自動車保険を選ぶときに欠かせない知識のひとつ「等級(ノンフリート等級制度)」。
結論からいうと、等級とは階級に応じて自動車保険料を割引・割増する「重要な要素」です。
この記事では、自動車保険の等級とは何なのか、基本知識から保険料との関係までわかりやすく解説します。
自動車保険の等級(ノンフリート等級制度)とは?
自動車保険の等級とは、「保険料の割引・割増率を決めるための区分」のことで、正式には『ノンフリート等級別料率制度』といいます。
個人(※契約台数が9台以下)が加入する「自動車保険の保険料を決める大きな要因=等級」という理解ができていれば問題ありません。等級によって保険料がどれくらい変わるかは、次章でわかりやすく説明します。
ノンフリート等級制度が設けられている理由は、保険料の公平性を担保するためです。
明確な区分を設けて、平等に自動車保険料を定めるために等級が存在しているのですね。
等級制度の仕組み
次は「等級」が保険料にどんな影響を与えるのか、等級制度の「仕組み」を理解していきましょう。
自動車保険の等級は20段階で割引率・割増率が決まる
自動車保険の等級は「20段階※」に分けられています。
初めて自動車保険に加入する場合は「6等級」に区分されるので覚えておきましょう。等級ごとの具体的な割引増率は、下の表を目安として確認してみてください。
※一部の共済では22等級まで定められています。
例:楽天損保 ドライブアシスト くるまの保険の場合
等級表にある通り、等級が上がれば上がるほど保険料もこ安く抑えられます。
等級は1年間自動車保険を使わず、保険金を受け取らなかった場合に1等級上がる仕組みになっています。
保険料を節約するためにも、安全運転を心がけ、等級をあげていきたいですね。
自動車保険の等級表の見方
自動車保険の等級表で抑えておきたいポイントは、「無事故」か「事故有」かによって割引率が変化する点。
無事故と事故有の判断基準として、自動車保険では「事故有係数」と「無事故係数」という判定基準が設けられています。
等級における無事故係数と事故有係数とは?
まずは簡単な「無事故係数」について。無事故係数とは、無事故の際に採用される係数のことです。
※係数…任意の数値にかける一定の数のこと
次に、少々複雑なのが「事故有係数」。事故有係数とは、仮に事故を起こしてしまった場合に◯年間採用される係数を指します。
等級表を%ではなく「1」を基準とした数値に戻したものが係数です。
そして、◯年間にあたる部分は、「事故有係数適用期間」と呼ばれています。
事故有係数の基本ルール
- 事故有係数適用期間は「0年〜最大6年」
- 0年の場合は無事故係数が適用される
- 事故有係数適用期間は「1等級ダウン事故、3等級ダウン事故」を起こした際に加算される。
- 1等級ダウン事故では「1年」、3等級ダウン事故では「3年」の事故有係数が加算される
ここで「1等級ダウン事故」「3等級ダウン事故」という言葉が出てきましたね。
これらについては次の章で解説しますので、まずは「事故有係数はこういうものなのか」という理解ができていればOKです。
1等級ダウン事故・3等級ダウン事故・ノーカウント事故とは?
前述の「事故有係数期間」を決めるのが、以下3種の事故です。
- ノーカウント事故
- 1等級ダウン事故
- 3等級ダウン事故
それぞれどんな事故内容なのか簡単に説明します。
ノーカウント事故
ノーカウント事故は、等級に影響のない事故のこと。どんな事故が該当するかは自動車保険によって異なりますが、以下の条件を設けている場合が多いです。
- 人身傷害保険
- 搭乗者傷害特約(傷害一時金、死亡・後遺障害)
- ファミリーバイク特約
- 弁護士特約
- 個人賠償特約など
保険金支払いが生じない事故、もしくは自分で自動車保険を使わなければ、翌年に等級は1つあがるということです。
1等級ダウン事故
1等級ダウン事故はその名のとおり「等級が1下がる(事故有係数適用期間が1年加算される)」事故のこと。
- 盗難
- 落書き・飛び石による窓ガラス破損・いたずら
- 飛来中または落下中の他物との衝突
- 台風・竜巻・洪水・高潮
- など
契約者の故意ではなく、外部要因によって自動車保険の保険金支払いが発生してしまった場合は1等級ダウン事故として判定されることが多いです。
3等級ダウン事故
3等級ダウン事故は「等級が3下がる(事故有係数適用期間が3年加算される)」事故のこと。
自分の過失で「他人を死傷させた」「他人の所有物を壊した」「自損事故を起こした」場合には、3等級ダウン事故として判定されることがほとんどです。
また、3等級もダウンしてしまうと、元の等級に戻るまで「4年」もかかってしまいます。保険料の観点からも避けたい事故区分といえます。
等級が上がる・下がるのはどんなとき?
