医療保険

先進医療特約はいらない?費用と対象となる治療の観点から解説

著者:みんかぶ編集室

監修:

髙柳 侑己

3級ファイナンシャル・プランニング技能士 / フィナンシャル・エージェンシー所属

2023年09月07日 掲載

先進医療を受ける際の費用を保障してくれる「先進医療特約」。

もしものときに「経済負担を大きく減らしてくれる」特約ですが、付帯するかどうか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

「先進医療を受ける機会は少なそうだし…」 

「先進医療特約は必要ないって耳にしたことがある…」 

「でもいざ先進医療を受けることになったら後悔してしまうのかな…」

やはり必要かどうかがはっきりしていない分、先進医療特約をつけるべきなのか悩んでしまいますよね。

今回は、先進医療特約がいらないと言われる理由や、本当にいらないのかどうかについて

  • 治療費
  • 対象となる治療方法

の2つの観点から解説します。

先進医療特約とは?

先進医療特約とは

先進医療特約とは、「先進医療」に該当する治療を受けた際に、先進医療にかかる技術料を保障してくれる特約です。

以下、厚生労働省の先進医療の定義です。

先進医療については、平成16年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構)、行政改革担当、構造改革特区・地域再生担当との「基本的合意」に基づき、国民の安全性を確保し、患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとしたものです。

厚生労働省:先進医療の概要についてより引用)

要するに、先進医療は、新しい技術や治療法を評価するための制度のことです。

一定の実績をもとに厚生労働省が認可した治療技術ですが、必要な費用は通常の治療よりも健康保険が適用できない分、高額になることが多いのが特徴。

だからこそ、医療保険には「先進医療特約」が用意されているんですね。

関連記事:先進医療とは?費用の目安や種類、利用可能な医療保険について分かりやすく解説

先進医療は自由診療のため健康保険の対象外になる

先進医療が高額になってしまう理由は、公的医療保険が適用されないからです。

先進医療は、効果や安全性が一定の基準を満たしている最新の治療方法とは言えますが、健康保険の対象として良いということまではクリアしているわけではありません。

そのため、公的医療保険の対象外であり、先進医療にかかる技術料は全額自己負担となります。

先進医療を受ける場合の経済負担はどれくらい?

先進医療は治療費が高額になるケースがあり、種類によっては数十万円から数百万円にのぼります。

例として、いくつかの治療内容と費用をご紹介します。

先進医療技術  技術料(1件当たり平均額)  平均入院期間  年間実施件数 
高周波切除器を用いた
子宮腺筋症核出術 
301,951円  9.7日  82件 
陽子線治療  2,692,988円  14.9日  1,293件 
重粒子線治療  3,162,781円  5.3日  562件 

生命保険文化センター:先進医療とは?どれくらい費用がかかる?より一部抜粋

先進医療特約はいらない?それとも必要?

先進医療特約を付帯させるかどうかは契約時に決めるため、「先進医療特約は本当に必要なのか?」と迷ってしまうことも多いでしょう。

ですが、保険は本来「万が一に備えて安心を買う」ものです。先進医療を受ける確率はたしかに低いかもしれませんが、月数百円程度を支払うことで、数百万円の先進医療にも備えることができます。

そう考えると、やはり付けておいたほうが安心です。

とはいえ、特約が必要かどうかは個人の状況によっても異なります。確率は低いけれども先進医療で大きな費用が必要になるリスクと、特約をつけることで増加する保険料を天秤にかけて判断するのがおすすめです。

自分では決めきれない!判断できない!という場合には当サイトで保険のプロに相談してみるのもひとつの手ですよ。

もちろん、相談は無料でできます。

先進医療特約がいらないと言われている3つの理由

実際に、先進医療特約に否定的な意見も存在します。先進医療特約がいらないと言われる理由としてよく挙げられるのは次の3つです。

  • 先進医療を使う確率は低いから
  • 先進医療は指定の医療機関でしか受けられないから
  • 先進医療の対象は日々更新されているから

それぞれ詳しく解説していきます。

先進医療を使う確率は低いから

先進医療を受ける確率は低い

実際のところ、先進医療に該当する治療を受ける確率は低いです。

厚生労働省の「2020年患者調査の概況」によると、入院した人は約121万人。一方で、厚生労働省が公表している「令和3年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」によると、先進医療を受けた人の数は5,843人でした。

厚生労働省:「2020年患者調査の概況」
厚生労働省:「令和3年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」

