車の故障は、突然訪れます。エンジンをかけてみたら、メーターパネルのマークが赤く点灯している、走っていたらエンジンから煙が……。
どこに連絡すればいいのか、修理費はいくらぐらいになるのか、費用は適用されるのかなど、焦ったり不安になってしまうことが多いはず。
とはいえ故障に関しては、自動車保険を使おうとする前に必ず確認しなければならないことがあります。車が故障してしまっても、自動車保険を使えるとは限らないからです。
今回は、
- 故障したら自動車保険は使えるのか
- どのようなサービスを利用できるのか
- 車が故障した時にはどのように対応すべきなのか
について、わかりやすくご紹介します。
車が故障しても保険が使えないって本当?
車が故障した場合、自動車保険は利用できるのでしょうか?残念ながら、車が故障するケースの多くは、保険の適用外となってしまいます。
なぜ保険がほとんどの故障には保険が適用されないのか、より詳しく解説していきます。
故障しても「車両保険」は基本的に使えない
事故によって車が損傷した場合、通常は任意保険に含まれている「車両保険」を使用することができます。そのため、車が故障して動かなくなった場合でも、車両保険を利用できると考える人が多いかもしれません。
しかし、実際には、ほとんどのケースにおいて車の故障は保険適用外となります。車両保険は、偶発的かつ突発的に発生した損害に対応するものであり、「経年劣化」や「メンテナンス不足」による故障は対象外とされているからです。
例えば、
- いつも通り走行していたが、エンジンから煙が出た
- 高速道路を走行中にタイヤがパンクした
などの故障は、保険を使うことができません。
使えるケースも例外的に存在する
しかし、車両保険を適用できるケースも存在します。それは、事故や自然災害、イタズラによって引き起こされた故障。
補償範囲については後述しますが、偶発的な事故や突然発生する出来事による故障は、車両保険の対象となります。
レッカーサービスやロードサービスは利用できることが多い
車両保険が使えない場合、動かなくなった車をどうすればいいのか、焦ってしまう人もいるかもしれません。しかし、任意保険には、レッカーサービスやロードサービスが用意されている保険会社も多くあります。
補償内容や特約を確認
もちろん、全てが無料で利用できるとは限りません。保険会社によっては、無料でレッカーできる距離が定められていたり、対応可能なロードサービスが明記されていたりすることがあります。
とはいえ、コスパ面で考えると他の業者に依頼するよりも、保険会社のサービスを利用する方がお得です。任意保険証をチェックしたり、保険会社に連絡したりして補償内容や特約を確認してみましょう。
車が故障しても「保証」対象の可能性
少しややこしいですが、任意保険で「補償」されない場合でも、「保証」期間内であれば修理費用を大幅に削減できる可能性があります。
事故やトラブルが発生した場合に、保険会社が費用面で補助をしてくれる制度が「補償」。一方、自動車を購入する際に、所定の条件内であれば故障しても無料で修理を受けられる制度が「保証」です。
新車の場合は、自動車メーカーが提供する「メーカー保証」が一般的です。一方で、中古車においても、メーカー保証や販売店が独自に提供する「販売店保証」がつけられることがあります。購入時にどのような契約をしていたか、改めて確認してみましょう。
車が故障したときの対応方法
では実際に、走行中に車が故障してしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。ここからは順を追って詳しく解説していきます。
「自走できるか」判断
トラブルが発生した場合、そのまま自走できるかどうかによって対応が変わります。
そのまま走行するのが難しい場合は、一旦車を停車させる必要があります。また、ウインカーランプが点灯しないといった道路交通法違反となってしまう状態では走行が禁止されているため、運転は控えてください。
もし自走できる場合は、最寄りのカーディーラーや修理工場に持ち込んで対応してもらいましょう。
交通の邪魔にならない場所に車を停める
自走できない場合は、交通の邪魔にならない場所に車を停めます。高速道路や夜間での道路においては後続車両の追突の危険性が高いため、ハザードランプや停止表示器材を活用して周囲にアピールしましょう。
また安全のため、車から煙が上がっていたり、高速道路のような事故の可能性が高い場所に停車したりした場合は、車から離れて安全な場所で待機するようにしてください。
保険会社に連絡
車を停め必要な措置をとったら、保険会社に連絡しましょう。連絡を受けた保険会社のスタッフが、必要に応じてレッカー車やロードサービスの手配を進めてくれます。
