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医療保険とがん保険はどっちを選ぶべき?保障内容の違いや加入時の注意点について解説

著者:みんかぶ編集室

2023年12月27日 掲載

医療保険とがん保険、どちらも聞いたことがあるという方が多いでしょう。どちらも「病気に備えるもの」というイメージが強いですが、具体的な違いや特徴についてはよくわからないと感じる方も多いのではないでしょうか。

いざ保険に入ろうとしても、どちらを優先すべきか、両方加入したほうがいいのか……判断が難しいポイントでもあります。

医療保険とがん保険、どっちを選ぶべきなのでしょうか?この記事では

  • 医療保険とがん保険の違い
  • それぞれの保険のメリット・デメリットや判断基準
  • 併用する必要性や注意点

といった、保険を選ぶ上で必要な情報をわかりやすく解説していきます。

医療保険とがん保険の違い

医療保険とがん保険の違い

医療保険とがん保険、どちらを選ぶべきかを考える上で、まずはそれぞれの保険の特徴を知ることが重要です。両者の違いを見比べながら、きちんと理解しましょう。

医療保険とがん保険の比較表

医療保険とは、さまざまな病気やケガの治療にかかる費用を保障する保険です。契約内容や特約の有無によって変わりますが、主な保障内容は「手術給付金」と「入院給付金」となります。

一方、がんに限定して保障するタイプの保険が「がん保険」です。保障の対象は医療保険よりも限定的ですが、がんの治療に対する保障は医療保険よりも手厚く用意されていることが多いでしょう。

それぞれの保険の違いについて、各項目ごとにさらに詳しく解説していきます。

保障対象の違い

医療保険とがん保険とでは、名前の通り保障の対象が異なります。

がん保険はその名前の通り、がんの治療にかかる費用を保障するものです。一方で医療保険の保障対象はさらに広く、がんを含むさまざまな病気やケガの治療に活用できます。

つまり、多くの病気やケガをカバーする医療保険がある中で「さらにがんに特化して備えられる保険=がん保険」となります。

基本的な保障内容の違い

次に、保障の内容について確認してみましょう。

医療保険においては、はじめから用意されている保障として「入院給付金」や「手術給付金」などがあります。

  • 入院給付金……契約時に決めた1日あたりの金額を入院日数分受け取れる
  • 手術給付金……手術を受ける際に、一定の金額を受け取れる

一方のがん保険では、上記の2つに加えて「診断給付金」や「通院給付金」も用意されている保険が多いです。

  • 診断給付金……医師によりがんと診断された場合に給付金を受け取れる
  • 通院給付金……がんの治療を目的とした通院が必要になった場合、給付金を受け取れる

がんの治療は長期間にわたるので費用は高額になりやすく、比較的手厚いサポートが必要になります。そのようなニーズに対応し、医療保険よりも保障が充実しているがん保険が増えています

保険料の違い

それぞれの保険において必要になる保険料ですが、大前提として契約する保険の保障内容に応じて保険料は変動します。そのため、どちらの保険のほうが必ず安くなる、というわけではありません。

ただし、がん保険に比べて医療保険には特約が様々あるため、医療保険の方が保険料が高くなることがあります。

免責期間の違い

医療保険とがん保険の違いとして、「免責期間の有無」もあります。

免責期間とは、保険に加入していても保障が適用されない期間のこと。医療保険の中には、免責期間がない商品があり、その場合責任開始日(保障開始日)から保障の対象となります。

がん保険においては契約してから一定の免責期間が設けられているタイプが一般的です。そのため、加入してすぐにがんの治療が必要になっても給付金が受け取れないケースが多く、注意が必要です。

支払限度日数の違い

多くの医療保険においては、1回の入院給付金の支払限度日数が設定されています。入院日数が60日や120日といった入院支払限度日数を超えてしまう場合、越えた分の給付金は支給されません。

さらに「通算入院限度日数」も設定されている場合が多いです。1回あたりの入院日数が限度を下回っていても、通算の日数が通算入院限度日数を上回ってしまった場合、給付金がもらえなくなってしまいます。

