医療保険の180日ルールとは?再入院時に自己負担額を減らすための対処法を解説

著者:みんかぶ編集室

2024年01月15日 掲載

医療保険に加入するなら知っておきたいのが「180日ルール」です。180日ルールとは「180日以内に再入院した場合は一回の入院としてカウントするよ」という制度のこと。

それだけ聞くと「別に問題ないのでは?」と思うかもしれません。しかし、180日ルールを正しく理解していないと、医療保険に加入しているのに「自己負担額」が増えてしまう可能性があるのです

そこで、この記事では180日ルールの説明と、再入院時に自己負担額を減らすためのポイントの2つを中心に解説します。

医療保険の180日ルールとは?

医療保険の180日ルールとは

医療保険の180日ルールとは、退院日から180日以内に同じ病気やケガで再入院した場合、はじめの入院も含めた1入院とみなすというルールです

※保険会社や商品により、180日でない場合もあります。

具体的には、以下の条件を満たす場合に180日ルールが適用されます。

  • 同じ病気やケガによる入院であること
  • 1回目の入院の退院日から2回目の入院の入院日までの期間が180日以内であること

例えば、40日間「傷病A」で入院をし、90日後に同じ「傷病A」で30日間入院した場合は、一回の入院とみなされ「70日間の入院」として扱われます。

ここで重要なのが「入院給付金の給付限度日数」です。上記のケースでもし、給付限度日数が「90日」に設定されていれば、入院費用は全て医療保険で賄えます。

しかし、60日に設定されていた場合はどうでしょうか。

40日間入院して退院し、90日後に同じ病気で30日間入院した場合

公益財団法人 生命保険文化センター 医療保障に関するQ&A より引用)

仮に、給付限度日数を60日だったと仮定すると、70日間の入院のうち「10日分」は給付金の支払いがなく、自己負担になってしまいます

医療保険の給付限度日数とは?

医療保険の給付限度日数とは、1回の入院で支払われる入院給付金の最大日数です

給付限度日数は、医療保険の種類やプランによって異なります。一般的には、60日、90日、120日、180日などの設定があります。

給付限度日数を超えた場合は、保険金は支払われません。そのため、給付限度日数を決める際には、将来の入院期間を想定して、安心と思える日数を確保しておくことが大切です

ただし、給付限度日数は、保険料にも影響します。給付限度日数が長くなるほど、保険料が高くなることも覚えておきましょう。

医療保険の180日ルールに関する注意点|知らないと自己負担額が増えてしまうリスクも

医療保険の180日ルールに関する注意点

医療保険の180日ルールには「2つの注意点」があります。具体的な注意点は以下の2点です。

  • 180日ルールが適用されると入院給付金の給付日数に上限ができ「自己負担額が増える」ケースがある
  • 1回目の入院とは異なる病気で入院しても180日ルールが適用されてしまうケースもある

どちらも、知らずにいると「思わぬ出費」に繋がってしまうリスクがある重要な注意点です。しっかりと覚えておきましょう。

180日ルールが適用されると入院給付金の給付日数に上限ができ「自己負担額が増える」ケースがある

前述の例のような「180日ルールを適用した合計入院日数>入院給付金の給付限度日数」になってしまった場合、超過した入院日数にかかる費用は「自己負担」になってしまいます。

【例】入院費用が1日2万円で180日ルールにより1入院が100日と判定された場合

給付限度日数  超過入院日数 自己負担額
60日  40日  80万円 
90日  10日  20万円 
180日  0日  0円 

たしかに、給付限度日数を増やすと保険料は高くなります。しかし、万が一自分が病気にかかり、度重なる長期入院を迫られた際、限度日数が少ないと、大出費になりかねません

厚生労働省の「令和2年 患者調査」によると、退院患者の平均在院日数は32.3日となっているため、180日ルールの適応も加味すると「60日以上」の限度日数に設定しておくことをおすすめします

