火災や自然災害によって建物・家財が被害を受けてしまった場合、火災保険に加入していれば給付金(保険金)がもらえる可能性があります。
この記事では、火災保険の給付金(保険金)をもらうために必要な手続きから給付金(保険金)がもらえるケース・もらえないケースまで「気になるポイント」を徹底解説します。
- 火災保険の給付金とは、損害に応じてもらえる保険金のこと
- 損害が生じてから3年以内に請求する必要がある
- いくらもらえるかは保険金額と被害額に左右される
- 給付金の使い道は指定されていない
- 保険金請求をしても保険料は高くならない
火災保険の給付金(保険金)とは?
火災保険の給付金とは、保険の対象となっている建物・家財に損害が生じた際に請求ができる保険金のことです。
給付金ではなく「保険金」が正式な名称なので、この機会に覚えておきましょう。
給付金(保険金)は、被害を受けたあと、保険会社に申請をし、審査を終えてからもらえます。
また、火災保険の給付金(保険金)と似ているもので「見舞金」があります。見舞金は、保険金に先立って支払われる「一時金」のことです。
https://ins.minkabu.jp/columns/condolence-money-220824
火災保険の給付金(保険金)はどうすればもらえるの?
火災保険の給付金(保険金)は、補償対象となっている建物・家財に被害が生じた場合に受け取ることができます。
しかし、補償内容や細かい状況・被害の原因によって「もらえるケース」と「もらえないケース」があるので注意が必要です。
火災保険の給付金(保険金)がもらえるケース
火災保険の給付金(保険金)がもらえるケース※を補償内容とセットで表にまとめました。どんなケースが補償の対象となるのかざっくり確認していきましょう。
補償内容 | 被害例 |
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火災 |
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落雷 |
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風災 |
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雹災 |
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雪災 |
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水災 |
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水漏れ |
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盗難 |
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まとめると、給付金(保険金)がもらえるのは、補償の範囲内かつ「加入者の重過失や故意的な被害、又は地震による被害等」でないケース全般です
また、火災や風災などの被害が原因で必要になった「消火につかったものの補充費用、倒壊した家屋の撤去費用」なども補償してもらえるケースがあります。
それぞれの基本補償で「どこまで補償されるのか」については以下の記事でそれぞれ詳しく解説しています。
火災保険で放火の被害は補償される?補償範囲や対象外となってしまうケースを解説
雷(落雷)の被害は火災保険で補償される?補償範囲から請求方法までわかりやすく解説
火災保険で台風被害は補償される?保険金がおりないケースも合わせて解説!
雪害・雪災は火災保険で補償される?補償されるケース・されないケースをわかりやすく解説!
火災保険に水災補償は必要?補償される事例/されない事例をわかりやすく解説
という疑問があれば、気になっている被害と補償されるかどうかをこの機会にチェックしておくことをおすすめします。
また「水災」に関しては、給付金(保険金)がもらえるケースともらえないケースの判断基準が複雑なため、次章の「火災保険の給付金(保険金)がもらえないケース」で補足説明します。
火災保険の給付金(保険金)がもらえないケース
火災保険の給付金(保険金)がもらえない主なケースは以下の通りです。
自分の重過失または故意による被害である場合
保険金支払の認定基準に満たない場合
被害の原因が補償の対象外の場合
特に注意が必要なのが「水災の認定基準」と「地震が原因の被害」の2つです。
水災の補償範囲は要注意
まず、水災の認定基準から説明します。水災の被害として火災保険で補償されるためには、以下のうちどちらかに該当する必要があります。
保険価額(立て直しにかかる費用)の30%以上の損害を受けた場合
床上浸水または地盤面から45cmを超えて浸水した場合
逆にいえば、床上浸水または地盤面からの浸水が45cmを超えていない場合や被害額が保険価額の30%未満の場合、被害の補償がうけられません。ですから、水災に関してはその他の特約でカバーする等の事前対応が重要です。
https://ins.minkabu.jp/columns/flood-damage-220930
地震による被害は地震保険に加入していないと補償がされない
建物・家財への被害の原因が「地震によるもの」の場合、火災保険だけでは補償の対象外となり、保険金がもらえなくなってしまいます。
地震はいつ、どこで起こるかわかりません。また、震源に近く被害も大きい場合には、被害額も相当なものになってしまいます。
ですから、日本のどこにお住まいであっても、地震保険を付けておくことをおすすめします。
https://ins.minkabu.jp/columns/fire-earthquake-set-220728
意外と盲点なもらい火(隣焼)被害は賠償請求ができないことも!?
