約する可能性が高いです。保険選びの際は、まず保険料の上限から決めると、保障内容も決めやすくなりますよ。
症状や年齢に応じた保障内容を選ぶ
保険料だけでなく、症状や年齢に合った保障選びも重要です。
症状の重さや治療内容は人それぞれです。重症で合併症リスクが高い場合は、入院・手術費用の手厚い保障が必要でしょう。
逆に軽症なら、入院一時金中心の保障で十分かもしれません。特に若い人は入院期間が短いため、日額より一時金タイプの方がより多くの給付金がもらえる可能性があります。
一方で40代以降の中高年の人は、若年層よりも治療が長引く可能性があります。長期的に働けなくなるリスクも考え、入院給付金の日額を調整しましょう。
医療保険加入中に脂質異常症と診断されたら?給付金の請求手順も覚えておこう
ではすでに医療保険に加入している人が脂質異常症と診断された場合、どのような手続きをすれば給付金がもらえるでしょうか?
詳しい手続き方法は保険会社により異なりますが、一般的には次のようなステップが必要です。
加入している保険会社に連絡して、必要な書類を確認する
給付金請求に必要な書類を集める
必要な書類を保険会社に提出する
保険会社で給付金を支払うかどうかの審査が行われる
審査が通れば給付金が支払われる
それぞれのステップについて、詳しくチェックしてみましょう。
加入している保険会社へ連絡し必要な書類を聞く
診断を受けたら、まずは保険会社に連絡し、ご自身の契約番号や症状などを伝えましょう。給付金はいくら請求できるか、どんな書類が必要かなど、手続きに関する案内が受けられます。
保険会社の電話窓口やインターネットの会員ページから連絡できる場合が多いです。保険証券をあらかじめ用意しておくと、よりスムーズに手続きを開始できます。
給付金請求に必要な書類を揃える
次に、保険会社から指定された必要書類を用意します。
保険会社から送られてくる書類に、ミスが無いように記入しましょう。もし書類に不備があったら修正が必要になり、手続きが長引いてしまいます。丁寧に記入するのが大切です。
また診断書のように、保険会社から送られてくるもの以外に必要な書類も揃えていきます。特に診断書は、保険会社からフォーマットを指定されるケースが一般的です。保険会社から案内されたとおりに、提出する書類を準備しましょう。
必要書類を保険会社に提出する
書類が揃ったら、保険会社に提出しましょう。
書類を提出する方法は、主に郵送とインターネットがあります。提出する前に、ミスが無いか再度チェックしましょう。
保険会社で給付金を支払うかどうかの審査がされる
書類が保険会社に到着したら、その内容をもとに審査が行われます。
審査の期間は保険会社により異なりますが、一般的に一般的に1〜2週間程度です。状況によっては審査が長引いてしまうこともありますが、焦らず審査結果を待ちましょう。
審査が通れば給付金が支払われる
審査をクリアできれば、指定した口座に給付金が支払われます。
給付金の支払事由をクリアしていれば、審査に落ちるケースは少ないでしょう。もし書類に不備があったり、何かしらの理由で審査がクリアできなかったりした場合も、保険会社から連絡が入ります。
書類のミスが発覚した場合は、なるべく早く再提出しましょう。また加入時の告知と同様に、嘘の内容を記入するのはやめましょう。保険会社の調査によりバレてしまう可能性が非常に高いです。
まとめ
脂質異常症でも保険に入れるかどうかは、症状と保険会社の審査基準次第です。症状が軽度であるなら、一般的な保険に加入できる可能性が残されています。そのため、まずは一般的な保険から加入手続きを始めてみるのがおすすめです。
もし加入できなくても、審査基準が緩やかな「引受基準緩和型保険」や「無選択型保険」なら入れる可能性が高いです。保険料や保障内容に注意しつつ、加入する保険を選んでみましょう。
保険選びに迷ったらプロに相談しよう
しかし、やはり保険選びは悩んでしまいがち。保険に関する知識を理解したとしても、保険会社ごとに見積もりを依頼したり保障内容を比較したり……。
保障内容にもさまざまなタイプがあるため、自分にぴったりな保険を選ぶのはひと苦労です。そのため、保険を選ぶ際はプロに頼ってみましょう。
みんかぶ保険では、保険の知識を豊富に持つプロに無料で相談できます。各保険会社の見積もりを一括で依頼したり、保障内容に関してアドバイスを受けたりと、保険選びが一気に楽になるでしょう。
しつこい営業もないので、安心してご利用いただけます。保険選びが大変だと感じたら、気軽に相談してみましょう。
脂質異常症の保険加入に関するよくある質問
脂質異常症でも共済なら加入できますか?
共済に入れるかどうかは、医療保険と同様に「審査基準をクリアできるか」によって決まります。
共済に加入する際も、審査をクリアしなければなりません。血圧やコレステロール、中性脂肪の数値が一定の範囲内に収まっており、かつ他の審査項目もクリアしていれば、共済に加入できます。
したがって、脂質異常症の症状が重い方は、共済に入るのが難しいでしょう。
脂質異常症の治療は保険適用がされますか?
脂質異常症の治療費は、基本的に公的医療保険の対象です。そのため、自己負担額は3割以下に抑えられます。
ただし、以下の費用に関しては公的医療保険が適用されません。
健康診断の再検査費用
サプリメントなどの健康食品の購入費用
先進医療の技術料
上記の費用は全額自己負担となります。とはいえ脂質異常症の場合、通院や入院によって発生する治療費のほとんどは公的医療保険の対象と考えてよいでしょう。