万が一の病気に備えるための「医療保険」、社会人になるタイミングや、お子様が生まれるタイミングなどで加入を検討することが多いと思います。
ただ、医療保険を選ぶとなると決めなければいけないことが様々あります。
特に、医療保険は一定期間のみ保障が続く「定期型」が良いのか、ずっと保障が続く「終身型」が良いのかわからないという人も多いと思います。
そこで、この記事では「医療保険は定期型にすべきか終身型にすべきか」をわかりやすく解説します。
医療保険の定期型と終身型の違いは4つ
まずは定期型と終身型それぞれの違いについて、わかりやすく解説していきます。
定期型と終身型とで大きく違う点
- 保険期間(保障の対象となる期間)
- 保険料の高さ
- 保険料を支払う期間
- 更新の有無
定期医療保険 | 終身医療保険 |
|
---|---|---|
保険期間 |
一定期間 |
生涯続く |
保険料 |
更新時に変更される |
一定金額のまま |
保険料を支払う期間 |
保険期間と同じ |
保険期間と同じ、自分で設定可能な場合もある |
更新の有無 |
あり |
なし |
それぞれの違いについて、さらに詳しく確認してみましょう。
保険期間
定期型と終身型の最も大きな違いは「保険期間」です。
定期型の医療保険は、保障が受けられる期間が決まっています。その期間が終了すると、保険を更新しない限り保障が受けられなくなってしまいます。
一方で、終身型は一生涯にわたって保険期間が続く保険のことです。契約してから亡くなるまで、ずっと保障の対象となります。
ですから、定期型は「家庭を持っていて、今自分の身になにかあったら困る」というタイミングでスポットで活用されることが多く、終身型は「傷病に対する保障はずっとあったほうが安心」と考えている人が加入することが多いです。
保険料
定期型の保険は、契約してから一定期間、終身型の保険よりも保険料が安いケースが多いです。また被保険者が若い間は、高齢の契約者よりも保険料が安い傾向があります。
ただ、定期型の場合、保険期間が終わり更新するたびに保険料は高くなっていきます。
終身型の保険の場合、支払う保険料はずっと一定金額のまま。年齢が若い間、もしくは契約したばかりの期間は定期型の保険よりも高額になることも多いですが、時間が経つにつれ保険料の差は縮まっていきます。
保険料を支払う期間
定期型の保険は、保険期間と保険料を支払う期間が一致しています。一定期間の保険期間が終了するまで、保険料を払い続ける必要があります。
一方の終身型の保険では、生涯続く保険期間とは別に、保険料の支払いだけ先に完了させることも可能。いつまでに保険料を支払い終えるかは、契約者が決められる点はメリットともいえます。
更新の有無
定期型の保険では、保険期間が終了しても契約を続行させたい場合、更新する必要があります。一般的には自動で更新されますが、更新のタイミングで保障内容を変更することも可能です。
終身型の保険は同じ保障がずっと続くため、更新は必要ありません。そのかわり、契約時の保障内容は解約しない限り変更できない場合がほとんどです。
保険の見直しやすさ
定期型の保険は定期的に更新があるため、保険の内容を見直しやすいという特徴があります。「保険料が高い」「特定の期間だけ保障を手厚くしたい」といったニーズにより柔軟に対応できます。
終身型の保険においては、保険を見直したい場合は再契約しなければなりません。その場合、保険の見直しを行うときの年齢で保険料が決まるので、保険料も大きく変わってしまう可能性があります。
医療保険の「定期型」と「掛け捨て型」は意味が異なる
定期型の保険と似ている言葉として「掛け捨て型保険」というものがあります。混同しやすい言葉ですが、実際の意味は異なります。
定期型
一定期間だけ保障が受けられる保険
掛け捨て型
解約返戻金や満期保険金がもらえない保険
どのような違いがあるのか、より詳しく確認してみましょう。
掛け捨て型保険とは貯蓄性がない保険のこと
「掛け捨て型保険」とは、簡単に言うと「支払った保険料が戻らない保険」のことです。
生命保険にはさまざまな種類がありますが、なかには
- 解約時にもらえる「解約返戻金」
- 保険期間の満期時に生存することでもらえる「満期保険金」
が受け取れる保険が存在します。そのようなお金がもらえる保険のことを「貯蓄型保険」といいます。
掛け捨て型保険とは貯蓄型保険の逆であり、解約時や満期時でもお金がもらえないタイプのこと。貯蓄型は加入することで保険料を運用し、将来のお金を用意できる側面がありますが、掛け捨て型保険では保険料を運用することはないので、貯蓄性はありません。
