死亡保険には、「定期保険」「終身保険」「収入保障保険」などさまざまなタイプがあり、ライフステージや目的によっておすすめの死亡保険は変わってきます。
この記事では、死亡保険の基本や種類、ライフステージに合わせたおすすめの選び方までわかりやすく解説します。
死亡保険とは|どんなときに必要な保険?
死亡保険は、万が一のときに家族を経済的に守るために、特におすすめしたい大切な保険です。
ここではその仕組みと必要性について、わかりやすく解説します。
死亡保険の仕組みと役割
死亡保険とは、契約者が亡くなったときに、遺された家族などに保険金が支払われる保険のことです。
たとえば、自分が急に亡くなってしまったら――
残された家族は、お葬式費用に加え、生活費や教育費など、これまで以上にお金の不安を感じることになります。
そんなときに備えて死亡保険に入っておけば、まとまったお金を遺すことができるのです。
死亡保険の保険金は、日々の生活費の補填、子どもの進学資金、葬儀やお墓代の準備など、さまざまな目的で利用されています。
実際に生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2024年度)」の調査では、「万一のときの生活保障」が50.0%、「葬式代のため」が12.4%、また「子どもの教育資金」も上位に挙げられています。
公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険に加入する目的は?」
https://ins.minkabu.jp/columns/choosing-life-medical-240122
公的保障(遺族年金など)だけでは足りないの?
国の遺族年金制度は、遺された家族の生活を支える大切な制度ですが、条件や金額には限りがあります。
日本には、主に以下の2つの制度があります。
遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 |
---|---|
国民年金に加入していた人が亡くなった場合 支給対象: 18歳未満の子どもがいる配偶者、または子ども本人 | 厚生年金に加入していた人が亡くなった場合 支給対象: 配偶者や子、両親など |
ただし、たとえば以下のようなケースでは支給されない、または受け取れる額が少ないことがあります。
子どもがいない、または成人済み
国民年金の保険料が未納だった期間がある
配偶者が高収入で、年金の支給要件に該当しない など
そのため、「遺族年金だけでは生活を維持できない」という家庭も少なくありません。
だからこそ、死亡保険での「上乗せ」が検討されるのです。
万が一のとき、どんな人にお金が支払われる?
保険金を受け取る「受取人」は、保険加入時に自分で指定できます。
「契約者」と「受取人」は別々に指定するのが一般的です。たとえば、夫が契約者・被保険者で、妻が受取人となるケースなどがあります。
ただし、指定できるのは「戸籍上の配偶者」「2親等以内の親族(例:親・子・兄弟・孫)」が原則。
一部の保険会社では、内縁の配偶者や婚約者などを指定できるケースもありますが、誰でも自由に設定できるわけではありません
https://ins.minkabu.jp/columns/beneficiary-of-insurance-240109
どれが自分に合う?死亡保険の4つの種類とおすすめの選び方
死亡保険にはいくつかの種類があり、それぞれ保障の期間や保険金の受け取り方、保険料の仕組みが異なります。
ここでは、代表的な4つの保険について、それぞれの特徴とおすすめな人のタイプを紹介します。
保険の種類 | 特徴 | おすすめな人 |
---|---|---|
定期保険 |
| 子どもが独立するまでなど、期間限定で備えたい人 |
終身保険 |
| 相続対策や葬儀費用の準備をしたい人 |
収入保障保険 |
| 万一の際に生活費を残したい人 |
養老保険 |
| 将来の資金づくりもしたい人 |
定期保険|一定期間だけ安く備えたい人におすすめ
「子どもが独立するまで」「住宅ローンが終わるまで」など、一定の期間だけ大きな保障を確保したい人におすすめなのが定期保険です。
保険期間が決まっている(例:10年、60歳までなど)
保険料が割安で、若いうちは負担が軽い
満期を過ぎると保障は終了(掛け捨て型が主流)
