火災保険

地震保険?火災保険?考えたい、家を守る保険バランス

著者:高柳 侑己

2022年07月11日 掲載

「地名に『氵(さんずい)』が入っている地名は水害に弱い」などという話を聞いたことがあるでしょうか。

地名には、過去にその土地に起きた災害を伝えているということがあります。私たちは自分の住んでいる土地の名前の由来を知り、過去に起こった災害を知ることで災害に備えなくてはなりません。その備えの一つとして保険が必要だといえます。

日本は世界の中で、国土面積が約0.25%にもかかわらず、世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約20%が日本国内で発生しています。まさに日本は地震大国なのです。政府と損害保険会社が共同で「地震保険」を運営しているのはこのためです。地震保険とはどのような保険なのか、保険料はどのくらいなのか、火災保険と比較しながら解説していきます。

地震保険とは?

地震保険は、「地震や噴火、津波による災害で負った損失を補償する保険」です。

被災したときの生活の安定を目的とした保険なので、「建物および家財」について補償金額を設定します。地震保険は火災保険とセットで販売され、地震保険の補償額は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で設定します(建物5,000万円、家財1,000万円が上限)。地震保険の保険料は各社同額で、原則セット販売となっているため、地震保険をセットにしないときは確認欄への押印が必要になります。また、契約時に火災保険のみで加入していても、契約途中に地震保険をつけることができます。

歴史をさかのぼると、1966年に「地震保険に関する法律」の制定を受け、国と損害保険会社が共同で運営する制度として始まったのが地震保険です。これには1964年に発生した新潟地震の影響が大きくあります。

そして、近年多発し、かつ今後も予測される大規模な地震に備えるため、2017年1月1日に地震保険の料率が改定されました。全国平均で5.1%の引き上げとなり、都道府県や建物の構造によっては最大14.7%増となっています。これは、2014年に公表された「確率論的地震動予測地図」において震源データを更新し、地震規模の見直しや地盤データの見直しを行った結果が反映されています。今回の改定にともなって損害区分の認定基準も改定されました。改定前は半損にまとめられていた項目が2分化され、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」に細分化されました。

地震保険と火災保険の違い

阪神・淡路大震災の際には、地震によって発生した火災でたくさんの人が被災しました。当時は、火災保険に加入していても地震保険に加入していない人も多く、火災保険のみの加入者は地震で家が燃えてしまったとしても補償の対象外となりました。つまり、地震保険をセットしていないと、地震を起因にして発生した火災に対しては補償されないのです。地震保険に加入しておくと、もしもの時の備えとして安心できるでしょう。

しかし、大規模な地震が起こった場合、地震保険に加入していても全額が補償されるとは限りません。1回の地震に対して支払われる保険金総額の限度を超える場合には、保険金を削減することができる旨が法律で定められています。この総支払い限度額は、関東大震災規模の地震にも対応できるように随時見直しがなされ、2016年4月の時点では11.3兆円となっています。

一方、火災保険の補償内容は火災のみならず、風災や浸水、盗難や破損などの補償がセットになっており、「住まいの保険」や「家庭用火災保険」として販売されています。

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地震保険で注意すべきこと

地震保険の保険料は損害保険料率算出機構という中立機関が算定しており、各社同率で「所在地と建物の構造」によって決定します。保険期間は5年が大半でしたが、近年では6~10年という長期の商品も販売されています。その契約期間は解約の申し出がない限りは自動更新されます。

実際に地震保険の支払い請求をする際には、破損した建物や家財の修理費用の見積書は必要ない場合もあります。なぜなら、地震保険の保険金は修理費の実費に関係なく、契約の補償金額に損害区分による割合を乗じたものであるからです。とはいえ、被害状況を保険会社に説明する際の証拠品は必要です。被災した際にはできるだけ損傷状況を写真に撮り、保存しておくようにしましょう。

しかし、仮に全壊など被害が甚大であった場合、実際にその保険金額のみで住居を再建することは難しいのが現状です。あくまで、地震保険は生活を立て直す費用の補助のための保険と考えた方がいいでしょう。

家族と同じように家にも保険を

家族がケガや病気をしたときの備えとして健康保険がありますし、生命保険や傷害保険にも加入している世帯もいるでしょう。万一入院となったときは健康保険の高額療養費制度や民間の医療保険として入院給付金が支払われる保険などもあります。

住まいに関しても同じように、損害に備えるために火災保険に加入し、その際には地震保険を付与すればより安心した生活を送ることができるのではないでしょうか。

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高柳 侑己

ファイナンシャル・プランニング技能士 / ファイナンシャルプランナー 10年以上保険業界に携わり、個人だけでなく法人向けの保険プランニングも行う。特に生命保険、医療保険、損害保険を得意としている。分かりやすくお客様の経済安定性を高める提案を数多くし、事故や災害、病気からの損失を最小限に抑える的確なアドバイスを行い、お客様からの信頼も厚い。

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