がん保険への加入を考えている方なら絶対に知っておきたいのが「免責期間」です。
免責期間とは契約から保障が開始されるまでの期間をさします。
では、なぜこの免責期間に気をつけないといけないのでしょうか。その答えは「免責期間を正しく理解していないと思わぬ自己負担が生じてしまう可能性があるから」。
今回は、がん保険に加入してから後悔しないための「免責期間」の正しい知識をお伝えします。
免責期間とは?
免責期間とは、保障開始日からがんの保障が開始されるまでの期間のことをさします。この免責期間中は「保障が受けられない」ため、注意が必要です。
例:免責期間が90日に設定されているがん保険に加入したが30日後にがんが見つかってしまった
→診断給付金などの給付金がもらえない
また、免責期間中でも保険料の支払いは発生する点も覚えておきましょう。
「免責期間中は保障がされないなら保険料もいらないのだろう」と考えていると、契約自体が無効になってしまうリスクがあるためです。
がん保険の免責期間は何日に設定されている?
では、がん保険の免責期間は何日に設定されているのでしょうか。ほとんどのがん保険商品では「3ヶ月(90日)」に設定されています。
基本的にがん保険は、保障始期日から3ヶ月間は保障が受けられないと覚えておきましょう。
免責期間がないがん保険もある
なかには、免責期間がないがん保険もあります。こうした免責期間なしのがん保険を選べば保険始期日から給付金の支払い対象になります。
詳しくは後述の「免責期間がないがん保険に入れば安心?」で解説しています。
なぜがん保険には免責期間が設定されているのか
「がんに対する保障が欲しくて加入するのになんで3ヶ月間は保障が開始されないんだ?」と不満に思う方も多いと思います。
しかし、がん保険に免責期間が設けられているのには理由があります。その理由が以下の2つです。
- がんは自覚症状がないことが多いから
- 給付金や保険金の不正受給を防ぐため
がんは自覚症状がないことが多いから
がんの中には大腸がんや肺がんなどの「自覚症状がほぼないもの」があるため、免責期間を設けないと「公平性」が担保できなくなってしまいます。
この「公平性」というのは、保険料と死亡率のバランスを取るという意味で使われており、保険会社が必要なときに必要な保険金・給付金を支給するために重視されています。
3ヶ月間、がんと診断されなければ同じ保険料を支払っている契約者全体が「公平な条件で保険に加入している」という扱いになるということですね。
給付金や保険金の不正受給を防ぐため
2つ目の理由は「給付金や保険金目当ての加入を防ぐため」です。
がんと診断されている/自覚症状があるにもかかわらず給付金目当てでがん保険に加入されてしまうと、前述の「公平性」が崩れてしまいますからね。
また、健康状態や既往歴を偽ってがん保険に加入することは「告知義務違反」となり、契約が無効になるので絶対に行わないようにしましょう。
免責期間中にがんの診断を受けてしまったらどうすれば良い?
あまり考えたくはありませんが、がん保険の免責期間中に「がん」と診断されてしまった場合にはどうすれば良いのでしょうか。
対処法としては以下の2つが考えられます。
- 高額療養費制度を活用する
- 加入している他の医療保険で保障が受けられないか検討する
高額療養費制度を活用する
高額療養費制度とは、医療費の負担が重くなりすぎるのを防ぐために作られた制度です。
高額療養費制度は、1ヶ月で支払った医療費の合計が、このあと紹介する「上限額」を上回った場合に利用することができます。
ひとつの医療機関で支払う医療費が21,000円を超えたものが合算の対象となりますが、70歳以上の場合は金額関係なくすべての医療費を計算に含めることができます。
69歳以下(自己負担3割) | 70歳以上(自己負担2割) | |
---|---|---|
医療機関Aで支払う医療費 | 200,000円 | 100,000円 |
医療機関Bで支払う医療費 | 1,500円 | 150,000円 |
医療機関Cで支払う医療費 | 23,000円 | 3,000円 |
高額療養費制度の対象金額 | 223,000円(医療機関Bで支払う医療費は含まれない) | 253,000円(すべての医療費を合算) |
※対象金額から自己負担限度額が引かれて、支給金額が決定します。
高額療養費制度は「公的医療保険」の仕組みであるため、国民は誰でも利用できます。がんの治療費は高額になるケースも珍しくないため、是非ともしっておきたい制度の一つです。
免責期間中にがんと診断されてしまった場合には、利用できないか確認してみましょう。
関連記事:高額療養費制度とは?制度の内容や受け取れる金額、申請方法について解説
加入している他の医療保険で保障が受けられないか検討する
がん保険の他に、すでに加入している医療保険がある場合には、該当する保険で保障が受けられないか調べてみましょう。
医療保険の保障内容を見返すのはなかなか骨の折れる作業ですので、加入している保険会社に対して以下の質問をする方法がおすすめです。
- 今の現状(どんながんに罹患してしまったのか)
- 適用できる保障はあるかどうか
- 保障を受けるためには何が必要なのか
また、がん保険に新たに加入しようと考えている人で、すでに医療保険に入っている場合には、すぐに医療保険を解約せず、免責期間が終わるまでは加入しておいたほうが安心です。
がん保険に加入する際には免責期間と責任開始日を必ずチェックしよう
がん保険に加入する際には、免責期間と責任開始日を必ずチェックしましょう。
免責期間は何日なのか、保険金が支払われるようになる「責任開始日」はいつなのかを把握しておいたほうが、安心できますからね。
