医療保険

ドル建て保険はやめたほうがいいと言われる理由は?入っている場合解約すべきかどうかも分かりやすく解説

著者:みんかぶ編集室

監修:

杉本 大輔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 / シニア・ライフ・コンサルタント / フィナンシャル・エージェンシー所属

2024年05月20日 掲載

金融庁が4月に入り、「外貨建て保険のうち契約から4年以内で約6割が解約している」という調査結果を発表したことで話題を呼んだ「外貨建て保険」。

外貨建て保険のなかでも有名なのが「ドル建て保険」です

日本の貯蓄性のある保険よりも利回りが高いため、魅力的に映るドル建て保険ですが、なぜ「やめたほうがいい」というマイナスイメージが強いのでしょうか。

この記事では、ドル建て保険はやめたほうがいいと言われている理由や、契約/解約の判断基準まで詳しく解説します

決して、ドル建て保険が絶対おすすめできない保険商品なわけではありません。ただ、リスクを正しく理解しておかないと、想定外の損を被ってしまう可能性があるのも事実です。

この記事を読んで「ドル建て保険」の特徴をしっかり、正しく理解していきましょう。

ドル建て保険とは?

ドル建て保険とは、保険料や保険金などをドルでやり取りする保険です。保障を用意しながら外貨運用ができる点が最大の特徴

ただし、保険料の支払時と保険金などの受取時には、保険会社が為替両替を行ってくれるため自分でドルを用意する必要はありません。

あくまで「運用がドルで行われる外貨建て保険」ということです。このドル建て保険には大きく分けて3つの種類があります。

ドル建て保険の種類 特徴
ドル建て終身保険

保険期間は一生涯で、死亡または高度障害状態にあった場合に保険金が支払われる。


保険金額は受け取り時の為替相場によって増減する

ドル建て養老保険

死亡保障と貯蓄を兼ねた保険。


死亡した場合は死亡保険金を、満期の場合は満期保険金を受け取れる。

規約返戻金はあるが、払込保険料総額を下回ることもある。

保険金額は受け取り時の為替相場によって増減する。

ドル建て個人年金保険

老後の生活費をドル建てで準備できる保険。


保険金額は受け取り時の為替相場によって増減する。

この特徴だけみると、日本円でそれぞれの保険に加入するよりもメリットがあるように思えますよね。しかし、外貨が絡む分「リスク」も増えるため注意が必要です。

次は、本題である「ドル建て保険はやめたほうがいい」と言われる理由を説明します

ドル建て保険はやめたほうがいいと言われる最大の理由「為替変動による元本割れリスク」

ドル建て保険はやめたほうがいいと言われる最大の理由は「為替変動による元本割れリスク」です

ドル建て保険は、名の通り「ドル」を運用することになります。そして「受け取れる保険金額もドルで提示」されます。

例:保険金額 10万米ドル

そして、ドルに対する円の価値が一定でないことは皆さんもご存知かと思います。

円安や円高がニュースになるように、ドルと円の価値は常に変化しているのです。

この為替変動がもし「良い方向」に起きれば、ドル建て保険のほうが円建てよりもパフォーマンスが良い可能性もあります。

保険金額10万ドルで1ドルあたり150円だと…?

 

保険金額(日本円換算)約1500万円

しかし「悪い方向」に動いてしまうと、支払保険料<受取金額になってしまう可能性も十分あるのです。

保険金額10万ドルで1ドルあたり100円になると…?

 

保険金額(日本円換算)約1000万円

為替変動リスクとは?

