大きなケガや病気の際に必要になる、入院。ひとくちに入院と言っても、何日ぐらいの入院が必要なのかは病気やケガ、治療を受ける人の状態によって大きく異なります。
入院中は仕事には行けませんし、家事や子育てからも離れなければいけません。あらかじめどれぐらいの入院が必要なのかについての情報があれば、入院中の仕事や家庭についてより考えやすくなります。
また、あらかじめ入院時に備えておきたい人にとっても、入院日数は重要な情報です。どれぐらいの費用が発生しそうか、どれぐらいの備えが必要なのか、事前に考えておくことが大切。
そこで、今回は入院日数の平均についてご紹介します。傷病の種類や年齢ごとの入院日数についてはもちろん、入院によって発生する経済的リスクについても解説していきます。
入院日数の平均は約1ヶ月!
厚生労働省が発表した「令和2年 患者調査」によると、在院期間(=入院日数)は32.3日 ≒ 約1ヶ月間と報告されています。
しかし、病気や怪我の種類、患者の年代など、さまざまな要素によって入院日数の平均は大きく左右されます。
そこで、今回は
- 傷病別の平均入院日数
- 年代別の平均入院日数
の2つの観点から、入院日数の平均について詳しく紹介します。
傷病別の入院日数の平均
まずは、傷病別の平均入院日数について紹介します。
引用:令和2年 患者調査
病気や怪我の種類によって、入院日数の平均は大きく変動します。
たとえば、表には記載していませんが同資料によると、虫歯(う蝕)であれば総数は2.4日であるため、平均入院日数は短め。
しかし、脳梗塞のような「脳血管疾患」は大掛かりな治療が必要になり、入院期間の平均も比較的長めになります。
その他にも、統合失調症やアルツハイマー病など治療まで時間がかかったり、効果的な治療法が確立されていない傷病の場合には、入院期間が長くなる傾向にあります。
年代別の入院日数の平均
年齢層によっても、入院日数には違いが出てきます。特に、高齢者の方が若い世代に比べて入院日数が長くなる傾向があります。
引用:令和2年 患者調査
年齢 | 入院日数 |
---|---|
15~19歳 | 14 |
20~24歳 | 13.1 |
25~29歳 | 10.8 |
30~34歳 | 12.3 |
35~39歳 | 16 |
40~44歳 | 22.7 |
45~49歳 | 21.1 |
50~54歳 | 25.5 |
55~59歳 | 28.4 |
60~64歳 | 27.9 |
65~69歳 | 30.9 |
70~74歳 | 30.7 |
75~79歳 | 32.9 |
80~84歳 | 40.9 |
85~89歳 | 50.5 |
90歳以上 | 65.3 |
入院日数の平均は年々短くなっている
ここまで、直近のデータをもとに入院日数についてご紹介してきましたが、入院日数は年々どのように変化しているのでしょうか。
実は日本国内における入院日数は「減少傾向」にあります。
最も入院日数が長い年と短い年で、15日ほどの差があります。なぜこのような変化が生まれたのでしょうか?
入院日数の平均が短くなっている2つの理由
入院日数の平均が短くなっている大きな理由は以下の2つです。
- 医療技術の進歩
- 入院日数を短くする政策
特に、医療技術の進歩は目まぐるしく、かつては入院が必要であった病気でも、通院治療で済むケースも存在します。
身体への負担が少なく済む「内視鏡手術や腹腔鏡手術の一般化」なども「入院日数の短縮化」に一役買っています。
医療技術が進歩しているから
医療技術は年々進歩しています。
診断技術や治療法の進歩により、以前と比べて治療に要する期間が大幅に短縮され、結果的に入院日数は減少してきていると考えられています。
例えば、かつては入院+手術が主流だった「がん治療」ですが、現在では通院による放射線治療や化学療法など「治療の選択肢」も増えています。
結果として、必ず入院が必要なケースばかりではなくなっているのですね。
出典:厚生労働省「患者調査」
症状や治療内容によっては、入院せず日帰りで手術が完了することも。入院しなくて済めば「仕事・プライベート」への影響も抑えられます。
しかし、日帰り手術を受ける際は注意が必要。もし医療保険に入っていたとしても保障が受けられなくなる可能性があるからです。
自分が加入している/加入に迷っている医療保険は日帰りも含めて入院が初日から保障の対象となるかチェックしましょう。
こちらもおすすめ:日帰り入院とは?通院との違いや医療保険で保障される例(ケース)を解説
政府が入院日数を短くする政策をとっているから
政府の方針も、入院日数の短縮に影響を与えています。
日本の少子高齢化が進む中、今後も増え続けると予想される「高齢者の医療ニーズ」に対応するために、入院日数を少なくするための政策が実行されています。
具体的に進められている施策のひとつが、「医療機関の機能分化」。
症状がひどい間は大きな病院で入院させ、落ち着いたら地域のより小さな入院にてケアを実施するといったように、医療機関ごとに役割を分担していきます。そのような施策によって、より少ない入院でも十分な治療が可能になります。
入院にかかる費用(自己負担額)はどのぐらい?
