医療保険

満期保険金とは?受け取れる保険の種類やいくら税金がかかるのか調べる方法を解説!

著者:みんかぶ編集室

監修:

杉本 大輔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 / シニア・ライフ・コンサルタント / フィナンシャル・エージェンシー所属

2024年04月30日 掲載

満期保険金ってなに?
どの保険で満期保険金が設定できるの?
満期保険金にも税金ってかかるんだろうか

このように、満期保険金の細かい情報まではわからない人は少なくないはず。そこでこの記事では、保険選びには欠かせない情報のひとつ「満期保険金」についてわかりやすく解説します。

満期保険金の概要から受け取り時のポイントまで解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

満期保険金とは?

満期保険金とは、保険期間が満了した時に保険会社から受け取れるお金のことです

主に養老保険や学資保険など、保険期間が定められている貯蓄型保険で満期保険金が受け取れます。

死亡保険金とは異なり、契約者が「生存している状態で満期を迎えた場合に支払われる」というのが満期保険金の特徴です。

満額保険金とは

保険における満期とは?

保険における満期とは、保険契約で定められた保険期間が終了するタイミングのことを指します

この満期は「あらかじめ保険期間が定められている保険種別」に設定されるもので、生命保険(死亡保険)には、基本的に設定されません。

満期保険金と死亡保険金の違い

満期保険金と死亡保険金は、支払い条件が異なる保険金です。

満期保険金  死亡保険金 
  • 保険期間満了時、被保険者が生存していた場合に支払われる
  • 被保険者が生存していることが条件 
  • 保険期間中に被保険者が死亡した場合に支払われる

※受取人が相続人でない場合は税制上の扱いが異なるため注意

被保険者が生存しているうちに受け取れるのか、亡くなったタイミングで受け取れるのかが大きな違いといえますね

満期保険金と解約返戻金との違い

満期保険金と解約返戻金の違いは、以下のとおりです。

解約返戻金  満期保険金 
  • 生命保険を途中解約(満期より前)したときに支払われる
  • 支払う保険料に応じて支払われる金額は変動する
  • 払込保険料より少ない場合が多い 
  • 保障の対象となる期間(保険期間)が終了した時点で生存している場合に支払われる
  • 支払われる金額は契約時に決定される
  • 払込保険料より支払額が大きくなることがある

途中解約した場合には、解約返戻金を受け取ることができます。

しかし、運用経費等などが差し引かれるため、払い込んだ保険料や満期保険金より支払額が少なくなることがあるため注意が必要です

満期保険金が受け取れる主な保険の種類|貯蓄性のある保険が該当する

満期保険金が受け取れる主な保険の種類

満期保険金とは何か理解できたところで、次は「どんな保険の種類に満期保険金が設定できるか」を説明します。

満期保険金が設定される主な保険は以下の3つです。

  • 養老保険
  • 学資保険
  • 生存給付金付定期保険

それぞれ、どんな目的で使われる保険なのかも合わせてチェックしていきましょう。

養老保険とは?

養老保険とは、貯蓄性を備えた「満期保険金」と「死亡保険金」の両方が設定できる生命保険の一種です

満期時の保険金と死亡保険金が同額で設定できるため、貯蓄性と死亡保障の両方を兼ね揃えている点が特徴です。保険期間まで生存していた場合は「満期保険金(生存保険金)」として、保険期間中に死亡もしくは高度障害を負った場合は「死亡保険金」として受け取ることが出来ます。

保障期間は10年、20年といった「年単位」でも、何歳までといった形でも自由に設定できます。

学資保険とは?

学資保険は、将来必要となる子どもの教育資金を準備するための貯蓄型の保険です

毎月一定額の保険料を払うことで、子どもの成長に合わせた進学準備金や満期学資金を受け取ることができます。

保険商品によっては数年ごとに「祝い金」が支払われることもあるため、子供が生まれた方・生まれる予定の方が多く検討する保険のひとつです。

生存給付金付定期保険とは?

死亡時に死亡保険金が受け取れる定期保険と、一定期間経過するごとに生存していれば生存給付金が受取れる特徴を併せ持った保険商品です

生存給付金は満期時にもあるため、貯蓄性もあります。

ただし、通常の定期保険よりも保険料が割高に設定されていることが多い点には注意しましょう。

満期保険金の受け取り時は税金がかかる

満期保険金の受取時には税金がかかる

満期保険金で気になるポイントのひとつが「税金」ですよね。結論、満期保険金の受取時には、税金がかかります

ただし、受取人によって税種別が異なるのでそれぞれのパターンと税金の計算方法をしっかりと覚えておきましょう。

参考:No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき|国税庁

パターン1:所得税と住民税がかかる場合(保険料負担者=受取人)

保険料負担者と満期保険金の受取人が同じ人の場合で、満期保険を一時金で受け取った場合は一時所得として、一時所得として扱われるため「所得税」がかかります。

しかし、保険金の全額が課税対象になるわけではありません。

課税される保険金額の求め方は以下の通り。差し引かれる50万円は「一時所得の特別控除額」です。

(満期保険金額-総支払い保険料-50万円)×1/2=課税される保険金額

仮に以下の条件の場合、課税される金額は以下のようになります。

【条件】

保険金額:400万円

支払い保険料:250万円

控除後の給与所得:600万円

(400万円-250万円-50万円)×1/2=50万円(課税される金額)

