民間の医療保険は、実は誰でも加入できるわけではありません。中には、
といったお悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。手術や入院に備えたいのに医療保険に加入できない場合、不安がより強くなってしまいますよね。
今回は、医療保険に入れない人の特徴についてご紹介します。もし医療保険に加入できなかった場合の対処法についても詳しく解説しているため、気になる方はぜひチェックしてみてください。
医療保険に入れない人がいる理由
医療保険には、すべての人が入れるわけではありません。正しく申請できても、医療保険に入れない人が出てしまいます。
その理由は「保険会社による審査をクリアできないから」です。
医療保険に加入する際は、保険会社ごとに独自の審査が行われます。その審査で引っかかってしまった方は、残念ながら医療保険に加入できません。
審査をクリアしなければ加入できない
保険会社が審査をする理由は「公平性を確保するため」です。
医療保険を使うことで受け取れる「給付金」は、毎月加入者が支払う保険料によってまかなわれます。しかし、給付金をたくさん受け取る人が多く加入しすぎてしまうと、保険会社はより多くの保険料を集めなければなりません。
そのため、給付金を受け取るリスクが高すぎる人が医療保険に多く加入してしまうと、給付金を使う可能性が低い人の保険料まで値上げすることになります。給付金を受け取らないにも関わらず、他人の保険料のために多くのお金を支払わなければなりません。
そのような不公平を生み出さないために、病気やケガのリスクが高い人は加入できない仕組みとなっています。
医療保険の加入時における審査内容
それでは、具体的にどのような審査が行われるのでしょうか。
医療保険加入時における審査時の観点
- 健康状態に問題はないか
- 病気やケガになるリスクが高い職業か
- 道徳上の危険性はあるか
上記に関する審査の結果、「給付金を請求する可能性が高い」と判断されれば、医療保険への加入を断られてしまいます。具体的な審査内容については、このあとの章「医療保険に入れない人の特徴」で詳しく解説します。
健康状態に問題はないか
過去の病歴や健康診断をもとに「どれだけ病気になりやすいか」に関する審査が行われます。
過去数年間における大きな病気の有無や、完治したかどうか、健康診断で指摘事項があるかによって加入できるかどうかが変わります。
そのため加入時には、病気の治療状況や過去の病気に関する情報(既往歴)を告知したり、場合によっては健康診断の結果などの提出が必要です。
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病気や怪我になるリスクが高い職業か
健康状態に加え、職業も告知の対象となります。
もし病気やケガをしやすい職業である場合、そうでない人と比べて給付金を請求する可能性が高いです。そのため、たとえ健康状態に問題がなくても、どんな仕事をしているかによっては加入できない場合もあるため注意が必要です。
道徳上の危険性はあるか
医療保険の不正利用や悪用を防ぐため、道徳的な観点でも審査が行われます。契約者や被保険者が反社会的勢力と関係している場合、医療保険には加入できません。
また、収入や保持している資産が契約内容とマッチしていない場合、何らかの制限が設けられる可能性があります。
例えば、収入が非常に少ない、もしくは無職であるにも関わらず、保障が充実し保険料が高い保険商品を選んでいる人がいるとします。その場合、保険会社は「保険料が支払えなくなる可能性が高い」と判断し、加入を断ったり給付金に制限をかけたりすることがあります。
虚偽告知にはペナルティが課せられる
審査に必要な情報は自己申告であることが多いため、虚偽の内容を申告したくなる人もいらっしゃるでしょう。しかし、加入時に嘘をつくことは絶対にしてはいけません。
もし加入時に虚偽の告知内容が発覚しなくても、給付金を請求するタイミングで詳細な調査が行われます。そのため、保険会社に対し嘘をついても結局バレてしまうでしょう。
審査の結果によっては保険料が高くなる
審査結果は「医療保険に入れる or 入れない」の二択とは限りません。加入はできても、かわりに保険料が高めに設定されるケースもあります。
保険料が引き上げられたかチェックできるよう、手続きを開始する前に保険料の見積もりを依頼するのがおすすめです。もし見積もりと比較して保険料が高い場合は、保険会社に問い合わせてみましょう。
医療保険に入れない人の特徴
医療保険では複数の項目に関して審査が行われますが、具体的にはどのような人が審査に引っかかってしまうのでしょうか?