そんなニーズにぴったりです。
終身保険|一生涯の保障と貯蓄を両立したい人におすすめ
終身保険は、「一生涯の保障が必要な方」「将来の資金づくりもしたい方」に向いています。
解約しない限り、一生涯にわたって保障が続く
終身払いなら、保険料は一定で家計の計画が立てやすい
途中で解約すれば解約返戻金が戻るケースもある
保険金は、万が一のときの家族の備えだけでなく、相続対策や葬儀代の準備として活用するケースもあります。
そんな希望を持つ方にぴったりの保険です。
収入保障保険|毎月の生活費を残したい人におすすめ
収入保障保険は、万が一のときに保険金を一括ではなく、「毎月分割で受け取れる」タイプの死亡保険です。
保険金を「毎月の年金形式」で受け取れる(例:月10万円 × 10年など)
保険期間の経過に応じて、受け取れる総額は減少していく
働き盛りの家庭や、子育て世帯に選ばれやすい
たとえば「小学生の子どもがいて、妻が専業主婦」というような家庭では、夫に万が一のことがあったときの生活費補填として役立ちます。
https://ins.minkabu.jp/columns/life-income-guarantee-insurance-241101
養老保険|将来の備えと貯金を同時にしたい人におすすめ
養老保険は、「死亡保障」と「貯蓄機能」の両方を兼ね備えた保険です。
決められた保険期間中に万が一のことがあれば「死亡保険金」が、無事に満期を迎えた場合には「満期保険金」が支払われます。
保険期間中に亡くなった場合、死亡保険金が支払われる
保険期間が満了した場合、満期保険金として同額が受け取れる
貯蓄型なので、将来の資金づくりにもなる
学資保険や退職後の備えとして活用されることもある
そんな人に向いています。
https://ins.minkabu.jp/columns/kind-of-lifeinsurance-231120
いくら備えるべき?必要保障額の考え方と例
死亡保険を選ぶときに「いくら保険金があれば安心なのか」と迷う方は多いはず。
ここでは、必要保障額の考え方と見積もり方について、わかりやすくご紹介します。
生活費や教育費…どう見積もる?
万が一のとき、残された家族の暮らしを支えるには、生活費や教育費などの具体的な支出を見積もることが大切です。
たとえば、配偶者と子どもがいる家庭であれば、以下のような支出が想定されます。
- 月々の生活費(食費・光熱費など)
- 住宅費(ローンや家賃)
- 教育費(小学校〜大学)
- 医療費・介護費用
- 葬儀費用(約150万円)
家族構成別・リアルな試算例でイメージしよう
必要な保障額は、家族構成や収入状況によって大きく異なります。
【ケース1】子育て中(夫婦+子1人)
家族の生活費:
月20万円 × 15年 = 3,600万円
教育費(高校・大学):
約520〜1,120万円
葬儀費用:
約150万円
【必要保障額:約4,500万円~5,000万円】
【ケース2】共働きで子どもなし
最低限の生活費補填:
月15万円×15年=約2,700万円
葬儀費用:
約150万円
【必要保障額:約2,850万円】
公益財団法人 生命保険文化センター「大学生にかかる教育費はどれくらい?」
遺族年金などの「もらえるお金」も踏まえて考える
死亡後の家族の生活費をすべて「死亡保険」でまかなう必要はありません。
実際には、公的な支援制度(遺族年金など)でカバーされる部分もあるため、これを差し引いて考えるのが一般的です。
遺族年金の種類 | 支給対象 | 備考 |
---|---|---|
遺族基礎年金 | 子どものいる配偶者または子ども自身 | 自営業・フリーランスなど |
遺族厚生年金 | 厚生年金加入者の遺族 | 会社員・公務員など |
たとえば、子どもが18歳になるまでは「遺族基礎年金」が支給されます。
2025年度の支給額は、年額83万6,300円+子ども1人につき22万3,800円です。
さらに、亡くなった方が厚生年金加入者だった場合には、「遺族厚生年金」が上乗せで支給されます。
金額は故人の報酬比例部分の4分の3が基準となり、年間数十万円〜100万円前後になることもあります。
このように、遺族年金をあわせて考えると、合計で年間100万円〜150万円ほどの支援が見込める場合もあります。
ライフステージ別に見る!死亡保険の選び方
独身のあなたに必要な保障とは?
