自動車保険

物損事故での保険の使い方は?事故対応の流れや手続き方法、注意点まで詳しく解説

著者:みんかぶ編集室

交通事故には様々な種類があります。

駐車場に停めていた車が他の人が運転する車にぶつけられてしまった、電柱に接触してしまったなど、人に被害はないけど物に損害が生じてしまう事故も多いでしょう。

ケガ人や死者が発生しないとはいえ、事故直後は焦りや後悔などに襲われ慌ててしまう方も多いでしょう。そのような中でも、様々な対応や手続きを進めていかなければなりません。

そのため

「事故直後の対応はどのようにすればいいのか?」「どの保険が使えるのか?」「どんなことに気をつけなければならないのか?」

など、様々な疑問が一気に浮かび上がってくる方も多いはず。

事故処理や手続きをうまく進められないと、思わぬトラブルに巻き込まれたり、本来もらえるはずの賠償金が受け取れなくなったりしてしまいます。

そこで今回は、物損事故で利用可能な保険の種類や対応方法について、わかりやすく解説していきます。

この記事を読むことで

  • 物損事故で利用可能な保険の種類
  • 必要な手続きの流れ
  • 想定されるトラブルと対処方法

について理解を深めることができるでしょう。

 物損事故とは?物損事故の定義や具体例

まず、どのような事故が物損事故として定義されるのかについて、確認してみましょう。

人のケガや死亡が発生していない交通事故のこと

物損事故とは、読んで字のごとく「物が壊れる事故」のことです。

交通事故によって誰かがケガをしたり死亡したりすると、「人身事故」として扱われます。それに対し、人の死傷がなく物にだけ被害が発生した事故が「物損事故」に該当します。

人のケガや死亡が発生していない交通事故のこと

さらに物損事故は、大きく2種類に分けることができます。

「加害者と被害者が発生する事故」と「単独事故」

物損事故では、「被害者や加害者が発生する事故」と、事故の相手が存在しない「単独事故(自損事故とも呼ばれる)」の2種類があります。

被害者と加害者が発生する事故の例としては、

  • 駐車してある他人の車にぶつけてしまった
  • 他人の家のフェンスに車が衝突し、フェンスが破損した
  • トラックに衝突し、運転手は無傷だったが搭載していた荷物に損害が発生した

単独事故の場合、

  • 車を運転中に電柱と接触し、自分の車に傷がついた(電柱は修繕の必要なし)
  • 駐車場に停めようとして、自宅の塀に車をぶつけた
  • 雪道を走行中に側溝に落ちてしまい、車の一部が破損した

といったものが挙げられます。

単独事故では自身の車や所有物の修理・修繕費用が必要になるでしょう。さらに被害者が発生した事故において、加害者側は自身が所有する車両や設備の修理費に加え被害者への賠償金も重なり、かなりの出費になってしまう可能性も。

そこで活躍するのが、自動車保険です。

物損事故で使える保険の種類や補償範囲

自動車保険には、「自賠責保険」と「任意保険」の2種類があります。事故や必要な費用の種類に応じて、使用できる保険が異なります。

自賠責保険は使うことができない

車の所有者全員が強制で加入しなければならない自賠責保険においては、物損事故による費用負担は補償されません。

自賠責保険は対人事故における相手の死傷に対する補償のみとなっており、物損事故における賠償金や修理費などは対象外とされています。

そのため、任意保険に入らず自賠責保険のみ契約している場合は、必要な費用は全て自己負担となってしまいます。

関連記事:自動車保険とは?仕組みや基礎知識について簡単に説明

物損事故で保険を使うなら任意保険

一方の任意保険は、自賠責保険と異なり、物損事故にも対応可能な補償が用意されています。

他人のものを壊してしまった時は「対物賠償保険」

他人が所有している物に何かしらの損害を発生させてしまった場合、修理費用や弁償費用が必要になります。その際に使えるのが「対物賠償保険」です。

対物賠償保険は、任意保険の加入者全員が基本補償として利用可能であることがほとんどです。受け取れる保険金額も無制限に設定できることが多く、費用面での負担を強力にカバーしてくれるでしょう。

