医療保険の給付金を請求するためには、決められた書類を提出する必要があります。
そのような書類のひとつが「診断書」です。診断書は医療機関で書いてもらえますが、いくつかのポイントに気をつけなければ手続きをやり直さなければならなくなります。
今回は、医療保険の給付金請求に必要な診断書のもらい方について解説します。
- 診断書をもらうまでのステップ
- 診断書の発行にかかる費用や受け取れるまでの期間
- スムーズに診断書を発行してもらうためのポイントや注意点
上記についてわかりやすくご紹介していきます。初めて給付金を請求する人は必見です!
医療保険の給付金請求には診断書が必要
医療機関で発行してもらう診断書がなければ、保険金や給付金を受け取ることは基本的にできません。
医療保険の保険金や給付金には、支払う上で条件が設定されています。すべての入院や手術が対象となるわけではなく「一定の入院日数を超えているか」「対象となる手術であるか」など、条件を満たしていなければ受け取ることができません。
そのため、治療内容や入院日数などについて記載された診断書をもとに、保険会社は給付金の支払い可否を決定します。
診断書は入院や診察が終わったあとでももらえる
しかし「急な病気やケガで治療開始前に給付金の請求手続きが進められなかった」というケースも少なくないでしょう。その場合、入院や手術が終わったあとでも診断書を発行してもらえます。
多くの医療保険では、退院や治療が完了してから数年以内であれば給付金の請求が可能です。また、治療完了から5年以内はカルテの保存が義務付けられており、カルテが残っている間は診断書の発行も依頼できます。
治療前に手続きが間に合わなくても、治療が終わって余裕ができたら請求手続きを進めましょう。
診断書のもらい方|4ステップで完了
この記事のメインである「診断書のもらい方」について、具体的に解説していきます。
診断書を受け取るまでに必要なステップは次の4つです。
- 保険会社に連絡
- 必要書類が送られる
- 医療機関に発行を依頼
- 必要書類を揃えて保険会社に提出
保険会社に連絡
まずは保険会社に、請求手続きを進めたいことを伝えます。保険会社の公式サイトや保険証券に記載されている電話番号、もしくはウェブ上の専用フォームから連絡しましょう。
余裕があれば、保険会社へ連絡する前に契約内容をチェックしておくのがおすすめです。支払い条件を満たしているか事前に確認しておけば「請求したのに給付金が貰えなかった」という事態を回避できます。
また、確認してみて「保障内容がかなり古くなっていた」等の気付きがあった場合には、加入している保険自体の見直しも合わせて行えるとより安心できますね。
必要書類が送られる
保険会社に連絡を入れると、手続きに必要な書類が送られてきます。
多くの保険会社では、必要書類のなかに「専用フォーマットの診断書」が含まれています。治療を受けた医療機関に提出する必要があるため、忘れずにチェックしましょう。
また診断書のほかにも提出書類があるため、なるべくミスのないように記入してください。最近では、書類ではなくウェブサイトの専用フォームに入力するタイプの保険会社も増えてきています。
医療機関に発行を依頼
保険会社から指定フォーマットの診断書が送られてきたら、医療機関に提出し診断書の発行を依頼しましょう。
多くの保険会社では会社独自のフォーマットを採用しており、医療機関が定める診断書では手続きが進められないケースもあります。その場合、必ず保険会社から送られてきた診断書に記入してもらうようにしましょう。
もしフォーマットに指定がない場合、医療機関が発行する診断書を提出します。その際も、窓口や医師に依頼するタイミングで「保険会社に提出する」旨を伝えましょう。
必要書類を揃えて保険会社に提出
診断書や提出書類が揃ったら、保険会社に提出します。提出した書類をもとに保険会社が審査し、クリアできれば保険金が支払われます。
提出書類に不備があった場合は返却され、誤った箇所の修正が必要になり、給付金の支払いまでに時間がかかってしまいます。不備がないよう、診断書をはじめとした必要書類の準備はミスしないよう丁寧に進めましょう。
診断書の発行にかかる費用や届くまでの期間目安は?
