自動車保険の補償内容選びで迷うのが「車両保険をつけるかどうか」
「もし事故に遭ったり起こしてしまった場合を考えると必要なのかな、でもいらないという意見もよく目にするし…」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、以下の車両保険に関する疑問4点を中心に解説していきます。
- 車両保険がいらないと言われる理由
- 車両保険の要否を判断するポイント
- 車両保険を外した場合の保険料
- 車両保険を外すのにおすすめのタイミング
車両保険はいらないと言われる5つの理由
車同士の事故で、契約車両が壊れた
契約車両に落書き・いたずらされた
契約車両が盗難に遭った
ガードレールで車両をこすってしまった(「一般型」のみ)
当て逃げされた(「一般型」のみ)
外部から物が飛んできて、傷がついた
火災により車両に損害があった
台風による豪雨により機械式駐車場ごと水没
関連記事:車両保険とは?必要性や判断基準、加入前に知っておきたい注意点を解説
この補償内容を見ると「やっぱり必要なのでは?」と思うかもしれませんが、車両保険がいらないと言われる理由を知らずに付帯すると「後悔」の原因になる可能性があります。
まずは車両保険がいらないと言われる「5つの理由」を確認していきましょう。
- 保険料への影響が高く修理費よりも高くなる可能性があるから
- 車の価値は年々下がっていくから(減価償却していく)
- 被害額の全額を補償されるとは限らないから
- 車両保険をつかってしまうと「翌年以降の保険料」が上がってしまうから
- 軽い事故の場合だと自己負担額がほとんど減らないケースがあるから
特に注意して読んでいただきたいのが「保険料」と「補償される金額」のバランスです。
保険料への影響が高く修理費よりも高くなる可能性があるから
車両保険を付帯するとその分保険料は高くなります。
年齢や等級により車両保険の保険料は異なるものの、大体「年間3万円〜5万円」ほど保険料が高くなると考えてください。
SBI損保:車の保険料の相場、初めての場合はどれくらい?(https://www.sbisonpo.co.jp/car/guide/grade-system/grade-system03.html )をもとに株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが作成
年額3~5万円の差ということは、5年加入した場合には「15~25万円」も支払う保険料が増えてしまいます。
もちろん、車両保険を付帯しておいた方が「安心感」は高くなります。しかし、「数万円〜数十万円のコスト差」が生まれてしまうのは経済面ではネックになってしまいますね。
この「保険料に与える影響が大きい」のが、車両保険はいらないといわれる大きな理由の一つです。
車の価値は年々下がっていくから(減価償却していく)
車両保険に入っていれば「新車の購入代金分」が補償されると思っているかもしれません。
しかし、車両保険で補償されるのは「事故や故障をした時点」の車の価値です。つまり、車の価値が下がる(減価償却)するにつれて、補償される金額も少なくなっていきます。
目安としては1年ごとに「20%」ほど車両の評価額は下がってしまいます。
【減価償却による車両保険金額イメージ※】
新車購入の場合
新車の車両保険金額は以下の計算式で算出されます。
車両の本体価格(市場価格)+付属品(エアコン、カーナビ、ETC車載器など)=車両保険金額
※あくまで減価償却の目安です。実際の減価償却とは多少の乖離が生じますのでご注意ください。
中古車購入の場合
中古車の場合は「該当車両の市場価格」をもとに車両保険金額が決定されます。この場合の市場価格はオートガイド自動車価格月報(通称:レッドブック)を元に算出されるケースが多いです。
ただし、注意点が2つあります。
- 購入価格=市場価格とは限らない(乖離が生じる可能性がある)
- 販売から年数がかなり経っている(10年以上)と20万円〜30万円ほどの保険金しかかけられない場合が多い
つまり、オークションなどでプレミアム価格(プレ値)で流通しているものを購入したとしても、保険金額が購入価格を大きく下回る可能性があるということです。
ですから、中古車に車両保険をつける場合は「車両保険金額」と「事故・故障時に想定される費用」のバランスを確認することが重要。
バランスの確認は、見積もりを取って保険のプロに相談するのが1番手っ取り早く、確実に疑問を解決できますよ。
被害額の全額を補償されるとは限らないから
車両保険を付帯していても、被害額の全額が補償されるわけではありません。補償されるのは「車両保険金額」を上限とした範囲内の金額です。
車両保険金額は減価償却していくため、保険金額は年々減価していきます。
さらに、車両保険では「免責金額」といって一定額までは自己負担をして、免責金額を超えた分に関しては保険会社が負担する仕組みがあります。
そのため、
- 車両保険金額の減価償却
- 免責金額の設定