ここで、為替変動リスクについてもう少し詳しく考えていきましょう。

例えば、保険料の支払い期間において「1ドルあたり150円」だったとしましょう。1ドルあたり150円はかなり「円安」の状態です。

もし、運用中も円安が進めば、ドルの価値が高くなるため元本割れをする可能性は低くなります

しかし、為替は予想が非常に難しいため、保険金受取時にドル円のレートがどうなっているかは試算しづらいのです。

ここでもし、受取タイミングで急激な円高になってしまった場合どうでしょうか?受取時の為替レートが「1ドル120円」まで上がっていた場合を想像してみましょう。

ドルの価値は相対的に下がってしまうため、運用益を加味しても支払った総保険料よりも「受け取れる金額(日本円換算)」が少なくなってしまうリスクが大きくなりますよね

言葉では、イメージがしづらいと思いますので「元本割れしてしまう例」を見てみましょう。

為替が意図しない方向に変動した場合どうなるのか【元本割れの例】

ドル建て保険の理想的なパターンは、円高のときに保険料を積み立ておき、円安時に解約することです。

しかし、そのとおりになるかどうかは運用のプロでもわかりません。以下表のように、ドル建て保険は「円安か円高か」で大きくパフォーマンスにずれが生じます。

為替が意図しない方向に変動した場合

特に気をつけたいのが「円安時に保険料を支払い、保険金受取時にさらに円安が進んでいた場合」です

この場合、保険料も高く支払ったにもかかわらず、受取金額は元本割れしている可能性が非常に高いです。

しかし、「でも、運用中の利率が高ければ大丈夫なのでは?」と思う人もいると思います。ただ、ドル建て保険が抱えているリスクは「為替リスクだけ」ではありません。

外貨を運用する手前、ドル建て保険には円建て保険にはかからない「手数料」が発生します。

ドル建て保険は手数料にも要注意!コスト負けしないか考えよう

ドル建て保険は手数料にも要注意

ドル建て保険は、保険会社が円で支払われた保険料を「ドル」に両替する必要があります。この両替の際に「為替手数料」がかかります。

また、保険の契約時・解約時には運用手数料が引かれることも覚えておかなければいけません。

為替手数料をチェックしないと手数料負けリスクがある

為替手数料とは、日本円をドルに交換する際に発生する手数料です。この手数料は「保険料の支払い」のタイミングで毎回発生します

為替手数料は、保険会社によって異なるため、加入前に「為替手数料はいくらかかるのか」を漏れなくチェックしておきましょう。

一般的に、為替手数料は1ドルあたり0.01円~0.5円に設定されていることが多いです。

円換算では気にするほどではないと思うかもしれませんが、月々30ドルの支払いの場合、0.3円〜15円の手数料がかかることになります。

十年単位で考えると、かなりの金額が手数料としてかかることがわかりますね。

運用のためにかかる「付加保険料」にも注意

ドル建て保険の保険料は、保険会社が将来支払うお金に備えるための「純保険料」と運用のための手数料である「付加保険料」の2つから成り立っています

運用手数料の具体的な金額は示されていませんが、おおよそ「6~8%程度」と言われており、他の金融商品である投資信託には1%未満のものがあることを考えると割高になっていることがわかります。

ドル建て保険への加入を決める場合には、こうした「手数料」を加味したうえで決定する必要があるので注意しましょう

ドル建て保険に加入するメリットはあるのか?

ここまで、ドル建て保険のマイナス面を紹介してきましたが、もちろん「メリット」もあります。

ドル建て保険の主なメリット

  • ドル建てのほうが円建てよりも利回りが高く設定されている(金利が高い)
  • 日本円のみを保有するリスクを軽減することができる
  • 支払い保険料自体は割安に設定されている場合が多い
  • 貯蓄性があるため資産運用の一環として活用できる

もしドル建て保険への加入を検討されているのであれば、前述のデメリットと、これから紹介するメリットのどちらが大きいかを基準に加入を決めてみましょう。

ドル建てのほうが円建てよりも利回りが高く設定されている(金利が高い)

円建ての終身保険では利率が1%前後であるのに対し、ドル建ての保険では3%前後に設定されていることが多いです。そのため、予想利回りでは、ドル建て保険のほうが優れています

これは、円建ての場合は日本国債をメインに運用するのに対し、ドル建てでは日本より金利の高い「米国債」を運用することに起因しています。

日本円のみを保有するリスクを軽減することができる

昨今の物価高でも分かる通り、日本円の価値は常に一定ではありません。物価が上がれば、相対的に円の価値は下がります

一方、ドル建て保険では、間接的に「ドル」という外貨に資産を分散させることができるため、日本円のみを保有するリスクを軽減することができます。

老後資金が日本円だけでは不安と感じている人は、資産を分散させる意味合いでドル建て保険を活用するのもよいでしょう。

支払い保険料は割安に設定されている場合が多い

ドル建て保険は、円建て保険よりも「利率」が高く設定されていることが多いため、保険料は割安になっていることが多いです

なぜなら、目標の積立金額に達するまでに必要な資金が、利率の高いドルのほうが少なく済むためです。

為替手数料や運用手数料には注意が必要ですが、保険料が割安になっているのはメリットといえます。

ただし、大きく円安に振れるとその分保険料も高くなってしまうので、為替動向には注意が必要です。

貯蓄性があるため資産運用の一環として活用できる

ドル建て保険は、終身、養老、個人年金のどの種類でも「貯蓄性」があるため、資産運用の一環として活用ができます

しかし、前述の通り「運用手数料や為替手数料がかかる」という点は留意しておきましょう。

資産運用の方法はドル建て保険以外にもたくさんありますから、ご自身の「どれくらいリスクを取って/抑えて資産を増やしたいか」をしっかり考えたうえで運用先を決めるのがおすすめです。

