8大疾病への備えに医療保険は必要?医療保険の必要性や種類、選び方までわかりやすく解説

著者:みんかぶ編集室

監修:

杉本 大輔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 / トータル・ライフ・コンサルタント / フィナンシャル・エージェンシー所属

罹患率が高く、大がかりな治療が必要になる生活習慣病「8大疾病」。

リスクの高さはなんとなくわかっているけれど、どれだけの備えをすればいいかは明確にわからない方も多いでしょう。また、入院や手術には医療保険で備えられるものの、本当に医療保険に加入すべきかは意見が分かれるポイントです。

今回は、8大疾病や医療保険に関して

  • 8大疾病の治療にかかる費用の目安
  • 対応している医療保険の種類
  • 医療保険の選び方

の情報をお伝えしながら、「8大疾病に備えるために医療保険が必要か」について解説していきます。

8大疾病に備えるために医療保険は必要?

結論から申し上げると、8大疾病に備えるために医療保険が必要かは、人によって異なります

ただし、8大疾病の治療には多額のお金がかかります。自力で準備できるのであれば医療保険は必要ありませんが、準備しきれるか不安な方や、大きな出費を避けたい方にとっては必要でしょう。

とはいえ、医療保険もまた少なからずお金がかかります。情報を集め、自分や家族にとって本当に必要なのかをよく考えたうえで、加入を決めるのが大切です。

8大疾病は発症率が高く、死亡数も多い生活習慣病のこと

8大疾病とは

まずは、8大疾病とはどのような病気かについて確認しましょう。

8大疾病とは、発症率が高く、大がかりな治療が必要となる生活習慣病のことを指します。

具体的には、日本人の死因上位を占める3大疾病である「がん(悪性新生物)」「急性心筋梗塞」「脳血管疾患」に加え、「高血圧性疾患」「糖尿病」「肝疾患」「腎疾患」「膵疾患」の5つを合わせた8つの病気が8大疾病(または8大生活習慣病)と呼ばれています。

これらの病気は、不適切な生活習慣の積み重ねによって引き起こされる場合が多く、予防と早期発見・早期治療が重要です。

年代別の発症率では40〜50代から急増

病気の種類により異なるものの、8大疾病はおおむね40〜50代から大きく増加します。

いくつかの例を確認してみましょう。

がんの罹患率

まずは「がん」の罹患率からご紹介します。

がんの場合、男性は50代から罹患率が一気に増加。女性も40代から増加傾向に転じたと報告されています。

年齢階級別疾患率

がん情報サービス「がん種別統計情報 全がん」

脳血管疾患の罹患率

「脳血管疾患」においても、40代から増加するのがわかります。

脳血管疾患数に対する各年代の患者数割合

厚生労働省「令和2年 患者調査」

糖尿病の罹患率

「糖尿病」に関しては30代から増加しているものの、50〜60代にかけて罹患率が一気に高まります。

糖尿病の年間疾患数に対する各年代の患者数割合

厚生労働省「令和2年 患者調査」

このように、8大疾病のリスクは30代後半から高まり、40代、50代で急増すると言えるでしょう。こうした傾向を踏まえ、早めに医療費を用意しておくのが大切ですね。

8大疾病の治療費は高額になりやすい

8大疾病の治療費は高額になりやすい

8大疾病は大がかりな治療が必要なケースが多く、治療にはかなりの費用がかかることが予想されます。そのため、万が一に備えて適切な医療保険に加入しておくことが大切だと言えるでしょう。

8大疾病の治療では、手術や長期の入院が必要になることも少なくありません。入院が必要になれば、仕事を休まなければならない期間も長引く可能性があります。

8大疾病に備えるためには、そのようなリスクについてきちんと理解をしておく必要があるでしょう。

手術や長期間の入院が必要

8大疾病の治療では、入院期間が長引きやすいという特徴があります。

令和2年(2020)患者調査によると、8大疾病に該当する病気の平均入院日数は以下のとおりです。

傷病分類 平均在院日数
悪性新生物 19.6日
糖尿病 30.6日
高血圧性疾患 47.6日
心疾患(高血圧性のものを除く) 24.6日
肝疾患 23.4日
腎疾患(※) 33.7日