の2点を踏まえると結果として自己負担が大きくなる可能性が生じてしまいます。よって「車両保険はいらない」という意見が生じるのです。
ただ、安易に「じゃあ車両保険はいらないな」と判断してしまうのは早合点。
自分の場合も自己負担が大きくなってしまうのかな?と不安に思った方は以下の章を先に確認してみましょう。
車両保険は「いる?いらない?」判断基準は「保険料と補償のバランス」を先に読む
車両保険をつかってしまうと「翌年以降の保険料」が上がってしまうから
車両保険に入っていても保険金をもらうと、保険料の観点から実質的な負担額が大きくなる可能性があることも「車両保険がいらない」と言われている理由の一つです。
車両保険は、いざというときの修理費をカバーしてくれる補償ですが、車両保険を使い保険金の支払いが生じると「1または3等級」下がってしまう点に注意が必要。
等級が下がってしまうと「有事故係数」が加味された保険料が適用されてしまい、翌年以降の保険料が高くなります。
関連記事:自動車保険の等級とは?
もし車の修理代が比較的安く、自分で賄える場合、長期目線では保険金をもらわない方がトータルの自己負担が少なくなる場合があることは覚えておきましょう。
軽い事故の場合だと自己負担額がほとんど減らないケースがあるから
自動車保険では前述の通り「免責金額(自己負担する金額)」を決めることができます。免責金額は「0円〜10万円」で設定されることが多く、高く設定しておくほど保険料が抑えられます。
しかし、免責金額を加味せず「故障が起きたらすぐ車両保険を使おう!」と思うのはNG。
軽度の故障の場合、免責金額とほぼイコールの修理代になり、保険料の払い損に近い状況になってしまうからです。
「車両保険=軽微な故障も保険金で賄える」と考えていると、等級が下がってしまい「上がった保険料+免責金額>修理代」という状況になりかねません。
言い換えれば、車両保険は全損など「大きな事故・故障」に関しては強い味方になるものの、軽微な故障などには弱いということです。
以上、紹介した通りメリットだけでなく「デメリット」もある車両保険。では、車両保険の要否はどう判断したら「後悔」しなくて済むのでしょうか。
車両保険は「いる?いらない?」判断基準は「車両価値と補償範囲のバランスそしてローン残高の有無」
では、肝心の車両保険の有無を判断する基準は何なのでしょうか。それは「車両の価値と保険料のバランス、そしてローン残高の有無」の2点です。
前述の通り、車両保険は車の「時価」によって補償金額が左右されます。そのため、補償金額と保険料額のバランスがとれているか(車両価値を保険料が超えていないか)をしっかりと確認する必要があります。
バランスが「車両価値<保険料」になる可能性が高い場合には車両保険は「いらない」と言い換えることもできますね。
逆に車両保険が必要なケースはどのような場合なのでしょうか。
車両保険が必要なケース
主に車両保険が必要、付帯させた方が良いケースは以下の3ケースです。
車両保険が必要なケース
- 新車・高級車の場合
- 運転歴が浅く統計的に「事故のリスク」が高い場合
- ローン残高が30%以上残っている場合
新車・高級車の場合
新車や高級車の場合、車両価値も高く「補償金額」が保険料よりも高くなる可能性が高いです。
登録から10年以上経っている高級車などは例外的ですが、その他新車、高級車を使用している場合は「車両価値が減価して補償金額が少なくなるまで」という条件付きで車両保険を付帯させるのがおすすめです。
運転歴が浅い/高齢など統計的に「事故のリスク」が高い場合
警察庁:令和3年中の交通事故の発生状況(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00130002&tstat=000001027457&cycle=7&year=20210&month=0&result_back=1&tclass1val=0 )をもとに株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが作成
上記データからわかる通り、運転歴が浅い「16歳〜29歳」までの事故件数は他の年齢区分と比較して多くなっています。
つまり、運転歴が浅い方は「事故のリスク」が統計的に高いということです。一方で65歳以上の区分を皮切りに事故のリスクが高くなっていることもわかります。
ですから、まだ運転歴が浅く運転に自信がない方や、運転スキルが落ちてきたと感じる高齢ドライバーの方も車両保険を付帯させておいたほうが安心できるといえます。
特に、免許とりたて、新車運転中に事故を起こしてしまうと悲惨ですから、車両保険への加入を推奨します。
ローン残高が30%以上残っている場合
ローン残高が残っている状態で、仮に「廃車」になってしまうような事故を起こしてしまったとしましょう。
すると「買い替えの自己負担額+ローン返済」が必要になり二重にお金を払わなければいけなくなります。
こうした事態を避けるためにも「ローン残高が30%以下(目安)」になるまでは車両保険をつけておいた方が安心です。
車両保険を外すといくら保険料は安くなる?