相手がわからない事故や単独事故では「車両保険」

物損事故の被害者になってしまった際は、加害者に賠償金を請求することで自分の車や物を修理したり買い換えたりすることができます。

一方、当て逃げされ相手がわからない、もしくは単独事故を起こしてしまった場合、自分の車の修理費は「車両保険」によって補償されます。

車両保険も任意保険では基本的に用意されている補償ですが、自身で車両保険を外すことも可能。乗っている車種の発売日から時間が経つほど受け取れる保険金額が安くなっていくため、同じ車に長年乗っている人は車両保険のみ外すことも多いです。

もし車両保険を外してしまった場合、自身の車の修理費は自己負担になるので注意しましょう。

物損事故で保険を使うメリット

物損事故によって支払い義務が発生した際に、任意保険を使うメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

金銭的負担が大きく減る

物損事故を起こしてしまうと、多額の賠償金が発生してしまう可能性が高いです。例えば相手の車の修理費を支払うことになった場合、数十万円以上かかってしまうことも決して珍しいことではありません。

突然多額の出費が必要になってしまっても、保険を使うことで費用の大部分を抑えることができます。

専門スタッフに示談交渉を任せることができる

費用面だけでなく、事故における示談交渉を保険会社の専門スタッフに任せることができる点も大きなメリットです。

車を運転する人のほとんどが示談交渉をしたことがないため、自分自身で進める際は何をどう決めればいいのかわからなくなってしまうケースも多いです。場合によっては、相手から賠償金が一向に支払われない、無理な条件を強引に要求される、といったトラブルに発展してしまうことも。

保険会社に示談を一任することで、慣れない交渉による自身の負担を抑えることができますね。

物損事故で保険を使うデメリットや注意点

一方で、保険を使うことで発生してしまうデメリットや注意点も存在します。

等級が下がり、保険料が値上がりする

保険会社から保険金を受け取ると、自身の等級は下がり保険料が値上がりします。

保険金を保険会社に請求すると、事故内容に応じて1〜3等級下がってしまいます。したがって、その分支払わなければならない保険料も割高に。

さらに、事故からしばらく「事故有係数適用期間」となるため、同じ等級でも通常時より保険料が高く設定されてしまいます。

等級についてもっと調べてみたい方は、こちらの記事でわかりやすく解説しています。

関連記事:自動車保険の等級とは?保険料や割引率との関係をわかりやすく解説

過失割合が10対0の場合、保険会社は示談交渉できない

先ほど「保険会社に示談交渉を一任することができる」とお伝えしましたが、保険会社が交渉することができない例外も存在します。

それが、「過失割合10対0」の事故です。

被害者に全く過失がない事故、いわゆる「もらい事故」においては、保険会社は被害者に代わって示談交渉を行うことができません。

そのような場合、被害者は加害者側の保険会社と直接交渉しなければなりません。保険会社側は示談交渉のプロでもあるため、交渉が被害者側に不利な条件で進んでしまう可能性もあります。

しかし、「弁護士費用特約」のように、保険会社が対応できないケースでも専門家に依頼することができる制度や補償も存在しています。「弁護士費用特約」の中身や利用方法については、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:自動車保険の弁護士費用特約とは?必要性や加入率、使い方まで詳しく解説!

物損事故の対応方法や処理の流れ

ここからは、実際に物損事故を起こしてしまった際の対応手順について解説していきます。

事故を起こしてしまったり巻き込まれてしまったりした時は、動揺で頭が真っ白になってしまうかもしれません。事故時にすべきことは何か、どこにどのような連絡をすればいいのか、きちんと確認しておきましょう。

警察への報告は必ず行う

相手がいる事故か単独事故かに関係なく、事故を起こしてしまったらまずは警察に報告しましょう。自分の敷地内での事故を除いて、たとえ相手がいない単独事故であっても警察への報告が義務付けられています。

