日本は台風の被害を受けやすい島国で、毎年夏や秋にかけて頻繁に日本にやってきます。台風による被害は、大雨や土砂災害、高潮などの災害を及ぼします。
国土技術研究センターのデータによると、1年間に平均26.4個の台風が発生し、11.5個の台風が日本に接近すると言われています。
このように、日本に住んでいる以上、台風から逃れることはできません。
この記事では、台風による被害で火災保険の補償対象になる場合とならない場合、保険金はいくら対象になるかを解説します。万が一被害に遭ってしまった場合にも、焦らなくて済むよう「保険金の請求手順」も紹介していきます。
台風被害は火災保険で補償される?
台風被害は、火災保険の補償対象になります。
しかし「台風補償」という補償があるわけではなく、台風に備えた補償として「水災補償」「風災補償」「落雷補償」があり、台風の被害に応じて適用されることになります。
実際に補償される被害例
台風被害の例 | 適用される保険の種類 |
---|---|
台風の影響で窓ガラスが破損した | 風災補償 |
台風による豪雨で床上浸水した | 水災補償 |
台風による落雷で電気が逆流して電化製品が故障してしまった | 落雷補償 |
このように、火災保険に加入することで、台風への被害に備えることができます。
台風被害は風災、水災、落雷被害の3種に分類される
先程の解説にもあった通り、台風被害は「風災、水災、落雷」被害の3つのどれかに分類されて補償されます。
ここでは台風による「風災、水災、落雷」被害の詳しい例を見ていきましょう。
台風による風災の例
風災の被害例
- 台風の強風により飛ばされてきた看板が自宅の窓ガラスに当たりヒビが入った
- 台風による強風でカーポートが破損した
- 台風の強風で窓ガラスが飛散した。
基本的に台風の「風」が原因と考えられるものが風災に分類されます。
台風による水災の例
水災の被害例
- 台風による豪雨で川が氾濫し、家が浸水した
- 台風でドアが破損し、家具が雨に濡れてしまった
- 台風に居よる豪雨で土砂が崩れ、家が巻き込まれてしまった
基本的に台風の「雨」が原因と考えられるものが水災に分類されます。
台風による落雷被害の例
落雷の被害例
落雷があたりカーポートが破損した
物置に落雷があたり使えない状態になった
落雷で電気が逆流して電化製品(テレビ、エアコン、PCなど)が故障してしまった
基本的に台風の「雷」が原因と考えられるものが落雷被害に分類されます。
台風被害の補償範囲は契約内容によって異なる
台風による被害で火災保険の補償対象となるものは、保険加入時に選択する「補償対象」によって異なります。
補償対象としては「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3つから選ぶ事ができます。
火災保険で台風被害が補償されるケース【被害別】
では、台風による被害で補償対象になるものは、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは台風による被害がどのように補償されるか詳しく解説していきます。
台風による風災被害を受けた場合
一戸建ての場合、強風により屋根が破損するケースがあります。
屋根瓦の葺き替え工事費の相場は100〜270万円と高額なため、火災保険の補償対象になる事を覚えておくと良いでしょう。
具体例 | 台風の強風により屋根が破損 |
---|---|
補償の有無 | 有(風災補償) |
補償される被害内容 | 屋根瓦の葺き替え工事費 |
損害金額の目安 | 100〜270万円 |
※当社調べ
台風による水災被害を受けた場合
毎年、台風の大雨によって河川の氾濫や土砂災害が発生しています。
また、分譲マンションの場合でも台風の強風により物が飛んできて窓ガラスが破損し、自宅に大量の雨が入ってきてしまう事も考えられます。
具体例 | 台風の強風により物が飛んできて窓ガラスが破損し、家財が雨で濡れてしまった。 |
---|---|
補償の有無 | 有(水災補償) |
補償される被害内容 | 家財(損害保険金) |
損害金額の目安 | 1万〜225万円 |
※当社調べ
上記のようなマンションで起こりうる被害でも火災保険が有効で有ることを覚えておくと良いでしょう。
台風による落雷被害を受けた場合
台風による落雷で電気が逆流してしまい、家電が壊れてしまうことがあります。
落雷被害では家電が被害に合うため、損害額が大きくなりがちです。
具体例 | 台風による落雷により高圧電流がコンセントに流れ、パソコンが故障した |
---|---|
補償の有無 | 有(落雷補償) |
補償される被害内容 | 家財(損害保険金) |
損害金額の目安 | 10万〜30万円 |
※当社調べ
上記のような雷被害は、賃貸マンションでも起こる可能性があります。
マンションについている避雷針は建物へのダメージは防げますが、電線や通信回線などを通じて電流の一部が建物内に侵入してくる事があります。その結果、コンセントにつながっている家電などに高圧の電流が流れて故障してしまうのです。
火災保険で保険金がおりないケースと理由
次は、火災保険で補償されないケースを確認していきましょう。
大切な建物や家財が補償されないと心理的にも経済的にも痛手になってしまうので、そうならないために今一度補償内容をしっかりチェックすることが重要です。
経年劣化が原因と判断される台風被害
経年劣化・老朽化が損害の一因になっているものは、火災保険の補償対象外になります。
火災保険では「自然災害により偶発的に起きた被害」の場合のみ、補償対象として認められるのです。
例えば、強風で屋根が壊れたと思っていても、屋根の経年劣化による被害と認められるケースもあります。
保険会社から経年劣化による被害だと認められてしまうと補償金が受け取れないため、建物や設備、家財には気を配り、経年劣化と認められそうな箇所は日常的にメンテナンスしていきましょう。
台風被害を受けてから3年以上経過した場合
保険法により、被害発生から保険会社に申告せず3年以上経過した場合は、補償の対象外と定められています。
保険法第95条
「保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する」
台風による被害が発生した場合は、速やかに保険会社に連絡してください。
また、保険法で定められている期限とは別に、保険会社が独自に期限を設定している場合があります。そのため、予め保険会社に保険請求期限の時効を確認しておきましょう。
台風被害で保険金がおりない状況を避けるには?
