糖尿病でも保険に入れる?加入しやすい保険の種類や選び方について解説

著者:みんかぶ編集室

監修:

杉本 大輔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士 / トータル・ライフ・コンサルタント / フィナンシャル・エージェンシー所属

糖尿病の方でも申し込みできる保険として代表的なものは、「引受基準緩和型保険」と「無選択型保険」です。これらの保険は通常の保険に比べて加入のハードルが低く設定されているため、糖尿病の方でも加入しやすくなっています。

このコラムでは、糖尿病の方が保険を選ぶ際のポイントや注意点について、最新の情報をもとにご紹介します。

そもそも糖尿病とは

こちらは、糖尿病情報センターの糖尿病に関する説明の一部です。

糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。
血糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままで放置されると、血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、より重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながります。

糖尿病は合併症を引き起こし、命に関わる深刻な状況を招く可能性がある病気です。特に慢性合併症は、長期的な医療費や入院の必要性を伴うことが多いため、糖尿病患者にとっては予防や治療とともに、医療費の備えが重要になります。

糖尿病情報センター:糖尿病とは

糖尿病の主な症状

糖尿病は、血糖値が高い状態が続くことで体にさまざまな影響を及ぼします。進行する前に日々の症状に気をつけることが大切です。ここでは、糖尿病でよく見られる主な症状を紹介します。

多尿と喉の渇き

体が余分な糖を排出しようとするため、尿の量が増えます。それに伴い、身体が脱水になるため喉の渇きが強くなり、水分を多く摂るようになります。

体重減少と疲労感

血糖がエネルギーとしてうまく利用されないため、体重が減少しやすく、慢性的な疲労感を感じることがあります。日常生活に影響が出ることもあります。

視力の低下

血糖値の変動は目の網膜に影響を与え、視力がぼやけたり低下したりします。この症状が進行すると、失明のリスクも伴います。

これらの症状は、糖尿病の進行度によって異なりますが、いずれも日常生活に影響を与える可能性があります。経済面で不安がある方は、保険で備えておくことで、より安心して生活を送れるでしょう。

糖尿病による平均入院期間は30.6日

糖尿病は、症状が進行すると入院を必要とすることがあり、特に合併症が発生した場合には長期の治療が必要になることがあります。公益財団法人生命保険文化センターのデータによると、糖尿病患者の平均入院期間は30.6日となっています。これは、他の疾患と比べても比較的長い入院期間です。

公益財団法人生命保険文化センター:傷病別・年齢階級別平均在院日数

長期入院に備えて、十分な入院日数をカバーできる保険を選ぶことが重要です。

https://ins.minkabu.jp/columns/prepare-8major-diseases

2型・1型の違い

糖尿病は大きく2型と1型に分かれ、それぞれ保険加入時の審査基準が異なります。

特徴

2型糖尿病

1型糖尿病

原因

インスリン抵抗性とインスリン分泌不足

自己免疫による膵臓の破壊

発症年齢

中高年での発症が多い

若年で発症することが多い

主な治療方法

生活習慣の改善、薬物療法

インスリン注射

症状の現れ方

徐々に

急速

保険の種類

- 通常の医療保険

- 引受基準緩和型保険

- 無選択型保険

- 引受基準緩和型保険

- 無選択型保険

告知事項のポイント

- 合併症の状況

- 生活習慣改善の成果

- HbA1cや血糖値などの数値

- インスリン使用の有無

- 合併症の状況

- HbA1cや血糖値などの数値

- インスリン使用の有無

2型糖尿病の方は、生活習慣の改善により症状が安定していれば通常の医療保険に申し込めることもあります。1型糖尿病の方は、インスリン治療中であれば引受基準緩和型や無選択型保険が検討対象となります。

糖尿病の方が保険に入る際のポイント

糖尿病の方が保険に入る際のポイント

糖尿病の方が保険に加入する際、まず確認すべきは進行状況や合併症の有無です。保険会社は、これらを基に引受条件を判断するため、最新の診断書を用意することが重要です。また、保険の種類や条件を比較し、自分に合った保険を選ぶことが大切です。