等級が上がる条件、下がる条件をより詳しく、「具体的にどんなケースだと等級が上がったり下がったりするのか」解説します。
等級が上がるケース
等級が上がる条件はシンプルで、無事故(ノーカウント事故を含む)で保険金支払いがなければ、翌年から1等級あがることになります。
等級が上がれば上がるほど自動車保険料を抑えられるため、安全運転を心がけたいですね。
等級が下がるケース
等級が下がるケースは以下の2パターン。
1等級ダウン事故 |
などにより保険金支払いが発生 |
---|---|
3等級ダウン事故 |
などにより保険金支払いが発生 |
つまり、損害保険会社から「保険金」の支払いが発生した場合には、等級が下がるということです。
等級によって保険料はどれくらい差がでる?
等級表の%や係数で言われてもいまいち「どれくらい保険料が変わるのか」イメージがつきづらいと思います。
簡単なシミュレーション結果で確認してみましょう。
条件
等級は10等級(無事故)
年間保険料は5万円
シミュレーション例【3パターン】
無事故の場合
1等級ダウン事故を起こした場合
3等級ダウン事故を起こした場合
無事故のまま翌年契約を継続した場合
11等級にあがり割引率※が「45%→47%」になるため、年間保険料は「48,181円(-1,819円)になります。
1等級ダウン事故を起こしてしまった場合
翌年から9等級にダウンしてしまうため、割引率は22%(-23%)、年間保険料は「70,909円(+20,909円)になってしまいます。
3等級ダウン事故を起こしてしまった場合
翌年から7等級にダウンしてしまうため、割引率は20%(-25%)、年間保険料は「72,727円(+22,727円)になってしまいます。
上記シミュレーションの通り、等級は保険料に大きく影響を与えます。
特に事故を起こしてしまい「保険金支払い」が発生してしまうと、翌年からの負担額が大幅に増えてしまうので注意しましょう。
※割引率は参考値です。
自動車保険の等級の調べ方
肝心な自分の等級の確認方法ですが、主に2つの確認方法があります。
- 自動車保険証券を確認する
- 加入している損害保険会社のマイページから「デジタル保険証券」を確認する
自動車保険料を安くするために知っておきたい等級の知識
最後に、自動車保険料を安くするために知っておきたい「等級の知識」を皆さんにお伝えします。
知っておくと「お得」な等級の知識
- 等級は引き継ぎが可能
- 2台目以降の契約は「7等級」から可能
- 2台持ちの場合は「セカンドカー割引」の利用を!
- その他割引が使える損保もあるので要チェック!
等級は引き継ぎが可能
等級は、自分に対してだけでなく「同居親族」にも引き継ぐことができます。
特に、免許を新しく取得した・新しく車を買った方が初めて自動車保険に加入する場合、同居親族の等級を引き継ぐことで、保険料を安く済ませられる可能性が高まります。
2台目以降の契約は「7等級」から可能(セカンドカー割引)
新規契約の場合は「6等級から」と説明しましたが、2台目の契約時には「7等級」から始められる「セカンドカー割引」があります。
複数車を所有していて、自動車保険に加入する際はセカンドカー割引を活用しましょう。
その他割引が使える損保もあるので要チェック!
損害保険会社によっては、さまざまな割引制度を用意しているところもあります。
例えば「楽天損保 くるまの保険 ドライブアシスト」では、以下のような割引制度が用意されています。
- インターネット割引
- ゴールド免許割引
- 運転者本人・配偶者限定割引(特約)
- 運転者本人限定割引(特約)
- 自動ブレーキ割引
- 新車割引
ちょっとした工夫で割引特典が受けられる可能性があるので、自動車保険を選ぶ際は「使える割引がないか」を漏れなくチェックしてみましょう。
自動車保険の見直し・乗り換えは「一括見積もり」がおすすめ
今回は、自動車保険における「等級」について解説しました。
ただ、等級の割引率や補償内容を、1社1社比較するのは非常に手間がかかる作業です。
自動車保険を選び直すのが面倒だからという理由で、今の保険を継続している方もいると思います。
そこでおすすめしたいのが「一括見積もり」です。みんかぶ保険では自動車保険の一括見積もり機能を提供しています。無料で使えるのでぜひ活用しましょう。
自動車保険の等級に関するよくある質問
1等級になった場合の保険料はどうなりますか?
保険料が64%割増になってしまいます。10万円の保険料が16万4000円になる計算ですから、安全運転を心がけ等級キープまたは、アップを目指すことをおすすめします。
20等級になったらどれくらい保険料が安くなりますか?
無事故係数が採用されている場合は63%、有事故係数の場合は51%割引になります。また保険料の相場は「3万円〜6万円」です。