妊娠・出産は病気や体調不良など、さまざまなリスクが高まります。また、多くの検査や入院、お産など、多くの費用がかかりそうですね。
そのため、妊娠をきっかけに医療保険に入ろうと考える方も多いでしょう。
この記事では
「妊娠中って保険に加入できるの?」
「加入してもお金が受け取れないって本当?」
「そもそも保険への加入って必要?」
など、妊娠中の保険加入に関する疑問点や気をつけるべきポイントについて解説していきます。
妊娠がわかったら保険に入る必要がある?それとも不要?
妊娠がわかった段階で、出産費用に備えるために医療保険に加入すべきか悩む方も多いでしょう。
結論、備えに不安がある方は医療保険に加入するのがおすすめです。ただし、妊娠中のすべての人に医療保険が必要である、とは言い切れません。
このあと詳しく解説していきますが、医療保険には「給付金の支給条件」があります。妊娠中に加入した場合、支給条件を満たせず給付金がもらえないこともあります。
そのため、妊娠中の保険加入について考える際は、以下のポイントについて把握しておく必要があります。
- 妊娠中は医療保険に加入できるか
- 給付金の種類や金額、支給条件
- 活用できる公的医療保険制度
上記について確認した上で、経済的な不安が強い方は加入を検討しても良いでしょう。
また妊婦さんに特化した妊娠保険・出産保険もあります。記事後半で詳しく解説するので、気になる方はチェックしてみてください。
妊娠中でも医療保険への加入はできるケースが多い(妊娠何週目かによる)
妊娠中であっても、医療保険に加入できるケースは多いです。そのため「医療保険で出産費用に備えたほうがいいのでは?」と考える方も多いでしょう。
ですが妊娠中に医療保険に加入したい場合、事前に知っておくべきポイントがあります。
妊娠何ヶ月までであれば医療保険に入れる?
医療保険では、妊娠してから加入したい場合「妊娠期間」によって加入制限が設けられています。そのため、妊娠期間が規定よりも長い場合は加入できないため注意が必要です。
一般的には「妊娠27週目まで(約6ヶ月半)ならOK」とする保険商品が多いです。もちろん27週目を超えても加入できる保険はありますが、妊娠期間が長いほど加入できる医療保険は限られてしまいます。
もし妊娠が発覚してから医療保険に加入したい場合は、早めに手続きを進めましょう。
妊娠中に医療保険へ加入できても出産費用がカバーできるとは限らない
ただし注意しなければならないのは、加入できたとしても給付金がもらえるとは限らないからです。
「妊娠中でも加入が可能」と謳う医療保険であっても、妊娠中に加入したら「健康状態が基準に適合していない」と判断される可能性があります。そのような「特定部位不担保」に該当した場合、給付金はもらえません。
そのため、妊娠中に加入しても、その出産に対して給付金が支払われないことが多いです。医療保険で妊娠・出産費用を確実にカバーしたいのであれば、妊娠前に医療保険に加入するか、妊婦さん向けの保険を選ぶ必要があります。
妊娠中から出産までの費用は医療保険でカバーできる?
