医療保険では「入院給付金」や「手術給付金」などによって、医療費をカバーすることができます。
ですが、入院や手術だけでなく「通院」は保障対象に入るのでしょうか?実は保険商品によっては通院保障もつけること自体は可能です。
ですが、通院保障についてきちんと理解しておかないと、いざ保障を受けようとしても対象外となってしまうかもしれません。
今回は、医療保険の通院保障について
- 保障内容
- 対象となる期間や金額
- 通院保障の必要性を判断するポイント
を中心に、わかりやすく解説していきます。
医療保険では通院も保障される?
医療保険は、入院や手術に対する保障がメインとなっています。しかし、入院や手術を伴わない通院治療も、病気やケガの治療には欠かせませんよね。
通院治療の自己負担額は、1回の通院で数千円から数万円かかることも。また、通院治療が長期にわたる場合は、経済的負担も大きくなってしまいますよね。
医療保険の通院保障は限定的
すべての医療保険で利用できるわけではありませんが、通院保障を特約として付帯できるプランも存在します。ですが通院保障が利用できる場合でも、すべての通院が保証されるわけではなく条件が設けられていることが一般的。
医療保険のメインである入院や手術に対する保障と比較すると、保障範囲は限定的となってしまいます。
医療保険の通院保障にはどのようなタイプがある?
ここからは医療保険に付帯できる通院保障について、さらに詳しくご紹介していきます。保障範囲や対象期間、給付金額などについてチェックしてみましょう。
給付対象となる通院
医療保険における通院保障については、先述したとおり保障範囲が限定されています。
一般的には、「入院給付金の対象となる入院の前後において、同じ傷病の治療のために通院したケース」が保障の対象となります。したがって、それ以外の通常の通院は保障されません。
上記のような保障範囲が設定されている場合、入院とは関係ない通院が続いたとしても、通院保障の対象外となり自己負担額が減ることはありません。
実際の保障範囲やより細かな規定については、保険商品によって異なります。
対象期間や給付金額
対象期間や給付金額についても、保険商品によって異なります。
保障の対象となる期間については、「退院後◯ヶ月間に最大◯◯日まで」といった制限が設けられているのが一般的。退院してから30日程度の期間が設定されていることが多いでしょう。
給付金額についても、契約時に「通院日額」を設定し、通院日数に応じて給付金を受け取るケースが多いです。自身で決められる金額については、保険会社によって幅が異なります。
通院保障の必要性を判断するポイント
通院保障の内容についてご説明した上で、あらためて「通院保障の必要性」について考えてみましょう。
考慮すべき3つのポイント
- 退院後に通院する可能性
- どの保険に通院保障を付帯させるか
- 給付金はいくら受け取れるか
退院後に通院する可能性
入院後に通院する可能性がどのくらいあるかによって、通院保障の必要性は大きく異なります。
医療保険の通院保障は入院後の通院のみに限定されているため
「本当に必要なの?」 「付帯させても意味ないのでは?」
と考える方も多いでしょう。
しかし病気やケガの内容によっては、退院後も通院しなければならないケースも少なくありません。
傷病名 | 退院後に同じ病院に通院する人の割合 |
---|---|
がん | 91% |
白内障 | 89% |
統合失調症 | 80% |
骨折 | 74% |
糖尿病 | 78% |
肺炎 | 66% |
脳血管疾患 | 58% |
引用:厚生労働省「令和2年患者調査 確定数 全国編 報告書 推計退院患者数,退院後の行き先 × 傷病分類 × 病院-一般診療所別」
上記の表の通り、実際には入院後も治療のために通院した人も多くいます。備えたい病気やケガの種類によっては、あらかじめ通院保証をつけておいたほうが安心かもしれませんね。
どの保険に通院保障を付帯させるか
医療保険だけでなく、どの種類の保険に通院保障を付帯させるかも検討してみましょう。
医療保険だけでなく、がん保険や傷害保険においても通院保障を付帯できるプランが存在します。さらにがん保険や傷害保険においては、入院を伴わない通院も保証対象となることが多いです。
その一方で、対象となる治療内容については医療保険よりも限定的。がんや特定のケガの治療に備えたいのであれば、がん保険や傷害保険に通院保障を付帯するのもひとつの手です。
給付金はいくら受け取れるか
通院保障の必要性を判断するにあたって、「給付金はいくら受け取れるか」も重要なポイントです。
通院保障の給付金は、保険会社によって異なります。そのため、自分の不安をきちんと解消できるだけの給付金がもらえるかどうかは重要な項目です。
通院日額の適正な金額は、人によって異なります。
- 通院するのにかかる交通費
- 仕事を休む分減少する収入額
- 実際の預貯金額
など、さまざまな観点から必要な金額を考えてみましょう。
一方で給付金額の高さに応じて、支払う保険料も変化します。給付金額を高くすると、その分保険料も高くなります。
自身の経済状況と通院費用への不安に合わせて、最適なバランスを見つけることが大切です。
さらに、保険商品によっては日額タイプではなく、まとまった金額を一度に受け取れる「一時金タイプ」の保障も存在します。
通院にかかる費用をカバーするための制度
医療保険の通院保障では保障範囲が限定的となってしまうため、
「一般的な通院もカバーしてほしい」
「入院関係なく医療費の負担が心配だ」
と感じる方も多いでしょう。
そのような方に向けて、ここからは医療保険以外の「通院にかかる費用を抑えられる制度」についてご紹介します。さまざまな制度について知っておけば、経済的にも大きく得することができますね!
