このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。特に抗がん剤治療が必要になった場合、どれくらいの金額を用意しておくべきなのか、がん保険でカバーできる金額なのか気になりますよね。
この記事では、抗がん剤治療の費用平均をデータと共に解説します。
また、保険の対象になるもの、自己負担になるものもそれぞれ解説しているので参考にしていただければ幸いです。
抗がん剤治療の費用平均はいくら?
初めてがんに罹患した場合、抗がん剤治療の費用平均はがんの進行状況、部位、使用する薬剤によって大きく変わります。
ここでは、罹患者の多い「胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん」の4種の抗がん剤治療費の目安を紹介します。
部位別がんの抗がん剤治療費目安
がんの種類 | 抗がん剤治療費の費用平均(年間) |
---|---|
胃がんステージII | 約800,000円 |
大腸がん(結腸がんステージII) | 約850,000円 |
小細胞肺がん進展型ステージ | 約1,600,000円 |
乳がんステージⅡ | 約2,700,000円 |
上記は「1年単位の費用目安」になりますが、がん治療は長期化してしまう可能性も捨てきれません。
下図のデータは、がん治療にかかった医療費の目安です。期間が伸びてしまうと、どの部位のがんであっても100万円以上の医療費が必要になっていることがわかります。
なかでも、大腸がんや食道がんの医療費は500万円〜600万円程度とかなり高額になっていますね。
日本対がん協会:がんによる生涯医療費の推計と社会的経済的負担に関する研究
この金額を見てそうと思った方もいると思いますが、全額自己負担ではありません。公的医療保険の対象になる医療費に関しては、自己負担「3割※」で治療が受けられます。
※70歳以上75歳未満は原則2割、75歳以上は原則1割
ただ、それでも100万円の医療費で「自己負担30万円」はかなり家計に響きますよね。だからこそ、万が一がんになってしまったときに備えて「自分にあったがん保険」を選び、加入しておくことが重要になります。
抗がん剤治療のなかで公的医療保険の対象になるもの
公的医療保険とは、国民全員を保障する医療保険のこと。
前章で「公的医療保険の対象になるものは自己負担3割※」と説明しましたが、具体的にはどんな費用が対象になるのでしょうか。
公的医療保険の対象になるもの
- 検査代・入院代・手術代
- 放射線治療費
- 薬代(治験・先進医療を除く)
この3項目は、抗がん剤治療費の内訳のなかでも大半を占めるものになりますから、メインの医療費は自己負担3割以下で済む可能性が高いと覚えておきましょう。
また、がんの抗がん剤治療のような「高額」になった場合の医療費に関しては「高額療養費制度」が利用できる場合があります。
簡単にいうと高額療養費制度とは、「設定されている自己負担の限度額(上限)を超えた金額は払い戻してあげるよ。」という、私たちにとって優しい設計がされた制度のこと。詳しくは「高額療養費制度」の章で解説します。
では、完全に自己負担になってしまう費用には何があるのでしょうか。
抗がん剤治療のなかで自己負担になるもの
以下7項目に関しては、基本的に「自己負担」になるので注意が必要です。特に先進医療による治療は高額なうえに、公的医療保険の対象外となってしまいます。
自己負担になるもの
- 通院・入院時の交通費
- 先進医療・治験・医療機器(保険適用外)を使った治療費
- 差額ベッド代
- 入院時の食費・日用品・入院着購入費
- 医療用ウィッグ購入費
- 家族の交通費・宿泊費・生活費
- お見舞いのお返し代
個室や少人数部屋を希望した際にかかる差額ベッド代や、医療用ウィッグの購入は、数万円〜10万円以上の出費となってしまい、かなりの痛手になってしまいます。
こうした「自己負担になる項目」に備えるためには、「診断給付金(一時金)」や「先進医療保障」が付保されているがん保険へ加入しておくことが重要です。
がんと診断されると体調だけでなく、精神的負荷もかかります。ここに「金銭的負荷」もかかってしまうと、非常に辛い思いをしてしまうことでしょう。
「抗がん剤治療費が払えない」を避けるための公的制度
ここで気になるのが、「抗がん剤治療費」をはじめとした医療費が払えない場合はどうなるのかですよね。
そう考えると不安ですよね。
しかし、社会保障制度がしっかりしている日本では、治療費が払えず満足する治療が受けられない状況を避けるため、以下5つの公的制度が用意されています。
国民皆保険制度
国民皆保険制度とは、医療費の7割〜9割を国が負担してくれる制度。「皆」という文字がついているのは、国民全員が「国民健康保険または被用者保険」に加入しているからです。
例えば、30歳の人が医療費5000円の診察・治療を受けた場合、自己負担額は「1500円」で済みます。
国民皆保険制度は、がんの治療でも一部対象になっており、以下の医療費に関しては「年齢に応じた自己負担額のみ」を支払うことで治療が受けられます。
- 検査代・入院代・手術代
- 放射線治療費
- 薬代(治験・先進医療を除く)
高額療養費制度
高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
自己負担限度額は、年齢・収入の2点によって決められています。以下は70歳未満の自己負担限度額区分です。
高額療養費制度と国民皆保険制度を利用すれば、がん保険の医療費の多くを国負担にして受けられるようになります。
ただ、それでも数万円以上の自己負担額は残ってしまうので、手元資金に余裕がない場合はがん保険で備えておくと安心です。
高額療養費貸付制度
高額療養費制度を使う場合、払い戻しまでの期間は一旦自分でお金を建て替える必要があります。この建て替え期間に無利子でお金が借りられる制度が「高額療養費貸付制度」です。
申し込み方法も以下の書類があれば簡単にできるので安心。
- 医療機関(病院等)の発行した、保険点数(保険診療対象総点数)のわかる医療費請求書
- 被保険者証又は受給資格者票等(原本提示・郵送の場合は写しで結構です。)
- 高額医療費貸付金借用書
- 高額療養費支給申請書
付加給付制度
付加給付制度は、高額療養費制度に上乗せして払い戻しを受けられる制度です。仕組みは、高額療養費制度と似ていて、「自己負担限度額を超えた分」を払い戻してくれます。
自己負担限度額は加入している健康保険組合によって異なるので、加入している組合の付加給付制度がどうなっているのかチェックしてみましょう。
ちなみに、厚生労働省からは「2万5000円」を自己負担限度額の目安にするよう指導がされています。
医療費控除
直接支払い額が減るわけではありませんが、確定申告をして「医療費控除」をすれば、支払う税金を減らすことができます。
控除とは、課税対象の所得額から「一定金額を差し引く(控除)」することを意味します。
医療費控除の金額は以下計算式で算出できるため、自己負担を少しでも軽くするためには、確定申告をして医療費控除を活用しましょう。
抗がん剤治療など高額治療費はがん保険でしっかり備えるのがおすすめ
今回説明したとおり、抗がん剤治療をはじめとしたがんの治療には多くのお金が必要になる場合があります。
仮に、使える全ての公的医療保険や、保障を活用したとしてもある程度自己負担額がかかってしまうのも事実。
さらに、がんと診断され働けない状態になってしまったら、不安はより一層大きくなってしまいますよね。そうならないためにも、早いうちから納得できるがん保険を見つけ、加入しておくことが重要になります。
「がん保険ってどうやって選べばよいの?」という方は、保険のプロに一括見積もりを依頼してみましょう。悩んでいることや、よくわからず決めかねていることについても一緒に相談できますよ。