令和2年(2020)患者調査

※腎尿路生殖器系の疾患(糸球体疾患,腎尿細管間質性疾患及び腎不全)を引用

2022(令和4)年度の生活保障に関する調査(速報版)では、入院1日あたりの自己負担額の平均は25,800円とされています。入院中は仕事ができないため、特に家族を抱えている場合は家庭への影響も大きくなるでしょう

※2022(令和4)年度の生活保障に関する調査(速報版) 

また、8大疾病の症状によっては手術が必要になることもあります。公的医療保険の対象となる治療であれば、自己負担割合が抑えられるだけでなく、高額療養費制度が適用されます。

高額療養費制度

公的医療保険の対象となる医療費の自己負担額が1ヶ月あたりの上限額を超える場合は、超過分の金額が支給される

しかし症状によっては、先進医療に該当する治療が必要になるケースもあります。その場合は数十万円〜数百万円の治療費が必要になるでしょう。

医療保険を活用すれば8大疾病に備えられる

医療保険を活用すれば8大疾病に備えられる

8大疾病の治療費は高額になりがちですが、適切な医療保険に加入することでしっかり備えられます。

8大疾病に対応している主な医療保険は、以下の通りです。

  • 通常の医療保険
  • がん保険
  • 3大疾病や7大疾病に特化した医療保険
  • 8大疾病に特化した医療保険

各タイプの医療保険について詳しく見ていきましょう。

通常の医療保険

通常の医療保険は、病気やケガによる入院・手術・通院などの医療費を幅広くカバーします。8大疾病だけでなく、他の病気についても保障が受けられるのが大きな特徴です

ただし、がんなどの重大な疾患においては、保障内容が十分でない場合があります。しかし保険商品によっては、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)のような特定の病気による入院・手術に対して給付金が上乗せされる「特定疾病特約」を組み合わせることも可能です。

メリット
幅広い病気やケガに対応できる
特約を付けることで、重大疾患の保障を手厚くできることも
デメリット
重大疾患の保障内容が十分でない場合がある
保険料が比較的高い

がん保険

がん保険は、その名の通りがんの治療に特化した医療保険です。がんの保障に絞ることで、通常の医療保険よりも保険料を抑えつつ、手厚い保障を受けられるケースが多いのが特徴です

ただし、がん以外の病気は保障されないため、通常の医療保険との併用も検討する必要がありそうですね。

メリット
がんの治療費を手厚くカバーできる
保険料が比較的安い
デメリット
がん以外の病気は保障されない

8大疾病に特化した医療保険

8大疾病のリスクに特化した医療保険も存在します。8大疾病に絞って保障内容を充実させているため、必要な保障を効率的に揃えることができるのが特徴です。

保険商品により異なりますが、給付金額を高めに設定したり、一時金を1年で複数回受け取ったりすることも可能。住宅ローンに付帯してくるケースもあるため、住宅購入を検討している方は要チェックですね。

メリット
8大疾病の治療時に手厚い保障が受けられる
必要な保障を効率的に揃えられる
デメリット
診断確定ではなく、特定の症状もしくは特定の治療や手術をすることが給付要件になっている場合がある

3大疾病や7大疾病に特化した医療保険

8大疾病に含まれている「3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)」や「7大疾病」に特化した医療保険も存在します。そのような保険も、特定の疾患群に絞って保障内容が充実しています。

ただし、保障対象となる疾患は保険商品ごとに異なるため、加入前にしっかりと確認しておく必要があります。自分や家族のリスクに合わせて、適切な保険を選びましょう。

メリット
特定の疾患群において手厚い保障が受けられる
必要な保障を効率的に揃えられる
デメリット
8大疾病すべてをカバーできない

複数の保険を組み合わせることでより手厚く備えられる

医療保険は複数加入することができるため、異なるタイプの保険を組み合わせることでよりしっかり備えられます。

例えば、通常の医療保険とがん保険や8大疾病特化型の保険を併用することにより、様々な病気やケガのリスクに対してバランスの取れた保障を用意できます

ただし、保障内容が重複していると、その分保険料も重複してしまいます。加入前に保障内容をしっかりと確認しておくことが大切です。

8大疾病に備えるための医療保険はどう選べばいい?

