自動車保険の補償内容選びで迷うのが、車両保険をつけるかどうか。
そう悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
- 車両保険の有無で、年間保険料は3〜5万円ほど変わる
- 補償されるのは「事故や故障をした時点」の車の価値であることに注意
- 車齢が9年、13年になったタイミングで車両保険を外す方が多い
- 割引制度や支払い方法を工夫して保険料を抑えよう
車両保険はいらないと言われる5つの理由
車両保険の補償内容
車同士の事故で、契約車両が壊れた
契約車両に落書き・いたずらされた
契約車両が盗難に遭った
ガードレールで車両をこすってしまった ※一般型のみ
当て逃げされた ※一般型のみ
外部から物が飛んできて、傷がついた
火災により車両に損害があった
台風による豪雨により機械式駐車場ごと水没した
この補償内容を見ると「やっぱり必要なのでは?」と思うかもしれません。しかし、車両保険がいらないと言われる理由を知らずに付帯すると、後悔してしまう可能性があります。
まずは、車両保険がいらないと言われる5つの理由を確認しましょう。
車両保険がいらないと言われる5つの理由
- 保険料への影響が高く、修理費よりも高くなる可能性があるから
- 車の価値は年々下がっていくから(減価償却していく)
- 被害額の全額を補償されるとは限らないから
- 車両保険をつかってしまうと「翌年以降の保険料」が上がってしまうから
- 軽い事故の場合だと、自己負担額がほとんど減らないケースがあるから
特に注意して読んでいただきたいのが「保険料」と「補償される金額」のバランスです。
1. 保険料への影響が高く修理費よりも高くなる可能性があるから
車両保険を付帯すると、その分 保険料は高くなります。
年齢や等級により車両保険の保険料は異なるものの、大体「年間3万円〜5万円」ほど保険料が高くなると考えてください。
※集計期間:2015年11月21日~2023年3月14日
※集計対象:株式会社フィナンシャル・エージェンシー経由で自動車保険を契約したお客様の契約内容
年額2〜6万円の差ということは、5年加入した場合には「10〜30万円」も保険料が増えてしまいます。
もちろん、車両保険を付帯しておいた方が安心感は高まります。しかし、数万円〜数十万円のコスト差が生まれてしまうのは、どうしても経済面ではネックになってしまいますね。
この「保険料に与える影響が大きいこと」こそが、車両保険はいらないといわれる大きな理由の一つです。
自分が乗っている車種だと車両保険で保険料がいくら上がるか、具体的に知りたい方は見積もりを取ってみましょう。
2. 車の価値は年々下がっていくから(減価償却していく)
車両保険に入っていれば「新車の購入代金分」が補償されると思っていませんか?
しかし、車両保険で補償されるのは「事故や故障をした時点」の車の価値です。つまり、車の価値が下がる(減価償却する)につれて、補償される金額も少なくなっていきます。目安としては、1年ごとに「20%」ほど下がってしまいます。
減価償却による車両保険金額イメージ※
【新車購入の場合】
新車の車両保険金額は、以下の計算式で算出されます。
車両の本体価格(市場価格)+ 付属品(エアコン、カーナビ、ETC車載器など)= 車両保険金額
※あくまで減価償却の目安です。実際の減価償却とは多少の乖離が生じますのでご注意ください。
【中古車購入の場合】
中古車の場合は「該当車両の市場価格」をもとに車両保険金額が決定されます。この場合の市場価格は、オートガイド自動車価格月報(通称:レッドブック)を元に算出されるケースが多いです。
ただし、注意点が2つあります。
注意点
- 購入価格=市場価格とは限らない(乖離が生じる可能性がある)
- 販売から年数がかなり経っている(10年以上)と、20万円〜30万円ほどの保険金しかかけられない場合が多い
つまり、オークションなどでプレミアム価格(プレ値)で流通しているものを購入したとしても、保険金額が購入価格を大きく下回る可能性があるということです。
ですから、中古車に車両保険をつける場合は、「車両保険金額」と「事故・故障時に想定される費用」のバランスを確認することが重要です。
3. 被害額の全額を補償されるとは限らないから
車両保険を付帯していても、被害額の全額が補償されるわけではありません。補償されるのは「車両保険金額」を上限とした範囲内の金額です。
車両保険金額は減価償却していくため、保険金額は年々減価していきます。
さらに、車両保険では「免責金額」という、一定額までは自己負担をして、免責金額を超えた分に関しては保険会社が負担する仕組みがあります。
そのため、
- 車両保険金額の減価償却
- 免責金額の設定
上記2点を踏まえると、結果として自己負担が大きくなる可能性が生じてしまいます。よって「車両保険はいらない」という意見があるのです。
とはいえ、安易に「じゃあ車両保険はいらないな」と判断しないようにしましょう。
車両保険は「いる?いらない?」判断基準は「保険料と補償のバランス」の章を先に読む
4. 車両保険をつかってしまうと「翌年以降の保険料」が上がってしまうから
車両保険に入っていても、保険金をもらうと、保険料の観点から実質的な負担額が大きくなる可能性があります。それもまた「車両保険がいらない」と言われている理由の一つです。
車両保険は、いざというときの修理費をカバーしてくれる補償ですが、車両保険を使って保険金の支払いが生じると、1または3等級下がってしまう点に注意が必要です。
等級が下がってしまうと「有事故係数」が加味された保険料が適用されてしまい、翌年以降の保険料が高くなります。
5. 軽い事故の場合だと自己負担額がほとんど減らないケースがあるから