計算すると、入院する人のうち先進医療を受ける人の割合は約0.5%程度です。先進医療を利用する確率の低さから、「特約をつけても意味がない」と言われることがあります。

とはいえ、ご自身がいつ先進医療を受けることになるかは誰にもわかりません。そのため、数百万円の支払いを自分で負担することになる事態に備え、特約をつけておくのが無難でしょう。

先進医療は指定の医療機関でしか受けられないから

指定の医療機関でしか受けられない

さらに、先進医療は指定された医療機関でしか受けられません。

先進医療は治療方法だけでなく、治療を行うことができる医療機関も限定されています。そのため、一般的な診察と同じように、家の近くの病院に行って先進医療を受ける、といったことができないケースが多いです。

ですが、命に関わる状況では遠くの病院でも利用する人が多いでしょう。「いざというときには遠くの病院であっても希望の治療を受けたい」と考えているなら、特約をつけておくのがおすすめです。

先進医療の対象は日々更新されているから

先進医療の対象は日々更新されている

先進医療の対象となる治療は日々更新されているため、先進医療特約をつけても、治療時には特約を使わずに済む可能性があります。

新しい治療法が追加されたり、既存の先進医療がさらに実績を認められ健康保険の対象になったりと、先進医療の対象となる技術は変わり続けています。

そのため、せっかく先進医療特約をつけたのに、いざ治療が必要になった段階では特約を使う必要がない、といったケースも起こりうるでしょう。

しかし、逆に受けたい治療が先進医療に追加されたことで、先進医療特約の保障対象となることもあります。それもまた、先進医療特約のメリットになりますね。

先進医療特約を付けなかった後悔のほうが大きくなる可能性がある

ここまで、先進医療にかかる費用やいらないと言われている理由についてご紹介してきました。ですが、いざ先進医療を受けたいと思っても、金銭面の負担が大きいことを理由に先進医療を受けられず後悔することになるかもしれません。

先進医療特約をつけると、月々の保険料が上がってしまいます。しかし、もし先進医療が必要となった場合、治療費は数十万円〜数百万円にも上ることがあります。

先進医療特約をつけずに先進医療を受ける選択をした場合、経済的負担の大きさから、特約をつけなかったことを後悔する可能性が高いでしょう。

先進医療特約の保障内容を重視して医療保険やがん保険の各社商品を選ぶようにしよう

先進医療特約の保障内容は、各保険商品ごとに決められています。

ですから、先進医療に対する保障を充実させたいと考えている場合は「保険選び」のタイミングでしっかりと内容のチェックをしておく必要があります。

先進医療特約を付加できる保険は「医療保険」と「がん保険」がメインです。

それぞれ、先進医療特約の内容を加味したうえで「自分が納得できる保険商品」を選ぶようにしましょう。

医療保険の選び方・人気おすすめランキングがん保険の選び方・人気おすすめランキング

先進医療特約以外にも「要否を判断しづらい特約・保障」は多い

医療保険の中には、先進医療特約のように、必要なのか判断が難しい特約や保障が数多く存在します。

例えば、「通院手当」。入院治療から通院治療に切り替わった場合に通院費用を保障してくれるものですが、条件が細かく指定されているため「特約はつけなくてもいいのでは?」と迷うことが多いです。

要否が分かりづらい特約を選ぶ際は、病歴や貯蓄などさまざまな要素を考慮しなければなりません。さらに、保険についての幅広い知識も必要になります。

みんかぶ保険なら、無料で保険のプロに相談しながら保険商品を選ぶことができます。保険についてあまり知らなくても、ピッタリの保険を見つけられるはず。

しつこい営業もなく、無料で何度も受けることができます。納得のいく保険を見つけるために、ぜひ活用してみてください。

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まとめ

今回は、先進医療特約が不要かどうかについてご紹介してきました。

「先進医療特約は不要だ」と言われている理由はいくつかありますが、一方で先進医療に必要な治療費は膨大になってしまう場合があります。

保険料がいくらまで無理せず払えるか、先進医療を自分で負担することになったらどれだけ後悔しそうか、さまざまなことを考慮して決める必要があります。

先進医療特約については「必要!不要!」というような結論を出すのは難しいため、ご自身の状況を踏まえて納得のいく選択ができるよう検討してみましょう。

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資産形成メディア「みんかぶ」を中心に、金融商品の記事の執筆を行っています。資産運用のトレンド情報や、初心者が楽しく学べるお金の基本コラムなど、資産形成をするすべての人に向けた記事を提供します。

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