生命保険と介護医療保険の違いは?保障内容や控除制度について分かりやすく解説

著者:みんかぶ編集室

監修:

杉本 大輔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 / トータル・ライフ・コンサルタント / フィナンシャル・エージェンシー所属

ひとくちに「保険」といっても、その種類はさまざま。生命保険に医療保険、介護保険、そのほかにも多様な保険があり、どの保険がどんなことをカバーしてくれるのかわからなくなってしまうことも多いでしょう。

また、控除制度においても保険が対象になりますが、「生命保険料控除」「介護医療保険料控除」など、どの保険がどの控除制度に当てはまるのか混乱してしまいがちです。

複雑で、考えるのが面倒くさい……

そう感じてしまう人もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、「生命保険」と「介護医療保険」の違いについて、

  • 保障内容
  • メリットや入るべき人
  • それぞれの控除制度の違い

など、多くの方が気になるポイントについて分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、各保険の違いだけでなく控除制度の対象範囲や申込み方法まで、幅広く理解することができるでしょう!

生命保険と介護医療保険の違いは?

まずは、「生命保険」と「介護医療保険」の違いについて分かりやすく解説していきます。

よく混同してしまいがちな名称ですが、それぞれの保険が何をカバーするのか、どのような状況で必要となるのか、いっしょに確認していきましょう。

介護保険や医療保険は、生命保険のうちのひとつ

上記で述べたとおり、「介護保険」や「医療保険」は生命保険のうちのひとつ

完全に別物というよりも、親子関係であると表現するのが適切でしょう。

「医療保険」は、病気やケガによる治療費用を保障します。公的医療保険ではカバーしきれない自己負担額の負担を軽減するために作られた制度です。

一方「介護保険」は、高齢や病気により日常生活が困難になったときに必要となる「介護サービスの費用」が保障対象です。たとえ今は若くても、将来的には自身や家族が介護を必要とする可能性は高いでしょう。このようなリスクに備えるために、介護保険を活用することができます。

生命保険はさまざまな保険の総称

生命保険とは、病気やケガ、老後の生活など、様々な人生のリスクに対応するための保険の総称です。具体的には、死亡保険、医療保険、介護保険、生存保険が含まれています。

それぞれの保険は、人生の異なるステージやシーンでの困りごとに対応しています。

  • 家族を養う被保険者が亡くなった際に家族を守るための「死亡保険」
  • 病気やケガによる医療費を補填する「医療保険」
  • 老後の生活を支えるための「介護保険」
  • そして将来の貯蓄としての「生存保険」

※みんかぶでは分かりやすいよう、「死亡時に保険金がもらえるものを生命保険(死亡保険)」「病気や怪我に備えるものは医療保険」と分けて表記しております。

生命保険は大きく分けて4種類

生命保険は大きく分けて4種類

生命保険には、大きく分けて死亡保険、医療保険、介護保険、生存保険の4つの種類があることについて解説してきました。

それぞれの保険がどのような目的で、どのような状況をカバーし、誰にとって必要なのか、ここからさらに詳しくご紹介していきます。

被保険者の死亡時に備える「死亡保険」

目的 被保険者が死亡した場合、残された家族の生活を支えるため 
保障内容 被保険者が死亡時、家族が保険金を受け取ることができる 
加入メリット 家族の「大黒柱」がいなくなっても、残された家族の金銭的不安をカバーすることができる 
加入すべき人 貯蓄が十分にできていない子育て家庭、両親が高齢な人 

死亡保険は、被保険者が亡くなった場合に保険金が支払われるもので、家族を経済的に守る目的があります。特に家族の生計を支える主な収入源がひとりに集中している場合に、その人が亡くなったときに家族が困らないようにするための保険です。

したがって、家族を持つ人、特に子供がいる家庭にとっては、死亡保険の必要性が高いと言えるでしょう。

実際の保険料や保障内容などについて気になる人は、生命保険(死亡保険)の選び方や人気おすすめランキングをご覧ください。

入院や手術の費用をカバーする「医療保険」

目的 病気や怪我の治療費に備える
保障内容 入院や手術、先進医療などを受けるときに保険金を受け取ることが可能 
加入メリット 高額な治療が必要になっても、経済的なダメージを抑えることができる
加入すべき人 貯蓄がまだ不十分だと感じる人、病気や怪我に関して不安を抱えている人、先進医療や個室入院を希望する人 