ここからは、一般的な審査内容の具体例をもとに、医療保険に入れない人の特徴についてご紹介します。
医療保険に入れない人は、次のような項目で審査に落ちてしまった可能性があります。
- 持病や既往歴がある
- 病気ではないが健康状態に問題がある
- 病気やケガになりやすい職業である
- 道徳的な観点で問題がある
持病や既往歴がある
持病の有無や、すでに完治した過去の病気(既往歴)に関する情報、健康診断の結果をもとに、病気になるリスクを保険会社がチェックします。その結果「病気になるリスクが高い」と判断された場合、医療保険に加入できない可能性が高いです。
具体的には、次のような項目で審査が行われることが一般的です。
- 3カ月以内に、医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか
- 過去1年以内に、病気やケガで入院をしたこと、または手術を受けたことがあるか
- 5年以内に、保険会社の指定する病気以外の疾病で、通算7日以上に渡る入院や手術、医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか
※質問内容は、保険会社や保険商品によって異なります。
病気ではないが健康状態に問題がある
過去数年間で大きな病気を発症していなくても、健康診断や人間ドックの結果が悪いまま放置している場合は、審査に落ちやすいです。
具体的な期間は異なる可能性がありますが、2年以内の健康診断や人間ドッグの結果で、要再検査・要治療などの指摘事項がある人は要注意です。
さらに保険会社の中には、加入手続き時のBMI(身長と体重をもとに算出される体格指標)も審査の対象とする企業も存在します。
特に中高年は「血糖値」や「コレステロール値」が若年層よりも高い傾向があります。そのため、健康診断で指摘事項がある場合は放置せず、きちんと対処しましょう。
病気やケガになりやすい職業である
ケガや病気になる可能性が高いと考えられる職業に就いている人も、医療保険の審査が通らない可能性が高いです。
審査に落ちてしまう可能性がある職業の例としては、以下が挙げられます。
- 高所作業者
- 地下作業者
- 林業作業者
- 重機オペレーター
- 産業廃棄物処理者
- 高圧電気取扱者
- 建設作業者
- トラック運転手
- テストドライバー
- スタントマン
- 潜水士
- 漁船乗組員
- 建設作業者
- 航空機搭乗員
- 格闘家
上記はあくまで具体例であるため、どのような職業に対し制限が設けられるかは保険会社により異なります。
医療保険に入れない病気とは?
医療保険の審査項目に「現在や過去の病気」があるとお伝えしましたが、一度も病気になったことがないまま医療保険に加入する人は珍しいでしょう。
いままで何らかの病気にかかっていたとしても、保険会社が定めている病気に該当していなければ審査に影響することはありません。
以下に、一般的に加入可否に影響する病気を一覧でご紹介します。ただし、具体的にどのような病気が審査結果に響くかは保険会社により異なります。
傷病名 | 審査時のポイント |
---|---|
がん 膵臓がん、肺がん、食道がん、胃がん、子宮がん、乳がん、大腸がん、膀胱がん、腎臓がん、肝癌など |
診断時の年齢 完治後の年数 治療内容 |
甲状腺がん |
入院・手術の有無・回数 治療終了後の経過年数 |
心疾患 狭心症、心筋梗塞、心不全など |
病気の種類によって異なる ※状態に関わらず加入が難しい場合もあります |
脳血管疾患 脳梗塞、くも膜下出血など |
完治しているかどうか 年齢 発作の時期 合併症の有無 再発の有無 |
肝疾患 脂肪肝、肝炎系など |
完治しているかどうか 治療内容 肝機能検査等の数値結果 病名 ※肝硬変など病名によっては加入が難しい場合もあります |
腎疾患 腎炎、腎盂腎炎など |
完治しているかどうか 病名 ※腎不全など病名によっては加入が難しい場合もあります |
糖尿病 |
I型かⅡ型か 合併症があるかどうか HbA1c、血糖値、尿糖等の数値結果 インスリン注射があるか |
高血圧 |
発症時の年齢 血圧の最大値・最小値 合併症の有無 |
脂質異常症 |
入院の有無 |
関節リウマチ |
人工関節の有無 完治しているかどうか |
てんかん |
発症からの経過年数 入院の有無と経過年数 |
精神疾患 うつ病、適応障害、統合失調症、アルコール依存症など |
完治しているかどうか 年齢 発症からの経過年数 投薬の内容 ※状態に関わらず加入が難しい場合もあります |
新型コロナウイルス感染症 |
完治しているかどうか |
厚生労働省が指定する難病 |
病気の種類によって異なる |
医療保険に加入できない場合はどうすべき?