車両保険の有る/無しで、年間の自動車保険料は3~5万円程度変わります。
運転者の年齢、車種、登録からの年数などで金額は変わりますが、目安としては「3~5万円安くなる」と考えてください。
「数万円も安くなるなら車両保険を外してしまおう!」と思う方もいるかもしれませんが、安易に決めてしまうのは少々リスキーです。
もし、車両保険をつけるかつけないか迷っている場合は、一括見積もり機能を利用して保険のプロに相談するのが「後悔のない選択」への近道ですよ。
車両保険を外すのにおすすめのタイミングはいつ?
車両の価値の変化を加味して「補償される金額<車両の修理・買い替えにに必要な金額」になったタイミングで外すのがおすすめ。
具体的には、車齢が9年、13年になったタイミングで外す方が多い傾向にあります。理由は、車齢とともに車両価値が低くなるため、補償金額が十分でなくなるケースが多いからです。
チューリッヒ保険会社:車両保険いつまでつける?外すタイミングについて(https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-vehicle-insurance-until/)をもとに株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが作成
使っている車種にもよりますが、補償金額が数万円程度になったときには車両保険を外す選択が賢いといえそうですね。
関連記事:車両保険を外すタイミングはいつがおすすめ?理由とさらにお得(割安)にする方法を解説
車両保険を外す以外で保険料を抑える方法とは?
自動車保険の保険料を抑える方法は「車両保険を外すこと」以外にもあります。保険料を抑える方法を知っておけば家計への影響もさらに少なくすることができますよ。
保険料を抑える主な方法は以下の3つです。
- 各種割引制度を使う
- 支払方法を工夫する
- 自動車保険の相見積もりをしっかりとる
特に自動車保険の相見積もりは、保険料が大きく変わる可能性もあるので必ず加入前にしておきたいですね。
各種割引制度を使う
損害保険会社によって、自動車保険には割引制度が用意されています。
<割引制度の一例>
- ノンフリート多数割引
- ドラレコ継続割引
- 1DAYマイレージ割引(24時間自動車保険無事故割引)
- ゴールド免許割引
- 新車割引
- ASV割引
- ECOカー割引
- セカンドカー割引
割引制度をうまく活用することで保険料を下げつつ、必要な補償を付帯させることができるのでおすすめですよ。
支払方法を工夫する
自動車保険に限らず、保険は「一括支払い(年払い)」で払った方が、月払いよりもお得(割安)になることが多いです。
さらに、ポイント還元のあるクレジットカード払いを設定しておけば「一括払いによる割引+ポイント還元」が得られて一石二鳥ですよ。
関連記事:自動車保険の月払いがやすい保険会社はどこ?一括払いとの違いも解説
自動車保険の相見積もりをしっかりとる&保険会社の見直しをする
最後のポイントは「相見積もり/自動車保険の定期的な見直し」をすることです。
相見積もりや見直しをすることで「あなたにベストと考えられる」補償を受けることができます。
ただ、二つとも手間がかかりそうだし、できれば楽をしたい人もいると思います。そういう場合は「一括見積もり機能」を活用しましょう。
保険のプロが担当について、あなたの要望を踏まえた自動車保険、プラン探しをサポートしてくれます。
まとめ
今回は車両保険がいらないと言われている理由について解説しました。車両保険の要否を調べているということは、きっと「保険料を安くしたい」と考えているのではないでしょうか。
もし、そうであれば一度見積もりを取り、専門知識を豊富に持っている担当者にいろいろ質問してみるのがおすすめですよ。