報告を怠ると当て逃げ事故として処理され、罰金や免許停止処分を受けることになってしまいます。必ず警察に通報するようにしてください。

安全の確保と情報収集

さらなる事故やトラブルを防ぐために、安全な状況を確保しましょう。特に道路上における事故では、まずは車両を安全な場所に移動させるようにしてください。

その後、事故の処理に必要な情報を集めておきます。

具体的には

  • 事故の相手や目撃者がいる場合は氏名と連絡先の確認
  • 事故の証拠となる写真
  • ドライブレコーダーの映像の確認・保存

上記のようにあらかじめ情報を収集しておくことで、その後の手続きや交渉がスムーズに進むようになります。

使うかどうかに関わらず保険会社に連絡

保険を使うかどうかに関わらず、保険会社に事故が起きたことを連絡するようにしましょう。

その場の自己判断では、その後の出費や示談交渉の結果はまだわかりません。保険会社に連絡を怠ると、使えたはずの補償が使えなくなってしまうこともあります。

保険を使うかどうかはその後に決めることができるため、まずはきちんと保険会社に連絡を入れるようにしましょう。

必要な資料を用意する

事故現場での対応が済んだのち、示談交渉や費用の請求に必要な資料を用意します。

保険を利用する際には「交通事故証明書」が必要です。事故が発生したときに警察に届け出ることで入手することができるため、必ず警察に連絡するようにしましょう。

また事故によって自身の所有物や車に損害が生じた場合、どれぐらいの被害が生じているかの損害額がわかるものを用意しておきましょう。修理や買い替えの見積書、代車費用の領収書など、具体的な費用がわかる書類は手元に残しておくようにしてください。

物損事故で保険金を請求する方法

事故の処理の次に必要なのは、保険会社への請求です。

保険を使うと判断した場合、どのような手続きが必要になるのか、使う保険の種類ごとに解説していきます。

対物賠償保険を利用するケース

まずは、物損事故の加害者となってしまい、被害者に支払う賠償金を保険金でカバーしたい場合についてご紹介します。「電柱やガードレールに衝突し、設置業者から修繕費を請求される」といった、一見すると単独事故のようなケースも含まれます。

実際に保険金を受け取るまでの流れはこちら。

  1. 保険会社に対物補償保険を利用したいことを伝える
  2. 必要書類(交通事故証明書、本人確認書類など)を提出
  3. 保険会社が被害者と示談交渉を行う
  4. 示談が成立し、必要な賠償金額が確定する
  5. 保険会社から保険金が支払われる

ほとんどの手続きや交渉は保険会社が行ってくれるため、連絡後は特に必要なアクションは発生しないでしょう。

車両保険を利用するケース

次に、単独事故や加害者がわからない事故において、自身の車両保険を利用するパターンについてです。

  1. 保険会社に車両保険を利用する旨を連絡する
  2. 修理業者に見積もりを依頼
  3. 見積もり書、修理する車の写真、その他保険会社ごとに指定された必要書類を提出
  4. 修理完了後、保険会社から費用が支払われる

どちらのケースにおいても、保険会社ごとに必要な書類や提出方法が定められています。詳しくは契約している保険会社にご確認ください。

 物損事故でよくあるトラブル

事故を起こしてしまった時の対処法や保険会社への手続きについてご紹介してきましたが、事故内容や相手との交渉において様々なトラブルが予想されます。いざという時のために、確認しておきましょう。

加害者がわからない

誰かにぶつけられたにも関わらず、警察への通報や謝罪もなく逃げられてしまう「当て逃げ事故」の被害者になってしまうパターンです。

もし当て逃げ加害者が特定できなかった場合、必要な費用を相手に請求することができなくなってしまいます。その場合、修理費や必要費用を自腹で払うか、自身の保険を使うしかありません。

一方で当て逃げによって発生する費用を自分の保険でカバーする場合においても、等級が下がり保険料が割高になってしまいます。

このような事故に対してはドライブレコーダーや監視カメラの設置・確認によって対策を取ることができます。必ず当て逃げ事故の加害者が特定できるとは限りませんが、不当な被害を抑制することは可能でしょう。

人身事故ではなく物損事故での処理を要求される

被害者に軽いケガが発生した場合において、加害者側から「ケガの程度が軽そうだから、物損事故として処理してほしい」と要求されることがあります。

被害者側にケガが発生しているため、本来ならば人身事故として扱われるべきでしょう。しかし、人身事故は物損事故よりも賠償金額が高く、違反点数も加算されてしまうため、物損事故として処理を進めた方が加害者側にとってはメリットが多くなります。

