車を購入する時には、さまざまな手続きをする必要があります。自動車保険への加入もそのひとつです。
しかし、自動車保険の仕組みや役割がよくわからず、混乱してしまう方も多いでしょう。自動車保険はさまざまな種類がある上に、毎月の保険料もかかるため、できるだけしっかり考えてから契約の判断をしたいですよね。
そこで今回は、自動車保険の仕組みや種類、契約の流れまでわかりやすく説明していきます。自動車保険についてきちんと理解し、よりスマートに自動車保険選びに進みましょう!
自動車保険の役割と仕組み
自動車保険は、車にまつわるトラブルに備えるためのものです。
例えば、車を運転中に事故を起こしてしまったとすると、
相手や壊した物に対する賠償金
自分の車の修理費
自身の怪我の治療費
など、莫大な費用がかかるかもしれません。
また事故や故障によって車が動かなくなった場合、レッカーによる運搬を手配する必要もあります。そのような事故対応を1人でこなすのは非常に大変ですよね。
車を運転中に発生してしまうトラブルに備えて、みんなでお金を出し合ってカバーする助け合いの制度。それが自動車保険です。
自動車保険には「自賠責保険」と「任意保険」の2種類がある
そんな自動車保険ですが、「自賠責保険」と「任意保険」の2種類が存在します。
加入の義務 | 補償内容 | 保険料 | |
---|---|---|---|
自賠責保険 | 強制加入 | 限定的 | 期間ごとに一律 |
任意保険 | 強制ではない | 幅広いカスタマイズ可能 | さまざまな条件ごとに異なる |
この2つの保険について、「加入義務の有無」「補償内容」の観点からわかりやすく解説していきます。
自賠責保険の特徴
まずは自賠責保険について確認していきましょう。
加入が義務付けられている
自賠責保険は、車を運転する人は全員加入しなければなりません。
加入しなかった場合は法律違反となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
補償内容は限定的
自賠責保険において、補償内容は限られた範囲で設定されています。
事故相手がケガした場合:120万円まで
事故相手が死亡した場合:3,000万円まで
事故相手に後遺障害が残った場合:4,000万円まで
自賠責保険では、対人事故における相手方、同乗者への補償しかありません。自分の車の修理費や自身のケガの治療費など、そのほかに発生する費用に関してはすべて自己負担となります。
また相手方への賠償金においても、自賠責保険で支払いきれない分は自力で支払わなければなりません。
過去には、交通事故により数億円規模の賠償金支払いが命じられたケースもあり、自賠責保険だけではカバーするのが難しい金額ですね。
任意保険の特徴と主な種類
次に、任意保険について解説していきます。
加入するかどうかは自由
自賠責保険と異なり、任意保険に加入するかどうかは自由に決めることができます。それでも多くの人が加入しており、任意保険に入っている人の割合は75%以上にのぼります。
また、加入する保険会社やプランを自由に決めることが可能です。補償内容や保険会社ごとの特色を踏まえ、自分で好きな保険会社を選ぶことができます。
幅広く、カスタマイズ可能な補償内容
自賠責保険は限られた範囲の対人補償のみである一方で、任意保険ではより幅広く、充実した補償が用意されています。
また、保険に契約することで自動的にセットされる「基本補償」に加え、より手厚い補償を求める方のための追加オプションである「特約」も用意されています。
手厚さに加え、より自分に合った保険をカスタマイズすることができる自由さも、任意保険の特徴です。
自動車保険の保険料はどうやって決まる?
