任意保険とは、自賠責保険(強制)の他に「任意」で加入できる自動車保険のこと。
しかし、任意と言われているものの「任意保険への加入は常識・ほぼ必須」という意見も多いのが現実です。
とはいえ、任意保険へ加入すればその分「保険料も高く」なるため、加入すべきかどうか判断しかねている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自動車の任意保険に入らないとどんなリスク・デメリットがあるのか。また、任意保険へ加入すべき「理由」にはどのようなものがあるのかわかりやすく解説します。
そう思った方向けに、任意保険の種類と要否の判断基準も紹介しているので、「自動車保険の補償内容選び」の参考になれば幸いです。
自動車の任意保険に入らないとどうなる?
自動車保険への加入は「常識」という意見も多い中、本当に必要なのか疑問に思っている方も多いと思います。結論として、自動車保険に加入する場合には「任意保険への加入を強く推奨」します。
なぜなら、任意保険に入らないと「自賠責保険で補いきれない損害」が自己負担になってしまうからです。
と思うかもしれませんが、事故を起こしてしまい後遺症を相手方に残してしまうと「数億円単位」の賠償が発生する可能性もあるため、決して「十分」とはいえません。
事例
被害者(17歳・男性)は、原動機付自転車で信号機により交通整理が行われている交差点に赤色信号で侵入したところ、青色信号にしたがって直進してきた加害者が運転する自動車と衝突した。なお、被害者は、ヘルメットの着用をしていなかった。
受傷の程度
急性硬膜下血腫、右大腿・下腿骨骨折等。
脳萎縮が確認でき、学習障害、記憶力、理解力、判断力、問題解決能力の低下、性格変化が認められる。
後遺障害等級は併合第1級と認められた。
保険会社の主張
被害者は、高校中退後間もなく事故にあったのであり、遺失利益の算定にあたっては中卒を前提とし、平均収入の7割に相当する金額で算定すべきである。
被害者はヘルメット着用していなかった、速度超過であった、信号を無視している点を強調し、被害者に5割の過失が認められると主張した。
保険会社の提示金額 約3700万円
解決内容
交渉決裂により訴訟提起。
訴訟では、主に被害者の遺失利益の金額、被害者の過失割合が問題となり、和解不成立。
判決では、被害者の遺失利益が約7800万円と判断され、後遺症慰謝料、将来の付添看護費等を合計して約1億6000万円の損害認められた。
しかし、被害者の過失割合が25%とされ、相当分の減額がなされた。
賠償金額については 約1億2000万円 と判断された。
高額賠償事例:スター総合法律事務所 交通事故による後遺障害事例
任意保険と自賠責保険の違い
そもそも、任意保険と自賠責保険にはどのような違いがあるのでしょうか。
主な違いは「保証範囲の広さ」と「補償される上限金額」の2点です。
表の通り、自賠責保険は最低限の補償しかされず、万が一相手方(人)や物にたいして大きな損害を出してしまった場合、賠償金額を支払えないリスクが非常に高くなってしまいます。
もう少し、任意保険に加入しないことのリスクを深堀してみましょう。
任意保険に加入しないことで想定されるリスクは何がある?
任意保険に加入しない代表的なリスクは以下3つです。
賠償金が支払えないリスク
「相手以外」の補償がされないリスク
故障・事故時に経済的負担が増えるリスク
任意保険は、任意で「事故の相手以外の人・物」を補償することができる保険のため、加入しない場合「相手への損害以外」は自己負担になってしまうリスクがあります。
例:事故で自分に障害が残ってしまったり、手術が必要になった場合に保険金が支払われず自己負担になってしまう。(その他保険でカバーしている場合を除く)
そのほかにも、任意保険には事故を起こしてしまった場合のレッカー代やロードサービス利用料、事故対応などをカバーする機能があるため、加入していないと「事故時の対応面・経済面」でも不安が残ってしまいます。
任意保険へ加入すべきと言われる3つの理由
ここまで紹介した「任意保険に加入しないとどうなるのか」をまとめると、任意保険に加入すべき理由は3つあると結論づけられます。
自賠責保険の補償だけでは足りないから(支払限度額・補償範囲ともに)
事故・故障時の対応やロードサービスが受けられないから
最悪の場合「賠償金」を支払えない可能性が生じてしまうから
特に3つ目の理由「最悪の場合”賠償金”を支払えない可能性が生じてしまうから」が任意保険が必要と言われる最大の理由です。
おさらいもかねて、それぞれの理由を確認してみましょう。
自賠責保険の補償だけでは足りないから(支払限度額・補償範囲ともに)
強制加入の自賠責保険は多くて「4000万円(後遺症を残してしまった場合)」となっており、人に対する保険金額としては低く設定されています。
