いつも通り車に乗ろうとしたら、自分の車がない……。
あまり想像したくない出来事ですが、この記事に辿り着いた読者の中には、そのような状況で慌ててしまっている方もいらっしゃるでしょう。
お気に入りの車が何者かによって盗難されてしまった時、いったいどのようにすればいいのでしょうか。さらには、どのような補償が受けられるのか、どこでどのような手続きが必要なのかなど、分からないことや不安なことも多いはず。
今回は、自分の車が盗難された際に使える保険や手続きについて、詳しくご紹介します。実際に盗難にあってしまった場合でも、なるべく落ち着いて対処していきましょう。
さらに、盗難が心配な方のために、私たちにできる盗難対策についても併せてご紹介しています。ご自身の車が盗まれないか心配な方は、ぜひこちらもチェックしてみてください!
車の盗難時には「車両保険」が使える
車が盗難に遭ってしまったとき、「保険による補償を受けることができるかどうか」は非常に重要ですよね。
結論から申し上げると、車が盗難された場合においては車両保険の補償対象となります。車両保険を利用すると、重大な過失が無い場合は全損扱いとして認定され、決められた保険金額を満額で受け取ることが可能です。
特約を使えば「車上荒らし」も補償対象に
一方、車そのものではなく車内の物が盗まれる「車上荒らし」については、車両保険が適用されません。
ただし、多くの保険会社では「車の中に置いてある物」が壊れたり盗難されたりした時のための特約を用意しています。車上荒らしに遭った場合は、契約している特約の内容を確認してみましょう。
車が盗難されたら、保険金はいくら受け取れる?
では実際に、車が盗難されて車両保険を使う場合、どれくらいの保険金が受け取れるのでしょうか?さらに詳しくチェックしてみましょう。
設定されている車両保険金額が全額支払われる
車両保険では、契約内容や車両に応じて「支払われる保険金額の上限」が設定されます。具体的には、盗難や事故に遭った時点での車の市場価格を基準とし、保険金の額が決まります。
車が盗難された際は「全損扱い」となるため、設定された保険金額が上限まで全額支払われるのが一般的です。
被害額が全て支払われるとは限らない
「車両保険を利用すれば、買い替えに必要な費用はすべて保険会社が支払ってくれる!」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、保険金の金額は保険会社の基準で決められ、購入から年数が経つほど上限額は下がります。そのため、実際の販売価格より低い金額が支払われることも多く、注意が必要です。
車両保険で受け取れる保険金についての詳細は、以下の記事で解説しています。
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車が盗難された際の対応の流れ
次に、もし車が盗難されてしまった場合、どのように対処すべきかを説明します。
停めていたはずの車がなくなってしまった時は、動揺のあまり頭が真っ白になってしまうでしょう。具体的な手順を分かりやすく解説するので、できるだけ落ち着いて対処しましょう。
まずは警察に通報する
まずは110番通報し、警察の到着を待ちます。警察とのやり取りが終わったら、最寄りの交番や警察署で盗難届を提出しましょう。
自動車の盗難届を提出する際は、印鑑と自動車登録番号(ナンバープレートの番号)などの情報が必要になります。そのため、事前に車検証のコピーを用意しておくのがおすすめです。
また、盗難届の提出時に発行される受理番号はその後の手続きでも重要になるため、忘れずに管理しましょう。
保険会社に連絡し、調査がスタート
次に、保険会社に車が盗難された旨を伝え、保険会社による調査に進みましょう。盗難時の状況や車の保管方法について保険会社が調べた上で、保険金の支払いの有無が決定されます。通常、調査完了から保険金の受け取りまでには1〜2ヶ月かかります。
車の所有者を変更し、保険金の受け取り
保険会社の調査が完了し、車両保険の利用が可能だと判断された場合は、保険会社から保険金を受け取ることができます。その際、盗難された車の所有者が保険会社に変わるため、名義変更の手続きが必要です。保険会社から指定される必要書類を揃え、提出しましょう。
その後、保険会社から指定された口座に保険金が振り込まれます。
車を盗難された時の注意点やポイント
車が盗難され、車両保険を利用する際には、いくつかの確認が必要です。車両保険を使う前に、一度確認しておきましょう。
保険金が支払われないケースに注意
車が盗難に遭っても、保険金が支払われないことがあります。それは、「無過失」であるかどうかが厳密にチェックされるためです。
無過失とは、「他人が車を盗めそうな隙が全くない状態で盗難被害に遭った」ということを指します。つまり、「盗難防止対策が十分ではなかった」と判断された場合、保険金は支払われません。
保険金が支払われないケースの例
- 自宅に忘れ物があったため、2分間エンジンをかけたまま路上駐車した
- スペアキーの管理が不適切で、窃盗犯に渡ってしまった
- コンビニに駐車したが、施錠を忘れていた
車の盗難防止のためにも、車や鍵の管理には注意が必要です。
保険を使うと等級が下がる
車両保険を利用すると、盗難に遭った場合でも等級が下がってしまいます。保険の更新日に等級が1つ下がるため、その分支払う保険料は高くなってしまいます。
盗難された車が見つかったら?