掛け捨て型=定期型とは限らない
定期型の保険もしくは終身型の保険であっても、掛け捨て型と貯蓄型の両方のタイプが存在します。そのため、掛け捨て型と定期保険はイコールではありません。
少しややこしい部分ではありますが、それぞれの言葉の意味をしっかり区別するのが大切です。
定期型医療保険のメリット・デメリット
医療保険の定期型や終身型についてご紹介してきましたが、一歩踏み込んで、両者のメリットやデメリットについて確認してみましょう。メリットとデメリットについてきちんと理解することで、より納得のいく保険選びが出来るようになりますよ。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
定期型医療保険のメリット
定期型のメリットとして、次のようなものが挙げられます。
- 若いうちは保険料が割安
- 更新時に保障の見直しがしやすい
若いうちは保険料が割安
比較的若いうちに定期型の保険に加入すると、終身型の保険よりも保険料が割安になります。そのため、保障を充実させても終身型の保険より保険料が抑えられることも多いです。
同程度の保障内容で比較すると、若いときや加入したばかりの期間は、一般的に定期保険の方が経済的負担が少なくて済みます。
ただし、定期保険は更新するごとに保険料も高くなるため注意が必要です。
更新時に保障の見直しがしやすい
定期保険であれば、わざわざ保険を解約することなく、更新時に保障内容を変更できます。
「教育資金がかさんできたから、保険料をもっと安くしたい」
「これから子どもが生まれるし、保障内容は手厚くしたほうがいいかも」
保険に対するニーズは、生活や家族状況に合わせて変化するもの。さまざまなニーズに合わせて保障内容を見直せるのは、定期型の保険ならではのメリットです。
終身型の保険の場合、保障内容が合わなくなっても変更することはできません。一度解約してから、再度加入のための手続きをしなければならず、保険料も高くなるケースが多いです。
定期型医療保険のデメリット
一方で、定期型の保険によるデメリットは以下が挙げられます。
- 更新するごとに保険料が高くなる
- 保険期間が限られている
更新するごとに保険料が高くなる
定期型の医療保険は、更新を重ねるごとに保険料が高くなっていきます。
そのため、若いうちや契約したばかりの頃の保険料は安いですが、年齢を重ねるごとに保険料は高くなってしまいます。
保険料の安さを重視して契約しても、気づいたら想定を大きく上回る金額になってしまうかもしれません。
保険期間が限られている
定期型の保険は保障が受けられる期間(保険期間)が限られているため、更新できなかった場合、保障が受けられない状態となってしまいます。
基本的に定期型の保険の更新は自動で行われるため、更新を忘れてしまう可能性は低いでしょう。ですがこの後お伝えするように、更新自体ができないケースも存在します。
保障の対象外となってしまうリスクがあるのは、定期型の保険ならではのデメリットでしょう。
年齢によっては更新ができない場合もある
更新時の年齢によっては保険の更新ができない可能性もあります。
定期型の保険の多くには年齢の制限があります。その年齢に達すると更新することができなくなり、保障の対象外となってしまいます。
年齢を重ね、入院や大がかりな治療が必要になりやすい時期に保険から外されてしまうのは、大きなリスクとなってしまいそうですね。
終身型医療保険のメリット・デメリット
定期型の次に、終身型のメリットとデメリットも確認してみましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
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終身型医療保険のメリット
まずはメリットからご紹介していきます。
- 保障が一生涯続く
- 保険料が一定
- 保険料の支払い完了期間を決められる
保障が一生涯続く
終身型保険の最大のメリットは、亡くなるまで保障が続くことです。何歳になっても、医療費の不安を軽減することができます。
定期型保険では、上限年齢に達すると更新できなくなるタイプが一般的ですので。もし長生きできても、医療費の負担が大きくなってしまう可能性があります。
終身型保険なら、そのような心配は必要ありません。何歳になっても保障が受けられるため、経済的にも安心ですね。
年齢を重ねても保険料が一定
終身型の医療保険であれば、何歳で契約しても保険料が一定のままです。