さらに、対象が「相手方」「同乗者」のみになるため、自分や同乗者、破損・故障させてしまった物(車・ガレージ・塀・店舗など)の修理費・治療費は「自己負担」になってしまいます。
仮に、支払える金額内であったとしても「経済的な大損失」になってしまうことに変わりありません。
万が一の事故を起こしてしまったとき、「自分の経済状況」を守るためにも任意保険は必要なのです。
事故・故障時の対応やロードサービスが受けられないから
事故・故障時に困るのは「お金」だけではありません。
初めて事故をおこしてしまった場合「どこに連絡すればよいのか」「相手と何を話すべきなのか」「警察に逮捕されてしまうのか」など多くの不安が生まれ、冷静に対応するのは困難を極めます。
そんなとき、任意保険に入っていれば損害保険会社へ事故を起こしてしまった旨を伝えるだけで、その後の対応・指示は保険会社が行ってくれます。
こうした、万が一の事態における「適切な対応」のためにも任意保険は必要になります。
最悪の場合「賠償金」を支払ない可能性が生じてしまうから
考え得る最悪のケースは「事故による賠償金を支払ず生活困難になってしまうこと」です。
例えば、自賠責保険に入っているから大丈夫だろうと見込んでいたところ、若い人(20代)を事故で死亡させてしまったらどうなってしまうでしょうか。
死亡事故の賠償金は「死亡による逸失利益」を元に決められます。大まかに説明すると「本来死ななかった場合に得られるはずの利益額」のことです。
働き盛りの20代の方を死亡させてしまったとなれば、その賠償金額は3000万円を超える可能性は十分にあります。
もし、1億円という結果だとしたら「自己負担額は7000万円」です。今手元にお金がない場合は、払い終わるまでずっと支払いを続けなくてはならなくなります。
こうした最悪のケースを避けるためには、「対人・対物賠償保険」の上限額を「無制限」にしたうえで任意保険に加入することが非常に重要なのです。
加入すべき任意保険の種類は何がある?
任意保険には様々な種類の保険がありますが、内容を大きく分けると
メインの補償内容となる「基本補償」
基本補償をカバーするための「特約」
の2種類で構成されています。
メインの補償内容となる「基本補償」
基本補償の内容は、大きく分けて3種類あります。
賠償責任保険 | 相手への補償 | ・対人賠償責任保険(人への補償) |
---|---|---|
傷害保険 | 自分(たち)への補償 | ・人身傷害補償保険 |
車両保険 | 乗っている車への補償 | ・一般型 |
特に「賠償責任保険」は、保険会社でも最重要視されており、任意保険のプランに自動的に付保されていることが多いです。
賠償責任保険では、人とモノ、どちらに対しても無制限で補償額を設定することができます。また、運転手本人に対する補償も自動的にセットされることが多いです。
一方、車両保険は、車種や購入からの経過年数などによって必要性は変わってきます。車両保険の要否に関しては以下の記事で詳しく解説しているため参考にしていただければ幸いです。
基本補償をカバーするための「特約」
そして基本補償に対するオプションとして、任意保険には幅広い「特約」が用意されています。
例えば、
事故にまつわる弁護士費用への補償
自然災害による車の損害への補償
車に乗っていないときの怪我や事故への補償
など、さまざまな特約があります。自身の運転頻度や生活スタイル、車を運転する上で不安に思うポイントと照らし合わせて、必要な特約を選びましょう。
任意保険で保険料が上がるのが嫌な場合はどうしたらよい?
自賠責保険の不足分を大きくカバーしてくれる任意保険ですが、加入した場合の保険料は高くなります。
特に、加入者が免許証を取得してからまもない場合は、比較的高い保険料になってしまいます。
しかし、仮に死傷事故を起こしてしまったとしたら、保険料よりもはるかに高額な賠償金を支払う必要性が生じてしまいます。
過去に起こった高額賠償の判決例として、以下のものが挙げられます。
男性の生涯年収は平均で約3億円と言われていますが、それをはるかに超える賠償金を支払わなければならない可能性があるということです。
生涯をかけても支払いきれない賠償金を背負うような事態を、毎月数千円の支払いで避けると考えてみてください。自分の生活や将来のために、必要なコストだと言えるでしょう。
任意保険の保険料を少しでも抑えるためには一括見積もりがおすすめ
ここまで、任意保険の必要性や内容についてお伝えしました。
しかし、様々な保険会社が用意するプランの中から、自分に合ったものを見つけるのは簡単ではありません。
各社の保険内容に目を通し、見積もりを1社ずつ依頼し、保険料を比較して…と、自力で見つけるのはとても骨の折れる作業です。
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