例:2024年1月5日に契約締結し、責任開始日が翌月2月1日の場合
免責期間:90日
責任開始日:6月1日からがんの保障開始(免責期間終了の翌日。2月は29日間とする)
ただ、免責期間を早めることはできません。がん保険に加入するのであれば「少しでも早くから保障を開始してほしい」と思いますよね。ではどうすれば良いのでしょうか。
保障開始を早めるためにはスピーディーに加入手続きを進める必要がある
保険会社によっては、申込み手続きと健康告知の両方が完了した日にさかのぼって保障が開始される場合があるので、早めの対応が必要です。
申込み手続きが早いほど、保障が開始される日付も早くなりますからね。そこでみなさんにはスピーディーにがん保険へ加入するために「がん保険の加入手続き」を参考までに紹介します。
がん保険の加入に必要な書類
まずは、がん保険の加入に必要な書類を紹介します。主に以下が必要になるので、手元に揃えておきましょう。
- 契約申込書、告知書
- 本人確認書類
- 保険料支払いに必要なもの
- 印鑑
【契約申込書】【告知書】
契約申込書に、契約者や被保険者の氏名など必要な情報を記入します。また保険を契約するには健康状態の告知が必要ですので、告知書の記入を行います。告知内容は保険会社や保険商品によって異なります。健康状態によっては健康診断の結果などの提出が求められることがあります。
【本人確認書類】
保険に加入する際には、本人確認書類の提示や送付も必要です。本人確認書類には、運転免許証、健康保険証、パスポート、マイナンバーカード、住民基本台帳カード、年金手帳、在留カード、特別永住者証明書などがあります。(書類によっては2点必要になる場合があるため、確認が必要です。)
支払い方法に応じて必要なもの・その他
また、保険料の引き落とし口座の情報が確認できるものやクレジットカード、契約書に押すための印鑑も必要です。
がん保険の加入手順
一般的ながん保険の加入手順は以下の通りです。
- 保険会社や代理店に相談する
- 申込書に必要事項を記入する
- 告知書に現在の健康状態や過去の傷病歴などを記入する
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)を提出する
- 健康診断書を提出する(必要に応じて)
- 保険料を支払う
- 保険契約が成立する
「どのがん保険がいいのか決めるのに時間がかかりそう」という方は、保険のプロに無料相談してみるのもおすすめですよ。
虚偽の内容で申し込むのは「告知義務違反」になるので要注意
告知義務違反とは、保険契約時に、故意または重大な過失によって、告知事項について虚偽の内容を告知することです。告知義務違反があった場合、保険契約は解除され、給付金は支払われません。また、支払った保険料の払い戻しはありません。
告知事項については、正確に記入するようにしましょう。
免責期間がないがん保険に入れば安心?
「免責期間があるのはなんだか不安だな」と思っている方は、免責期間がないがん保険に加入すればよいのでは?とお考えかもしれません。
もちろん、免責期間がないがん保険は「責任開始日から保障の対象」になるので安心感があります。
しかし、見落としがちなデメリットも存在するのが難しいところ。この章では、免責期間がない保険に加入するメリットとデメリットを紹介します。
免責期間がないがん保険に加入するメリット
免責期間がないがん保険に加入する最大のメリットは「責任開始日から保障がうけられる(給付金がもらえる)点」です。
もちろん、がんの疑いや自覚症状がある状態での加入はNGですが、自覚症状がなく、たまたまなにかの健診でがんが見つかった場合に、給付金がもらえるのは大きなメリットといえますね。
また、保険料が割安に設定されている点も免責期間がないがん保険のメリットといえます。しかし「なぜ保険料が割安なのか」が気になりますよね。
この保険料が割安な点は、デメリットにも関連しているため次の章で説明します。
保障内容をしっかり確認しておかないと思わぬ落とし穴も
免責期間がないがん保険の「保険料が割安」な理由は、免責期間があるがん保険に比べて「保障が充実しておらず、給付金の金額も少ないから」です。
また、免責期間がないがん保険のほとんどで、診断一時金という「がんと診断された際に給付されるお金」がない点にも注意が必要です。
使い道が定められていない診断一時金がないのは、見逃せないデメリットのひとつ。
また、上皮内新生物は保障されない可能性が高い点も忘れてはいけません。
上皮内新生物とは、がん細胞が粘膜の上部層である上皮内にとどまっており、その下の基底膜を破って浸潤(しんじゅん)していない状態をいいます。
上皮内新生物は、がん(悪性新生物)の一種ですが、一般的ながんとは以下の点で異なります。
- 浸潤・転移の可能性が低い
- 手術で切除すれば、再発の可能性はほとんどない
一般的ながん保険では上皮内新生物も保障の対象になることが多いのですが、免責期間がないがん保険では「保障されない商品がほとんど」です。
免責期間がないがん保険は、一見メリットしかないように思えますが「保障の手厚さ」は期待できないため、加入する際は慎重に検討を重ねた上で決めるようにしましょう。
がん保険へ加入するなら「しっかり検討したうえで迅速に」がおすすめ
今回は、がん保険の免責期間について解説しました。がん保険には免責期間がある分、健康なうちに早めに加入することが重要です。
とはいえ、保険選びには時間も労力も必要ですから、なかなか気が進まず放置してしまっている方も多いのではないでしょうか。
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