医療保険は、病気やケガによる治療費用を保障します。公的医療保険でカバーしきれない自己負担分の医療費を抑えるためのもので、病気やケガの治療時に経済的負荷を軽減してくれます。

病気や怪我は、いつどのタイミングで発生するかわかりません。貯蓄がまだあまりできていないのに突然、高額な費用がかかる治療が必要になることも…。

そのようなリスクに備えたい方には、医療保険がおすすめです。

保険料や保障内容、具体的な選び方について気になる人は、医療保険の選び方や人気おすすめランキングをチェックしてみましょう。

介護時に役立つ「介護保険」

目的 介護に必要な費用をカバーする 
保障内容 介護が必要だと判断された場合において、一定の金額を受け取ることができる 
加入メリット 働けなくなっても、介護が必要になった時点から長期にわたって金銭面での支援を受けられる 
加入すべき人 介護費用を支払う余裕がない人、介護者が身近にいない人 

介護保険は、高齢や病気により日常生活が困難になったときに必要となる「介護サービス」の費用を保障します。

誰でも、歳をとるにつれて介護が必要になる可能性はありますよね。そのようなリスクに備えて介護保険を検討することは、老後の生活において重要なことでもあります。

貯蓄のための「生存保険」

目的 老後資金や教育資金などに備え貯蓄するための保険 
保障内容 被保険者が一定期間生存すれば、給付金や保険金が受け取れる 
加入メリット ライフイベントに合わせて柔軟に、かつ計画的に資金を準備することができる 
加入すべき人 将来に向けた資金準備が必要な人、何らかのライフイベント(出産や育児など)を控えている人 

最後に、生存保険は将来の貯蓄や資産形成を目的とした保険です。この保険は、保険期間終了時に被保険者が生存していれば、保険金が支払われます。学資保険や確定年金などが、生存保険に該当します。

何らかの具体的な目標に向けて、計画的な貯蓄をするために利用するのがおすすめな保険ですね。

生命保険料控除制度とは?

生命保険料控除制度とは

ここまで、生命保険と介護医療保険の意味について解説してきました。この章からは「控除制度の違い」について解説していきます。

控除制度においても「生命保険料控除」と「介護医療保険料控除」があり、区別が分からなくなってしまった人も多いでしょう。

ここまで述べてきたことと似ていますが、「生命保険料控除」はいくつかの控除制度の総称になります。

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

上記3つの控除制度をまとめて生命保険料控除」といいます。

介護医療保険料控除は、生命保険料控除と別制度なのではなく、一部であるという認識が正しいです。

控除の種類  保障内容  対象となる保険の例 
一般生命保険料控除  死亡または生存に起因して保険金等が支払われる保険  終身保険、学資保険、定期保険など 
介護医療保険料控除  病気や怪我の治療費、介護に必要な費用をサポートする保険  険介護保険、医療保険、がん保険など 
個人年金保険料控除  「個人年金保険料税制適格特約」がついている個人年金保険など  個人年金保険など 

一般生命保険料控除

一般生命保険は「死亡保険」や「生存保険」が対象となります。

具体的には、被保険者が死亡した場合に保険金が支払われる「終身保険」、子供の養育費に向けた貯蓄のための「学資保険」などが該当します。

介護医療保険料控除

介護医療保険料控除は、医療保険や介護保険の保険料を所得から控除できる制度です。

医療保険や介護保険が該当するほか、がん保険や就業不能保険(収入の減少もしくは消失した時に一定の条件を満たすことで保険金が受け取れる)なども対象です。

個人年金保険料控除

個人年金保険料控除は、個人年金保険に加入し支払った保険料の金額に応じて、控除を受けられる制度です。

老後の生活に備える一方で、税金の負担も軽減することができますね。

保険を更新しないと、介護医療保険料控除が利用できない可能性も

生命保険料控除を利用する上で注意しなければならないのは、保険の更新ができていないと控除を受けられない可能性があることです。

生命保険料控除は、2012年1月1日より新制度として運用されており、それまでは介護医療保険料控除は存在していませんでした。そのため、2012年1月1日以降に更新がされていない保険に関しては、介護医療保険料控除の対象になりません。