では医療保険に加入することで、どのような費用をカバーできるのでしょうか?医療保険の保障内容に加え、公的医療保険制度の内容ついてもきちんと確認しておきましょう。
- 妊娠が要因の間接的な病気は医療保険の対象(民間医療保険)
- 公的医療保険では「出産育児一時金」がもらえる(要申請)
- 民間・公的医療保険問わず正常分娩の場合適用外になる
- 帝王切開など異常分娩の場合は保険適用になる可能性あり
妊娠が要因の間接的な病気は医療保険の対象(民間医療保険)
妊娠が要因と考えられる病気については、医療保険の対象となるケースがあります。
【妊娠中に起こりやすい症状の例】
- 重度のつわり
- 糖尿病(妊娠糖尿病)
- 妊娠高血圧症候群
- うつ病
上記の症状に対し入院や大掛かりな治療が必要になった場合、医療保険から給付金が支払われることが多いです。実際の保障内容については保険商品ごとに定められているため、気になる方はチェックしておきましょう。
公的医療保険では「出産育児一時金」がもらえる(要申請)
「では肝心の出産費用は自己負担なのか?」と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし正常分娩に対しては、公的医療保険より「出産育児一時金」が支給されます。
出産時に48〜50万円がもらえるため、出産費用の大部分をカバーできます。
費用にかかる費用 | |
---|---|
入院料 | 115,776円 |
分娩料 | 276,927円 |
新生児管理保育料 | 50,058円 |
検査・薬剤料 | 14,419円 |
処置・手当料 | 16,135円 |
室料差額 | 17,255円 |
産科医療補償制度 | 15,203円 |
そのほか | 32,419円 |
妊婦合計負担額 |
538,263円 |
出産一時金を受け取るためには、出産をする病院、助産所等の医療機関や保険者の事業所、自治体に申告する必要があります。公的医療保険から医療機関に出産一時金を直接送り、差額のみ自分で支払うことも可能です。
民間・公的医療保険問わず正常分娩の場合適用外になる
出産育児一時金は受け取れるものの、正常分娩は民間・公的医療保険のどちらにおいても対象外となります。
通常、公的医療保険の対象となる医療費は総額の3割以下に抑えられます。しかし正常分娩は対象外となるため、自己負担費用が安くなることはありません。
また正常分娩は民間の医療保険の対象外であるため、給付金の受け取りもできません。そのため、出産育児一時金が手元に多く残ることは稀でしょう。
帝王切開など異常分娩の場合は保険適用になる可能性あり
しかし、次のような「異常分娩」となった場合、民間の医療保険や公的医療保険が適用される可能性があります。
名称 | 目的 | 内容 | 費用 |
---|---|---|---|
帝王切開 | 胎児や母体の安全確保腹部を切開して胎児を取り出す | 腹部を切開して胎児を取り出す | 222,000円 |
吸引分娩 | 頭部の位置が適切でない時の対応 | 吸引カップを使って胎児の頭部を引き出す(会陰切開が必要なことも) | 25,500円 |
鉗子分娩 | 分娩が進まない場合の補助 | 鉗子で胎児の頭部をはさみ、引き出す | 27,000円〜47,600円 |
陣痛促進剤を使用した 分娩誘発 |
陣痛が弱い、妊娠の継続が母体に負担時 | 陣痛促進剤で自然に近い陣痛を引き起こす | 4,080円 |
前期破水に対する処置 | 前期破水による感染症を予防する | 抗生物質の使用、場合によっては帝王切開や分娩誘発 | 2,500円〜230,000円 |
参考:診療報酬点数表
上記のように「異常分娩のための処置」が行われた場合、公的医療保険の対象となります。また入院が必要になれば、民間の医療保険から入院給付金が受け取れることが多いでしょう。
ただし「予防や正常の出産の一環」として処置が施された場合、保険の適用外となります。また実際の保障内容については、保険会社ごとに異なるため注意しましょう。
妊娠がわかったら確認しておきたい医療保険のポイント
では妊娠が発覚した場合、どのようなことを確認すればよいでしょうか?
妊娠がわかったら、以下のポイントをチェックしておきましょう。
- すでに加入している医療保険の保障内容を確認する
- 出産にかかる費用の試算と預貯金額等を確認する
- 申請してもらえるお金を調べる
- それでも不安が残った場合は「出産保険・妊娠保険」への加入を検討する
すでに加入している医療保険の保障内容を確認する
もしすでに医療保険に加入している場合、給付金やサポートを受けられる可能性があります。そのため、契約中の医療保険が妊娠・出産に対してどのような保障内容を設けているかチェックしておきましょう。
「医療保険で費用をまかなおうと考えていたのに、実際には給付金が受け取れなかった」という事態はなるべく避けたいですよね。