現場スタッフの到着
保険会社が手配した現場スタッフが到着後、故障した車の対応に進みます。どのようなトラブルが発生しているのか、どんな処置が必要か、専門知識を持つスタッフが確認を進めます。
その場で修理が可能な場合は応急処置に進み、整備工場に搬送する必要があると判断された際はレッカーによる移動が行われます。保険会社によっては代車や宿泊施設の準備も進めてくれるため、保険会社からの指示に従って行動しましょう。
車の故障時に役に立つ補償や特約
ここまで、「車の故障に関してはほとんどのケースで車両保険が適用されない」と申し上げてきました。しかし最近、事故だけでなく故障もカバーする保険会社が増えてきています。
保険会社によっては、故障によってレッカー運搬が必要になった車を対象に、修理費が支払われる補償を用意していることもあります。万が一のトラブルは事故とは限らないため、とてもありがたいですね。
また、代車費用を保険金として受け取ることができる「代車特約」や、故障トラブルにも対応してくれる「ロードサービス特約」も用意されています。
保険会社によっては補償の範囲や特約の種類、利用条件などが異なるため、契約するタイミングや補償の利用時にはきちんと確認しましょう。特にロードサービスは、保険会社によっては自動付帯になっていたり、特約で選ぶ必要があったりと制度内容がバラバラなので注意が必要です。
車両保険はどこまで補償してくれる?
この記事の読者の中には、「故障をサポートしてくれないなら、車両保険は必要ないかも……」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
とはいえ、車両保険は故障以外のトラブルにおいて幅広くサポートしてくれます。補償範囲や受け取れる保険金についてきちんと確認してから、車両保険をつけるかどうか考えてみるのがおすすめです。
一般型とエコノミー型で補償範囲は異なる
多くの保険会社では、車両保険には「一般型」と「エコノミー型」の2種類が用意されています。「一般型」と比較して「エコノミー型」の方が保険料は安く済みますが、補償範囲が限定されるのが特徴です。
車両保険についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
関連記事車両保険とは?必要性や判断基準、加入前に知っておきたい注意点を解説
受け取れる保険金には上限がある
車両保険においては、補償の対象となった場合でも、必要な費用をすべて支払ってくれるわけではありません。受け取ることができる保険金には、上限額が設定されます。
車両保険の上限額は契約している車両の「その年の市場価格」によって毎年変動するため、受け取れる保険金は年々下がっていきます。したがって、長年同じ車に乗っている人の中には、途中で車両保険を外す人も。
車両保険の保険金については、こちらの記事で詳しく解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。
関連記事車両保険はいらないと言われる理由とは?判断基準や外すタイミングをわかりやすく解説
よくある質問
中古車にも保証をつけることはできますか?
中古車向けに用意されている保証は、3種類あります。
- 販売店保証
- メーカー保証
- 中古車情報サイトの保証
それぞれ対象となる車や保証期間、内容は異なります。中古車を購入する際は、まずは購入するお店に確認してみましょう。
任意保険のロードサービスを利用した場合、費用はかかりますか?
保険会社によって対象となるサービスや費用は異なります。契約している保険会社の補償内容や約款をご確認ください。
車両保険をつけると保険料の金額はいくらになりますか?
車両保険をつけることで保険料がどれだけ変化するかは、契約内容によって異なります。目安としては年間3〜5万円と言われています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連記事車両保険はいらないと言われる理由とは?判断基準や外すタイミングをわかりやすく解説
契約を検討している保険会社に聞いてみるか、保険のプロに相談して見積もりを出してもらうことができます。一括見積もりなら、同様の補償内容で保険料がさらにお得な保険会社も見つけることができるかもしれませんよ。
車が故障したとき、修理代はいくらぐらいになりますか?
故障する部位にもよりますが、少なくとも数万円、エンジンといった高精密な箇所にもなると数十万円にのぼることも。詳しい修理代金については、保険会社の担当者や修理工場に相談してみてください。