厚生労働省「令和2年患者調査」

いくら医療技術が進歩して平均入院日数が短くなっているとはいえ、ギリギリの限度日数に設定することはおすすめできません。

1回目の入院とは異なる病気で入院しても180日ルールが適用されてしまうケースもある

180日ルールは、同じ病気やケガによる入院が適用条件となっています。しかし、一部の医療保険では、以下の場合に180日ルールが適用されることがあります。

  • 同じ治療法による入院
  • 同じ原因による入院

例えば、糖尿病の合併症の様に、1回目の入院が「目の病気」2回目の入院が「腎臓の病気」であったとしても、入院の原因は「糖尿病」であるため、これら2会の入院を1回の入院として扱うことがあるため注意が必要

180日ルールが適用されるかどうかは、医療保険の種類やプランによって異なります。医療保険に加入する際には、180日ルールの適用条件を事前に確認しておくことが大切です。

【あわせて覚えておきたい】手術給付金も60日以内に2回受けても1回分しか支払われない可能性あり

入院給付金とは別に、医療保険では「手術給付金」が設定されているのが一般的です。この手術給付金は「手術にかかった費用を保障するために支払われるお金」のこと。

そして、手術給付金にも180日ルールと似た制限が定められているケースがあります

その中でも多いのが「施術開始日から60日に1回」というように「60日以内に受けた手術は複数回であっても1回分のみ支払います」という支払い制限があるケースです。※ただし、60日以内に手術を受けた場合は、手術倍率の高いものが給付金支払いの対象になることがあります。

そのため、医療保険を選ぶ際には「手術給付金の支払い回数に制限があるかどうか」は必ずチェックしておきましょう。

【参考】入院が長期化しやすい/入退院を繰り返しやすい病気の例

入院が長期化しやすい/入退院を繰り返しやすい病気の例としては、以下のようなものが挙げられます。

【三大疾病】

  • がん
  • 心疾患
  • 脳血管疾患

三大疾病は、いずれも重篤な病気であり、長期間の入院や入退院を余儀なくされるケースが多いです。

  • 糖尿病
  • 精神疾患
  • 腎臓病
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 慢性関節リウマチ

上記は、治療が長期間にわたる病気です。また、病状の悪化や合併症の発症により、入退院を繰り返すケースもあります。

家系によって「特定の病気になる体質が遺伝するケース(糖尿病や高血圧、てんかんなど)」もあると思いますので、ご自身の病気への考え方や家計とのバランスを考えながら、保障の手厚さを考えるようにしましょう

もし「自分で保険選びをすることに不安がある、後悔しない保険選びをしたい」と考えているのであれば、みんかぶ保険の一括見積もり機能を活用するのも一つの手です。質問したいことを記入すれば、保険のプロが親身になって相談にのってくれます。

180日以内の再入院でも自己負担額を減らすための対処法

自己負担額を減らすための対処法

では、医療保険の180日ルールで自己負担額を増やさないようにするにはどうすればよいのでしょうか。

具体的な解決方法は以下の3つです。

  • あらかじめ支払限度日数が長い保険を選ぶ
  • 180日ルールの要件が緩和された医療保険に加入する
  • 病気に罹患するリスクが高くなるタイミングで医療保険の見直しを行う

それぞれ、どのような順番で対処していけばよいのかを「わかりやすく」説明します。

【前提】自分の年齢・保障の手厚さ・保険料の3つのバランスを考えよう

前提として、医療保険を選ぶ際には以下3点のバランスに気を配りましょう。

  • 年齢
  • 保障の手厚さ
  • 保険料

具体的には、年齢が若く病気にかかるリスクが低いのにもかかわらず、保障を手厚くしすぎたり、逆にリスクが高くなる年齢になっても保障内容の見直しを行わないのはNGということです