8大疾病に備えるための医療保険はどう選べば良い?

8大疾病のリスクに備えるために医療保険への加入を検討する場合、医療保険はどのように選べばいいのでしょうか。

これまでご紹介してきたようにさまざまな種類の医療保険があり、どの保険商品を選ぶべきかは悩ましいですよね

医療保険を選ぶポイント

  • 求める保障範囲を明確にする
  • 余裕を持って支払える保険料の上限を明確にする
  • 保険料の上限額を超えない範囲内で保障を充実させる

ここからは、8大疾病に備えるための医療保険選びのコツについて、さらに詳しく解説します。

求める保障範囲を明確にする

医療保険選びにおいて、まず考えるべきは保障範囲です。

がんや心疾患、脳血管疾患など、特定の病気に絞って手厚い保障を求めるのか、それとも幅広い病気に対して全般的な保障を用意したいのか、自分や家族のニーズを明確にすることが大切です

一般的には、医療保険で一通りの病気をカバーしつつ、がん保険や8大疾病特化型の保険で必要な部分の保障を手厚くする方法がおすすめです。このように複数の保険を組み合わせることで、バランスの取れた保障を準備できます。

ただし、保障内容が重複しないよう、加入前にしっかりと確認しておくことが重要です。自分や家族のライフスタイルやリスクに合わせて、最適な保障範囲を見定めましょう。

余裕を持って支払える保険料の上限を明確にする

次に決めるべきなのは、保険料。いくらまでなら無理なく保険料を支払えるのか、家計への影響を考えながら上限額を設定しましょう

保険料の負担が家計を圧迫するようでは、本末転倒です。

医療保険の保険料は、保障内容や加入者の年齢、健康状態などによって異なります。また、支払い方法(月払い・年払いなど)によっても変わってくるため、自分の予算に合った支払い方法を選ぶことも重要です。

無理のない範囲で、できるだけ手厚い保障を確保できるよう、保険料の見極めは慎重に行いましょう。

保険料の上限額を超えない範囲内で保障を充実させる

保険料の上限を設定したら、その金額を超えない範囲で、できるだけ保障内容を充実させていきましょう。

入院給付金や手術給付金の金額、特約の有無など、様々な観点から保険商品を比較検討し、自分や家族に合った保障を見つけましょう。また複数の保険を組み合わせれば、より手厚く備えることも可能です。

もし保険料の上限をオーバーしてしまったら、不要な保障を削っていく必要があります。また複数の保険に加入する予定がある方は、まずはひとつの医療保険に絞り、十分な貯蓄をつくってから加入する手もあるでしょう。

保険のプロを頼るのもおすすめ

医療保険選びにおいて、全ての保険会社の商品を自分で比較検討するのは容易ではありません。保険会社の数も多く、保険料や保障内容のチェックには膨大な時間と労力がかかるでしょう。また、比較すべき項目が多岐にわたるため、混乱してしまう方も多いはず。

だからこそ、保険のプロに相談してみるのがおすすめです。

みんかぶ保険では、保険の知識を豊富に持つプロが無料で相談に乗ってくれます。保険会社ごとに一括見積もりも依頼できるため、保険選びを一気に進められるでしょう。

しつこい営業もなく、無料で何度も利用できます。保険選びに迷った際は、ぜひ利用してみてください。

まとめ

8大疾病は重篤な疾患ばかりで、治療には多額の費用がかかる可能性があります。すべての人に必要なわけではありませんが、万が一に備えて適切な医療保険に加入することも大切です。

医療保険選びでは、求める保障範囲と予算を明確にするのがポイント。自分や家族のニーズに合った保障内容を、無理のない保険料で確保できるよう、慎重に検討しましょう。

8大疾病のリスクに備えることは、自分と家族の健康と生活を守るために欠かせません。万が一の時に備えて、医療保険について早めに考えてみてはいかがでしょうか。

みんかぶ編集室

資産形成メディア「みんかぶ」を中心に、金融商品の記事の執筆を行っています。資産運用のトレンド情報や、初心者が楽しく学べるお金の基本コラムなど、資産形成をするすべての人に向けた記事を提供します。

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