独身の方でも、もしもの時に家族に負担をかけたくないという目的で死亡保険に入るケースはあります。
たとえば…
- 葬儀費用や身の回りの整理費用を準備しておきたい
- 両親や兄弟など、経済的に支えている家族がいる
このような場合は、最低限の「終身保険」や「定期保険」が選ばれることがおすすめです。
子育て世代は「収入サポート」がカギ
子どもがいる家庭では、万が一のときに生活費や教育費をどう残すかが大きなテーマになります。
おすすめなのは、保険金が毎月定額で支払われる「収入保障保険」や、一定期間だけ大きな保障が持てる「定期保険」です。
たとえば…
- 教育費や住宅ローンがピークの時期に備えたい
- 配偶者の収入だけでは生活が不安
シニア世代は「万が一+相続」の備えがポイント
子どもが独立した後のシニア世代では、「遺された配偶者の生活」や「相続対策」を見据えた保険設計がポイントになります。
たとえば…
- 葬儀費用や医療費を準備しておきたい
- 相続対策として、現金を残したい
- 子どもへの生前贈与の代わりに保険を活用したい
この世代でおすすめなのは、保障が一生涯続く「終身保険」です。
死亡時に必ず保険金が支払われることが、相続設計にも有効とされています。
死亡保険を選ぶときのチェックリスト|比較のポイントまとめ
保険期間や保険料の決め方
まず大切なのは、「いつまで保障が必要か」という視点です。
子どもが独立するまで → 定期保険
一生涯の保障がほしい → 終身保険
また、保険料の支払い方法にも種類があります。
月払い:
もっとも一般的。家計に組み込みやすい。
一括払い:
初期コストは大きいが、割引があることも。資金に余裕がある方向け。
特約はつけるべき?判断のポイント
死亡保険には、医療特約や災害特約など、さまざまなオプション(特約)を追加できます。
ただし、特約をつけすぎると保険料が高くなるため注意が必要です。
特約が有効なケースの例
入院や手術にも備えたい | 医療特約 |
交通事故や災害に備えたい | 災害割増特約 |
余命宣告を受けたとき、生前に保険金を受け取りたい | リビングニーズ特約 |
保険料を払えなくなったときにも保障を残したい | 保険料払込免除特約 |
公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険の種類(主契約・特約・その他)」
複数社を比較するべき理由とは?
同じような保障内容でも、保険会社によって保険料や条件が異なることは珍しくありません。
たとえば、同じような保障内容でも保険会社によって月額保険料に数千円の差が出ることもあります。
「おすすめの保険」は一人ひとり違うため、複数社で比較することが失敗しないコツです。
よくある質問(FAQ)
独身でも死亡保険って本当に必要?
独身の方でも、次のような理由で死亡保険に加入するケースがあります。
- 葬儀費用などを自分で準備しておきたい
- 遺された親や兄弟に経済的負担をかけたくない
- 同居しているパートナーに金銭的な支援を残したい
死亡保険は「残された人に迷惑をかけたくない」という想いにも応える保険です。
独身であっても、自分のライフスタイルに合わせて選ぶ価値があります。
掛け捨てって損じゃないの?
「掛け捨て=損」とは一概に言えません。
掛け捨て型の保険(定期保険・収入保障保険)は、解約返戻金がない代わりに保険料が安く、保障額を大きくしやすいのがメリットです。
一方、貯蓄性を重視したい場合は、解約返戻金のある終身保険や養老保険のほうが向いているかもしれません。
保険は「損か得か」ではなく、「自分の目的に合っているかどうか」で選ぶことが大切です。
https://ins.minkabu.jp/columns/disposable-life-insurance-240111
若いうちに死亡保険に入ると、どれくらいお得?
若いうちに死亡保険に入ると、保険料が安く、選べる選択肢も多いというメリットがあります。
たとえば、公益財団法人生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2024年度)」の調査によれば、2人以上世帯の年間払込保険料の平均は約35.3万円(月額 約29,400円)とされています。
20〜30代前半で加入すれば、これより数千円〜1万円以上安くなるケースもあり、長期的に見れば数十万円の差になることもあります。
高齢になってからでも入れるの?
高齢でも加入できる死亡保険はありますが、保険加入時の条件が厳しくなる可能性があります。
以下のような点には注意しましょう。
- 保険料が割高になる
- 持病の影響などで、加入時の審査が厳しくなる
- 保障額や期間が限定的になる場合がある
まとめ|自分に合った死亡保険、どう選ぶ?
死亡保険は、「誰に・どのくらい・いつまで備えるか」によっておすすめの保険種類が変わります。
定期・終身・収入保障など、目的に合った保障を選ぶことが大切です。
迷ったらまず「比較」からはじめよう
保険は、比較することで違いが見えてきます。
- 保険料はいくら?
- どんな保障がついている?
- 自分のライフステージに合っている?
まずは一括見積もりで、複数の保険をチェックしてみましょう。「今の自分に合う保険」がきっと見つかります。