この点を踏まえて、180日ルールで自己負担を増やさないための対策を学んでいきましょう。

支払限度日数が長い保険をあらかじめ選ぶ

一番簡単に、180日ルールによる自己負担額増を防ぐ方法は、あらかじめ入院給付金の支払限度日数を長めに設定しておくことです。

支払限度日数は商品ごとに「60日、90日、120日、180日など」から選べるようになっていることが多いです。

一般的には60日あれば十分と言われていますが、長期入院、再入院が必要になる病気(糖尿病やがんなど)の場合足りない可能性もあります。

ですから、罹患リスクが低い30代前後までは60日の支払限度日数でも十分な保障といえますが、40代以降は「60日以上」に設定しておいたほうが安心できます

ただし、支払限度日数を増やすと「保険料が高くなる」というデメリットも生じてしまうので注意が必要。どの日数にするか、保険料はどれくらい高くなるかのバランスを考えながら選ぶことが重要です。

180日ルールの要件が緩和された医療保険に加入する

医療保険の商品の中には「180日ルールが緩和された商品」も存在します。

180日以内の再入院ではなく「90日以内の再入院を1回の入院とみなす」というように、1入院として見なされる期間が短縮された商品や、入院日数ごとに給付金を支給する(入院の原因は問わない)という商品も登場してきています。

「180日ルールに備えて支払限度日数を長くするのは保険料の支払いが難しい」

と考えている人は、こうした180日ルールが緩和された医療保険探しをするのも一つの手です

病気に罹患するリスクが高くなるタイミングで医療保険の見直しを行う

一般的に40代〜50代から、生活習慣病やがんなどの疾病リスクが高くなると言われています。

ですから、30代までは入院給付金の支払限度日数を60日に設定しておき、40代、50代になったタイミングで「医療保険を見直す」という方法がおすすめです

もちろん、30代時点でも「心配だから保障は手厚くしておきたい」という方もいると思います。そうした場合は「不安を軽減するためのコスト」として保険料を支払うのもOKです。

しかし、なかには「必要十分の保障にして保険料を払い過ぎたくない」という人も多くいるはずです。こうした人は「ライフステージの変化や疾病リスクの増加に合わせて保障を見直す」という方法がおすすめですよ。

入院するのを180日以降にするのは現実的に難しいケースが多い

180日ルールの適用を避けるために「入院するのを180日以降にする」という方法も考えられますが、そもそも入院は「緊急性があるため入院」という措置を取られていることがほとんどです。

ですから、入院時期を無理やりずらすのは現実的ではなく、ご自身の体調を考えれば避けるべき方法だといえます。

長期入院に備えるなら医療保険だけでなく「就業不能保険」の検討がおすすめ

長期入院に備えるなら医療保険だけでなく就業不能保険の検討がおすすめ

就業不能保険に加入するとどんなメリットが期待できる?

就業不能保険に加入すると、以下のようなメリットが期待できます。

収入減少のリスクを軽減できる

就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった場合に、毎月一定額の給付金を受け取れる保険です。公的保障である傷病手当金は、給与の3分の2を限度に支給されますが、就業不能保険は給与の60〜80%程度をカバーできる場合もあり、収入減少のリスクを軽減できます。

生活費の不安を解消できる

長期入院や重度なケガで働けなくなった場合、収入が途絶えて生活費が不足する可能性があります。就業不能保険に加入していれば、毎月一定額の給付金を受け取れるため、生活費の不安を解消できます。

精神的な負担を軽減できる

病気やケガで働けなくなった場合、収入減少や生活費の不安など、精神的な負担も大きくなります。就業不能保険に加入していれば、経済的な不安が軽減されるため、精神的な負担も軽減できます。

医療保険の保障内容を決められない場合はみんかぶ保険に相談を

入院給付金の支払限度日数もしかり、保障内容選びもしかりですが「医療保険選び」は非常に骨の折れる作業です

自分で選ぶのは難しいけど、保険会社に行くのは気が引けるという方も多いのではないでしょうか。

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みんかぶ編集室

資産形成メディア「みんかぶ」を中心に、金融商品の記事の執筆を行っています。資産運用のトレンド情報や、初心者が楽しく学べるお金の基本コラムなど、資産形成をするすべての人に向けた記事を提供します。

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