高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた金額について払い戻しされる制度です。
自己負担額は年齢や所得に応じて異なります。
公的医療保険に加入しているすべての人が利用可能であるため、通院を繰り返しても費用を一定の金額に抑えることができますね。
ただし、対象となる医療費には制限があるため注意が必要です。
関連記事:高額療養費制度とは?制度の内容や受け取れる金額、申請方法について解説
医療費控除
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、税金が安くなる制度です。超過支払い分の医療費を申告することで、所得税や住民税の課税対象から差し引くことができます。
確定申告をする際に1年間に支払った医療費の合計を申請することで、収める税金が安くなります。公的医療保険の対象とならない治療費も申請することができるため、先進医療などによって医療費が高額になってしまう方は特に注目すべき制度ですね。
関連記事:医療費控除の対象となる費用は?対象期間や対象者、計算方法について解説
傷病手当金
傷病手当金とは、業務外の病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な給与が受けられない場合に、療養中の生活保障として支給される給付です。
毎月の報酬のうち3分の2相当の金額を、最大で1年6ヶ月受け取ることができます。対象となるのは会社に勤める方や公務員となりますので、フリーランスや自営業の方は利用することができません。
関連記事:傷病手当金とは?支給期間やいくらもらえるのかなど気になるポイントを分かりやすく解説
所得保障保険や就業不能保険
所得保障保険と就業不能保険は、いずれも病気やケガで働けなくなった場合の収入を保障する保険です。ここまで説明してきた公的制度とは異なり民間の保険となりますが、医療保険とは保障内容が異なります。
所得保障保険は、病気やケガで働けなくなった場合に、給与の一部を保障する保険です。一般的に、給与の50%~70%が給付されることが多いです。また、給付期間は、1年更新や5年更新など、保険会社によって異なります。
就業不能保険は、病気やケガで就業不能状態になった場合に、給与の一部を保障する保険です。就業不能状態とは、一般的に、精神の病気により労働できなくなった等を指します。給付期間については、就業不能期間が続く限り毎月支払われるのが一般的。
それぞれ保障対象や給付条件に違いはあるものの、入院や手術の費用がメインの医療保険とは異なり「収入の減少による経済的負担」をカバーすることができます。多くの通院が必要になった場合や、入院はしなくても仕事に影響が出るケースにおいて心強いですね。
迷ったら保険のプロに相談しよう
ここまで、医療保険における通院保障やその他の制度について解説してきました。ですがここまで読んでくださった方の中には、まだまだ通院保障や医療保険に関して迷っている方も多いでしょう。
ご自身のリスク観や収入、預貯金額など、さまざまな要素によって医療保険の必要性や最適な保険商品は変わります。
また、保険に関する知識を身につけるのも大変ですし、数多くある保険会社がそれぞれ展開しているプランについて調べるのもひと苦労。
そこでおすすめなのが、みんかぶ保険の「保険のプロに相談」。無料で利用でき、ご自身の不安やライフプランをもとに最適な保険プランを選ぶことができます。
また、相談したからといって必ず契約しなければならないわけではなく、しつこい営業もありません。どなたでも気軽に利用できるので、保険に関して不安なことや迷っていることがあれば是非活用してください。
まとめ
医療保険においては、通院保障を特約としてつけられるプランも存在します。ですが、給付条件が設けられているため、限られた範囲での保障となります。
それでも、傷病によっては入院後も通院が必要になるため、その場合の経済的負担を軽減できるメリットを持っています。
保障内容や条件についてきちんと把握した上で、通院保障を付帯するかどうか検討してみましょう。