一方で、多くのがん保険には入院支払限度日数や通算入院限度日数が設けられていません。そのため、入院が長引いたとしても給付金をもらい続けることができます。

医療保険に加入するメリット

医療保険に加入するメリット

ここまで医療保険とがん保険の違いについて紹介してきました。これまでの内容を踏まえ、がん保険と比較した際の医療保険のメリットは以下のとおりです。

  • がん以外の病気やケガも幅広く保障
  • 免責期間がない

がん以外の病気やケガも幅広く保障

医療保険であれば、がんはもちろん、それ以外のさまざまな病気やケガにも幅広く備えられます。

がん保険に加入しても、保障されるのはがんのみ。がんになる人は多くいるものの、それ以外の病気やケガもいつ起こるかわかりません。

医療保険であれば、がんを含む多くの病気やケガの治療時に活用できます。医療保険はがん保険よりも万能型であると言えますね

免責期間がない

医療保険のメリットとして、免責期間がないことも挙げられます。(一部の医療保険を除く)

がん保険であれば、契約しても一定期間保障の対象外となるケースが多いです。一方で医療保険であれば、責任開始日(保障開始日)からすぐに保障を受けられるようになります。

医療保険のデメリット

一方で、医療保険にはデメリットもあります。

  • がん保険と比較して保険料が高くなることがある
  • 保障される金額や入院日数に制限がある

がん保険と比較して保険料が高くなることがある

医療保険のデメリットとして、医療保険のほうが保険料が高くなりやすい点が挙げられます。

理由としては、医療保険のはがん以外の病気やケガも保障できること、特約の種類が豊富なことがあげられます。

契約する保険の保障内容によって保険料は変動するため、保険料にどれだけの差が出るかは、契約内容によって異なります。

保障される入院日数に制限がある

医療保険は、入院日数に限度が設けられているのが一般的です。そのため、がんのように長期の入院が必要な病気においては、退院する前に入院日数の限度を迎えてしまうかもしれません。

入院中で働けない中で経済的負担が増えてしまうため、精神的にも苦痛を感じてしまう可能性があるでしょう。

がん保険に加入するメリット

がん保険に加入するメリット

がん保険においては、医療保険と比べて次のようなメリットがあります。

  • 医療保険よりも保険料が安め
  • がんで入院した場合、入院日数が医療保険より手厚い

医療保険よりも保険料が安め

がん保険は医療保険よりも保障対象が限定されているため、保険料を抑えることが可能です。

「日本人男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんになる」と言われている中、がん保険なら経済的負担を抑えつつ、効果的にリスクに備えることができますね。

がんで入院した場合、入院日数が医療保険より手厚い

がん保険は基本的に入院日数に制限を設けていない場合があるため、入院ににかかる費用をしっかりとカバーできます。

がん保険では、入院が長引いたとしても日数分の給付金が受け取れるケースがあります。医療保険だけでは、日数制限により給付金が足りなくなるかもしれません。

またがんの治療においては、入院だけでなく長期の通院も必要になる可能性が高いです。そのため、通院にかかる費用も保障してくれるがん保険であれば、入院が終わってからも安心ですね。

ただし保障の手厚さについては、契約時にある程度コントロールできます。保険料は高くなってしまいますが、医療保険でも保障内容を充実させることは可能です。

がん保険のデメリット

もちろんがん保険においても、いくつかのデメリットがあります。

  • がん以外の病気やケガは対象外
  • 契約しても免責期間が設定されている

がん以外の病気やケガは対象外

がん保険は、がん治療に特化した保険です。そのため、がん以外の病気やケガは対象外となります。

もちろん、比較的発症率が高いがんに備えることは重要です。しかし、脳血管疾患や心疾患などの三大疾病、糖尿病や高血圧などの生活習慣病も、重症化すると入院や手術が必要になるケースは少なくないでしょう。

がん保険だけでは、そのようながん以外の病気やケガに備えることができません。そのため医療保険に加入するよりも、病気やケガによる経済的な負担が大きくなってしまう可能性があります。

契約しても免責期間が設定されている

がん保険の場合、契約しても免責期間が設定されている場合がほとんど。そのため、契約してから一定期間内にがんと診断されても、保障の対象にならないというデメリットがあります

がん保険に免責期間が設けられている理由は、がんの自覚症状がある状態でがん保険に加入するのを防ぐためだと考えられています。体調に異変が起きてからではなく、早めに備えておく必要がありますね。

医療保険とがん保険それぞれのおすすめな人・判断基準は?

