こうした不安や焦り、疑問を抱えている人もいらっしゃると思います。この記事では「火災保険の保険金請求(申請)から支払いまでの流れ」を分かりやすく解説します。
- 火災保険の保険金は損害保険金と費用保険金(見舞金)の2種類がある
- 保険金請求のコツは「正確な被害状況」を「早く」伝えること
- 登記簿謄本や印鑑証明書が必要になることもあるので覚えておくと◎
- 火災保険を使うことのデメリットはない
火災保険の保険金請求|申請方法から支払いまでの流れを解説
火災保険の保険金請求の流れは以下の通りです。
保険会社へ連絡を入れる
被害状況の確認・写真撮影
修理業者の選定と見積もり依頼
必要書類の準備
保険会社へ必要書類の提出
保険会社による審査・現地調査
指定口座に保険金が支払われる
ただし、スムーズに保険金請求をするためには、手順だけでなく、保険金の基礎知識や必要書類は何があるか知っておく必要があります。
まずは、保険金の種類と必要書類について確認していきましょう。
という方は以下の章からお読みください。
火災保険で請求できる保険金の種類
火災保険で請求ができる保険金には、損害保険金と費用保険金(見舞金)があります。
それぞれの違いは「何に対して支払われるのか」です。
建物・家財の損害に対して支払われる損害保険金
建物や家財の損害に支払われるのが損害保険金。「火災保険の保険金」と聞いてイメージするのがこの損害保険金です。
損害保険金は、以下のような被害に対する補償として支払われます。
【損害保険金がもらえる例】
建物が火災により半壊してしまった
台風の被害により屋根が壊れてしまった
豪雨の被害で床上浸水が起こってしまった
火災で家電や家具や焼けてしまった
突風で窓ガラスが割れてしまった
事故・損害に伴う諸費用に対して支払われる費用保険金(見舞金)
直接の被害ではなく、被害によって副次的に必要になった片付け費用や、火事によるケガの治療費、仮住まいの宿泊費を補償するのが費用保険金です。見舞金とも呼ばれます。
【見舞金がもらえる例】
条件
一戸建
建物2,000万円、家財500万円の火災保険に加入している
費用保険金は”臨時費用保険金(損害保険金の10%)”が付いている
例:台風
台風により、損害を受けた場合
損害:台風の強風で屋根が破損し、住居内の家具や家電が雨水により損害を受けた
査定:損害保険金は、建物と家財をあわせて100万円
総受取り額:損害保険金100万円+費用保険金10万(100万×10%)=110万
詳しくは以下の記事で解説しています。
https://ins.minkabu.jp/columns/condolence-money-220824
保険金の見直しや特約の追加などを考えている方は、以下の無料相談も合わせてご活用ください。
火災保険の保険金請求に必要な情報・書類は?
保険金請求(申請)に必要な情報は以下の通りです。特に、保険金が支払われるかどうかに大きく関わる「事故状況」を説明するものはしっかりと用意しておきましょう。
また、保険証券番号がわからない場合には、保険会社に速やかに確認することをおすすめします。
【必要情報】
契約者氏名
保険証券番号
事故発生日時
事故発生場所
事故原因
事故状況
損害の程度
警察・消防署への届出の有無(届出している場合は、担当官署名・担当官名)
修理業者を選定している場合は、業者名・電話番号
続いては、必要書類です。
【必要書類】
保険金請求書:保険会社に請求
事故内容報告書:保険会社に請求
修理見積書
被害状況写真
罹災証明書:役所・消防署に請求
建物登記簿謄本:法務局に請求
印鑑証明書:役所に請求
住民票:役所に請求
上記の書類は保険金請求で必要になる可能性の高いものです。被害を受けたらなるべく早く保険金を受け取りたいというのが本音だと思いますので、ひとつずつ用意するようにしましょう。