「契約してからしばらく経ったけど、更新してこなかった」という方は、最後に更新した日がいつなのか改めて確認しておきましょう。

保険料控除申請の流れと必要書類

保険料控除申請の流れと必要書類

次に、保険料控除の具体的な申請方法について詳しく見てみましょう。生命保険料控除の申請は、年末調整または確定申告のタイミングで行います。

保険料控除の申請に必要な書類一覧

必要書類

 

  • 年末調整で申請する場合

「保険料控除申告書」と「保険料控除証明書」

 

  • 確定申告で申請する場合

「(保険料及び控除額を記入した)確定申告書」と「保険料控除証明書」

保険料控除証明書は1年間の保険料や契約内容について記載された書類で、年に1回保険会社から送付されます

また、下記よりそれぞれダウンロードが可能です。

年末調整で保険料控除を申請する場合

勤務先の会社での年末調整で申請する場合、「保険料控除申告書」の提出が必要になります。

保険料控除申告書の左側「生命保険料控除」の欄のうち、該当する保険料控除の欄に必要事項を記入していきます。保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」を参考に書き入れましょう。

自分で確定申告をする場合

一方、確定申告を通じて保険料控除を申請する場合、保険料控除申告書を提出する代わりに確定申告書の第二表への記入が必要になります。第二表の「生命保険料控除」の枠内にある所定の欄に保険料の金額を書きましょう。

さらに、控除額を計算し第一表の「所得から差し引かれる金額」内の「生命保険料控除」に記入する必要があります。

年末調整および確定申告での詳しい申請方法については、別の記事で見本を用いながらわかりやすく解説しています。申請について調べたい方はぜひチェックしてみてください。

生命保険と介護医療保険の違いについてよくある質問

よくある質問

介護保険と医療保険は併用できますか?

介護保険と医療保険については、併用しても問題ありません。ですが、保障範囲が被ってしまっても、保険金やサポートを二重で受けられるとは限らないため注意が必要です。

とくに、医療保険とがん保険のように保障範囲が似ているものを契約する場合、保障範囲が被ってもどちらか一方の保障しか受けられないことがあるかもしれません。その場合、同様の保障に支払っている保険料が無駄になってしまいます。

実際の保障内容については保険会社やプランによって異なるので、詳しくは保険の契約内容や規約をご確認ください。

生命保険料控除の上限額は何円ですか?

生命保険料控除の上限額は12万円となっています。

一般生命保険料控除と介護医療保険料控除、個人年金保険料控除それぞれの控除額の上限が4万円となっており、合計で12万円と決められています。

2011年12月31日以前に契約し、その後更新していない場合は、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除それぞれが上限5万円、合計10万円までとなります。

生命保険料控除における控除額の計算方法について知りたいです

生命保険料控除を利用する際の控除額の計算式は、以下のとおりになります。

生命保険料控除における控除額の計算方法

引用:生命保険文化センター「生命保険料控除制度とは?|税金に関するQ&A」

ご自身が支払う保険料に応じて、計算式を当てはめて控除額を算出してみてください。

所得税の控除額については、こちらの記事でも解説しています。

生命保険料控除は何円までが対象となりますか?

生命保険料控除の対象となる保険料には、上限も下限も設定されておりません。そのため、何円であっても保険料を支払っていれば控除を受けることができます。

該当する生命保険に加入している人は、忘れずに控除の申請をするようにしましょう。

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資産形成メディア「みんかぶ」を中心に、金融商品の記事の執筆を行っています。資産運用のトレンド情報や、初心者が楽しく学べるお金の基本コラムなど、資産形成をするすべての人に向けた記事を提供します。

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