出産にかかる費用の試算と貯金額等を確認する
次に、出産にかかる費用を確認した上で、預貯金や加入済みの医療保険でどれだけカバーできるか予想しましょう。
先程ご紹介した通り、通常の出産では平均で約54万円の費用がかかると報告されています。
また、異常分娩に対する処置は公的医療保険の対象となるケースが多いため、実際の費用は3割負担で済むでしょう。ただし異常分娩でなく「自然分娩の補助」として上記のような処置が取られた場合、追加費用は全額負担となります。
無痛分娩には追加費用が必要
「無痛分娩」を希望する場合は、追加で10〜20万円の費用が必要になります。
無痛分娩とは、麻酔を使用し分娩時の痛みを和らげる出産方法です。分娩時の負担を軽減することができますが、追加費用が発生するため自然分娩よりも費用は高くなります。
申請でもらえるお金を調べる
出産費用についてわかったら、公的医療保険制度によってもらえるお金についてもしっかりチェックしましょう。
内容 | 対象者 | 申請先 | |
---|---|---|---|
出産育児一時金 | 出産費用として約50万円が支給される | 公的医療保険に加入している人 | 医療機関、自治体など |
自治体による 妊婦健診補助 |
指定の病院で検査を受ける場合、自治体から助成金が受け取れる | 妊婦健診の補助を行っている自治体に住む人 | 住んでいる地域の自治体 |
出産手当金 (産休手当) |
産休中の収入減少に備えるために、報酬月額の2/3が支給される | 勤務先の健康保険に加入している人 | 勤務先が所属する健康保険組合 |
組合傷病手当金 | 病気やケガの治療によって休業中、報酬月額の2/3が支給される(出産手当金を優先) | 勤務先の健康保険に加入している人 | 勤務先が所属する健康保険組合 |
申請することで受け取れるお金について知っておかないと、大きく損してしまう可能性があります。出産費用をなるべく抑えるためにもしっかりチェックしましょう。
それでも不安が残った場合は「出産保険・妊娠保険」への加入を検討する
ここまでのステップで「出産にかかる費用」と「カバーできる費用」がわかりました。自己負担費用についてある程度見通しが立てられるでしょう。
ただし、もし不安がまだ残る場合は「出産保険」や「妊娠保険」への加入も考えましょう。詳しくは次の章で解説しますが、出産を控えた妊婦向けの保険も存在します。
出産保険・妊娠保険とは?
医療保険よりも、出産を控えた妊婦への保障に特化した「出産保険」「妊娠保険」を用意している保険会社もあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・妊娠発覚後に加入しても保証が受けられる ・出産前後の症状に特化した保障内容 ・医療保険よりも保険料が割安 (ただし、妊娠月数等により保険料が異なる) |
・加入時期に制限がかけられている (妊娠◯週目など) ・妊娠や出産に関連しない病気 ・ケガは対象外 |
妊娠期間中に加入すれば、さまざまな症状による治療で発生する費用に対し保険金が受け取れます。経済的に安心できますし、妊娠期間中の精神的な支えにもなりそうですね。
出産保険・妊娠保険の加入がおすすめな人
出産保険や妊娠保険に加入するのがおすすめな人の特徴は次のとおりです。
- 妊娠・出産費用を自力でカバーできるか不安な人
- 何が起こるかわからないから手厚く備えておきたい人
- 医療保険に加入していない人
上記のように、出産時の経済的な不安が強い人は、出産保険・妊娠保険を活用しましょう。毎月の保険料はかかりますが、大きな安心感を得られますよ。
出産保険・妊娠保険が必要ない人
逆に次のような特徴に当てはまる人は、出産保険や妊娠保険の必要性が低いでしょう。
- 妊娠・出産費用の自己負担額を預貯金等で十分賄える人
- 公的医療保険制度が手厚いため追加の保障は必要ないと感じる人
- すでに医療保険に加入している人
出産にかかる費用に対し、不安が少なく自力でカバーできる人は、出産保険・妊娠保険に入る必要はないでしょう。
まとめ|今後出産を考えている人は一度保険の見直しがおすすめ
結論、妊娠中の医療保険はあまりおすすめできません。民間の医療保険で出産費用に備えるなら、妊娠が発覚する前に医療保険に加入しておくのがベストでしょう。
そのため、今後出産を考えている人は医療保険への加入を検討するのはもちろん、すでに入っている人も見直しをしてみるのがおすすめです。
妊娠中はさまざまな病気や体調不良のリスクが高まります。そのため、すでに入っている医療保険の保障内容では不十分かもしれません。
ですが、何をどう見直せばいいか、いきなり自力で進めようとしても難しいですよね。そのようなときに頼りになるのが「保険のプロ」です。
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保険を見直す際は、気軽に活用してみましょう。