これまでご紹介した医療保険とがん保険の違いやメリット・デメリットをもとに、それぞれの保険がおすすめな人の特徴を考えてみましょう。


医療保険 がん保険
おすすめな人 十分に貯蓄ができていない人
子どもや家族がいる人
自営業やフリーランスの人
がん治療が長引いた場合の費用が心配な人
医療保険に加入できなかった人
必要性が低い人 貯蓄が十分にある人 がんになる確率が低いと考えている人
医療保険で十分だと考える人

医療保険への加入がおすすめな人

まずは、医療保険への加入がおすすめな人の特徴についてご紹介します。以下に当てはまる人は、医療保険の必要性が高いと言えるでしょう。

  • 十分に貯蓄ができていない人
  • 子供や家族がいる人
  • 自営業やフリーランスの人

十分に貯蓄ができていない人

入院や手術が必要になったときに、自身や家族が生活するための十分な貯蓄がない方は、医療保険への加入がおすすめです。

がん保険だけでは、がん以外の病気やケガでの入院が必要になった際に負担が大きくなってしまいます。

万が一の時に経済的な不安が残りそうだなと感じる方は、まず医療保険に入っておくと安心でしょう。

子供や家族がいる人

子どもや家族がいる人も、医療保険の必要性は高いでしょう。ただし家族がいる場合、自分以外の生活費も必要になりますし、子どもがいるなら教育費も支払わなければなりません。

家族における収入の柱となる人が働けなくなった場合、経済的な負担が大きくなってしまいます

独身の方であれば、自分の生活費を補える程度に保険に加入しておけば大丈夫でしょう。さらに住宅ローンが残っている方は、想定以上に経済的な負担が大きくなる可能性があります。

子どもや家族のためにも、不安な方は医療保険に入っておくのがおすすめです。

自営業やフリーランスの人

会社員や公務員ではなく、自営業・フリーランスとして働いている方は、医療保険の必要性が高いです。

会社員や公務員であれば、病気やケガで働けなくなっても一定の収入がもらえる「傷病手当金」が用意されています。

一方で自営業やフリーランスの場合、そのような制度は用意されていません。入院や手術で働けなくなったら、その分収入が大きく減少してしまう可能性が高いでしょう。

利用可能な公的制度が少ない分、医療保険に加入してカバーするのがおすすめですね。

がん保険への加入がおすすめな人

次に、以下に当てはまる人はがん保険への加入がおすすめです。

  • がん治療が長引いた場合の費用が心配な人
  • 医療保険に加入できなかった人

がん治療が長引いた場合の費用が心配な人

がん治療にかかる費用が心配な方は、やはりがん保険に入っておくのがおすすめです。

がんは多くの人が発症する「3大疾病」のひとつ。治療も大掛かりで時間がかかるケースが多く、がんになったときの不安が強い方も多いでしょう。

入院や治療が長引くほど、多くのお金が必要になります。「自分もがんになるかもしれない」「経済的に備えておきたい」と感じる方は、がん保険に加入するとより安心です。

医療保険に加入できなかった人

医療保険に加入できなかった人でも、がん保険であれば加入できることがあります。

医療保険に入りたくても、過去の傷病歴や健康状態によっては加入できない場合も。しかしがん保険においては、病気にかかっていても、がんとの関連性が低ければ審査が通る可能性があります

医療保険に入れず、せめてがんには備えておきたいと感じる方は、がん保険の加入手続きも進めてみましょう。

がん保険に入っていないと後悔する?

がん保険に入っていないと後悔する?

保障の対象や内容において、医療保険と共通点が多いがん保険。特に医療保険はがんにも対応していることから、がん保険が必要なのか迷ってしまう方も多いでしょう。

ではなぜ、がん保険が必要なのでしょうか?医療保険だけでなくがん保険にも加入する理由として、次の2つが挙げられます。

  • がんは罹患率が高く、治療費が高額になるケースも多い
  • がんの治療には時間がかかることも多く長期保障が重要に

がんは罹患率が高く、治療費が高額になるケースも多い

がんは罹患率が高く、3大疾病のひとつと定められているほどです。入院が必要になるケースも多く、治療費が高額になる可能性が高いと言われています。

公的医療保険等の対象となる費用 自己負担となる費
  • 診察費
  • 検査費
  • 入院費
  • 手術、放射線治療、薬物療法などの費用
  • 介護サービス費など
  • 通院・入院時の交通費
  • 公的医療保険の対象外の治療(開発中の試験的な治療法や薬、医療機器を使った治療など)の費用
  • 差額ベッド代、文書料(診断書など)、食費、日用品、医療用ウィッグ、家族の交通費・宿泊費、お見舞いのお返しなど
  • 家族の生活費