終身型の保険において、保険料の金額がいくらになるかは、支払いの完了時期をいつにするかによって異なります。完了時期を早めるほど毎月の保険料は高くなりますが、一方で完了時期を遅らせたり、生涯に渡って払い続ける場合は、毎月の保険料は安くなります。
保険料による毎月の支出額が何歳になっても一定であるため、定期型の保険に比べて支出計画やライフプランが立てやすくなります。
保険料の支払い完了期間を決められる
終身型の保険では、保険料を支払い終えるタイミングを加入者が決められる場合があります。
保障は一生涯続きますが、亡くなるまで保険料を払い続ける必要はありません。経済的に余裕があったり、老後の支出を抑えたい方は、早めに保険料の支払いを終えることも可能です。
終身型医療保険のデメリット
保険のタイプを決める上で、デメリットについて知っておくのは必要不可欠ですね。
医療保険における終身型のデメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
- 若いうちは定期型より保険料が割高
- 見直しのタイミングが難しい
若いうちは定期型より保険料が割高
終身型の保険は、高齢になってから必要になる保障に対する保険料が予め含まれているので、若いうちに契約しても保険料が定期型よりも高くなることが多いです。
定期型の保険は保険期間が短いため、高齢になってから必要になる保障に対する保険料が含まれていません。ただし、年齢を重ねれば傷病のリスクは上がっていくため、更新する毎に保険料は上がっていきます。
また、終身型の保険は年代ごとに保険料が変わることはありません。したがって、同等の保障内容であっても、若いうちは定期型の方がより安い保険料で契約できますが、用途に応じて加入するのが良いでしょう。
見直しのタイミングが難しい
終身型の保険は定期型に比べて、保険を見直すタイミングが難しいといえます。
定期型の保険であれば、更新のタイミングで保障内容や保険期間を調整することが可能ですし、解約をすることも出来ます。継続を希望する場合は自動的に更新されることが多いので、手間もなく生活に合わせて柔軟に対応できます。
一方終身保険の内容を見直したくなった場合、一度解約しなければならない場合があります。再加入することで保険料の金額は高くなりやすいため、保険を見直す際は慎重に考える必要があります。(保険金の減額や特約のみを中途付加することが可能な保険商品もあります)
定期型と終身型のメリット・デメリット一括比較表
ここまで、定期型と終身型それぞれの保険におけるメリットとデメリットをお伝えしてきました。ここで改めて、それぞれの特徴についてまとめてみましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
定期型の医療保険 |
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終身型の医療保険 |
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両者の違いを一言でまとめると「保険期間の長さ」と「保険料の仕組み」です。その2つの観点におけるメリット・デメリットを考えると、より整理しやすくなるでしょう。
定期型医療保険がおすすめな人・判断基準
定期型と終身型の医療保険それぞれのメリットデメリットを踏まえて、おすすめな人の特徴や、どちらのタイプに加入すべきかの基準をご紹介します。
まずは定期型の保険がおすすめな人についてご紹介していきます。次の特徴に当てはまる方は、定期型の医療保険への加入がおすすめです。
- 貯蓄が十分にできていない人
- ライフステージの変化が予想されている人
特に、年齢がまだ若く貯蓄額が少ない人は、定期型医療保険がおすすめです。
貯蓄が十分にできていない人
まだ十分な貯蓄ができておらず、毎月の保険料はなるべく押さえておきたい、と考える方は定期保険の加入を検討してみましょう。若いうちであれば、終身型保険よりもお手軽な保険料で、保険に加入することが出来ます。
ただし加入時の年齢や、更新をするごとに、終身型の医療保険よりも保険料が高くなってしまうことも。加入する際は、きちんと保険料を比較して決めましょう。
ライフステージの変化が予想されている人
これから先ライフステージが大きく変化すると考えられる人は、終身型よりも定期型の医療保険の方がおすすめでしょう。
【ライフステージの変化例】
- 就職
- 結婚
- 出産・育児
- 子供の独立