入院することが決まったときによくある心配事のひとつが、「入院する際に、具体的にどれくらいの費用がかかるのか?」です。
入院日数についてご紹介したところで、次は「入院時の費用は総額でどれぐらいかかるのか」について考えてみましょう。
入院中に必要な費用の種類
入院する際には、多くの費用が必要です。以下に主要な自己負担費用をまとめてみました。
治療費
公的保険が適用される治療においても、一定の金額の治療費が自己負担として必要になります。また、公的保険の適用外となる治療は高額になる場合があるので、前もって確認しておくことが大切です。
差額ベッド代
一般病床よりも施設やプライバシー空間が充実した病室を利用する場合の追加料金です。
入院中の食事代や娯楽費
入院生活中における本や雑誌、テレビなどの娯楽にかかる費用。
お見舞い費
お見舞いのお返し、家族の交通費なども自己負担となります。
逸失収入
入院期間中は、働けない分収入が減少してしまうことが多いです。入院によって収入が減少した分の金額を「逸失収入」といいます。
こちらの記事もおすすめ:差額ベッド代とは?払わなくても良いケースや保険適用の有無、相場について解説
入院中に必要な費用の平均額は25,800円
入院中の1日あたりの平均的な自己負担費用と逸失収入の総額は約25,800円と言われています。入院時の自己負担額は前述のような多くの要因によって左右されるため、あくまで参考程度の数値として役立ててください。
より詳しい自己負担費用の金額については、こちらの記事に記載しております。
関連記事:医療保険は日額5000円の保障で十分?実際の入院費用や日額の決め方について解説
入院による経済的負担に備える方法
入院は、やはりお金がかかってしまうもの。事前にしっかりとした備えをしておくことで、経済的な負担は大きく軽減されます。
入院による経済的負担を軽減するためのおすすめな方法は、次のふたつです。
- 医療保険に加入する
- 公的制度を活用する
医療保険に加入する
医療保険に加入しておくことで、入院や治療の際に給付金を受け取ることができ、医療費の負担を大きく軽減することができます。
医療保険のメイン保障のひとつが、「入院給付金」。保険の加入時にあらかじめ設定した1日あたりの給付金額を、入院日数分受け取ることができます。ほかにも、
- 手術を受ける際に給付金を受け取れる「手術給付金」
- 高額になる場合がある先端技術を用いた治療を受ける際に所定の金額をもらうことができる「先進医療特約」
など、さまざまな保障が用意されています。
公的制度を活用する
国や自治体によって用意された公的制度も活用することができます。
- 高額療養費制度:医療費が一定金額を超える場合、上限額を越えた分の差額は支払いが免除される制度
- 医療費控除:1年間で支払った医療費に応じて、税金の控除が受けられる制度
上記は一例であり、ほかにも経済的負担を軽減できる制度が用意されています。入院費用が大きな負担に感じる方は、そのような公的制度も活用しましょう。
医療保険の細かい給付金・特約の設定は案外「難しい」
医療保険を選ぶ際、
「入院給付金の日額や付帯する保障・特約などをどのように選べばよいか分からない」
「保障内容や特約の説明が難しくて結局あとまわしにしてしまう…」
という方は多いのではないでしょうか。
「保険選び」は、今後のライフプランや貯蓄額、健康リスクなど、さまざまなことを考慮しなければならず、大変骨が折れる作業といえます。
そこで活用いただきたいのが、プロに相談もできる「医療保険の一括見積もり依頼」です。
みんかぶなら、無料で何度でも、保険のプロからアドバイスを受けることができます。こちらの悩みを伝えた上で保険選びについてサポートを受けることができ、しつこい営業や勧誘もありません。
保険のプロに見積もりを依頼しつつ、不安なことを相談することで、自分にぴったりな保険を効率よく見つけられるはずです。
まとめ
今回は、入院日数の平均や入院時の経済的負担について紹介してきました。
入院が必要な病気やケガは、いつどこで発生するのかわからないもの。
入院が長引けば長引くほど、負担は大きくなってしまいます。あらかじめ入院時のために備えておくことが重要です。
病気の種類や病気に罹ったときの年齢によっては、入院期間が長期化することがわかっています。今回ご紹介したデータを参考に、もしもの時に備えておきましょう。