一方、そのような要求に従っても、被害者側にはメリットがほとんどありません。むしろ、デメリットの方が大きいと言えます。

その場では軽度なケガだと考えていても、実際には治療が必要であったり、時間が経つにつれて悪化したりすることもあります。しかし、物損事故として手続きを進めてしまった場合、治療費や通院費が必要になっても加害者側に請求することはできません。

加害者からの要求に左右されず、ケガや体の痛みが発生した場合はきちんと人身事故として警察や保険会社に申請しましょう。

示談交渉が難航する

物損事故に限った話ではありませんが、過失割合について示談交渉が難航するケースもあります。

保険会社が示談交渉を行い賠償金額が決定されたとしても、事故の当事者が納得しないこともあります。さらに保険会社が交渉に介入できず、示談交渉に慣れていない当事者のみで進める場合、トラブルが発生する可能性はさらに高くなってしまいます。

交渉での揉め事を回避するために、弁護士への相談や依頼にかかる費用を補償する「弁護士費用特約」を用意している保険会社も存在します。交渉について不安を感じる方は、そのような特約への加入も検討してみましょう。

関連記事:自動車保険の弁護士費用特約とは?必要性や加入率、使い方まで詳しく解説!

物損事故についてよくある質問

過失割合が10対0の場合、示談金の相場はいくらですか?

事故の当事者だけで示談交渉をして賠償金を請求する際、物損事故においては壊れたものの修理費や買い替え費用を請求するのが基本です。

  • 車や所有物の修理費・買い替え費(時価額)
  • 代車費用・レンタカー費用
  • レッカー費用

例えば車の修理が必要になった場合は、被害者は加害者に修理費を請求することができます。

しかし、車が全損となってしまった場合、請求できる金額は車の時価額をもとに算出されます。古い車になると、請求可能な費用は新車と比べて限定的になってしまうでしょう。

物損事故で保険を使った場合、保険料はいくら上がりますか?

保険を使うと、等級が最大3つ下がってしまい保険料は値上がりします。

具体的に何円上がるかは保険会社や契約内容によるので一概には言えませんが、等級ごとの割引率を公表している保険会社もあります。

等級別料率制度(無事故による割引)

楽天損保:等級別料率制度(無事故による割引)(https://www.rakuten-sonpo.co.jp/family/tabid/1103/Default.aspx)

より詳細な保険料について確認してみたい方は、契約している保険会社に問い合わせるか、一括見積もりを利用して保険料を予想することも可能です。

物損事故が起きてから解決までの期間はどれぐらいですか?

事故の内容や損害の程度にもよりますが、スムーズに示談交渉が進めば約2ヶ月程度で終わることが多いと言われています。

治療や通院が必要になりがちな人身事故と比較すると、解決までの期間は短めとなることが多いでしょう。

10対0のもらい事故において、自分の保険を使うことはできないのでしょうか?

10対0の事故においては、被害者は示談交渉の代行サービスを利用できません。ですが、それ以外の補償や特約はほとんど使うことができます。

物損事故のもらい事故では、被害者側は車両保険を使うケースが多いでしょう。また自身や同居している家族が「弁護士費用特約」を契約している場合は、必要な費用を保険会社に負担してもらうことで、弁護士に交渉を依頼することができます。

物損事故における修理費の相場はいくらぐらいですか?

車の修理費としての相場は10〜50万円程度であると言われています。ですが実際には、事故によって損害が発生している箇所や程度によって大きく異なります。

車を修理に出す場合、軽い傷の場合は数万円程度の修理で完了することも多いでしょう。ですが、修理内容によっては数十万円規模になることは決して珍しくありません。

詳しい修理費用が知りたい場合は、ディーラーや修理業者に確認してもらい、見積もりを依頼してみましょう。

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資産形成メディア「みんかぶ」を中心に、金融商品の記事の執筆を行っています。資産運用のトレンド情報や、初心者が楽しく学べるお金の基本コラムなど、資産形成をするすべての人に向けた記事を提供します。

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