近くの家屋からもらい火で建物・家財に被害が生じた場合、出火元に損害賠償請求ができると思っているケースがあります。
しかし、実際は「失火の場合には失火者に重大な過失がなければ、生じた損害を賠償する責任を負わない」と失火責任法で定められているため、出火元に請求ができないケースがあるのです。
ただ、火災保険に自分で加入していればもらい火による火災でも補償されますのでご安心ください。
もし、今の火災保険で補償は十分なのか、個人的に心配している被害は補償されるのか等、お困りごとや悩みがあれば、みんかぶ保険の一括見積もり(無料)を活用してみましょう。
より安心できる火災保険選びを保険のプロがサポートしてくれます。
【参考】火災保険の保険金支払い件数と金額の推移
参考に、損害保険料率算出機構が発表している火災やその他自然災害の「保険金支払件数・保険金額」のデータも紹介します。
まずは、火災が原因によるものです。このデータを元に1件あたりの保険金を計算すると、保険金は約480万円(2021年度のデータ)となっています。
続いて、自然災害による支払い状況です。
2018年は、豪雨と台風の被害が多くあったため、支払い件数も急増しています。年々、台風や豪雨災害が増えている日本ですから、火災保険の重要性も増していると考えられますね。
火災保険の給付金(保険金)はいくらもらえる?
火災保険の給付金(保険金)は、加入時に設定した保険金額を上限として、被害の大小に応じて金額が決められます。
そのため、いくらもらえるという決まった金額や相場は存在しません。
ただ、どんな被害だとどれくらいの保険金がもらえるのかという「イメージ」は持っておきたいと思いますので、いくつか、被害と給付金(保険金)の例※を見てみましょう。
ケース1
具体例 |
台風による落雷により高圧電流がコンセントに流れ、パソコンが故障した |
補償の有無 |
有(落雷補償) |
補償される被害内容 |
家財(損害保険金) |
損害金額の目安 |
10万〜30万円 |
ケース2
具体例 |
台風の強風により屋根が破損 |
補償の有無 |
有(風災補償) |
補償される被害内容 |
屋根瓦の葺き替え工事費 |
損害金額の目安 |
100〜270万円 |
ケース3
具体例 |
大雨による土砂災害によって、建物に土砂が流れ込み、建物の約40%が被害を受けた |
補償の有無 |
有(水災補償) |
補償される被害内容 |
建物代金の修繕費 |
損害金額の目安 |
建物代金:2,000万円 × 40% = 800万円 (保険価額を2000万円かつ、新価で設定していた場合) |
やはり、もらえる給付金(保険金)の計算が複雑なのは「水災」だということがわかります。水災による補償がしっかりしているか、水災リスクが高いのであれば特約でカバーできているかの確認は重要です。
また、免責金額が設定されている場合には、免責金額は自己負担になる点に注意しましょう。
火災保険における免責金額とは?