また、必要書類に不備があると保険金審査が遅れる原因になってしまいます。正確に記入することも心がけましょう。
それでは、具体的な保険金の請求手順に移ります。
STEP1:保険会社へ連絡を入れる
火災や自然災害の被害を受けた場合、すぐに保険会社に連絡しましょう。その際は、どんな被害をいつ受けたのかを伝えるとスムーズに話を進められます。
念の為、保険証券を手元に用意しておくと、電話口でも正確な契約者情報や加入商品がわかるのでおすすめです。
また、保険会社に連絡をした際には、今後何が必要なのかを伝えられますので、しっかりメモをとっておきましょう。
STEP2:被害状況の確認・写真撮影
続いては、被害状況をメモだけでなく、写真としても残しておきましょう。被害が発生した日時、被害の状況がわかるように、色々な角度から写真を残しておくのがポイント。
写真が多すぎて困ることはないので、気になる箇所は全て記録しておきましょう。
被害を受けてからすぐに写真を撮るのは難しいと思いますが、できるだけ早く撮影しておけるとベストです。時間の経過とともに、建物・家財の状態が変わってしまうと、保険金額にも影響を及ぼす可能性があるためです。
STEP3:修理業者の選定と見積もり依頼
保険金請求をするためには、どれくらいの修理費用がかかるのか調べておく必要があります。
ただし「早さ」を意識するあまり、悪徳修理業者にひっかかってしまうおそれもあるため、必ず「慎重に」業者選びをするようにしましょう。
修理業者を選ぶ際には、以下のポイントを確認することをおすすめします。
公式サイトがしっかり用意されている
googleの口コミが十分にある
会社の所在地・登記番号などが記載されている
ネットで口コミを検索すると該当する記事が複数存在する
STEP4:必要書類の準備
次は、保険会社から郵送されてくる必要書類と、提出を求められている書類の準備をします。
保険会社から郵送されてくる主な書類は以下の2つです。
保険金請求書
事故内容報告書
上記の書類には主に次のような情報を記入することになります。
契約者情報
証券番号
保険金支払い先
押印
書類の記入日
事故の発生日時・場所
損害の内容
保険金請求書・事故内容報告書を作成する際のポイントは「被害状況や修繕費用に関してわかることを出来るだけ詳しく書くこと」です。
また、記入箇所に漏れがあると書類が差し戻しになってしまったり、保険金が支払われるのが遅れてしまう原因になります。
必ず、必要項目を埋めること、もしわからないことがあれば都度、保険会社に確認をとるようにしましょう。
STEP5:保険会社へ必要書類の提出
必要書類が揃ったら保険会社に提出をしましょう。
ついついポストに行くのが面倒で先延ばししてしまいがちですが、なるべく早く郵送するように心がけましょう。
多くの場合、返送用の封筒も同封されているので、しっかりとのりづけをしてからポストに投函すればOKです。
STEP6:保険会社による審査・現地調査
書類が到着したら、ここからは保険会社が対応してくれます。保険会社の担当者・鑑定員が被害状況を調べて「保険金を支払うかどうか・いくらが適切か」を決めます。
STEP7:指定口座に保険金が支払われる
審査・現地調査を経て「保険金の支払い事由に該当する」と判断されれば、指定した銀行口座に保険金が支払われます。
保険金の支払いは、書類が到着してから10日〜2週間程度かかる場合が多いことも知っておきましょう。
また、保険金の支払いは申請完了から「相当の期間」と保険法で決められており、それに応じて各保険会社により「原則30日以内」などを決めているため、数ヶ月、年単位で待たなければいけないというケースはほとんどないので安心してください。
火災保険の保険金請求を成功させるためのコツは?