50万円が一時所得となるため、この50万円にご自身の給与所得を加え、その他控除(社会保険料控除や生命保険控除などの合計額)を差し引いた金額に対して、所得税がかかります。(その他細かい計算は複雑になるため割愛しています)

控除後の給与所得(600万円)+満期保険金の課税額(50万円)-(その他控除額)=課税所得金額

パターン2:贈与税がかかる場合(保険料負担者≠受取人)

保険料負担者と受取人が異なる場合は「贈与税」がかかります。贈与税は所得税や住民税よりも高くなる可能性が高くなるため、受取人を保険料負担者以外にする場合には注意が必要です。

では、贈与税がかかる場合の課税金額はどのように計算すればよいのか説明します。贈与税の場合、贈与税の基礎控除額である「110万円」を差し引いた金額に贈与税がかかります。

また、相続する人の続柄に応じて「速算控除額」が差し引かれます。

  • 満期保険金-110万円=課税金額
  • 課税金額×贈与税の税額-速算控除額=贈与税額

また、贈与税の税率と速算控除額は以下のように定められています。

1)20歳以上の子や孫などへの贈与の場合

(A)基礎控除後の課税価格

(B)税率

(C)速算控除額

~ 200万円以下 10% 0万円
 200万円超~ 300万円以下 15% 10万円 
 300万円超~ 400万円以下
400万円超~ 600万円以下 20% 30万円 
 600万円超~1000万円以下 30% 90万円 
1000万円超~1500万円以下 40% 190万円 
1500万円超~3000万円以下 45% 265万円 
3000万円超~4500万円以下 50% 415万円 
4500万円超~ 55% 640万円 

2)上記以外への贈与の場合

(A)基礎控除後の課税価格

(B)税率

(C)速算控除額

~ 200万円以下 10% 0万円 
 200万円超~ 300万円以下 15% 10万円 
 300万円超~ 400万円以下 20% 25万円 
 400万円超~ 600万円以下 30% 65万円 
 600万円超~1000万円以下 40% 125万円 
1000万円超~1500万円以下 45% 175万円 
1500万円超~3000万円以下 50% 250万円 
3000万円超~4500万円以下 55% 400万円
4500万円超~

参考までに、以下の条件での課税金額も算出いたしましたのでチェックしてみましょう。

受取人:子供(25歳)

満期保険金額:500万円

【計算式】

500万円-110万円=390万円(課税金額)

390万円×0.15-10万円=48万5000円(贈与税額)

満期保険金を受け取ったら確定申告は必要?

満期保険金を受け取ったら確定申告は必要?

続いて、満期保険金を受け取ったら確定申告は必要なのかどうかという疑問に答えていきます。

満期保険金の受け取り方によって、税務上の扱いが異なります

一般的には、満期保険金は一時所得として他の所得と合算し、総合課税の対象となるため、確定申告が必要です。

ただし、5年以内に満期を迎える一時払い養老保険など源泉分離課税の対象となる契約では、源泉徴収されるため、確定申告の必要はありません。

以下の場合、確定申告の必要はありません。

  • 給与収入が2000万円以下の給与所得者かつ、給与・退職所得以外の所得が20万円以下の場合
  • 公的年金の収入金額が400万円以下かつ雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合

それ以外のケースでは確定申告が必要となります。満期保険金を年金として受け取る場合の税務処理については、税務署に相談してください。

保険料負担者=受取人の場合は「一時所得または雑所得」に記載

保険料負担者=受取人の場合、一括で受け取るのであれば「一時所得」、年金として受け取る場合には雑所得に記載をしましょう。

一時所得は「収入金額等と所得金額の2箇所」があるのでそれぞれには以下の金額を記入しましょう。

収入金額等:満期保険金額-総支払い保険料-50万円

所得金額:満期保険金額-総支払い保険料-50万円×1/2

保険料負担者≠受取人の場合

保険料負担者と受取人が異なる場合には、贈与税の申告書を提出する必要があります。贈与税の申告書は確定申告書とは異なるので注意しましょう

贈与税の申告書の書き方は以下の国税庁のサイトで詳しく解説されているため、参考にしていただければ幸いです。

贈与税の申告|国税庁

途中解約すると満期保険金はどうなる?

途中解約すると満期保険金はどうなる?

途中解約すると、満期保険金は受け取れません。代わりに、解約返戻金と呼ばれるお金が支払われます

解約返戻金は、支払った保険料の一部が返ってくる仕組みです。

しかし、保険料の全額が返ってくるわけではなく、多くの場合は支払保険金額を下回ります。特に、契約後短期間で解約した場合、解約返戻金がほとんどないこともあります。

解約返戻金の金額は、以下の要素によって決まるためです。

  • 支払った保険料の総額
  • 契約期間
  • 保険の種類
  • 解約時期

また、途中解約をしたタイミングで保障がなくなる点にも注意が必要。無保険の期間ができないように解約タイミングには他の保険に加入している状態にしておくのが望ましいです。

満期保険金の金額や受取人をお悩みの方は保険のプロに相談を!

満期保険金の金額や受取人をお悩みの方は保険金のプロに相談を!

満期保険金の金額や受取人でお悩みの方は、ぜひ保険のプロに相談することをおすすめします。

みんかぶ保険では保険に関する以下のような悩みにも親身になって対応いたします。

  • 満期保険金の使い道
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もし保険に関する悩みがあるのであれば、一度お試して相談してみてはいかがでしょうか。

みんかぶ編集室

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