火災保険の免責金額とは、簡単にいうと自己負担分のことです。
と決めておくもの、というイメージをもっていただければバッチリ。
もし、被害の規模が小さく、免責金額以下の被害の場合は給付金がもらえないため注意しましょう。
また、火災保険に入りっぱなしになっている人は、定期的な見直しをすることも重要です。
https://ins.minkabu.jp/columns/renew_fire_220711
火災保険の給付金(保険金)の使い道は自由だが修繕に使うのがおすすめ
火災保険の給付金(保険金)は、原則として自由に使うことができます。貯蓄に回したり、別の用途に充てることも可能です。
しかし、給付金(保険金)は損害を受けたところの修理に使うのがおすすめ。なぜなら、被害を受けた箇所は、放置してしまうとより修繕が難しい深刻な状態に陥りやすくなってしまうからです。
例
屋根の損傷を放置した結果、雨漏りがひどくなり、家屋の構造自体を傷めてしまった
また、修繕せずに放置された箇所は、次の災害時により大きな被害を受けるリスクが高まります。
例
地震でひびが入った壁をそのままにしていると、次の地震で倒壊する可能性が考えられる
火災保険の給付金(保険金)の請求手順と注意点
最後に、火災保険の給付金(保険金)請求をしなけらばならなくなったときに備えて、請求手順をわかりやすく解説します。
主な、給付金(保険金)請求の流れは以下の通りです。基本的に保険会社に連絡をした段階で、必要な作業は教えてくれるので、すべて完全に覚える必要はないため安心してください。
被害が生じてしまったらすぐに保険会社に連絡する
保険会社から提出が必要な書類が送られてくる
必要書類を記入して保険会社に提出する
保険会社の鑑定人による被害内容の調査・保険金の審査が行われる
保険金の支払事由に該当すると認められたら保険金が振り込まれる
被害が生じてしまったらすぐに保険会社に連絡する
建物または家財が被害を受けたらすぐに保険会社に連絡しましょう。その際は、できるだけ詳細に被害の状況を伝えることがポイントです。
また、被害が発生した日時・内容のメモと写真をしっかり撮っておくことがポイント。事前に被害状況をまとめておくことで、スムーズに保険金を受け取れる可能性が高まります。
保険会社から提出が必要な書類が送られてくる
後日、保険会社から提出が必要な書類が送られてきます。主な必要書類は以下の通り。自分で記入するものだけでなく、役所で用意しなくてはならないものもあるため覚えておきましょう。
保険金請求書
加入している保険会社から保険金請求をした際に送られて来る請求書のことで、保険の請求を行う時に必要な書類になります。
修理(修繕)見積書
修理(修繕)会社に作成してもらった見積り書のことで、これを元に保険金の支給額が変わってくる可能性があります。
被害状況の写真
罹災証明書(被害の程度を証明するもの)を発行する際に必要になるケースがあります。また、言葉では伝えきれない情報を写真に残す事により、より正確な査定を受けることが出来ます。家の外から・中からをどちらとも撮影し、寄りの写真と引きの写真も取っておくと万全でしょう。
事故内容報告書(事故届書)
事故の概略を記載する書類のことで、保険金請求書と同じく保険会社から送られてくる書類になります。
損害明細書
家財などの損害品等を記載する書類のことで、こちらも保険会社から送られてきます。
罹災証明書
自然災害の場合は自治体、火災の場合は管轄の消防署から取り寄せます。住民票自治体から取り寄せます。
建物登記簿謄本
法務局や登記所等の出張所から取り寄せます。
印鑑証明書
自治体から取り寄せます。
委任状
保険金の請求を第三者に委任する場合に必要な書類になります。
必要書類を記入して保険会社に提出する
ポイントはなるべく「早く・正確に」記入して提出を済ませることです。
後回しにしていると、修繕費用が一時的に自己負担になってしまったり、被害状況の把握が難しくなってしまうリスクがあります。
保険会社の鑑定人による被害内容の調査・保険金の審査が行われる
ここからは、保険会社の作業になるので、あとは「待ち」の姿勢で大丈夫です。
もし、保険会社から追加の質問や書類が来た場合には都度対応しましょう。
保険金の支払事由に該当すると認められたら保険金が振り込まれる
最後に支払いを行うための基準を満たしていれば、保険金が振り込まれます。入金されているかどうか念の為確認しましょう。
【よくある質問】火災保険の給付金(保険金)をもらうことで生じるデメリットはある?
結論、デメリットはありません。自動車保険などとは異なり、保険金をもらったとしても、保険料が高くなったり、契約上不利になることはありません。
ただし、修繕に使わないと経年劣化が進んだり、建物が痛むので注意が必要。まずは、修繕をして建物・家財の原状回復が最優先です。
まとめ|火災保険の保険金額や請求手順は事前に確認しておこう
火災保険は、いざという時のために備える大切な保険です。
だからこそ、いざ災害に遭ってから慌てないためにも、事前に保険金額や請求手順についてしっかりと確認しておくことが重要。
もし、火災保険に関する不安や疑問がある場合は、みんかぶ保険の一括見積もりも合わせてご活用ください。