台風被害に遭ってしまった時に保険金がおりない状況を避けるには
- 請求期間を守る
- 経年劣化と判断されないように定期的なメンテナンスを行う
上記2点を守ることが大切です。
しかし、上記の2点を守っていても保険金がおりないという可能性もあります。
その場合はすぐに諦めず追加の写真を提出したり、そんぽADRセンターに相談してみるのがおすすめです。
そんぽADRセンターでは専門の相談員がアドバイスをくれるため、問題解決に繋がる可能性があります。
台風被害を受けた場合保険金はいくら対象になる?
台風による被害で、保険金はいくら対象になるのでしょうか。
台風被害でおりる保険金の種類と計算方法
台風被害に遭った時におりる保険金の種類は以下の4種類になります。
保険金の種類 |
内容や計算方法 |
---|---|
損害保険金 |
損害保険金(保険金額が上限)= 損害額 - 免責金額(自己負担額) |
臨時費用保険金 |
台風による被害で自宅に住めない期間にホテルを利用した場合の宿泊費など臨時の出費を補える保険金 |
残存物片付け費用保険金 |
台風による被害によって生じた瓦礫や残骸を片付ける際に発生する費用を受け取れる保険金 |
損害防止費用 |
損害の発生や拡大を防止するために必要な費用を補える保険金 |
まず、支払われる保険金のことを「損害保険金」といいます。
損害保険金は、以下の計算式で計算されるので覚えておきましょう。免責金額(自己負担額)が差し引かれることがポイントです。
たとえば、台風による落雷により高圧電流がコンセントに流れ、パソコンが故障した場合の保険金の目安は以下の通りです。
保険金額の例
(例)保険金が30万円で免責金額が5万円の場合
被害:台風の落雷によるパソコンの故障
損害額:20万円
免責金額:5万円
損害保険金:15万円
損害額から免責金額を差し引いた15万円が支払われる保険金となります。
そのため、自己負担額は5万円となります。
※当社調べ
このように、火災保険に入っておくことで「自己負担額」をかなり減らすことができます。
【保険金種類別】保険金支払額の目安
各保険金の支払い目安は以下のようになります。
保険金の種類 |
目安の金額 |
---|---|
損害保険金 | 300〜2000万円 |
臨時費用保険金 | 1事故あたり損害保険金の10%~30%(限度額100万~300万円) |
残存物片付け費用保険金 | 損害保険金の10%が限度 |
損害防止費用 | 30万〜50万 |
※当社調べ
※保険会社によって支払い金額の設定は異なります。あくまで目安の価格としておさえておきましょう。
台風被害に遭った際の保険金請求の流れ
最後に台風による被害に遭った場合の、保険金請求手順を解説します。主な流れは以下の6ステップです。
台風による被害に遭った場合の保険金請求手順
- 台風被害の影響範囲をメモ&写真を取る(日付記入も忘れず)
- 加入している損害保険会社へ連絡
- 請求書類の準備と記入
- 損害保険会社が支払いの可否を判断
- 保険金の金額などの確認
- 保険金が支払われて完了
各項目の注意点についても解説していきます。
1.台風被害の影響範囲をメモ&写真を撮る(日付記入も忘れず)
被害にあった場合は、どうしても焦ってしまいますよね。
まずは落ち着いて、台風による被害の影響範囲のメモと写真を撮りましょう。
影響範囲のメモを取ることで、保険会社への連絡がスムーズに行えます。メモや写真には、日付の記入も忘れずに行いましょう。
2.加入している損害保険会社へ連絡
保険会社へ連絡する際の注意点・コツは、なるべく被害内容を具体的に伝えることです。
何が
どれくらいの被害を受けて
どんな状況なのか
これらの3点を明確に伝えるようにしましょう。
具体的な被害を伝えることで、保険会社も今後どのように対応すればいいのか把握しやすくなるからです。そのため、台風の被害に遭ったタイミングで、被害内容をメモしておくことをおすすめします。
また、保険金請求に必要になるものを合わせて聞いておくと今後の手続きがスムーズです。
3.請求書類の準備と記入
保険会社から「保険金請求書」などの必要書類が送られてくるので漏れが無いように記入しましょう。
焦って記入して記入漏れがあると保険金の支払いまで時間がかかってしまう可能性があるので、不備のないようダブルチェックを行うことをおすすめします。
4.損害保険会社が支払いの可否を判断
この工程は、保険会社側の作業になるので注意事項はありません。
5.保険金の金額などの確認
支払いが決定したら、保険金の金額に間違いがないか確認しましょう。もし金額に違和感を覚えた場合には鵜呑みにせず、請求金額の内訳や理由を詳しく聞いてみるのがおすすめです。
6.保険金が支払われて完了
あとは、保険金が支払われて無事完了です。
おおまかな流れはイメージできたでしょうか?
まとめ
今回は、台風による被害は火災保険で補えるのかを解説しました。記事を読むにつれ「今の補償内容で本当に大丈夫かな?」と不安に思った方もいるのではないでしょうか。
自然災害は年々増加してきています。いざ災害に巻き込まれた場合大きな後悔をしないように、必要十分な火災保険に加入しているか見直してみましょう
別記事で「火災保険の見直し方」についても解説しているので、気になった方はチェックしてみてください。