定期型の医療保険であれば、出産や育児といったライフステージの変化に合わせて、柔軟に保障内容を変えることができます。保障を手厚くしたい、保険料を安くしたいといったニーズに合わせて、更新のタイミングで保険内容を見直してみましょう。
終身型医療保険がおすすめな人・判断基準
次に終身型の医療保険がおすすめの人についても紹介していきます。
- 生涯にわたって保障を受けたい人
- 老後の保険料を抑えたい人
簡単に言えば、安心して長生きしたいと考える人におすすめなのが終身型医療保険です。
生涯にわたって保障を受けておきたい人
何歳になっても生涯にわたって保障を受け続けたいと考える人は、終身型の医療保険がおすすめです。
やはり、亡くなるまでずっと保険期間が続くのは心強いですよね。年齢によって保険の更新ができなくなる定期型の保険よりも、老後の安心感はより強いでしょう。
特に近年は医療技術が進歩し、平均寿命は以前よりも長くなってきています。そのような背景もあり、長生きしていたいと考える方にとって、終身型保険のメリットは大きいでしょう。
老後の保険料を抑えたい人
保障はずっと受け続けたいけど、老後における保険料の支払いは避けたいと考えている方も、終身型保険の方がおすすめです。
終身型保険であれば、保険料の支払い完了時期を早めることで、老後は保険料を払うことなく保障を受けられます。退職してからはなるべく出費を抑えたいと考える方にとっては、やはり嬉しいポイントですね。
医療保険の定期型と終身型を併用することも可能
定期型と終身型それぞれのメリットやおすすめな人について紹介してきましたが、
「どちらのメリットも重視したいから、選ぶのが難しい…」
と考える方も多いでしょう。しかし、どちらかのみを選ぶのではなく併用することで、両方のメリットを活かせます。
定期型と終身型を併用する場合、どのように活用できるのでしょうか?ここからは2つの保険を併用するおすすめの方法についてご紹介します。
終身型で最低限の保障を確保
まずは終身型の医療保険について解説していきます。
終身型の保険は、生涯にわたって必要な最低限の保障内容で契約しておくのがおすすめです。最低限の保障であれば見直す回数も少なくて済みますし、どんなライフステージにおいても必要でしょう。
保険料が負担にならない限り、終身型保険のメリットを大きく活かせます。
定期型でライフプランに合わせて保障を手厚く
最低限の終身型保険に加え、ライフプランに合わせて定期型の医療保険に加入すれば、ピンポイントで必要な保障が得られます。
子どもが生まれるタイミングや病気のリスクが高まる40代以降など、手厚い保障がほしくなるタイミングもあるでしょう。そのようなときに定期型保険を活用すれば、より効率的にリスクへの備えができますね。
医療保険の定期型と終身型を併用する際の注意点
医療保険をうまく組み合わせて併用することで、より大きな安心感が得られます。しかし、併用する際には次の2点に注意しましょう。
- 保険料と保障内容のバランスを考慮する
- 定期型保険への加入は早めに
保険料と保障内容のバランスを考慮する
保険を併用する分、支払う保険料の負担額も高くなります。そのため、保険料が負担になりすぎないよう気をつけましょう。
また、それぞれの保障内容を手厚くすれば、保険料も高くなります。不安が強いからといって、実生活を圧迫してしまったら元も子もありません。
自分にとってちょうどいいポイントはどこなのか、契約前にきちんと考えるようにしましょう。
定期型保険への加入は早めに
ライフステージに合わせて定期保険に加入する際は、なるべく早めに手続きをするようにしましょう。タイミングによっては、加入できなくなる可能性があります。
たとえば「子どもが生まれるから定期型の医療保険にも加入しよう」と考えたとします。しかし妊娠が発覚してからでは、医療保険に加入できない場合もあります。
病気のリスクに備えようと思っても、健康上の問題が起こってからでは審査も厳しくなります。定期型の医療保険に加入する際は、早めに入るのを意識しましょう。
まとめ
この記事では、定期型と終身型の違いや選び方について解説してきました。
記事の中にもお伝えしましたが、両者の違いは主に「保障期間」と「保険料の高さ」です。どちらにおいてもメリットやデメリットがあるため、自分に合った選択をする必要があります。
万人にとっての正解ではなく、自身の生活やライフプランに照らし合わせて考えてみましょう。もし自分だけで決めるのが不安な方は、保険のプロに相談してみるのがおすすめです。
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