自動車保険に加入するにあたって、やはり気になるのは毎月かかる保険料。
自賠責保険と任意保険、それぞれの保険料の仕組みや相場について、わかりやすく解説していきます。
自賠責保険は契約期間ごとに保険料が決まっている
自賠責保険では、期間ごとにあらかじめ保険料が決められています。損害保険料算出機構が、交通事故や保険金支払額の状況などをもとに保険料を算出します。
任意保険はさまざまな要素によって変動する
一方で任意保険の場合は、保険会社ごとにさまざまな条件や要素によって保険料が算出されます。
なかでも保険料に充てる影響が特に大きい要素は次の4つです。
ノンフリート等級制度
事故有係数適用期間
免許証の色
車種や型式
運転者の年齢、運転者の対象範囲
ノンフリート等級制度
ノンフリート等級制度とは、無事故期間の長さに応じて保険料が安くなる仕組みのことです。無事故期間が長いほど事故リスクが低いとみなされ、保険料がお得になっていきます。
新しく任意保険を契約した場合は6等級からスタート。1年間無事故だった場合は等級が1つ上がりますが、事故を起こし保険金を請求すると等級が下がってしまいます。
事故有係数適用期間
ノンフリート等級制度に加え、事故を起こしてから保険料が高く設定される期間のことを「事故有係数適用期間」と言います。7等級以上の人が事故を起こしてしまった場合、等級が下がるのに加え、等級ごとの割引率も一定期間下がってしまいます。
免許証の色
ゴールド免許を持っている場合、多くの保険会社では保険料が割引されます。保険の新規加入や更新の時点における免許証の色によって、保険料が変動します。
車種や型式
車種や車の型式によっても、保険料は変化します。
過去に保険金が支払われたことのある回数が多い車種や型式の場合、保険料は割高になりがちです。例えば、スポーツカーはコンパクトカーと比較して、保険料が割高に設定されることが多いでしょう。
保険金の支払い回数だけでなく、車のユーザー層や実際に使われている台数など、さまざまな要素をもとに算出されています。
運転者の年齢、運転者の対象範囲
さらには、補償が適用される運転手の年齢や、適用する運転手の範囲によって保険料が変動することも多いです。
運転手の年齢は、次の4つに分類されることが一般的です。
全年齢
21歳以上
26歳以上
30歳(35歳)以上
また保険会社によっては、補償を適用する運転手を次のように設定できることもあります。
契約者本人
本人+配偶者
本人+家族
限定なし
年齢や範囲が狭くなればなるほど、保険料も安くなっていきます。
自動車保険の入り方
ここからは、自動車保険の契約方法について説明します。車を買う時にはさまざまな手続きが必要になりますが、あらかじめステップを把握することで、よりスムーズに進められるでしょう。
自賠責保険は車の購入時に手続きをするのが一般的
自賠責保険は加入が義務付けられていますが、手続きなしで自動的に入ることはできません。
契約については車の販売店やカー用品店で手続きをするのが一般的です。そのほかにも損害保険会社や保険の代理店でも加入することができます。
必要書類(車検証や、すでに他の車両で契約していた場合は自賠責保険証明書)を揃え、担当者や窓口の案内に従って進めましょう。
任意保険は会社によって手続きが異なる
任意保険の契約手続きは、会社のタイプで2つにわけることができます。
代理店型 :保険会社の代理店で契約する
ダイレクト型:インターネットや電話で保険会社と直接契約する
それぞれのケースについて、契約の流れを確認してみましょう。
代理店での契約
契約したい保険会社の代理店にて、担当者とやりとりすることで保険の契約を進めることができます。
担当者に見積もりを依頼しプランを決定したのち、必要書類を揃えて提出することで保険を契約することができます。保険の内容についてわからない点や迷っていることについても、担当者と相談しながら決めることが可能です。
また、ディーラーが保険会社の代理店を兼ねているケースも多く、その場合は契約がさらにスムーズに進みそうですね。
保険会社と直接契約
ダイレクト型保険は、自分が加入したい保険会社にインターネットや電話で直接申し込みます。加入したいプランや補償内容を決め、必要書類を揃えて申し込みに進みましょう。
代理店型保険のように、保険会社の担当者に相談や見積もりを依頼することは難しい場合もあります。しかし、「一括見積もり」のように、外部の専門家から助言を受けることも可能です。
自動車保険はどうやって選ぶ?