診察や検査など、治療費の多くは公的医療保険の対象となり、自己負担費用に上限が設けられる高額療養費制度も適用されます。それでも支払いが何度も続いてしまえば、経済的な負担も大きくなるでしょう

がん保険に加入すれば、がん治療に対して手厚い保障を受けられ、経済的な不安を解消できます。

がんの治療には時間がかかることも多く長期保障が重要に

さらに罹患率が高いだけでなく、入院や通院が長引くことも少なくありません。

医療技術の進歩により、がん治療にかかる時間は年々減少しています。それでも、がん治療は入院や手術だけで完了するものではなく、通院による治療も組み合わせて行われるケースが多いです。また治療に加え、定期的な検査も必要になります。

そのため、保障内容が限られている医療保険だけでは、実際の経済的負担がカバーしきれないことも。通院給付金がもらえる、かつ日数に制限が設けられていないがん保険の方が、実際の負担に見合った保障が受けられる可能性が高いでしょう。

医療保険でもある程度カバーできる

とはいえ、医療保険に加入しておけば、がんになってもある程度カバーすることは可能です。支払い日数に制限があるものの入院給付金や手術給付金は受け取れますし、通院給付金がもらえる特約を用意している保険会社もあります。

そのため医療保険だけでも、がんに対して一定の備えができそうです。

医療保険とがん保険の両方に加入する必要はある?

医療保険の保障対象が広いため、必ずしもがん保険に加入しなければならないわけではありません。がん保険の必要性は、貯蓄状況や不安の強さに応じて変わります。

先述した「それぞれの保険がおすすめな人の特徴」にご自身が当てはまるかを確認した上で、

  • がんだけでなく幅広く病気やケガに備えておきたい→医療保険に入っておく
  • がんに対する不安が特に強い→がん保険にも加入

といったように、ニーズに合わせて併用するか決めるのがおすすめです

医療保険とがん保険、それぞれの保障内容についてきちんと理解した上で、ご自身に合った選択肢を考えてみてください。

医療保険とがん保険を併用する場合の注意点

医療保険とがん保険を併用すれば、リスクに対してより手厚く備えられます。ただし併用するか考える際には、考慮すべき2つの注意点があります。

  • 保険料と保障内容のバランスを考慮する
  • 医療保険で利用可能な保障を確認し重複しないよう注意する

保険料と保障内容のバランスを考慮する

医療保険とがん保険を併用する場合、そのぶん支払う保険料も大きくなります。もしものために保障内容を手厚くしても、毎月の支払いが負担になってしまっては本末転倒です。

医療保険やがん保険は、お守りとして加入しておくもの。併用することで生活を圧迫してしまわないか、きちんと確認してから加入しましょう

医療保険で利用可能な保障を確認し重複しないよう注意する

医療保険においては、基本的な保障の他にも様々な保障や特約が用意されている事が多いです。そのため、追加でがん保険に加入してから「併用しなくても同様の保障が受けられる」と気づくケースも

医療保険の基本的な保障は「入院給付金」「手術給付金」です。しかし、保険会社によっては通院給付金がもらえる特約や先進医療特約など、追加でさまざまな保障を加えられます。

保障ごとにどのような制限や条件が設けられているかは、保険会社によって異なります。医療保険に加えてがん保険への加入を検討している方は、ご自身が加入している医療保険で利用できる保障についてきちんと確認しておきましょう。

迷ったときは保険のプロに相談

とはいえ、がん保険や医療保険に加入するかどうかは、自分だけで考えるのはなかなか難しい問題でもあります。

この先どんな病気になるのか、他の人はどのように備えているのかが分かりづらい中、欲しいのは「専門性が高い人からの客観的な意見」ですよね

みんかぶ保険では、保険の知識が豊富なプロに無料で相談・見積もり依頼ができます。回数に制限もなく、納得のいくまで質問することが可能です。

がん保険の必要性は、なかなか決断しづらい問題。迷ったときは、気軽に利用してみてください。

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