診断書の発行には、一定の費用や時間がかかります。無料で即日発行してもらえるわけではないため、事前に金額や届くまでの日数について把握しておきましょう。
費用は2,000円〜6,000円が相場
診断書の発行に必要な費用は、病院ごとに異なります。そのため実際の金額にはばらつきがありますが、2,000円〜6,000円が相場だと言われています。
産労総合研究所による2012年の調査によると、保険会社が指定する様式での発行費用の全国平均は「4,841円」でした。一方、病院が定めるフォーマットで発行する場合は3,665円が平均です。
全国平均 | |
自院様式(簡単なもの) | 2,337円 |
自院様式(複雑なもの) | 3,665円 |
保険会社所定の診断書 | 4,841円 |
引用:産労総合研究所「2012年 医療文書作成業務・文書料金実態調査」
診断書の発行に必要な費用は自己負担となります(交通事故の被害者である場合は除く)。一般的に、診断書を受け取るタイミングで支払いが発生するため、きちんとお金を準備した上で受け取りに行きましょう。
届くまでの期間は10日間〜3週間
診断書の発行にかかる期間は、依頼してから10日間〜3週間が一般的です。病院の状況や診断書の種類によって発行にかかる期間は異なります。時間に余裕を持って発行の依頼を進めるのが理想的ですね。
「依頼したのにいつまで時間がかかるの?」と困惑してしまうかもしれませんが、一定の時間がかかることを把握しておきましょう。
診断書をスムーズに発行してもらうためのポイント
診断書の発行をスムーズに進めるためには、2つの抑えておくべきポイントがあります。
- 診断書の用途を伝えておく
- いつまでにほしいか伝える
診断書の用途を伝えておく
診断書を書いてもらう際は、どのような用途で診断書を使うかを医療機関に伝えるのがおすすめです。
このあと詳しくご紹介しますが、診断書は保険金の請求以外の場面でも使用します。用途が違えば、記載事項も変化します。
せっかく診断書が届くのを待ったのに、記載されている内容が不足していて再度依頼する、といったケースは避けたいですよね。診断書の発行はお金もかかるため、1回で済ませたいところ。
医師や病院の窓口に口頭で伝えるか、申請書に使用目的を書いておくのがおすすめです。
いつまでにほしいか伝える
診断書を発行してもらう際は、用途に加えて「いつまでに診断書が欲しいか」も先に伝えておきましょう。
希望する受取日について伝えておかないと、発行までの時間がずるずると伸びてしまうこともあります。特に医療機関が多忙である場合、期限が明確ではない診断書の発行は後回しになってしまいがちです。
医療保険の保険金請求は、支払事由が発生してから数年間は有効です。そのため「保険金がもらえなくなるのでは」と焦る必要はありません。
ただし診断書の発行を間延びさせてしまうと、その分手続きを進めるのも面倒になりやすいですよね。医療機関側の事情も考慮しつつ、いつまでに発行できるか医師や医療機関窓口に相談してみましょう。
診断書に関する注意点
診断書の発行については、いくつかの注意点があります。
- 診断書の有効期限は3ヶ月
- 保険会社からフォーマットを指定されることも多いため事前確認が必須
- 診断書発行の依頼は早めにしないと間に合わないリスクあり
注意点について理解しておかないと、診断書の再発行や手続きのやり直しが必要になるリスクが高まります。手続きに時間を取られすぎないよう、事前に理解しておきましょう。
診断書の有効期限は3ヶ月
一般的に診断書が有効なのは発行してから3ヶ月です。そのため、医療機関で診断書を発行してから保険会社の審査まで3ヶ月以上の期間が空くと、診断書を再度書いてもらわなければなりません。
診断書をもらったら、なるべく早く手続きを進めましょう。必要書類を送りさえすれば、あとは保険金の振込を待つのみです。
保険会社からフォーマットを指定されることも多いため事前確認が必須
先述しましたが、提出する診断書は保険会社独自のフォーマットが指定されていることが多いです。そのため、診断書を発行してもらう前に指定のフォーマットがないか必ず確認しておきましょう。
事前に確認する際は、契約内容や保険会社から送られてくる必要書類をチェックしましょう。必要書類と一緒に診断書が送られている場合、医療機関に提出し記入してもらう必要があります。
診断書発行の依頼は早めにしないと間に合わないリスクあり
診断書の発行には一定の期間が必要になります。そのため、給付金の請求期限ギリギリに診断書の作成を依頼した場合、期限に間に合わない可能性が高くなります。
給付金の請求期限は、一般的に支払事由の発生から3年と言われています。後回しにせず、余裕のあるタイミングで早めに済ませておきましょう。
医療保険以外で診断書が必要な場面は?
医療保険において、給付金を請求する際に必要な診断書ですが、必要な場面はそれだけではありません。
- 病気やケガで休職するとき
- 公的医療保険制度を利用するとき
上記のような場面でも診断書を用意しておく必要があります。
病気やケガで休職するとき
病気やケガで一定期間会社を休む必要が生じた場合、会社に診断書を提出する必要があります。
病気やケガの治療のためにしばらく欠勤したい場合、長期の休みが必要である証明がなければなりません。そのため医療機関からの証明書である診断書を提出し、会社の判断を仰ぐ必要があるでしょう。
また逆に診断書は、治療が完了し「本当に働けるか」を証明する書類にもなります。まだ完全に働ける状態ではないのに仕事に復帰させてしまうと、大きなトラブルに繋がりかねません。
基本的に原本の提出が求められるケースが多いため、仕事を長期間休む際は診断書の発行依頼も進めておきましょう。具体的な必要書類は企業によって異なるため、詳しくはご自身が勤務している会社に確認してください。
公的医療保険制度を利用するとき
公的医療保険制度を活用したい場合も、診断書が必要です。
会社を長期間休む際の「傷病手当金」や出産時の「出産手当金」など、お金を受け取れる公的医療保険制度を利用する場合は診断書の提出を求められることが多いです。
また申請書類の中には「医師の証明が必要」とされているケースもあります。公的医療保険制度を利用する際は提出書類をきちんと確認し、必要であれば診断書の発行を依頼しましょう。
診断書が不要な医療保険もある
保険会社によっては、一定の条件を満たすことで診断書の提出が不要になることもあります。その場合、診断書の発行にかかる費用や時間が不要になるため、よりお得に給付金の請求ができますね。
ただし、保険会社や保険商品によって設定される条件は異なります。条件を満たしていなければ、診断書が必要になることが多いです。給付金の請求をする前に約款や契約内容をチェックしましょう。
まとめ
医療保険の保険金請求に必要な診断書のもらい方について解説してきました。
特に気をつけるべきなのは、以下の2点です。
- 診断書のフォーマットが指定されるケースが多い
- 発行にはお金と時間がかかる
上記について理解した上で、時間に余裕を持って発行を依頼しましょう。