ドル建て保険は為替リスク・手数料をしっかりと理解した人が使うべき

ドル建て保険為替リスク・手数料をしっかりと理解した人が使うべき

ドル建て保険のメリット・デメリットがわかったところで一旦「どんな人におすすめできて、どんな人にはおすすめできないのか」をまとめておきます。

結論、ドル建て保険のリスク・手数料を正しく理解したうえで「加入したい」と思っている人であれば問題ありません。

しかし、曖昧な理解のまま加入すると損失を被る可能性が高くなってしまうため、慎重に加入検討することをおすすめします

ドル建て保険がおすすめできる人

ドル建て保険をおすすめできるのは以下の特徴・考えを持っている人です。

  • 為替リスクを許容して資産運用をしつつ、保障を受けたい人
  • 為替動向をある程度注視できる人・知識がある人
  • 損益分岐点をしっかりと見極められる人

まとめると「リスクを自分でコントロールできる人」にはおすすめできるといえますね。

ドル建て保険はやめたほうがいい人

逆にドル建て保険をおすすめしない人は以下の特徴・考えを持っている人です。

  • 利率だけに惹かれている人
  • 為替をあまり理解していない人
  • 額面金額で絶対に損したくない人
  • ドル建て保険メインで資産運用を考えている人

もし、資産運用目的であれば新NISAやiDeCoなどの非課税制度を活用しつつ、保障は医療保険で備えるという選択肢もあります。

ドル建て保険で元本割れリスクを抑える方法はある?

ドル建て保険で元本割れリスクを抑える方法はある?

ここで気になるのが「ドル建て保険で元本割れリスクを抑える方法はあるのか」ですよね。具体的には、以下3つの方法を実践することで元本割れリスクを抑えることができます。

  • すぐに解約しない
  • 手数料を加味した損益分岐点を理解しておく
  • 円安時に解約をする

しかし、元本割れリスクを0にはできないので、その点は覚えておきましょう。

すぐに解約しない

ドル建て保険は、長期の運用を前提とした商品です。短期間で解約してしまうと、為替レートや解約手数料の影響を受けやすく、元本割れのリスクが高くなります。

また、解約の際には解約控除(解約返戻金を計算する際かかる手数料)が差し引かれるため、一般的に10年以上契約を続けた方がいいと言われています

手数料を加味した損益分岐点を理解しておく

ドル建て保険には、保険料や解約手数料など様々な手数料がかかります。これらの手数料を考慮した上で、損益分岐点を理解しておくことが重要です。

損益分岐点とは、解約金と元本が等しくなる為替レートです。損益分岐点よりも円安方向にならない限り、元本割れのリスクを抑えることができます。

円安時に解約をする

為替レートは常に変動しており、円安方向に動けばドル建て保険の解約金は増加します。円安局面で解約することで、為替差益を享受し、元本割れのリスクを低減することができます。

ただし、解約手数料や中途解約控除金などの控除額を差し引いた上で、利益が出ていることを確認する必要があります

上記以外にも、以下のような方法で元本割れリスクを抑えることができます。

  • 積立方式を選ぶ

一時払いに比べて、為替リスクを分散することができます。

 

  • 外貨建て定期預金と組み合わせる

ドル建て定期預金と組み合わせることで、為替リスクをある程度ヘッジすることができます。

 

  • 複数の保険会社を比較検討する

保険会社によって、手数料や金利などが異なるため、複数の保険会社を比較検討して、自分に合った商品を選ぶことが重要です。

ドル建て保険は、メリットとデメリットをよく理解した上で、慎重に検討することが重要です。元本割れのリスクを完全に無くすことはできませんが、上記のような方法を組み合わせることで、リスクを低減することができます。

自分に必要な保険を知りたいならみんかぶ保険に相談を

自分に必要な保険を知りたいならみんかぶ保険に相談を

今回は、ドル建て保険をメインに解説してきました。ドル建て保険に限らず、その保険が本当に必要かどうかを決めるのは非常に難しいことです。

もし、「今の自分に合っている保険の種類や商品がわからない」という悩みを抱えているのであれば、一度みんかぶ保険へご相談ください

面倒に感じるセールスや勧誘は一切せず、必要なときに必要な情報を保険のプロに聞くことができますよ。

みんかぶ編集室

資産形成メディア「みんかぶ」を中心に、金融商品の記事の執筆を行っています。資産運用のトレンド情報や、初心者が楽しく学べるお金の基本コラムなど、資産形成をするすべての人に向けた記事を提供します。

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