自動車保険では、前述の通り「免責金額(自己負担する金額)」を決めることができます。免責金額は「0円〜10万円」で設定されることが多く、高く設定しておくほど保険料が抑えられます。
しかし、免責金額を加味せずにそう考えないよう注意しましょう。軽度の故障の場合、免責金額とほぼイコールの修理代になり、保険料の払い損に近い状況になってしまうからです。
「車両保険=軽微な故障も保険金で賄える」と考えていると、等級が下がってしまい、「上がった保険料+免責金額>修理代」という状況になりかねません。
つまり、車両保険は全損など「大きな事故・故障」に関しては強い味方になるものの、軽微な故障などには弱いということです。
車両保険は「いる?いらない?」判断基準は「車両価値と補償範囲のバランスそしてローン残高の有無」
車両保険の有無を判断する基準は、「車両の価値と保険料のバランス」「ローン残高の有無」の2点です。
前述の通り、車両保険は車の「時価」によって補償金額が左右されます。そのため、補償金額と保険料額のバランスがとれているか(車両価値を保険料が超えていないか)をしっかりと確認する必要があります。
車両保険が必要なケース
車両保険が必要・付帯させた方が良い、主なケースはこちら。
- 新車・高級車の場合
- 運転歴が浅く、統計的に「事故のリスク」が高い場合
- ローン残高が30%以上残っている場合
新車・高級車の場合
新車や高級車の場合、車両価値も高いため「補償金額」が保険料よりも高くなる可能性が高いです。
登録から10年以上経っている高級車などは例外ですが、その他に新車、高級車を使用している場合は「車両価値が減価して補償金額が少なくなるまで」という条件付きで車両保険を付帯させるのがおすすめです。
運転歴が浅く、高齢など統計的に「事故のリスク」が高い場合
上記データからわかる通り、運転歴が浅い「16歳〜29歳」までの事故件数は、他の年齢区分と比べて多くなっています。つまり、運転歴が浅い方は「事故のリスク」が統計的に高いということ。一方で、65歳以上の区分を皮切りに再び事故のリスクが高くなっていることもわかります。
ですから、まだ運転歴が浅く運転に自信がない方や、運転スキルが落ちてきたと感じる高齢ドライバーの方も、車両保険を付帯させておいたほうが安心できるといえます。
ローン残高が30%以上残っている場合
仮に、ローン残高が残っている状態で、「廃車」になってしまうような事故を起こしてしまったとしましょう。
すると「買い替えの自己負担額+ローン返済」が必要になり、二重にお金を払わなければいけなくなります。
こうした事態を避けるためにも、目安として「ローン残高が30%以下」になるまでは車両保険をつけておいた方が安心です。
車両保険を外すといくら保険料は安くなる?
車両保険の有る・無しで、年間の自動車保険料は3〜5万円程度 変わります。
運転者の年齢、車種、登録からの年数などで金額は変わりますが、目安として「3〜5万円程度」と考えてください。
もし、車両保険をつけるかつけないか迷っている場合は、一括見積もり申し込みで「保険のプロ」に相談してみましょう。車種や運転者の情報を踏まえて、あなたにぴったりな保険を案内してもらえます。
車両保険を外すのにおすすめのタイミングはいつ?
車両の価値の変化を加味して「補償される金額 < 車両の修理・買い替えにに必要な金額」になったタイミングで外すのがおすすめです。
具体的には、車齢が9年、13年になったタイミングで外す方が多い傾向にあります。理由は、車齢とともに車両価値が低くなるため、補償金額が十分でなくなるケースが多いからです。
※集計期間:2015年11月21日~2023年3月14日
※集計対象:株式会社フィナンシャル・エージェンシー経由で自動車保険を契約したお客様の契約内容
使っている車種にもよりますが、補償金額が数万円程度になったときには、車両保険を外す選択がかしこいと言えそうですね。
車両保険を外す以外で保険料を抑える方法とは?
自動車保険の保険料を抑える方法は、「車両保険を外すこと」以外にもあります。
保険料を抑える主な方法
- 各種割引制度を使う
- 支払方法を工夫する
- 自動車保険の相見積もりをしっかりとる
各種割引制度を使う
損害保険会社によって、自動車保険には割引制度が用意されています。
<割引制度の一例>
- ノンフリート多数割引
- ドラレコ継続割引
- 1DAYマイレージ割引(24時間自動車保険無事故割引)
- ゴールド免許割引
- 新車割引
- ASV割引
- ECOカー割引
- セカンドカー割引
割引制度をうまく活用することで保険料を下げつつ、必要な補償を付帯させることができるのでおすすめです。
支払方法を工夫する
自動車保険に限らず、保険は「一括支払い(年払い)」で払った方が、月払いよりもお得(割安)になることが多いです。
さらに、ポイント還元のあるクレジットカード払いを設定しておけば「一括払いによる割引+ポイント還元」が得られて一石二鳥です。
自動車保険の相見積もりをしっかりとる&保険会社の見直しをする
最後のポイントは「相見積もり・自動車保険の定期的な見直し」をすることです。
相見積もりや見直しをすることで「あなたにベストと考えられる」補償を受けることができます。
自分で何社にも見積もり依頼を出して、情報をまとめるのは一苦労です。そんな時は「一括見積もり機能」を活用しましょう。1人のFPが担当しますので、複数の保険会社から大量にメールが届くこともなく、気軽に利用いただけますよ。
まとめ
今回は、車両保険がいらないと言われている理由について解説しました。車両保険の要否を調べているということは、きっと「保険料を安くしたい」と考えているのではないでしょうか。
もし、そうであれば一度見積もりを取り、専門知識を豊富に持っている担当者にいろいろ質問してみるのがおすすめです。
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