火災保険の保険金請求を滞りなく行うためにはいくつかコツがあります。具体的には以下の3点をしっかり守ることで、保険金請求がスムーズに行える可能性が高まります。
被害状況を正確に伝える
証拠となる写真をなるべく早く撮影しておく
修理業者の見積もり等を早く行う
被害状況を正確に伝える
保険金請求では、保険会社に被害状況を正確に伝えることが非常に重要です。
どの部分がどのように損傷を受けたのか、具体的な状況をできるだけ詳しく説明しましょう。
例えば、「キッチン全体が水浸しになった」という漠然とした表現ではなく、「シンク下の配管から水が漏れて、床が腐食し、壁も湿気ている」など、具体的な箇所や損傷の程度を伝えることで、より正確な被害状況を伝えることができます。
また、保険契約内容をしっかりと確認し、補償範囲に含まれる損害であることを明確にすることも大切です。
証拠となる写真をなるべく早く撮影しておく
被害が発生したら、できるだけ早く証拠となる写真を撮影しておきましょう。被害状況が変わったりして正確な被害がわからなくなってしまうことを防ぐためです。
写真には、損傷の状況だけでなく、周囲の状況も記録しておくと、後々役に立つことがあります。
例えば、雨漏りの場合は、天井のシミだけでなく、屋根の状態や周辺の状況も撮影しておくほうがベターです。
スマートフォンで手軽に撮影できるため、被害に気づいたらすぐに撮影することを心がけましょう。
修理業者の見積もり等を早く行う
保険金請求では、修理費用を算出するために、修理業者の見積もりが必要になります。そのため、早いうちに信頼できる修理業者に見積もりを依頼することが重要です。
見積もりは、保険金請求の際に提出する重要な書類の一つであり、見積もりの内容によって保険金が支払われる金額が決まる場合があります。また、修理業者との連携を密にすることで、スムーズな保険金請求を進めることができます。
これらの3つのポイントを心掛けることで、火災保険の保険金請求をスムーズに進めることができます。ただし、保険契約内容や損害の状況によって、必要な手続きは異なります。ご不明な点があれば、保険会社に早めに相談することをおすすめします。
火災保険の保険金請求に関する注意点!支払われないケースはどんなもの?
火災保険の保険金請求は、いざという時のための備えですが、スムーズに支払いが受けられるとは限りません。保険金が支払われないケースや、再審査請求制度など、いざというとき知っておくと役立つ情報を解説します。
例1:経年劣化による損害
経年劣化によって生じた損害は、通常、火災保険の対象外となります。例えば、築年数が古い住宅の屋根が雨漏りした際、屋根材の寿命が尽きたために発生した損害と判断されれば、保険金は支払われないことがあります。
例2:契約者または被保険者の故意または重大な過失による損害
故意に火災を起こしたり、重大な過失によって火災を拡大させた場合、保険金は支払われません。例えば、タバコの不始末が原因で火災が発生し、建物が全焼した場合などが挙げられます。
再審査請求制度とは?
保険金請求が却下された場合、諦める必要はありません。
多くの保険会社では、再審査請求制度を設けており、一度は却下された請求について、改めて審査してもらうことができます。
再審査請求をする際は、最初の審査で提示された理由をしっかりと確認し、新たな証拠となる資料などを添えて再度請求を行います。専門家である弁護士などに相談することも有効な手段です。
まとめ
今回は、火災保険の保険金請求方法について解説しました。万が一の際に慌てなくて済むように、この記事で解説した手順やポイントをしっかりとおぼえておきましょう。
また、保険金額に不安を覚えた方、補償が足りているか気になる方はこの機会に、保険の見直しをしてみることをおすすめします。
火災保険の保険金請求に関するよくある質問
保険金請求はいつすればよいですか?
火災保険の保険金請求は、原則として、損害が発生したことを知ったときからできるだけ早く行うことをおすすめします。また、保険金請求の時効は「3年」なので合わせて覚えておきましょう。
火災保険を使うデメリットはありますか?
火災保険の場合、保険金を受け取っても保険料に影響もなく、継続しづらくなることもありません。そのため、デメリットはないと考えていただいて問題ありません。
保険金がおりない理由はどんなものが考えられますか?
保険金がおりない主な理由は、以下の通りです。
経年劣化: 建物の老朽化など、経年劣化による損害は、通常、保険の対象外となります。
保険契約に含まれない損害: 盗難保険など、契約時に加入していない特約による損害は、保険金が支払われません。
故意または重大な過失による損害: 放火など、故意または重大な過失によって損害が発生した場合、保険金は支払われません。
免責金額以下の損害: 免責金額を設定している場合、損害額が免責金額を下回ると、保険金は支払われません。
地震・噴火・津波などの自然災害: 火災保険では、地震・噴火・津波などの自然災害による損害は、原則として補償されません。