ここまで自動車保険の仕組みや契約方法について解説してきました。しかし、数多くの保険会社を前に、どのように選べばいいか迷ってしまう人も多いでしょう。
自分にぴったりの保険会社やプランを見つけるために、どのように考えればいいのでしょうか。
保険料や補償内容で比較
高齢者や運転初心者のように、事故リスクが高い方は補償内容を手厚くすることで事故時の不安を軽減できます。
また、自身の生活やニーズに合った補償や特約がそろっている保険会社を選ぶことで、より大きな安心につながりますね。
一方、補償内容や保険会社、活用できる割引制度によって保険料は変動します。同様の補償内容であっても、よりやすい保険料で契約することができるかもしれません。
補償内容と保険料で比較することで、自分自身が安心できる保険を、よりお得に契約することができるでしょう。
より満足のいく保険選びをしたいなら一括見積もりがおすすめ
しかし、数多くの保険会社を自力で調べ、さまざまな補償内容やプランの保険料を調査して比較するのは、とても骨の折れる作業です。
そこで、「一括見積もり」なら、必要情報を入力するだけで最適なプランをすぐに見つけることができます。まだ保険についてあまり詳しくない方でも、専門家によるアドバイスをもとに、総合的に判断することが可能です。
自動車保険についてのよくある質問
任意保険に入らないとどうなりますか?
任意保険は加入義務がないため、自賠責保険のみに加入して運転することも可能です。任意保険に加入していない分、保険料を抑えることができますね。
一方で、補償内容が限られているというデメリットもあります。
過去にも、賠償金の総額が数億円規模になる事故が発生しています。
自賠責保険にしか加入していない場合、賠償金の不足分はすべて自分で支払う必要があり、事故によっては非常に大きな負担を背負うことになるでしょう。
事故が起こった時、自賠責保険と任意保険のどちらを使えばいいですか?
まずはできる限り自賠責保険を使い、不足分は任意保険でカバーするのが一般的です。
また、自身の治療費や車の修理費など、自賠責保険では補償されない部分も、任意保険を使うことで負担を大きく減らすことができそうですね。
バイクや原付自転車を運転する場合も自動車保険への加入は必要ですか?
原則として、すべての自動車や二輪自動車、原動機付自転車は、自賠責保険への加入が義務付けられています。
126㏄〜250㏄のバイクや原動機付自転車は、販売店やコンビニエンスストア、インターネットで自賠責保険に加入することが可能です。
軽自動車の場合は保険料や補償内容が変わりますか?
軽自動車は普通自動車と比較して、保険料が割安に設定されます。自賠責保険では数百円しか変わりませんが、任意保険ではより大きな金額差が生じることが一般的です。
一方で補償内容は、普通自動車と同様に手厚く設定することができます。
車両保険と自動車保険は同じものですか?
車両保険は、自動車保険の要素のひとつです。
車を運転する人が、万が一の時に備えて加入する保険が自動車保険。その中で、自身の車両の修理費を補償するものが、車両保険です。
自賠責保険や任意保険は更新手続きが必要ですか?
いずれにおいても、更新時期になったら手続きを行わなければなりません。
自賠責保険においては、更新を怠った状態で運転してしまうと法律違反となります。そのため、車検とほぼ同じタイミングで更新できるよう、契約期間を調整することが一般的です。
車検証や自賠責保険証明書を準備し、ディーラーや修理工場などで更新手続きを行いましょう。
任意保険の更新を忘れてしまった場合は、ノンフリート等級がリセットされてしまうことがあります。
車検証や保険証券などの必要書類を揃え、代理店やインターネットにて保険会社に連絡してください。契約更新日前に保険会社から手紙やメールで通知が来ることも多いので、忘れずに確認しましょう。
事故によって車を修理する必要がある場合、修理費は保険で補償されますか?
自賠責保険では補償されていませんが、任意保険を契約する際に車両保険をセットすることでカバーすることができます。
受け取れる保険金や補償範囲、毎月の支払額は、保険会社やプランごとに異なります。
自動車保険の保険料の相場が知りたいです
任意保険はノンフリート等級制度や免許証の色による割引制度があるため、年齢を重ねるごとに保険料の相場は安くなっていきます。