盗難された車が見つかった場合、発見のタイミングによって手続きや保険金の処理方法が変わります。
発見のタイミング対応保険金が支払われる前修理して乗るか、保険金を受け取るかを選ぶ保険金支払い後60日以内保険金を返金するか、そのまま受け取るかを選ぶ保険金支払い後60日経過後保険金の受け取りのみ。
発見のタイミング | 対応 |
---|---|
保険金が支払われる前 |
修理して乗るか、保険金を受け取るかを選ぶ |
保険金支払い後60日以内 |
保険金を返金するか、そのまま受け取るかを選ぶ |
保険金支払い後60日経過後 |
保険金の受け取りのみ |
保険会社によって基準日数や対応の流れは異なるため、詳しくは契約内容を確認してください。保険金を返金すれば、等級に影響がないことが多いです。
車の一部が盗難されても車両保険は使える
車そのものではなく、タイヤやナンバープレート、カーナビなど車の一部が盗難されるケースもあります。そのような場合でも、車両保険を利用することが可能な場合もあります。
先述の通り、警察や保険会社に連絡し、対応を行ってください。
車の盗難を防ぐためにできることは?
車の盗難に対しては、防止するためにいくつかの対策をとることができます。
「車の鍵を閉め忘れなければ大丈夫」と考える人もいるかもしれませんが、鍵をきちんと閉めていても、車の盗難を完全に防ぐことはできません。愛車を守るためにも、きちんと備えておきましょう。
「レクサス」や「ランドクルーザー」は盗難件数が多い
高級車や人気車種は特に盗難のターゲットになりやすく、統計でもその傾向が明らかになっています。一般社団法人日本損害保険協会が発表した「第23回自動車盗難事故実態調査結果」において、2021年の盗難件数が最も多い車種は「ランドクルーザー」。次いで「プリウス」「レクサス」も上位に挙がっています。
盗難件数が比較的多い車種においては、特に盗難対策を強化することが推奨されます。
車の施錠を忘れずに
何よりもまず、車の施錠を忘れないことが大切です。うっかり忘れてしまうこともありますが、日頃から車を降りる際には鍵をきちんと閉めるよう心がけましょう。
車を駐車する場所に気をつける
屋外駐車場は屋内に比べて盗難のターゲットになりやすいです。第22回自動車盗難事故実態調査結果によると、屋内での盗難が数%であるのに対し、屋外の自宅駐車場では37.3%、屋外の契約駐車場での盗難は40.5%にまでのぼります。
車を駐車する場所を選ぶ際は、可能な限り屋内駐車場を利用することで、盗難リスクを減らすことができるでしょう。
スマートキーの「電波」に注意
スマートキーの電波を悪用し、車のロックを解除する「リレーアタック」という犯罪手法には十分に注意が必要です。車を離れる際には、周囲に不審な人物がいないか確認しましょう。さらに、電波を遮断する「スリープモード」機能がある鍵の場合は、活用することがおすすめです。
盗難防止装置やセキュリティサービスの利用もおすすめ
「ハンドルロック」のように、車のハンドルを固定して動かせなくする盗難防止装置を購入して利用することも、盗難防止策のひとつです。さらに、車メーカーや車種によっては、GPSを使ったセキュリティサービスが提供されている場合もありますので、心配な方は利用を検討してみてください。
よくある質問
車両保険をつけると、保険料はどれだけ高くなりますか?
車両保険への加入によって増える保険料は、契約車のタイプや購入からの経過年数など、さまざまな要素に影響されます。具体的な金額はケースバイケースですが、目安として年間で3〜5万円程度高くなると考えられます。
より詳細に知りたい場合は、「一括見積もり」を利用して保険の専門家に相談してみてください。
車両保険の使用時に受け取れる保険金額を確認することはできますか?
盗難の際には、基本的に設定された上限額まで全額支払われることが一般的です。具体的な金額を知りたい場合は、契約している保険会社に問い合わせてみましょう。
車が盗難されてから車両保険に加入すれば、保険金を受け取れますか?
残念ながら、盗難後に車両保険に加入しても補償を受けることはできません。盗難のリスクが心配で、適切な補償を用意しておきたい方は、事前に車両保険に加入しておくことをお勧めします。
高級車は車両保険に加入すべきですか?
高級車は盗難のターゲットになりやすく、修理費用や買い替え費用も高額になるため、車両保険への加入でリスクが大幅に軽減されると言われています。加入するかどうかは最終的に契約者が決めることができます。万が一の事態に備えたい方は、車両保険への加入を検討してみてください。