糖尿病の進行状況に応じた保険の種類の選び方

糖尿病の進行状況に応じて、加入しやすい保険の種類は大きく変わります。

進行状況

軽度の糖尿病

中等度の糖尿病

重度の糖尿病

保険の種類

通常の医療保険

特定疾病保障保険

引受基準緩和型保険

無選択型保険

特徴

審査が厳しいが、保険料が安く、保障範囲も広い。

審査がゆるやかで加入しやすいが、保険料がやや高め。

健康告知不要で加入可能だが、保険料が高く、保障範囲が限定的。

HbA1c値

6.5%〜7.0未満

数値の基準なし

告知なし

合併症

合併症があると加入が難しい

保険会社によっては、告知が必要

告知なし

入院歴

入院手術歴があると加入が難しい

1,2年以内に入院手術をしていない

入院歴等を問わない

インスリン注射

治療中だと加入が難しい

保険会社によっては、告知が必要

告知なし

※2024年10月時点の一般的な加入条件です。実際の条件は保険会社によって異なりますので、申し込みされる際はご相談ください。

通常の医療保険への加入が難しくなる合併症の例

血糖値やHbA1c値が低くても、次のような合併症を発症すると、通常の医療保険への加入が難しくなります。

  • 糖尿病性網膜症

  • 糖尿病性腎症

  • 糖尿病性神経症

  • 糖尿病性足壊疽

これらの合併症があると、保険会社の審査基準が厳しくなり、保険料の安い通常の医療保険や特定疾病保障保険に加入するのは難しくなります。

合併症のある方は、審査がゆるやかな引受基準緩和型保険や無選択型保険を検討してみるとよいでしょう。

糖尿病の方が告知で用意するべき書類やデータ

医療保険に加入する際は基本的に告知が必要となります。

とくに、通常の医療保険へ申し込む際は告知事項の内容が多いので、書類やデータを事前に用意しておくとスムーズです。

  • 血糖値などの数値

  • 健康診断や人間ドックの結果

  • 病院名、治療期間・内容、服用している薬の名前など

  • 医師による診断書

上記のような情報があれば、保険会社も加入可否を正しく判断できます。

告知は正直に伝える

告知内容が事実と異なる場合は告知義務違反として、保険契約が解除される、給付金が支払われないといったペナルティが課せられます

告知内容の嘘が発覚しやすいのは、給付金を請求したタイミングです。給付金が請求されたら、保険会社は加入者に関して詳しく調査します。

もし加入時に隠していたとしても、保険会社は通院歴や治療内容、健康状態について把握できますので、正直に病気のことを伝えましょう。

血糖値の高い方は引受基準緩和型保険と無選択保険の二択

HbA1c値(ヘモグロビンA1c)が高い方でも加入しやすい保険は、引受基準緩和型保険と無選択型保険です。2つの違いについて見ていきましょう。

引受基準緩和型保険

引受基準緩和型保険は、持病があるが、ある程度の保障を得たいという人向けの保険です。健康告知を通してリスクが評価されるため、無選択型保険よりも保険料が抑えられる可能性があります。

https://ins.minkabu.jp/columns/medical-underwriting-criteria-relaxed-insurance-240802

無選択型保険

持病があり、他の保険に入れない方が最後の手段として選ぶ保険です。健康状態に関係なく加入できるのがメリットですが、保険料が高く、保障も限定的です。

引受基準緩和型保険と無選択型保険の比較表

特徴

引受基準緩和型保険

無選択型保険

告知事項

簡易的な健康告知(3~5項目)

健康告知不要

審査

通常の保険より緩い

引受基準緩和型よりさらに緩い

保険料

通常の保険より高い

引受基準緩和型よりさらに高い

保障内容

給付金額や付加できる特約に制限がかかる場合がある

引受基準緩和型よりさらに、給付金額や付加できる特約に制限がかかる場合がある

支払削減期間

一定期間保障が削減される

90日間の待機期間や支払削減期間が設けられている

持病や既往症の保障

給付金額が削減されるものの保障はある(通常は1~2年)

支払削減期間中に持病に対する給付金支払いが無ければ保障される

新たな病気や事故のみ

保険期間

終身型・定期型

定期型のみ

引受基準緩和型保険の告知事項には「2年以内の入院歴の有無」など、治療を受けてから年数が経てば申し込めるものが多いので、条件を満たせるまで待ってから引受基準緩和型保険に申し込むという手もあります。

保険料や保障内容に注意が必要

繰り返しにはなりますが、引受基準緩和型保険や無選択型保険は保険料が高くなりがちです。加入時には、無理なく保険料を支払えるかどうかきちんと確認しましょう。

保険料や保障内容に注意が必要

また保障内容にも注意が必要です。引受基準緩和型保険や無選択型保険は、保障内容が一般の保険よりも限定されます。

特に免責期間はしっかりチェックしておきましょう。「保険を使いたいタイミングがきたのに、給付金が請求できない!」という事態は、なるべく避けたいものですね。

引受基準緩和型保険の保険料を比較・シミュレーション・見積もり

次に、糖尿病の方が医療保険を検討する際に、特に有力な候補の引受基準緩和型保険について、人気ランキングをご紹介します。

おすすめ引受基準緩和型保険の人気ランキング

こちらは、おすすめ引受基準緩和型保険の人気ランキングです。

     

   

加入可能かどうかは糖尿病の進行具合によって異なりますので、確認されたい方はご相談ください。

糖尿病の方でも条件を満たせば保険に加入できます。重要なのは、自身の状態を把握し、将来のリスクも考慮して保険を選ぶことです。保険選びに不安がある場合は、糖尿病患者の保険相談実績が豊富な専門家やファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

糖尿病でもがん保険には入れる?

糖尿病でもがん保険には入れる?

糖尿病を持っている方でも、がん保険に加入できるかどうかは気になるポイントですよね。結論から言うと、糖尿病であってもがん保険に加入できる可能性はあります。ただし、加入時の審査や条件には注意が必要です。

糖尿病とがん保険の審査基準

がん保険の審査は、主にがんのリスクに基づいて行われます。そのため、糖尿病そのものが直接的にがん保険への加入を制限することは少ないです。しかし、糖尿病が進行して合併症がある場合や、健康状態が悪化している場合には、保険会社の審査が厳しくなることもあります。

がん保険の選び方・人気おすすめランキング

引受基準緩和型がん保険という選択肢

通常のがん保険で加入が難しい場合は、審査がゆるやかな引受基準緩和型がん保険を検討してみるのもよいでしょう。

糖尿病の方でもがん保険に加入できる場合が多いですが、選ぶ際は条件をよく確認して、自分に合った保険を見つけることが大切です。

みんかぶ編集室

資産形成メディア「みんかぶ」を中心に、金融商品の記事の執筆を行っています。資産運用のトレンド情報や、初心者が楽しく学べるお金の基本コラムなど、資産形成をするすべての人に向けた記事を提供します。

本コンテンツは 株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド が独自に制作しています。詳しくは コンテンツポリシー をご覧ください。

search bluegray 500
 
医療保険を選ぶ