もし通常の医療保険に加入できない場合、次のように対処するのがおすすめです。
- 別の保険会社を選ぶ
- 健康診断を再度受ける
- 加入しやすい医療保険を探す
加入を断られたからといって、医療保険を諦めるのはまだ早いです。入院や手術にしっかり備えるためにも、できることを進めていきましょう。
別の保険会社を選ぶ
もしある保険会社の審査で落ちてしまっても、別の保険会社であれば加入できる可能性があります。
審査基準は保険会社がそれぞれ独自に定めています。そのため保険会社によっては、同じ告知内容でも医療保険に入れるかもしれません。
保険に入れるかどうか不安な方は、加入したい保険会社を複数選んでおきましょう。
別の保険を探す際は、まずは人気の医療保険ランキングから他の保険会社を確認してみるのがおすすめです。
健康診断を再度受ける
もし健康診断の指摘事項に対しきちんと対応できていなければ、医療保険への加入が認められません。しかし一定期間後に再度健康診断を受ければ、結果が改善されている可能性があります。
もちろん治療や精密検査が必要だと判断されたものについては、医療機関の受診が必要です。しかし「要経過観察」程度の指摘は、健康診断を再度受けることで数値が変わるかもしれません。
健康診断を再び受けて結果が良くなっていれば、問題なく医療保険にも加入できます。健康診断の結果で医療保険に入れなかった場合は、日をおいてもう一度診断を受けてみましょう。
加入しやすい医療保険を探す
普通の医療保険では加入できなくても、より審査基準が緩やかなタイプの医療保険を選べば保障を受けられるようになります。
このあと詳しく解説しますが、通常の医療保険よりも告知内容が少なく、審査基準が優しく設定されている保険商品が存在します。そのような保険であれば、既往歴や職業面で不安がある方でも加入できるでしょう。
通常の医療保険に入れない人におすすめの保険
通常の医療保険において審査で落ちてしまった人でも、次のような保険であれば加入できる可能性があります。
- 告知項目が少ない保険(引受基準緩和型)
- 告知なしで入れる保険(無選択型保険)
上記2つのタイプであれば、審査基準が通常よりも低めに設定されています。ただし、保険料は通常の医療保険よりも高めです。加入手続きを始める前に見積もりを依頼し、保険料を確認しておきましょう。
告知項目が少ない保険(引受基準緩和型)
引受基準緩和型保険とは、通常の医療保険に比べて告知項目が少ない医療保険のことです。
具体的な審査基準は保険会社ごとに異なりますが、以下のように通常の医療保険よりもハードルが低めに設定されているのが一般的です。
- 特定の持病や病気があっても加入できる
- 審査対象となる期間(◯年以内に手術や入院の経験があるか、など)が短め
そのため、通常の医療保険では審査をクリアできない人でも加入できる可能性が高いです。
告知なしで入れる保険(無選択型保険)
無選択型保険とは、告知義務や審査が存在しない保険のことです。誰でも加入できる保険商品がほとんどであるため、持病や既往歴、職業に関係なく医療保険を利用できます。
そのかわり、保険料は引受基準緩和型よりもさらに高め。また給付金額の削減額や削減期間が大きい、保険期間が短いなどの制限があります。加入前に保障内容や保険期間をチェックし、保険料とのバランスを確認しておきましょう。
まとめ
ここまで「医療保険に入れない人の特徴」についてお伝えしてきました。
医療保険に加入する際、保険会社ごとに独自の審査が行われます。その際に、健康面や職業面、道徳面で基準をクリアできなかった場合、医療保険に入れません。
医療保険の中には、通常の医療保険に加入できない人でも入りやすいタイプの保険もあります。「手術や入院に医療保険で備えたいけど審査に落ちてしまった」という人は、告知事項が少ない・必要ない保険も視野に入れましょう。
また保険選びにおいては保険料や保障内容のバランスも大事。しかし医療保険のタイプが異なれば、入りやすさだけでなく「毎月の保険料」や「保障の手厚さ」も変わります。そのため、自分にとってベストな医療保険を見つけるのは一苦労でしょう。
そこでおすすめなのが、保険のプロに相談してみることです。みんかぶ保険では、保険の専門知識を豊富に持つプロに、無料で何度でも質問できます。
また保険会社ごとの見積もりを一括で依頼することも可能です。難しい保険選びも、短時間かつ簡単に進められるでしょう。
怪しい勧誘や無理な営業もありません。保険選びでお悩みの方は、まずは一度相談してみてはいかがでしょうか。